アーカイブ | 4月, 2018

キャシー10周年、トロントの来て10年。

21 4月

気がつけばトロントに来てから10年経ってしまった。

ブログを始めたのがトロントに来てからすぐだったので、キャシーも10周年である。

何も考えずに書き出した「トロントのハッテン車窓」と、キャシーという存在が、まさか10年も続くとは考えてなかった。

この記事を読んでいる人の中には、10年前からフォローしてくれている人がいるかもしれないし、たまたま通りかかって読んでいる人もいるかもしれない。

せっかくの機会だし、この10年をさらりと振り返るので付き合ってちょーだい。

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2008年、留学一年生

テレビでしか見た事がなかったナイアガラの滝を前にして少しガッカリしたものの、トロントの開放的で多様な文化に数ヶ月もしないうちに惚れていた留学生のキャシー。

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大学を卒業したばかりで、まだ人生経験の浅かった22歳の自分は語学学校に通いながら、トロントのLGBTコミュニティにどっぷり浸かって、スポンジのように新しい知識を学んでいた。そうやって学んだことを当時アメブロで開設したブログに綴っていたが、まだLGBTなんて言葉が日本に浸透していない時代で、ブログのカテゴリーの選択肢が「おかま」しかなかったのは甘苦い思い出ね。英語を学ぶため、そして、素敵な恋人候補と知り合うため、面白そうなイベントや集まりには欠かさず参加していた。彼氏は出来なかったが、この頃に出会った友達とは今でも親しい関係が続いている。コーヒーもまともにオーダー出来ない英語力で留学に来てしまった無謀な自分が、短い期間でカレッジ教育に通用する英語力を身に付けたのも、彼らのおかげである。

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2009-2010年、まさかの就職

大学卒業生向けの過酷な8ヶ月間のカレッジプログラムを無事卒業した自分は、当時ボランティアしていたNPO団体でパートタイムで働くことになった。

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LGBT支援やHIV予防啓発には日本にいた頃からずっと興味があったが、まさかそれをキャリアにできるだなんて想像もしていなかった。運が良かったのだ。トロントのカレッジを卒業したところで、英語にまだ難があってアルバイト以外の仕事経験がほとんどない自分を雇ってくれる場所なんてきっとなかっただろう。このタイミングで仕事が見つかって、しかも、それが夢見ていた仕事だったことで、すっかり舞い上がっていた。パートタイムというのはネックだったが、トロントの物価が安かった時代だから節約すればなんとかなった。この仕事が好きすぎて、若さという勢いもあって、自分の全てをぶつけた。そのおかげでとても成長したし、様々なところでも評価されたが、ワークライフバランスの管理がとにかく下手で戸惑った時期でもあった。

ブログ「トロントのハッテン車窓」もいつの間にか読者が物凄い増えてしまって、一時帰国して新宿二丁目を歩いてた時に「キャシーさんですか?」とか声かけられて、インターネットのパワーの痛感した。

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2011年-2012年、ライターとしての成長

「コラム書いてみませんか?」とトロントの日本語マガジンBitsに声をかけられて、ライターとしての経験が全く無いにも関わらず、生意気に連載を始めた2011年、2017年に最終回を迎えるまで133回も連載を続けることができた。これがきっかけで、少しずつライターとしての経験も積んで、Badi2Chopoでも連載を書くことになった。

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昇進してフルタイムになって、収入も増えたことでダウンタウンから少し離れた一軒家の広めの地下室ワンルームに引越した。天井低いし、ネズミも出たが、やっと自立できた気がしてとても嬉しかった。25歳にして初めての彼氏ができて、試行錯誤して関係を築いていた時期でもあって、二人が別々に払っている家賃を合わせればダウンタウンのマンションに住めるという経済的な理由でスピード同棲まで至った。その彼氏と今でも同じ屋根の下でラブラブな関係を保っているのはある意味奇跡である。

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2013-2014年、新しい家族

トロントに来て5年目にして、やっと永住権を手にして、ビザの更新を心配する生活にバイバイできた。長かったぁ。

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当時、ツイッターのフォロワーが急増していた時期で、キャシーの食べログなんてページまで登場するくらい外食していた。ツイッターで差別や偏見の話をすることも増えて、その流れで書いた記事「フェアな社会とは何か?平等と特権と差別をもう一度考える。」は今でもRTされるほどで、このブログで一番読まれている記事だと思う。

いろんな意味で余裕が出来た時期でもあって、彼氏と犬を飼うと決めて、ヒューゴくんが2014年末に家族の一員になった。オフィスまで仔犬だったヒューゴくんを連れて来て、子育て(?)しながら仕事したのは流石に大変だった。

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2015-2016年、転職と就活

人生、山あり谷ありというが、この10年からすればここら辺が谷だった。5年以上勤めた仕事先を離れて、新しい仕事を始めることになったが、正直怖かった。慣れた環境で甘やかされて、違う環境で全然活躍出来なかったらどうしよう。今より遥かにスケールの大きいプロジェクトに面して、自分が培って来たものが通用しなかったらどうしよう。そんな不安を抱えて転職した。慣れない仕事をこなしつつ、コラムの連載を三つも抱えながら、コンサルタントとしても働いていて、ほとんど休みがなかった。

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2016年に入って、悩んだ末に当時の仕事をフルタイムではなく、コンサルタントの契約にしてもらって、コミュニティに関わる仕事から一度離れようと決めた。ずっとNPOで働いて来たから、違うエリアで自分を試してみたかったからだ。ほぼ一年間就職活動に励んだ末に、教育機関で教員、社員、生徒に人権教育やLGBT支援を提供する仕事に出会えた。

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2017-2018年、新たなチャプター

今までの経験を活かせる全く感触の違う仕事は自分にとって新しいスタートとなった。NPOで勤めていた頃はカジュアルな格好だったが、最近は基本的にビジネスカジュアルなのでイメチェンしたと最近言われる。全身ユニクロなのにね。

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ブログやコラム以外の媒体にもずっと興味を持っていたので、遠藤まめたさんと一緒にポッドキャスト「にじいろ交差点」をやることになり、初心に戻ってオーディオファイルの編集からポッドキャストのアップロード(意外とめんどくさい)まで学んだ。今までのキャシーのコンテンツからすれば堅い内容で、受け入れられるか少し不安だったが、今のところ評判もよく、ダウンロード数も順調に伸びている。

この秋より、大学院生になることも決まった。専攻は教育で、今の仕事で扱っているダイバーシティ戦略や人権教育のデザインや導入をもっと学んで行く予定だ。トロントに来た頃から大学院にいつか入りたいと思っていたが、英語の試験で相当高いスコアが必要で、永住権がなければ学費もバカにならないので、ずっと先延ばしにして来た。今の上司の応援もあって、昨年末のアプリケーションを出して、ずっと結果を待っていた。IELTSで十分なスコアは取れたが、大学時代にそこまで成績にこだわってなくて、それが響いて入学出来なかったらどうしようとビクビクしていた。無事に入学できて本当に良かった。

本当はもっと書きたいことがいっぱいあるんだけど、とんでもないボリュームの記事になってしまうからほとんど端折ってしまった。

そんな感じで、この10年の道のりを振り返ってみた。

やっぱり思うのは…

このブログと、キャシーが今でも続いているのは、こうして読んだり、聞いたり、応援してくれている人がいるから。

この10年間、ありがとうございました(本当に)!

そして、これからもよろしくお願いします。

自分も、この10年間お疲れ様。

PS.

もしキャシーに関する思い出があれば、ぜひコメント欄かツイッターでシェアしてください。

 

『ジェンダー、トイレ、そして、ユニバーサルデザイン』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第7回 テキスト by 桜井弓月

4 4月

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第7回 ジェンダー、トイレ、そして、ユニバーサルデザイン(2017/11/12)

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

 

キャシー:「まめたさんと言えばトイレ」っていう話をしたいと思ってて(笑)。

 

まめた:うん(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。これ、10年前の話なんだけど、まめたさんがレインボーカレッジの会議でトイレの話をしていて、カミングアウトしたばかりで全然右も左も分からないゲイ男性の自分は、全然トイレっていうことを考えたことがまったくなかったのね、その日まで。まめたさんが会議の中でトイレの話をしていて、すごく、「こんなにも経験が違うんだ」っていう。シスジェンダーとトランスジェンダーの間で。その話をすごい今でも覚えていて、だから「まめたさんと言えばトイレ」っていう話をしたんだけど。響きとしてはすごい悪いんだけど(笑)。

 

まめた:懐かしいよね。当時、たしかね、「パレードにみんなで行こう」みたいな話とかをしてた。代々木公園のパレード会場で、トランスの人が、男子用トイレと女子用トイレしかなくて、どっちにも行きづらいトランスの人たちがトイレを探して旅に出るみたいな状況になっちゃってて、それをすごいミーティングで喋ってた記憶がある。

 

きゃしー:あー、それかもしれないね。

 

まめた:何か、LGBTのイベントと言いながら「トイレがない!」とか言って、「トイレよこせ!」とか言って(笑)。

 

キャシー:はっはっは(笑)。「トイレよこせ!」って? でも、すごい問題だよね、それ。

 

まめた:大問題だよ。何かもう、永遠に言ってて、パレードが開かれるたびに「トイレどうするんだ」みたいなことを毎年言ってて。

 

キャシー:うん。

 

まめた:最近の東京のプライド・パレードは人が増えたので、そもそもトイレの数が足りないとか、他にもいろいろ理由があって、建設現場に置いてあるような個室トイレがたくさんバーッと並んでて、それで解決されるっていう。トランスのことだけじゃなくて、他の理由もあって変わったみたいな、そういう感じでしたね。

 

キャシー:うん。

 

まめた:というわけで、トイレ問題でございます。

 

キャシー:トイレ問題。トイレどうですか、最近?

 

まめた:トイレ、面白くて……面白くも何ともないんだけど、いま10月の終わりじゃないですか。

 

キャシー:はい。

 

まめた:服の枚数が増えたんですよ。目安があって、毎年、栗ごはんの季節になるとよくなるんですけど、5月ぐらいから9月ぐらいまで半袖とかじゃん? で、着る服の枚数が減ると、自分の中では体の線みたいなのがすごい目立つ気がして、男子としてパス……男子としてちゃんと自分が見えるかみたいなのが結構微妙な時期なんですよ。だから、いま10月の後半になって、服とか2枚も3枚も着てたりとかして、全体的にモコモコしてくると、安心して男子トイレとか入っても大丈夫だなみたいな。だから、外出先がちょっと楽になったみたいな。

 

キャシー:はあ。

 

まめた:人がいても大丈夫、みたいな。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:季節的に……季節によって、服の枚数によって周りからの扱われ方が微妙に変わる気がする。

 

キャシー:まめたさん、普段は男子トイレを使ってるって言ってたけど。

 

まめた:えっとね、見た目によって変えたりとか、えっと、職場は女子職員として入ったので女子トイレなんですよ。でも、それはすごく自分は嫌だし、周りも、お客さんとかで鉢合わせして困ることがあって、すごい問題なんだけど、職場は女子トイレと男子トイレしかなくって。で、仕事以外の場面だと、入れそうだったら男子トイレだし、難しそうだったらファミリーマートとか、コンビニのトイレを使うことが多い。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:何かその、性別で区切ってないような、そういうとこ探したりとか、すごい不便だけど、ずっとこれだから……毎日毎日これ。

 

キャシー:ほんとに不便だよね、それは。フェアじゃない。

 

まめた:そう。トイレが基準で行動するわけ。

 

キャシー:うん。

 

まめた:例えば、新宿駅とか、そういう大きい駅の中に入ってるカフェとかではあんまりお茶をしなくって。

 

キャシー:うん。

 

まめた:何でかって言うと、例えばタリーズコーヒーとかドトールコーヒーとか小さい店舗だと、店の中にトイレがあって、だいたい男女共用なんですよ。

 

キャシー:そうだね、うん。

 

まめた:だけど、新宿のルミネとかさ、そういうところに行くと、まずトイレに人が並んでるわけ。外にあって、男女別のトイレで。人が並んでいるところに行くと、自分が男子じゃないっていうふうに言われるんじゃないかとか、トランスであることがばれるんじゃないかとかすごい気になって、あんまり使いやすくないから、それだったら別のとこでお茶したほうがいいやって思う。

 

キャシー:いま日本でジェンダーフリートイレとかは増えてるの?

 

まめた:もともと結構探せばあって、コンビニとか、ドトールとか居酒屋とか、場所によるけど。探せばある。ただ、LGBT向けに増えてるとか、そういうことではないと思う。

 

キャシー:うーん。例えば結構トロントだと最近レストランとかカフェとか、昔は男女別でトイレがあったんだけど、いまはサインとかを全部取って、「どっちもトイレ」っていうところが増えてる。実際、個室が2個あったら男女別にする必要がそこまでないじゃない?

 

まめた:そう思うんだよね。

 

キャシー:うん、そう。例えばレストランとかならね。そういうところとかは、最近結構ジェンダーフリーのトイレも増えていて、僕がこっちの大学で仕事してるじゃない? そうした大きい施設だと、絶対にオールジェンダートイレが設置されていて、例えば、このフロアとこのフロアとこのフロアには、オールジェンダートイレがここら辺にありますよ、みたいな、そういうサインとかも結構増えてる。

 

まめた:この前、カナダのブリティッシュコロンビアから来ている人の話を聞いたときに驚いたのは、カナダの学校は結構もうニュートラルな、ただの個室トイレがバーンと並んでる学校が増えてるとか、それだけじゃなくて驚いたのは、病院。病院って、日本だと男性用の大部屋と女性用の大部屋が、性別で大部屋が分かれてることが多いんだけど、カナダの病院って、ただの大部屋があって、その中に別に性別で分けたりとかせずに、何人とか、そこに患者さんがいるみたいな、そういう入院の仕方なんだっていうのを聞いて、そういうのありなんだと思って結構びっくりしたんだよね。

 

キャシー:はあ。

 

まめた:別に分けなくたって、ちゃんとプライバシーが守られれば問題ないわけだから、そのほうが逆に合理的に、こっちのトイレは人が並んでて、こっちのトイレは人が空いてて、とか、こっちの部屋は空いてて、こっちの部屋は混んでて、とか、そういうのがなくなるかもしれないし、ひょっとしたら合理的なのかもしれないと思って。

 

キャシー:カナダの病院、行ったことないから全然知らなかった。

 

まめた:あ、そうなんだ? 行ったことないほうがいいよね。

 

キャシー:行ったことないほうがいいんだけど、うん。ははは(笑)。ジェンダーフリートイレっていうのが、数年前に結構問題になって。トロント大学で結構強めにジェンダーフリートイレを推し進めてた棟があって、全フロアでジェンダーフリートイレを導入したのかな。したあとに、痴漢問題が発生して、盗撮された人とか、覗き見されたとか、そういう事件が結構増えて、一部のトイレをまたジェンダー別に戻したのかな、たしか。で、こうなってくると、すごく政治的な問題になってきて、「何でそうした選択を覆すんだ!」みたいな、その決断にすごく両方から圧力がかかって、すごい難しい立場に立っていたのを覚えていて。ジェンダーフリートイレとかオールジェンダートイレとか、絶対必要な部分だと思うんだけど、社会の中で女性っていう立場を忘れてはいけないなっていうのを思っていて。例えば、痴漢っていう問題がすごい多いから、ジェンダー別のトイレも必要なのかなっていう、ジェンダー別のトイレも共存していかなきゃいけないのかなっていうのを思っていて。

 

まめた:何か、あれだよね、ジェンダーフリートイレもそうだし、自分のジェンダーアイデンティティに基づいてトイレを使おうってなったときに、トランス女性の人とかがさ、女性トイレを職場で使わせてもらえないみたいな、いま日本でそういう裁判やってて、経済通産省の職員でトランス女性の人がいるんだけど、その人が職場で女子トイレを……もともと女子トイレを使ってたんだけど、他の職員から苦情があって、結局、みんなの理解とか許可がないと女子トイレを使えない、みたいな話になっちゃって、それでいま裁判をやってるんだよね。結局、何か、分けることが安全だっていうふうに思ってる人たちにとって、トランスの人とか、ジェンダーニュートラルにするってことが安全でないみたいなふうに思ってる人たちがいて、犯罪とか、そういうのをどういうふうに防ぐかみたいなことってすごい大事だし、その辺の不安感みたいなものって、トランス女性のことに関しては別に犯罪を犯すわけでも何でもなくて、普通に使ってもらえたら全然いいんだけど、それを分かってもらうことが大事だと思うんだけど、安全って、すごい難しいよね。

 

キャシー:難しい。安全っていう問題プラス、誰がどのトイレを使っていいのかってポリーシングをしてる問題も出てくるわけじゃない? 例えば、女性トイレっていうジェンダーのトイレがあって、そこに誰が入れるのかっていうのを誰が決めるのかっていう部分になってくるから、うーん……こうした、施設のデザインは、本当に難しい。大学の施設でプレイヤースペースっていうのがあって、休憩中とか、お祈りに来るスペースがあるんだけど、そのスペースを、本来、どの宗教とか、宗教に限らず、ちょっと来てメディテーション、瞑想したいっていう人たちにも使えるスペースになってるんだけど、やっぱり実際に使う人たちが結構みんなイスラム教徒の人たちが多いわけよ。で、生徒たちからのリクエストがあって、何もプロセスなしに、いきなり女性・男性用に分かれたスペースになってしまって、すごく大問題になったっていう。例えば、イスラム教徒の生徒たちのリクエストだと、ジェンダーを分けてほしいっていうリクエストがあって、学校側は何もちゃんとプロセスをせずに「はい、はい」って言って分けちゃったっていう。こういうときに問題になってくるのが、宗教とジェンダー、どっちも人権法の下に守られていて、どっちを優先するのかとかになってきて。

 

まめた:それはもう宗教の中で考えるしかないよね。何かさ、イスラム教でLGBTの人たちのお祈りとかやってるグループがあるけど、そういう中の実践で考えるところがないと、なかなか難しいよね。

 

キャシー:うん。トロントにユニティーモスクっていう、LGBTのコミュニティがやっているイスラム教徒のグループがあるんだけど、その人たちがお祈りするとき、いつもやってるのが、僕、右左が分からないから合ってるか分からないけど、男性としてアイデンティファイしてる人たちは右に来て、女性としてアイデンティファイしてる人たちは左に来て、分けずに間に来た人は間で、みたいな、そうした感じでスペースを使ったりとか。うーん、でも、やっぱりなかなか正しい答えがない問題だから、すごい難しい問題で。スペースっていう……。トイレとかも同じなんだけど、ほんとに、トイレを囲んでいる社会に問題がありすぎて、どうスペースをデザインすればそうした問題を全部解決できるのかっていう部分があって、デザインだけで問題をすべて解決できるわけじゃないから、痴漢問題をどう対策していくかとか、誰がトイレに入って来れるかっていう、そうした視点とかをほんとにチャレンジしないと、使いやすいトイレっていう、誰でも使いやすいスペースって出来上がらないかなあっていうのを思っていて。

 

まめた:思い出したのがね、いまから8年ぐらい前に、やっぱりLGBTの若者のイベントをやったんですよ。で、そのときも私は吠えて、「トイレをちゃんとやらないとイベントとして意味がない」とか言って。建物が2階建てで、1階を当日ディスカッションに使う予定で、そこは施設に掛け合って、もともとは男女別トイレだったんだけど、その日は上から紙を貼って「どっちを使ってもいいですよ」みたいな、そういうふうに変えてもらったんですよ。当時付き合ってた彼女が、私が一生懸命それを実現したのに、男女共用トイレが嫌だったらしくて、こっそり2階か3階に行って女子トイレを使ってるところを見ちゃったんですよ。自分はこれだけ一生懸命作ったんだけど、やっぱり嫌な人は嫌なんだってことを、それを見てすごいショックを受けたことがあって。何だろう……やっぱ、分けたい人はすごい分けたいよね。あんなに努力して作ったのに、結局そうか、と思って。

 

キャシー:ジェンダーフリートイレがあったんだけど、みんな結局、上の階に行ってジェンダー別のトイレを使ってたっていう。

 

まめた:使ってる人がいて、こともあろうか付き合ってる人だったっていう。

 

キャシー:ははは(笑)。でも、僕もね、怒られるかもしれないんだけど、基本的にジェンダーフリートイレはちょっと……トイレ自体が個人的に苦手なスペースでもあって。いまの職場のトイレ、おしっこするところがすごく近くて、腕と腕が触るぐらい近くて、隣の人と。

 

まめた:近すぎでしょ。

 

キャシー:そう。何も隔てるものがなくて。トイレが子どものときから苦手な場所で。ジェンダーフリートイレとかも、結構いっつも、こっちにあるジェンダーフリートイレって、オールジェンダー、プラス障害者向けのバリアフリーのトイレみたいになってるんだけど、僕、鍵の付け方が分からなくて、ロックのシステムが分からなくて、自分が座ってる場所からドアがあんまり遠いと不安になっちゃって座れないのね(笑)。誰かが入って来たらどうしようっていう不安に勝てなくて、そういうトイレは絶対いつも避けてる(笑)。ほんとに全然違う話なんだけど。ユニバーサルデザインのはずなのに、ロックが不安っていう。

 

まめた:あれだよ、思い出したんだけど、台湾の市役所に2年ぐらい前に行ったことがあって、そこはエリアが二つ分かれてるんですよ。で、一つは男女共用エリアで、さらに女性専用エリアがあって、入口が二つに分かれてて、女性のほうに入ると通常の個室がたくさん並んでる女子トイレがあって、男女共用エリアに入ると、個室の洋式便器と男子の小便器の個室とか、子連れの人が使えるトイレとか、車椅子用のトイレとか、いろんなトイレがその中に並んでて、好きなやつを選ぶみたいな、そういう分け方をしてあったの。どうしても女子だけのほうがいいって人は女子トイレのエリアを使うし、「ちょっと面白そうだし、いろんなトイレがあるし、そっち使おうかな」みたいな人たちも結構いて。そっちのほうが、いろんなバリエーションがあるほうから選べるみたいなふうになってて、それがすごい面白かったんだよね。みんな使いやすいトイレって結構違ってたりしてさ、洋式がいい人もいれば、洋式はあんまり好きじゃない人もいるかもしれないし。

 

キャシー:そうそう。

 

まめた:使いやすいトイレを選ぶとか、あと、車椅子の人とかも……日本トイレ協会っていう人たちとこの前一緒にイベントやったんだけど、最近のトレンドは、機能別にどんどん分けたほうが実はいいってことを言ってて、多機能トイレってさ、着替える用の簡易ベッドがあったりとか、車椅子の人が使えるようなスペースがあったりとか、オストメイト用があったりとかして、際限なくでかくなるわけ、どんどん。でも、でかくなるとさ、たくさん作れないじゃん? だから、オストメイトの人はこれで、車椅子の人はスペースが必要だからこういう感じで、とかみたいな、種類をたくさん作ったほうが実はいいんじゃないかみたいな話し合いがあって。性別とはまた全然違う視点なんだけど、トイレって実はもっといろいろ種類があってもいいのかもみたいなことを最近考えてる。

 

キャシー:その話からユニバーサルデザインの話に持って行きたいんだけど、ユニバーサルデザインっていう考え方、どう?

 

まめた:自分は、みんながあまり考えずに、しれっと使えるトイレが一番いいと思ってるから、一番好きなトイレは、コンビニのただのトイレが一番好きだし、シンプル イズ ベストというか、ユニバーサルなふうに思うけど、障害がある人にとって、ファミリーマートのトイレって結構広めに作ってあって使えたりとかするし、そういうのが増えたらいいなと思ってるんだよね。それだけだと難しいのかなっていう気持ちもあって難しいんだけど。

 

キャシー:うん。ユニバーサルデザインっていう考え方自体が……いま仕事をしてる職場で障害をすごい勉強してる人たちが結構いっぱいいて、政府の施設だからこうしたユニバーサルデザインってすごい大事な部分なんだけど、考え方に問題を感じている人も結構いっぱいいて、ユニバーサルデザインって、「みんなが使いやすいトイレ」とか、「みんなが使えるバリアフリー」とか、そういう考え方じゃない? でも、その「みんな」っていうのが、すごい便利な言葉じゃない? 誰が「みんな」を決めるのかっていう部分とかもいっぱいあって、コンセプトとしてはすごい素敵なコンセプトなんだけど、なかなか現実で登場するデザインがユニバーサルじゃないことが多くて。例えば、散々、車椅子の人たちが使いやすいスペースをデザインしようとしてるのに、最後の最後でドアの開き方が間違っているとか、実際に使えないとか、あと例えば一番その施設が必要な人たちの声がなかなか反映されずに、「みんな」っていうところが勝ってしまうことが多くて、ユニバーサルデザイン、コンセプトとしてはすごい素敵なコンセプトなんだけど、やっぱり当事者の声をもっと聴かないと、トイレに限らず、ほんとにいろんなデザインの部分でもっとクリティカルにユニバーサルデザインを考えていかなきゃいけないなっていうのを思っていて。

 

まめた:それじゃない感があるよね。みんなで考えて、公募して「これにしました!」とか言って、「いやいや、でも一番困ってる人の意見を一番聴くほうがいいんじゃないの?」と思ったりとかさ。

 

キャシー:そうそうそう。だから、トロント大学の痴漢問題とかも、ジェンダーフリートイレを推し進めたときに女性の声がどこまで届いたのかなと思っていて。

 

まめた:何かさ、「何対何対何ぐらい」とかにしたらいいんじゃん?

 

キャシー:そうそうそう。でも、いきなりそういった……こうしたでかい組織とかさ、全然進まない課題があったり、パッと進んじゃう課題があったりとかして、難しいんだよね、バランスが。だから、プレイヤースペースとか、ジェンダーフリートイレとか、ほんとにコンサルタントが声を出す間もなく変わってしまったりとかするときがあって、もうちょっと時間を掛けて考えてほしかったなっていう。あと、例えばジェンダーフリートイレがあって、オールジェンダートイレでいろんな種類のトイレがあって、隣に女性専用のトイレがあったとして、また文句を言う人たちがいっぱい登場するわけじゃない? 「女性をなんで優先するんだ!」っていう声も登場したりするし。ほんとにいろんな方向から圧力が来るから、どの声を聞いたらいいかっていうのを現場の人たちが分かってるのかどうかっていうのも、ちょっと不安な部分もあって。

 

まめた:女性専用車両みたいなのが日本にあるわけだけどさ、最初にできたときはすごい嫌だったの。何でそんな……そもそも性別で区切る場所がこの星にまた増えたみたいなことをね、たしか高校のときだったんだけど、思って、すごい嫌だったんだけど、この前ネットを見てたら、ほんとに痴漢にすごいたくさん遭ってきた経験がある人がいて、その車両に乗れば痴漢に遭わないと思うとホッとする、みたいな話があって、全然、言うなら、別に女性専用車両があることによって痴漢が減るわけではないし、別にそれが何かの解決に役立ってるとは思わないけど、そういう人にとっては必要なんだみたいな話を聞くと、「そうかあ」みたいなところもあって。理想から言えばそんなのなかったほうがいいと思ってるんだけど、それがあることで安心するとか、そうじゃないとほんとに困るっていう話を聞くと、「そこまでだったら、まあ、そうかあ」って思う部分もあって。悩ましいよね。

 

キャシー:悩ましいね。

 

まめた:自分が鉄道会社の社長とかだったらさ、そういうの、あんまり導入したくない気持ちになるしさ。

 

キャシー:女性専用車両とか、本来、ほんとに何もそうした差別とか偏見とかがない社会だったら、ジェンダーフリートイレとかユニバーサルデザインとかを導入したら成功すると思うのよ。でも、やっぱり、いまの状態だと、バンドエイドデザインっていうのも加えないと、社会問題が解決してない状態でジェンダーフリートイレとか導入しちゃうと、やっぱり痴漢とかにほんとに日々悩んでる人たちにとってはあんまりセーフじゃないスペースだったりするし。ユニバーサルデザインも、障害を持つ人たちに対する偏見とか差別とかある状態で導入しちゃうと、やっぱりなかなかちゃんとしたユニバーサルデザインじゃなくて、欠けてるユニバーサルデザインになっちゃうから。ユニバーサルデザイン、プラス、反差別の姿勢をどんどん導入していきたいっていうのを思っていて。

 

まめた:あれだよね、まず性犯罪とか性暴力のやつを何とかせんとあかんよね。

 

キャシー:ほんとに、うん。女性専用車両もいつかはほんとになくなってほしい。でも、なくなる理由が、ほんとに性犯罪がなくなったっていう理由で、なくなってほしい。

 

まめた:新しい、いろんなね、LGBTの人が使いやすいようなマークとかを導入した例がさ、たびたび日本で炎上してて。例えば渋谷区で「誰でもトイレ」に付けられたいろんなアイコン、男性に見える人と女性に見える人と、間に半分男性で半分女性のイラストで、しかもレインボーに入れられた第3のキャラクターが間に入ってるデザインで、それが半分男で半分女でレインボーみたいなのが当事者の反感を買ったりとか。

 

キャシー:ははは、買うよね(笑)。

 

まめた:デザインで揉めてて、最近。

 

キャシー:うん。

 

まめた:この前もある大学で、ジェンダーニュートラルなトイレを作ったんだけど、たぶん半分冗談で、スカートで髭が生えてる人のアイコンとか、角刈りでリボンが付いてる人のアイコンとかが入ってて、たぶんシャレで付けたと思うんだけど、そのシャレの誰でも感が当事者からしたらムカついたらしくて、それも炎上してたりとかして。何だろう……目立たせたいとか、「新しいことをやった」みたいなことを、そういうイラストとかで表すとだいたい失敗するっていうのが最近の日本で相次いでいる事件ですね。

 

キャシー:うーん。アイコンはね、難しいよ。

 

まめた:トイレって書けばいいと思うんだよ。

 

キャシー:ほんとにね。だって、女性と男性のマークでさえさ、すごい問題、女性はスカートで男性は……色とかも、それだけでも問題がいっぱいあるのにさ、みんなを表現しようとしてアイコンを作るのは……誰も得しないよね。カナダのオールジェンダーデザイン、どうなってるんだろう。ちょっと、いろいろ見てみる。どういうアイコンをみんな使ってるのか。というわけで、今回の収録、アライの話とトイレの話、カタカナ3文字の話を二つしたんですけど、どうでした?

 

まめた:そうだね、トイレの話が面白かった。トイレの話をあちこちですることがいまだに多くて、そのたびに「新たなアイデアとかをそんなに求めてないんです」って話とかをすごい一生懸命してるんだけど、何だろうな……一つの解決策ですべてがうまくいくっていうふうに思わないっていうのは、これは結構大事な考え方なのかなって。そういう気付きがありましたね。用を足せれば何でもいいんだけど、なかなかそうなってないからさ、世の中が。シンプルに用を足したいだけなのに性暴力とか性別で分けるとか、いろんなバリアがあるわけで。そういうのなくなって、単に用を足したいだけだから。早くそれが実現すればいいなと思います。ほんとだよ。

 

キャシー:ほんとだね。あと、あんまり派手なトイレにされたら入りづらいよね。派手なアイコンとかあったら(笑)。ほんとに、トイレは静かに使いたい。はい、それでは、今回も楽しい収録ありがとうございました。

 

まめた:ありがとうございました。

 

キャシー:それでは、ツイッターとフェイスブックでまた話をしましょう。

 

まめた:はい。また今度。お疲れ様でした。

『保毛尾田保毛男騒動とアライシップ』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第6回 テキスト by 桜井弓月

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第6回 保毛尾田保毛男騒動とアライシップ(2017/11/12)

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

 

キャシー:この前さあ、前回の収録、結構かなり前だったんだけど、まめたさん、高校に戻るとか言ってたじゃん? 高校に戻って講演をするって言ってたじゃん? どうだった?

 

まめた:それがねえ、面白くて。高校に行ったら、ほぼ全員知り合いの先生がずらっと座ってるわけよ。すごい喋りづらくって。自分が高校のときに、例えば「セーラー服が嫌だ!」とか言って先生に相談をして、「いやいや、そんなの今だけだよ」みたいな。その先生とか真ん前に座ってて。すっごい喋りづらかったんだけど、全体的な反応としては、「卒業生がよくこんな、逆にいろいろ学ぶ機会を提供したりとかして、懐かしいわね」みたいな感じでなごやかに進み、やりづらさはすごくあったけど、ちゃんと自分のふるさとみたいなとこに戻って、ちゃんとこういう日が来て良かったなと思ったね。

 

キャシー:あー、いいね。なごやかな雰囲気の中でも、ちゃんとハードな話はできた?

 

まめた:そうそう、結構話して。実際、キリスト教の学校なんだけど、キリスト教の中でもLGBTに対してあんまり、受け入れるっていうか、OKだっていう考え方の先生もいれば、それはどうなのみたいな先生もいる中だったので、他の学校で、例えばクリスチャンで教会に行ってて、そのことをどうやって話したらいいか悩んでる子のエピソードとかを入れて、ちゃんと考えたほうがいいんじゃないかってことで、そのへんもちょっと触れたりはした。

 

キャシー:すごい、あの、お疲れ様です。すごい、気まずい講演だね、それは(笑)。

 

まめた:部屋に入って行ったら、担任の先生が「ハグしたい」って言ってきたんで、何か、「うーん、それはちょっとあとで」みたいな。

 

キャシー:はっはっは(笑)。

 

まめた:ノリがよく分からなくて困っちゃった。

 

キャシー:結局ハグはしたの?

 

まめた:ハグしなかった。忘れちゃった(笑)。

 

キャシー:まあ、しなくてもいいよ。大丈夫だよ。

 

まめた:何か思い出したんだけど、キリスト教の学校だったから、結構クリスチャンの先生が多いの。で、自分がいろんな学校にLGBTの話で呼ばれても、自分の母校はずっと呼ばれなかったから、先生が「イエス・キリストが故郷では受け入れられなかったように、あなたも、うちの高校では呼ばれないだろう」みたいなことを前に喋ってたことがあって。

 

キャシー:あはは(笑)。

 

まめた:聖書を引用されて、「呼ばれることはないでしょう」みたいなことを言われたことがあって。でもちゃんと呼ばれたので、良かったなと思いました。

 

キャシー:それは、褒め言葉なの? はっはっはっは(笑)。

 

まめた:分かんない(笑)。でも、その先生としては呼んでほしかったみたいだけどね。

 

キャシー:その先生は来てほしかった?

 

まめた:その先生は来てほしくて、励ますつもりで聖書を引用したのかもしれない。

 

キャシー:あぁ。それなら、まあ、キリストとして誇らしく……あの……ごめん、全然聖書分からないから、そんなジョーク言わないほうが良かった。でも、いい仕事してますね、相変わらず。

 

まめた:最近どうですか?

 

キャシー:最近はね、ちょっと休憩しなきゃっていう。仕事プラス家事プラス、ボランティア、プラス、パートナーと犬のオーナーみたいな(笑)。その責任を全部ジャグリングしながら生きてるので、ちょっと、うーん、お休みすることを学ばなきゃっていう。というわけで、本当は先週収録する予定だったんだけど、土曜日の夜にすごい風邪をこじらせて、この声じゃ喋れないと思って。でも、ちょっとブレーキをかけて休んでいこうと思う。前回のエピソードの最後に、アライの話をしようっていう話をしてたじゃない? どう? 「アライ」って、いま、浸透してる? 言葉として。

 

まめた:アライね。LGBTの用語集の中ではすごい上のほうにくるよね。一般の社会でアライって言われても、「人の名前ですか? 荒井さんですか?」みたいな。

 

キャシー:そうそう、荒井さん(笑)。

 

まめた:一般の人が知ってるかって言ったら、どうだろうって感じだけど、「LGBT知ってるよ」みたいな、講演とか聴くと「アライになろう!」みたいな、「自分、アライなんですよ」みたいな言葉はよく使われる。日本はそんな感じかな。

 

キャシー:じゃあ、まめたさんが講演とか行ったときに「アライってなんですか?」って聞かれたら、どう答える?

 

まめた:あんまりアライって言葉を積極的に私は使わないんだけど、アライって言葉に関しては、一般的には「LGBTの理解者」とか「支援者」っていうふうに使うけど、単に理解するっていうだけじゃなくて、「ちゃんと当事者の人と一緒に何かができる人」みたいなところで、そういう言葉かなあっていうふうに説明はするよね。

 

キャシー:何で「アライ」は使わないの?

 

まめた:何か、言葉が増えるのが嫌いなんですよ。

 

キャシー:はっはっは(笑)。

 

まめた:カタカナをなるべく増やしたくないな。

 

キャシー:うーん! カタカナ増えたら、どんどん難しくなるもんね、コンセプトが。

 

まめた:うん。あとね、「理解者なんです」って現れる人がたまにいて、すごい怪しいなと思って見ちゃうので、そういう言葉は別に……何だろう、あることで便利な部分もあるかもしれないけど、積極的に使いたいかって言ったら、どうだろうなあ、みたいなとこなんだよね。

 

キャシー:うーん、何か、あれだね、たしかに「アライです」って来られたら、ちょっと一歩引くよね。

 

まめた:大丈夫かなって思うよね。

 

キャシー:一応、僕が「アライ」を使うときは、アライっていう言葉で人を指すというよりも、アライシップみたいな感じで、アライという姿勢の話をするほうが多いかな。

 

まめた:アライシップっていうのは?

 

キャシー:他人に対して理解を示すとか支援をするとか、一緒に問題解決の手助けをするみたいな、そういう姿勢がアライかなっていうのを個人的には考えていて、アライっていう帽子があるわけではなくて、アライっていう行動というのかな、姿勢とか行動とか、そういう部分にフォーカスをするようにしていて。ワークショップをしていて、例えばグループの中にLGBTの人たちと、そうではない人たちがいて、LGBTはLGBTのアイデンティティがあって、「そうではない人は、かわいそうだから、君たちにもアライというアイデンティティをあげよう」みたいな感じになると、本当に変な方向に行っちゃうから。そうではなくて、「もうちょっと深くアライっていうことを考えよう」みたいな、そういう話にできるだけ持って行く。

 

まめた:それで思い出したんだけど、この前フジテレビでさ、とんねるずの番組で、保毛尾田保毛男っていうキャラクターが出てきて、30周年で。そのキャラクターがゲイの人を揶揄した表現だとかいうことで抗議がたくさん来て、次の日にフジテレビの社長が謝罪したっていう、そういう出来事があったんだけど、そのときに結構声を上げてた人が、いわゆるLGBTの当事者とかグループ以外の人が結構声を上げてて、自治体の市長さんとか、経済評論家の勝間和代さんとか、結構いろんな人が声上げてて、それがいいなと自分は思ったんだよね。

 

キャシー:うん。もうちょっと事件の全体を教えてよ。

 

まめた:事件の全体はね、いまの40代ぐらいの人が小学生ぐらいのときに、テレビで保毛尾田保毛男っていうキャラクターがお笑い番組の中に出てて、いま40代ぐらいの人って、自分が小学生のときに、休み時間にみんながそのネタをやって笑ってるみたいなのが、つらい、苦い思い出みたいなふうに思ってる人たちが結構いたみたいで。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:とんねるずの番組の30周年記念とかでもう一回「懐かしいキャラクターが復活」みたいな感じで出てきちゃったので、いまの特に40代以上の人たちが覚えてると思うんだけど、自分が子どものときに味わったことを思い出して、それで抗議をしたってことがあったんだよね。

 

キャシー:はあ。時代の変化もあって、いろんな、当事者じゃない人たちも声を上げて抗議をしたっていう。

 

まめた:そうそう。

 

キャシー:うん。

 

まめた:で、私はWEZZYっていうウェブマガジンみたいなところで連載をしてるんだけど、そこの編集さんの、金子さんっていう人なんだけど、金子さんが結構怒って保毛尾田保毛男に関する記事を自分の名前で、金子さんの名前で記事を書いてたんだけど、彼が言ってたのは、「自分はLGBTの当事者じゃないけど、当事者にあれこれ全部言わせて戦わせるみたいなんじゃなくて、周りも声を上げないとだめだ」みたいなことをすごい言ってくれてて、何かそれはすごい大事な視点だと思って。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:いつまでも当事者団体だけが声を上げてるとかじゃなくて、みんなで考えていくっていうときに、やっぱり当事者じゃない人が声を上げることの意味とかってあると思って。アライっていうふうに、その人たちがね、金子さんとかが名乗るかどうかっていうのは分かんないんだけど、行動としてはさ、そういうふうに振る舞ってくれる人がいると、すごい、いいな。

 

キャシー:うん。で、今回の保毛尾田保毛男さん……「さん」付けたほうがいいのかな、保毛尾田保毛男さん、今回の抗議とかもあってフジテレビはどうしたの?

 

まめた:フジテレビね、謝罪して、次の日に社長が。で、そのあとですね、話し合いの場所とかを申し出したみたいで、謝罪文もわりと真摯なものが出てて、長年に渡ってこういうキャラクターで苦しめてしまったことに対してもお詫びするっていう、結構踏み込んだ内容で謝罪文が出てて、それは良かったなって、すごい思いましたね。

 

キャシー:うん。この件なんだけど、アライシップの話もしたいんだけど、フリースピーチの話もしたい。けど時間がないから、次回か、次の収録でしよう。で、話は戻るんだけど、アライとして声を上げるっていうのはすごい大事な部分、まめたさんが言ったとおり大事な部分で、やっぱりこうしたメディアとか、すごい本当に声が必要なときに、アライも一緒になって声を上げてくれるっていうのはすごい助かる部分で。例えばカナダとか北米のLGBTのムーブメントとかも、やっぱりいろんな他の団体が一緒に声を上げてくれたことで進んだ部分があって。で、そうしてアライをどんどん築いていくこともムーブメントが進んでいく要因だったのかなと思っていて。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:もうちょっとあとでアライのダメな例の話をしようと思ってたんだけど、声の上げ方みたいなのがあって、そこはちょっと難しいんだけど、声を上げることはすごい大事な部分だと思う。すごい素朴な質問なんだけど、例えば保毛尾田保毛男がダメってなって、僕が小学校のときって、中学校かな、ハードゲイっていつだったっけ?

 

まめた:あった!

 

キャシー:あったよね。あれはどうなるんだろうね。

 

まめた:そうそうそう。思い始めるとよく分かんなくて。しかも、言ったらさ、あんな誇張表現をとか言うんだけど、ああいう人いるかもしれないじゃんとかさ、いろいろ考え始めるとだんだん分かんなくなってきて。何だろう、当事者じゃない人が誇張してそういうキャラクターで、しかも完全に笑われるみたいな感じの描き方っていうのは、やっぱり正直見ててしんどいなっていうのはあるけど、ぶっちゃけハードゲイとか見てて、ちょっとなあと思うところもなくはなかったなあと思ったりとか。

 

キャシー:ハードゲイはグレーな……グレーっていうか、その……ははは(笑)。こういうメディアのリプレゼンテーションってすごい難しい部分で、どこまで……例えばハードゲイのキャラクターをやってた人が本人もゲイだったなら、また話は違うんだけど、本人はゲイじゃないからさ。ゲイコミュニティのキャラクターを使ってお金儲けしてるわけでしょ? っていう部分もあって。どうなんだろうね。ハードゲイ30周年記念みたいなときにどんな声が上がるのかちょっと楽しみ。

 

まめた:何か、ハードゲイの人さ、ゲイをダシにしていろいろ儲けたってことで、ゲイ雑誌か何かに出て、ゲイの人たちにも何かを還元したいとか言って出てましたよね。

 

キャシー:うん。還元したのかな。はははは(笑)。

 

まめた:その方向性で合ってるのか分かんないけど。

 

キャシー:ハードゲイで稼いだ収入を、例えばHIV予防啓発とかコミュニティセンターの建設とか、そういうのに役立てるなら別に話はちょっと変わるんだけど。まあ、あんまりビターになっちゃうから、じゃあ次の話に行こう!

 

まめた:はい。

 

キャシー:アライの話をしてるんだけど、もう一つ話したいのが、LGBTの中のアライ。自分がアライのときと、アライじゃないときっていうのがたくさんあって、例えばLGBTの中だと、ゲイ男性としてすごく社会的に恵まれたほうの立場にいるわけじゃない? だから、ムーブメントとかをやってたりとか、いろんなイベントとかを企画するときでも、すごく自分の立ち位置を考えなきゃいけないなといつも思っていて。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:そういうときに、自分がアライの立場を取るときも多い。例えば、先週……昨日か、パネルディスカッションみたいなのをみんなで企画していて、一人のパネリストがすごいかなり有名なゲイのフィルムメーカー、映画制作者なんだけど、その人がパネルディスカッションの2日前にメールを送ってくれて、パネルの人の名前を見て、「ゲイのおじさんがいっぱいいるから、僕抜けるわ」って言って抜けたのね。企画してるほうとしてはすごい困ったんだけど、でも助かったっていう部分もあって。やっぱり、イベントを企画するときって、なかなか完璧にコントロールできないから。例えば10人を招待して、来ちゃったのが3人のゲイのおじさんと、2人のゲイじゃない人になっちゃうとバランスが悪いから、やっぱり。でも、いまさら断れないし、みたいな。だから、その人がすごくアライとして自分の立ち位置に敏感だから、「あ、ここは自分は行かないほうがいい」っていう。その人は、それでもそのイベントに来てちゃんと他のパネリストを応援してたんだけど。それを見て、こうした考え方とか、そうやってアライとして他のLGBTの中の人たちをサポートするのって大事だなと思っていて。

 

まめた:思い出したのが、この前、京都に学生のイベントで呼ばれたんですよ。で、控室に行って、それはいろんな社会人を招いて社会人と一緒にいろいろディスカッションするっていうイベントだったんだけど、遅れて行って控室に入ったら、呼ばれている社会人がほぼみんな男だったんですよ。これはちょっとまずいなと思ったんだけど、自分は呼ばれている立場で、もうその面子でやることが決まってて、じゃあ、それをいつ指摘したらいいんだろうかみたいなことをすごい思って。結局、その日は言えないで帰ってきて、本当はそうじゃなかったら良かったなと思ったんだけど。でも、そこにいる人は全然気が付いてないかもしれないし、そういう場面って結構あるんだよね。

 

キャシー:多いね、そういうの。

 

まめた:自分がトランスだから、何だろう……何だろな、LGBTのこととかを話す機会はあるけど、そもそも女性がいないとかさ、その辺のこととかもすごい言っていかなきゃいけなかったりとかして、そういう場面はまだまだすごいあると思う。

 

キャシー:そういうときに、もし、まめたさんじゃない他の男性の人たちもそれに気づいて、「ちょっとバランス悪くない?」っていう声を上げてくれたら、もうちょっと、まめたさんに対する負担が減るんだよね。

 

まめた:そう。その他にも言わなきゃいけないことがいろいろあったから、めんどくさい人みたいに思われたらどうしよう、とか思うんだよね。

 

キャシー:そう。でも、それ多いよね。やっぱり、いろいろこうした問題が見えちゃう、そうした仕事をしてるとどんどんそうした問題が見えちゃうから、どこまで言えばいいのかみたいな部分はあって。例えば、部屋に入って問題が10個あって、でも、現実的に3個しか解決できないときに、3個しか指摘できないときに、僕は一番重要な部分を3個選んで言うんだけど、他の人も一緒になって「ここも、ちょっと、どう?」みたいな、そういう話をしてくれると、すごい問題解決が進みやすくなる。

 

まめた:気が付いてくれる人を増やしたいよね。

 

キャシー:そうだね。それもアライだよね、たぶん。当事者が指摘するまで待つっていうのは、すごくやめてほしい。ははは(笑)。それは自分にも言えることなんだけど。

 

まめた:そう。そのときは言えなかったんだよね。部屋入った瞬間に気がついたときとか、言えないよね、そういうこと。言いづらい。

 

キャシー:言いづらいよ、言いづらいよ。イベントの5分前とか、言いづらいよね。でも、そういうときに例えばイベントの5分前で何も変わらないけど、パネルの最中にその問題を指摘して、次回どう変えていけばいいのかみたいな、その話もできたらいいんだけど。それも、アライの助けが必要な部分もあったりして。

 

まめた:さっきの、ゲイの人がたくさんいてって場面なんだけど、思い出したのが、前に女性オンリーのイベントを日本で開く企画があったときに、女性の定義で揉めたことがあって。トランス女性の人がそのイベントに入れるかどうかですごい問題になっちゃったことがあって。そのときに、中野にあるLOUDっていうレズビアンとかバイセクシャル女性のセンターがあるんだけど、そこの大江さんが、その人はシスジェンダーの人なんだけど、トランスジェンダーをちゃんと仲間として入れるように、すごい一生懸命声を上げてくれて、すごい助かって。「またトランスが何か戦ってる」みたいな、LGBTコミュニティでトランスが声を上げなきゃいけないことって結構多いと思うんだけど、「トランスVSその他」みたいなのは、すごいつらいので、そこで一緒にやってくれる人がいて本当に良かったと思って。

 

キャシー:うん、それは助かるね。

 

まめた:うん、すごい良かった。

 

キャシー:そのイベントは、どうだったの?

 

まめた:今は大丈夫だと思います。分科会とかやってる、そのイベントの中で大江さんが。

 

キャシー:あの、本当に、気づいたときに当事者じゃなくても声を上げることはすごい必要だと思う。

 

まめた:いつも同じ人が声上げてると疲れるしさ。「また、あいつが声上げてるよ」みたいな。

 

キャシー:ほんと。

 

まめた:固定化される感じとか、「また言わなきゃいけない!」みたいな。言わされ感というか、言わなきゃいけないから言うけどさ、みたいな。もうちょっと負担が減るといいなってすごい思う。

 

キャシー:うん。で、ここまでさ、いろんなアライのあり方みたいな話をしてきたんだけど、ダメな例もかなりあると思うんだよね。そこはすごいほんとに難しい部分だと思っていて。どう支援すればいいのかっていう部分って、本当にちゃんと考えないと間違いをしやすい。どう? ダメな例。

 

まめた:分かりやすい例だとさ、例えば学校の先生向けに研修をして、「いい話を聞きました」と。「よく分かりました。でも、制服を変えるのは難しいから、それはまだできないんですけどね」みたいな、何か知ったり分かったっていうところで終わって、普段の行動を変えようとしないとかは、よくあるダメなアライというか、「もうちょっと頑張ってください!」みたいな。話を聴いておしまいとか、理解しておしまいじゃなくて、それは普段自分たちが過ごしてきた社会の前提とかについて考えて、もうちょっと何かを変えたりとかするところまでコミットしてくれないと、それは、何て言うのかな、ちゃんと伝わったとは言えないし、本当はそういうとこまで持って行かないと研修としてもあまり意味がないというか。ホントはそこまでやってこそかなっていうふうに、そのときすごい思って。「理解」ってすごい響きがいいから、みんな「理解」って聞くとすごいいいことだって思うんだけど、実際にその話を聴いて何か多様性のためにやろうっていうのは、もうちょっと踏み込まないとできないよね。

 

キャシー:理解するだけなら……すごい、その、ビターになっちゃうんだけど(笑)、理解するだけなら誰でもできるから、っていう部分もあって。何かしなきゃアライじゃないと思う。

 

まめた:うん。

 

キャシー:あと、例えば、理解して行動まで進む人で、耳を傾けないアライ。その時点で耳を傾けない人っていうのは、すごい危険なアライだと思うんだけど。例えばまめたさんの講演会に参加して、LGBTはこうした問題を抱えているっていうことを学んで、次のステップが「こうした解決策をすれば、きっとLGBTたちも喜ぶだろう」っていうことを勝手に考え出して、それをどんどん押し進めちゃう人。

 

まめた:いるよね。

 

キャシー:すっごい危ない。うん、いるいるいる。例えば、大学のときに、友達にカミングアウトし始めたときに、一人の友達がそんな感じで、たぶんヒーローになりたい性格の人で、僕がグループに受け入れてほしいっていうことをすごく考えていたみたいで、みんなで集まったときに勝手にカミングアウトをしてくれたわけだよ、そのグループの中で。で、周りがみんな、僕がゲイっていうことに引いてたわけじゃなくて、その子が勝手に人のすごい繊細な部分を公開したってことに引いていて。その子は自分がすごい自分が良いことをやっているっていうふうに思ってるんだけど、まったく僕のニーズには耳を傾けてない。だから、そういうアライの人たちも結構いて。それをアライとは呼ばないんだけど、僕。

 

まめた:どうしたらいいんだろうね。いろんなことに共通するよね。別にそれってさ、ゲイだからとかじゃなくてさ、他のことについてもそういうことしちゃう気がするよね。

 

キャシー:そうそうそう。何かその、ソーシャルワークとか、コミュニティワークやってるときとかは、結構その、誰かを助けたいとか、ホームレスを助けたいとか、そうしたモチベーションで来るボランティアとか結構来るのね。そういう人たちに一番最初に自分がする質問は、「何で?」っていうのが最初の質問。自分も例えばホームレスを経験したことあるから問題解決に役立ちたいとか、そういったちゃんとした理由がないと、ほんとに、雑誌で読んだ記事でホームレスはかわいそうだからっていうことを学んで何かしたいっていうところから始まると、すごい危険。やっぱり、ちゃんとニーズとか社会背景とか、ちゃんと問題自体を知らないと、いきなり入ってきて勝手に問題解決を始めると、ほんとに害しか与えないことも多い。

 

まめた:誰かを支援するって結構大変なことですよね。

 

キャシー:大変大変。

 

まめた:地震とか……日本って地震が多いからさ、震災のときとかに結構いろんな人が、やっぱ助けたいと思っていろいろ物を送ったりするけど、例えばさ、送られてきても困る物があったりとかさ、ほんとに良かれと思ってしても、逆に、それ貰ってもどこに捨てたらいいんだとか、どこに置けばいいんだとか、そういう話を聞くと、結構、支援するとか人の何か役に立つって、すごい実はスキルがいることだなってことをね、すごい思うんだよね。

 

キャシー:そう。

 

まめた:しかも、物を送るとかは目に見えるけど、LGBTのアライとかって目に見えないしさ、その辺でもうちょっと……そんなに難しいことでもない次元で、「そりゃダメだろ」みたいなことも結構あるけど。どうしたら防げるんだろうね。まあ、本人に聞きゃいいんだけどね。

 

キャシー:ははは(笑)。でも、やっぱり、例えば誰かを支援したいってときに一番シンプルな答えとしては、「どう支援すればいい?」っていう話をすればいい、って話じゃない? 個人個人で。そうした会話を続けていくっていう部分も大事だと思っていて。いきなり入ってきて声を上げるんじゃなくて、もし入ってくるなら、ほんとに座ってゆっくり話を聴いてほしい、アライとして、っていう部分があって。で、あんまり目立つ立場にどんどん行くよりも、一歩引いて周りのことを理解して、どうやって自分が役立てるのかってことを真剣に考える必要があって、それも考えて答えが出るわけじゃなくて、ほんとに考えて考えて考えて考えて、どんどん見えてくるようなものだから。これは僕自身に対する言葉でもあって、ゲイとして、アジア人のゲイとしてトロントのコミュニティで仕事をするときに、どうレズビアンとかトランスのコミュニティとかに対して支援すればいいのかとか、どう黒人とかIndigenousのコミュニティに対して支援すればいいのかとか、どう障害を持っている人たちに対する支援をすればいいのかとか、ほんとにいろんな複雑な社会の中で、自分の立ち位置からどう周りを助ければいいのかとか、どう支援すればいいのか考えなきゃいけない部分があって。で、答えはほんとにないから、分からない部分を、分からないっていうことを受け入れながら、ゆっくり進むしかない。

 

まめた:何だろう、それもそうだし、例えばゲイだったら、他の……ゲイゆえにLGBTコミュニティの中で持っちゃってる発言力とかさ、ひょっとしたらあるかもしれないじゃん? そういうのをさ、うまく他の人が喋れるように使ったりとかさ、持ってるものはうまく使ったほうがいいと思うんだよね。ちょうどこの前、異性愛者の特権リストとかシスジェンダーの特権リストみたいなのを使ってワークショップをやる機会があったんだけど、それを見たシスジェンダーの異性愛者の子が、これもすごい分かるし、プラス、「何でこの場所にいるの?」みたいなことを散々こういう勉強会に行くと聞かれるっていうことを話してて。つまり、言ったらさ、LGBTコミュニティに来て、何であなたはここにいるのかみたいなことをすごい説明しなきゃいけなくて、LGBTの当事者の人は多分そんなことは聞かれなくて、周りの人は「何で?」って聞かれないのに、彼は何をするにも「何で?」って聞かれるっていうのは、でも、普段一般社会においてLGBTの人は何をするにしても「何で?」って聞かれる、その逆の経験をしてるっていう気付きがあって。自分のそういうちょっとアウェイな経験、例えばホームレスの支援がしたいとか言って、そこに行くんだけど、自分が、何て言うか、想定されているメインの人ではなくて、一歩引いてそこにいるってことで考えること、すごい大事だなと思う。

 

キャシー:大事だね。

 

まめた:あのー、昔さ、NHKの『ハートをつなごう』って番組があって、LGBTの特集をやってたんだけど、バイセクシャルの特集がなかなかできなかったんですよ。

 

キャシー:あー、そうなんだ?

 

まめた:何でかって言うと、バイセクシャルっていうのはどう扱っていいか分からないって、番組の制作チームの人が言っていて。ゲイとかレズビアンとかトランスジェンダーだったら描きやすいんだけど、バイセクシャルっていうのは、例えば同性愛のコミュニティの中にも馴染めないとか、より複雑だみたいなことを制作チームが言っていて、でも番組に対しては「バイセクシャルもちゃんと扱ってくれ」ってメッセージがどんどん番組に寄せられるみたいなことがあって。

 

キャシー:うん。

 

まめた:結局そのときは、ホームページで座談会をやったらいいんじゃないかみたいな話になって、番組で難しいんだったら、せめてホームページ上でバイセクシャルの人を集めた何か企画をしようってことにして、そういう企画が実現したんだけど。そのときは、自分はバイセクシャルじゃないから、何していいか分からなくて、結局周りのバイの友達とかに声かけて実現したからすごい良かったと思って。何て言うのかな、何をしていいか分からないとかいうときに、そういう場を作るとかって、そんなに難しくないっていうか、まずはそういうところからやるのでもいいんだなと思って。

 

キャシー:そのバイセクシャルの番組は……番組じゃなくて座談会は、どうなったの?

 

まめた:それはね、3人のバイの人が喋るみたいな企画で、それは今もNHKのページに載ってるんだけど、わりといい内容だと思うし、いまだにメディアでバイセクシャルのことがちゃんと取り上げられることが日本はすごい少ないから、そういう意味では良かったかなと思うんだけど。ホントはテレビでやったらいいと思うんだけど。

 

キャシー:というわけで、次回予告に行きますか?

 

まめた:そうですね。

 

キャシー:リクエストがあったんだよね?

 

まめた:そう。リクエスト頂きました。普段ブログ用に字幕を付けてくれている桜井弓月さんからリクエストを頂きました。読み上げると、『以前から、トイレ問題をもう少しきちんと知りたいなと思っています。トイレって生活していく上で絶対に避けて通れないのに、多目的トイレですら必ずしも誰もが使いやすいようにはなっていないんですよね。でもこれは、あくまで私が車椅子ユーザーの視点で感じていることです。LGBT当事者の人たちもいろいろと不都合を感じているのだろうな、ということは何となく想像できるのですが、具体的な課題やニーズは、正直あまり分かっていません。「LGBT当事者の人たち」と書きましたが、素人考えでは、例えばLGBとTでは求めている方向性が違ったりするのでは? と思ったり、もっと言うと、同性愛の人やバイセクシャルの人とトイレが自分の中で結びついておらず、主にトランスジェンダーの人たちが直面している事柄なのかなあと想像してみたり。例えば、社会の意識や制度が変わって、本人が使いたいトイレが使えるようになれば解決するのか、それとも他にトイレの構造などの問題もあるのか……とか、そこら辺の課題とニーズを教えてもらえたらありがたいです。』というメッセージを頂きました。

 

キャシー:はい。

 

まめた:じゃあ、次回はトイレの話をしますかね。

 

キャシー:トイレの話をしよう。

 

まめた:そうですね。

 

キャシー:実は、「まめたさんと言えばトイレ」っていうイメージがあって。

 

まめた:ははは(笑)。

 

キャシー:この話をしたい(笑)。次回のエピソード。説明しないと、すごい変な響きなんだけど。説明させて、次の話で。あの、ごめん、ちょっと鼻がすごい詰まってて、トイレ行ってくる。

 

まめた:また今度で。