ロックダウン再び、オミクロン、そしてエンデミックへ?

「流石に、もうロックダウンはないでしょ?」

昨年、クリスマスも近付いてきた頃、友達と食事しながらそんな話で盛り上がっていた。日曜日の午後だけあって、レストランは混んでいる。個性的で声が大きいゲイが12人、そのレストランの一角を独り占めにしている。もちろん、私たちのことである。パンデミックが始まって以来、こんな大人数で集まるのは初めて。期待と不安が混ざって、とても変なテンションだったのを憶えている。この時点では、トロントの感染者数は低く、ワクチン接種率もかなり伸びていた。狭い範囲内に限れば、パンデミックが収まったかのような錯覚に陥っていた。「2021年が終わる前にもう一回集まろう」なんて言いながら、みんなでカレンダーに予定を入れていた。

その数週間後、カレンダーに入っていた予定を全部キャンセルした。トロントにもオミクロンの波がやってきたのだ。感染者数は急増し、周りでも新型コロナウイルス陽性になった人が増えた。前の年に新型コロナウイルスに感染し、ワクチンもちゃんと打っていた友達まで再感染した。幸い軽い症状で済んだ人が多かったが、それでも感染は避けたかった。クリスマスの休暇を家で過ごしながら、ワクチンのブースターの副反応でぐったりしていた。「三回目は余裕よ」と力説していたオカマの言葉を鵜呑みにしたあたしがバカだった。年が明けて、オンタリオは再びロックダウンに入った。半年前に八ヶ月以上続いたロックダウンを経験したばかりだからか、また終わりのないトンネルに突入したと感じた人も多かっただろう。自分も例外ではない。

規制が緩かった半年間、ブログの更新が止まってしまったが、実は忙しく動き回っていた。前回のロックダウンが明けた後、とりあえず会えなかった友達と集まってハグをした。そして、一年半も美容院に行けずに悲惨な状態だった髪の毛を整えた。トロントのプライドが中止になったので、ゲイ友達と共にバンクーバーとモントリオールのプライドにも参加してきた。さらに、引越しまですることになり、夏が終わってもドタバタしていた。

初めて訪れたバンクーバーは素敵すぎて、「なんでバンクーバーに留学せずに、トロントにしたんだろう」と今更な後悔を友達に愚痴るくらい気に入った。ずっと噂に聞いていた伝説のハッテン場であるレックビーチも経験できて、大満足だったキャシー。一方で、トロントより高い物価と深刻なホームレス問題にも驚いた。機会があれば、バンクーバーでの経験をブログでもっと紹介したい。

よく訪れるモントリオールは相変わらず素敵な街で、パンデミックの反動かいつもより活気に満ちていた。どこを歩いても道路が封鎖されていて、様々な路上イベントが開催されていた。トロントとバンクーバーでは開催されなかったプライドパレードにもちゃっかり参加して、三万人近くと一緒にモントリオールの大通りを虹色に染めてきた。

七年ぶりの引越しは想像以上に大変で、うちのパートナーと毎日朝から夜まで体を動かしていた。思い出を箱にしまっていく作業は少し寂しいが、新しい可能性にワクワクするのも悪くはない。もう二度と引越しなんてしたくないが、おかげさまでペイントを塗るのはちょっとだけ上手になった。

引越しが終わって、生活が少しずつ落ち着いてきたと思ったら、季節はすっかり寒くなっていた。感染のリスクに気を付けながら、年末は友達家に招いて去年の分まで遊ぼうかと計画していた。「クリスマスツリーでも飾っちゃう?」なんて冗談を言いつつ、ガーデンセンターやクリスマスマーケットを訪れて本気に検討していた。しかし、オミクロンで状況が一気に変わって、半年間の自由はあっという間に消え去った。

そんな今、この「自由」がかなり物議を醸し出している。ワクチンポリシーを導入した職場が増えたことで、宗教や他の正当な理由がなく、未だにワクチン未接種の人は解雇されることも珍しくない。このブログを書いている最中、カナダの首都オタワではワクチン義務化に対する抗議活動が行われている。きっかけは、カナダ国境を越えるトラック運転手に対して、政府がワクチンの義務化を二週間前に発表したからである。ただ、この抗議デモは白人至上主義や差別主義の運動も絡んでいて、安易に彼らの主張を正当化したくはないが、この先のパンデミックにとってどんなポリシーや規制が有効なのか意見が変わってきたのも事実である。

イギリスやスペインをはじめとして、新型コロナウイルスをエンデミックとしてとらえる動きが増えてきた。行動規制の緩和やマスク着用の義務化を無くし、新型ウイルスとの共存を目指す方針である。パンデミック初期と比べて、ロックダウンは感染力の強いオミクロンに対して効果が薄い上に、今はワクチンや内服薬といったウイルスに対抗できる手段もある。しかし、この決断はリスクも高く、医療機関への負担もあって、反対の声も多い。オンタリオも数日後にはロックダウンが終了するが、様子を見ながら規制を緩めていくのだろう。

「新型コロナウイルスはもうインフルエンザと同じ扱いだから、開き直って集まろう!」

そんな招待が友達から届いたが、ちょっと迷った末に断った。パンデミックが始まって二年近くになる。状況を見定めるために、もう少し待つことにした。

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