レズビアンの愛の営みとアイスクリーム

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.83 レズビアンの愛の営みとアイスクリーム

ストリートカーに揺られていると、後ろに座っている留学生風と地元風の女の子がふたり、他愛もない雑談で盛り上がっていた。会話から察するに、彼女たちはまだ知り合ったばかり。自分の世界に戻ろうとイヤホンをポケットから出した瞬間、地元風の女の子が「私のガールフレンドがね…」とさらりと口に出した。爆弾投下だ。留学生風の女の子は混乱したようだった。「ボーイフレンドじゃなくて?」「ガールフレンド。わたし、レズビアンだから。」会話が急に面白くなったので、悪いと思いつつもイヤホンをしまった。「え?女と女?どうやってヤるの?」いきなり鋭い質問をかます留学生風の女の子。そんな質問に怯むことなく、地元風の女の子は不敵に答えた。「アイスクリーム食べたことある?そんな感じ。」その絶妙な比喩を頭の中で想像したのか、彼女たちは照れたように笑い出した。聞いているこっちまで吹きそうになった。

ゲイにとっても、こうした質問は珍しくない。「男と男でどうやってヤるの?」聞く方からしたら悪気のない会話の流れなのだろうが、答える方からすれば非常にややこしい。真剣にゲイのセックスについて説明すればいいのか、自分のパーソナルなセックスをシェアすればいいのか、それともユーモアのある切り返しで笑えばいいのか。今になっても答えがわからない。アイスクリームの例えで華麗に質問をかわした女の子も、きっと同じような心境だったのかもしれない。本当に知りたくてしかたがないのなら、インターネットでサーチをすれば済む話だ。もし知る必要なんてないなら、もっと相手を配慮した会話に持っていくべきだろう。

それにしても、勝手に盗み聞きした女の子たちの話があまりに強烈で、これからアイスクリームを食べる度にレズビアンの愛の営みを思い出しそうだ。ゲイの場合はなんて例えたらいいだろう。ところてん?

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