キャシーの日々ハッテンは、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。
キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.76 ボランティアって大事よ
トロントに留学に来て、卒業後の就職を狙っている人には口を酸っぱくして「今からボランティアしておくのよ」とアドバイスをする。ただでさえ就職難で大学院の卒業生でさえ仕事がなかなかない中、留学生はさらに不利な状況にある。英語力を鍛えたり、スキルを磨いたり、コネを作ったり、ネットワークを広げたりと、そういうことを今から積極的にやっていかないと後で痛い思いをする。だからこそ、それが全部できてしまうボランティアを有効活用しない手はない。もちろん、ここで言うボランティアは違法なタダ働きではなく、チャリティーやNPOで社会に貢献する本来のボランティアである。
キャシーもトロントに来て以来、ずっと何かしらのボランティアをしている。ゲイクラブでコンドームを配ったり、チャリティーオークションのモデルだったり、街頭で募金を集めたりと、思えば様々な活動に参加した。ボランティアといえば「あげる」というイメージがあるが、どちらかといえばあたしは「もらう」ことの方が多かった。トロントに来たばかりでゲイデビューしてまもなかった自分はボランティアを通してたくさんの人と出会い、様々な知識や経験を蓄えて、思いも寄らないタイミングで助けられたことも幾度とあった。自分でも気付かないうちに、いつの間にか周りには頼もしいコミュニティができていた。ボランティア活動が今の自分を築いたと言っても過言ではない。今週の予定を確認すると、当たり前のように週末がボランティア活動でつぶれている。それが楽しみでもある。
「ボランティアなんて時間の無駄」という風に考える人もいるかもしれないが、騙されたと思っていろいろチャレンジしてみてほしい。きっと素敵な人生のスパイスに出会えるはず。自分だけのために生きるのなんて淡白で寂しいじゃない。