空気ばかり読まずに呼吸しよう

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.65 空気ばかり読まずに呼吸しよう

トロントに長くいるせいか、空気を読むということをあまりしなくなった。様々な価値観を持つ人たちと生活をしている中で、言いたいことがあれば言って、わからないことがあれば聞いて、不快ならば席を立つという習慣を身につけた。トロントでは「気が利く人」も、きっと日本人から見れば「空気が読めない人」という烙印を押されてしまうだろう。日本に帰って年上の方と食事をしたりするときは、いつも失礼なことをしていないかとビクビクしてしまう。空気を読むという習慣は不思議なもので、何もコミュニケーションをせずに痒いところに手が届き、それがスムーズに機能していると実に心地よかったりする。凄いとよく言われる日本のカスタマーサービスもきっと空気を読む文化の賜物なのだろう。一方で、空気を読みすぎるとコミュニケーションが疎かになってしまう。何か一言声をかければ済むようなことも、空気を読むことが唯一の解決手段だと思い込んでいる人がたまにいる。浮いた言動をしないように常に気配りに徹していれば、次第がストレスがたまる。「私は空気を読んでいるのに、あの人は好き勝手ばかり」と他人にも空気を読むことを強要すると社会全体がギスギスしてしまって呼吸もままならない。少し変わっているだけの人に腹を立てている人を見ると、空気を読むことが本当に美徳なのかと疑問にすら思ってしまう。

空気を読むには同じ文化や考えを共有している必要がある。しかし、人が集まれば違いも出てくる。人種、性別、ゲイとストレートなど、社会には数えきれないくらいほどの違いがある。そんな中では、空気を読む文化は機能しないばかりか、苦痛でしかない。たまには違いを認め合って、それを逆手にとってコミュニケーションでギャップを埋めてみれば、すーっと気も楽になるかもしれない。

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