“ぶっかけ”は世界共通用語!?

キャシーのトロント不思議ハッテンは​、ゲイ総合情報誌『Badi』で2012年から2016年まで連載されていたコラムです。

キャシーのトロント不思議ハッテン(コラム連載アーカイブ)
第21回、“ぶっかけ”は世界共通用語!?

トロントに来てから、多様な日本語が英語の中で生きていることを知った。テレビ番組で「umami」がどれだけ大事かカナダ人が力説してたり、アジア系のレストランで「bento box」が売られていたり、「hikikomori」が日本独特の現象として説明されていたりと、日々輸入されてくる日本語に驚かされる。その中でも一番意外で、かなり頻繁に飛び交う単語が「bukkake」である。そう、汁男優に囲まれて白濁顔面パックを堪能できるあの“ぶっかけ”だ。

トロントで初めて行ったホームパーティで知り合ったばかりの人から「日本人ってぶっかけが好きなの?」といきなり聞かれて、頭の中で「え?試してみたくないといえば嘘になるけど、日本人がみんな好きと断言できるわけないし…」と真剣に考えてしまったことがある。そこから始まって、学校のクラスメイトからカフェでの空耳まで、本当に様々な場所でぶっかけを耳にした。ゲイマガジンでは「30歳の誕生日にぶっかけパーティを企画しよう」なんて記事まで載っていた。ノンケ、ゲイに関わらず、ぶっかけ文化は北米にべったりと浸透したようだ。ただ、毎回日本人だからってぶっかけと連想されるのも頭に来るので、ぶっかけジョークをかましてくる人には決まってこんな話をする。「今度得意料理を披露してあげるよ。ぶっかけヌードルっていうんだ。」それを聞いたが最後、みんな決まってもの凄いものを想像しているのか、具合の悪そうな顔をしてぶっかけトークに幕が下りる。ぶっかけの意味をひとつしか知らない彼らには、美味しいぶっかけうどんを素直に楽しむことはもうできない。きっとぶっかけうどんを食べながら、いつか想像したぶっかけヌードルの絵に吐き気を催すのだろう。ささやかな野望だが、いつかスラングに疎い人たちがトロントで新しい和食ブームを巻き起こそうとぶっかけヌードル屋さんを開く日が楽しみで仕方ない。

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