「ニューハーフ」は曲者だ

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.56 「ニューハーフ」は曲者だ

日本で活躍しているタレントであるはるな愛のニュースを読んでいたら、どこも彼女のことを「ニューハーフ」と呼んでいた。あたしの限られた知識では、彼女はトランスジェンダーだと思っていたが、人によっては彼女が性同一性障がいだと言う人もいる。どうせメディアのことだから、みんなが知ってるからという理由で「ニューハーフ」で彼女を説明しているのだろう。ただ、この「ニューハーフ」がなかなかの曲者で、この言葉は日本に大きな誤解を生んでいるようだ。「キャシーはいつ性転換手術を受けるの?」と聞いてくる人も未だにいるように、ゲイ、オカマ、ニューハーフとトランスジェンダーをごっちゃにしている人は驚くほど多い。

このコラムでその違いについて説明しようかと思ったが、とても収まりそうにないので一番根本的な部分にツッコミを入れることにする。世界には人の数だけアイデンティティがある。そこで大事なのは、相手が“何”なのかを推測することではなくて、相手が自分自身をどう認識しているのかを尊重すること。「あの人って絶対ゲイでしょ」とか「彼女、本当は男なんだよ」なんて勝手に決めつけるんではなく、一緒にコーヒーでも飲みながら話に耳を傾けて、相手がどんな人間なのかを知ることから始めればいい。自分とは違う視点を学ぶのはコミュニケーションの基本中の基本。話を聞くより遥かに楽だから、忙しい世の中で生きる私たちはつい怠けて自分の視点から相手を見て、よく知らないから「ニューハーフ」のような狭い言葉の中に閉じ込める。自分と違う視点をもっと学べば、きっとカラフルな世界が目の前に広がる。言葉に惑わされて、モノクロな世界に閉じこもっていたらもったいないわよ。

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