キャシーのトロント不思議ハッテンは、ゲイ総合情報誌『Badi』で2012年から2016年まで連載されていたコラムです。
キャシーのトロント不思議ハッテン(コラム連載アーカイブ)
第17回、スポーツジムは21世紀のハッテン場?
トロントでは若者のハッテン場離れが原因で、今では片手で数えるほどしかハッテン場が残ってない。日本のハッテン場では「デブお断り」なんてポリシーで客を制限したりするが、トロントのハッテン場は基本的にみんなウェルカム。杖をついたおじいちゃんが足をふらつかせながらハッテンしている光景はとても衝撃的だった。
ハッテン場離れがスマホの普及やグラインダーの登場のせいだという意見もあるが、実は意外な場所がハッテン場の役割を担ってしまったのではないかと考えている。例えば、ダウンタウンのスポーツジムではハッテンの噂が絶えない。ある友達は何回もジャグジーで「やらないか?」と持ちかけられたと言うし、他の友達はミストサウナで大乱交を何度も目撃しているという。確かに、ジムに通う人なら見た目に気をつけてる人が多いし、ゲイタウン周辺のジムに行く男性はほとんどゲイ。その上、ジムにはジャグジーやサウナもあって、ハッテン場と設備も似ている。そして、何よりもジムに行くついでにさっくりハッテンもできちゃうから、ハッテン場に行くこと自体に嫌悪感を感じる人にも抵抗が少ない。よく考えると、ジムは恐ろしいくらい効率のいいハッテン場だ。もちろん、公共の場でハッテンをするのは法に反するが、そのリスクも快感を底上げしているんだろう。
ハッテン場といえば日本でも海外でも古い歴史のある文化で、公園だったり、トイレだったり、ビルの一室だったりと、姿と形を変えながら常に存在してきた。あと20年もすれば、トロントのハッテン場はどこも店じまいしてジムがその代わりになるのだろうか。それはそれで少し寂しいかもしれない。