ゲイに子育ては勤まるのか

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.53 ゲイに子育ては勤まるのか

今年でオンタリオ州に同性婚が成立して10年になり、親になったゲイやレズビアンのカップルも珍しい存在ではなくなった。ゲイカップルによる子育てが未だに白い目で見られたりする一方で、ゲイやレズビアンの両親に育てられた子供たちが大人になりメディアで彼らの家庭の素晴らしさを力説する場面も増えた。

「子育てには母親と父親が必要だ」と主張する声は大きいが、実際のところ父母が揃っただけでは子育ては勤まらない。子供を産めば、その瞬間から親の肩書きをもらえるかもしれないが、育児のエキスパートにはならない。絶え間ない努力と学びがあって、やっと人は親となる。ゲイでもストレートでも、この部分は変わらない。仮に百歩譲って男女カップルが同性カップルより子育てに有利だったとしても、それを理由にゲイは子育てをするべきではないという結論を下すのは早い。あたしの周りにいる子育て中のゲイやレズビアンのカップルはコミュニティからのサポートも得ながら、一生懸命に育児に向き合っている。社会から“子育てに向いてない”と思われている上に、同性カップルの育児の前例自体が少ないから、自分なりにベストな親になれるように励んでいる人が多い。むしろ、だからこそ新鮮な視点で育児に臨めるのかもしれない。女性だから、男性だから、ゲイだから、ストレートだからと育児の可能性の是非を決めるのはもう時代遅れだ。「ゲイに育てられた子供はゲイになる」とかゲイに対して差別的な意見はもはや論外。人間を育てるのはそんなに単純なことではない。

「あんたが子供を持つまで親の気持ちはわからないさ」と母から耳にタコができるくらい説教されたが、今考えれば言い得て妙だ。

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