プライドの夜に輝く宣教師

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.50 プライドの夜に輝く宣教師

プライドの週末、人で賑わう夜のチャーチストリートで必死に宣教に励む青年を見かけた。「ゲイは地獄に堕ちる。一緒に神を信じよう。」とチラシを配りながら叫ぶ彼の声は残念ながら誰にも届いてなかった。彼を通り過ぎるゲイやレズビアンの方はプライドを祝うことで頭がいっぱい。無視されながらも怯まない彼の一生懸命な姿に感心してしまった。土曜日の夜にこんなことをするなんて、相当情熱がないとできない。しかもプライドで盛り上がっている中、周りはゲイだらけなのに「ゲイは地獄に堕ちる」と大声で叫ぶのも相当な勇気がいるのだろう。下手すれば路地裏に連れて行かれてボコボコにされかねない。彼がラッキーなのか、プライドを祝う人たちが優しいのか、パンチの代わりに彼は身体中にパウダーラメをかけられていた。宣教すればするほどキラキラにデコレーションされていく可笑しい姿に失礼ながらも笑いがこぼれた。

この光景、実はとてもトロントらしい一コマなのかもしれない。ゲイとしての生き方や様々な性のあり方を祝福するイベントであるプライドが堂々と行われている一方で、カナダには「ゲイは罪である」と唱える宗教や団体も少なくない。数多くの文化が共存するということは、特定の人々を否定する考え方が共存してもかまわないと主張する人までいる。ゲイの自分としては、アンチゲイな考え方なんて今日にでもすべて無くなってほしいと思っているが、それは自分勝手なのだろうか。少なくとも、夜道にゲイだからということでボコボコにされるのは勘弁だ。あのキラキラ輝く青年も宣教を終えて無事家に帰れたといいんだけど。でも、パウダーラメって洗ってもなかなか落ちないから少し気の毒だわ。

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