英語が出来なくて何が悪い

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.35 英語が出来なくて何が悪い

トロントで働くようになって数年が経ち、いつしか初めて参加する会議でも見知らぬ人たちの前で堂々と英語で自分の意見を言えるようになった。だからといって、あたしの英語は流暢なのかというとそんなことはない。今でも文法やスペルは大の苦手だ。ここ数年でさすがに英語力は多少伸びたとは思うが、こう話せるようになったのはそれ以上に図々しさを身につけたおかげだろう。

英語の文法やスペルミスが気になっていた数年前の自分は、ゲイの出会い系サイトで自己紹介文を書くのにさえも気を遣っていた。誰かとデートに出かけることになっても、自分の発音ばかりが気になっていつものように振る舞えないことも多かった。今となっては笑えるが、英語ができないのが原因でモテなくなるのが怖かった。そんな考えに至ったのも、きっと自分に自信がなかったせいなのだろう。そうしてデートを重ねるうちに、次第に気付いたこともあった。内容のない話をダラダラと要点もまとめずに話している人は、いくら英語が母語でも、上手でも退屈なことには変わりない。それと同じように、博識でユーモアのある人はたとえ発音や文法が間違っていたとしてもその魅力は色褪せない。英語もセックスと一緒で、小手先のテクよりもハートが大事なのよ。

「間違いを指摘されたら恥ずかしい」なんてことで神経を磨り減らすよりは、話の内容に気をつければ良い。そもそも、英語を母語とする人でさえ文法が怪しいことが多いのだから、結局お互い様なわけ。揚げ足取りが大好きな意地悪さんに出会ってしまった日には、多少の間違いは笑い飛ばす余裕と英語力のなさを開き直る図々しさで適当にあしらっちゃうのがオトナよ。

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