キャシーの日々ハッテンは、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。
キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.14 恋愛5年生、結婚はいつ?
ゲイ友達の間で“落ち着く”友達が最近どっと増えた。
今年は一番親しい友達4人が同棲を始めて、一生独身を貫くつもりだったあたしまでいつの間にか今の彼と半年近く付き合っている始末。みんなでクラブに毎週末出かけて漢漁りしてたのがまだ昨日のことのようなのに、それもすっかり昔話と化した。来年には結婚をして、人工授精や養子で親になっちゃうカップルまで現れるとか考えるだけでぞっとしてしまう。
キャシーはゲイデビュー5年目。つまり、ストレートの人が当たり前にしてきた恋愛を自分はまだ4年ほどしか経験していない。平均的な初恋を中学生とすれば、5年目のキャシーはまだお盛んな高校生。下手すればまだコンビニでエロ本も買えない年頃だ。しかし、自分の実年齢は26歳。日本にいる同級生たちは次々と結婚して、親戚にも婚活をしろと言われている。ただ、女性と結婚するわけにはいかないし、ゲイライフがスタートしてまもない自分にとって、同性婚はまだ身近に感じられない。
自由気ままな生活を満喫している一方で、“落ち着いた”友達を正直羨ましく思ってしまうときもある。人生の新たなステージを誰かと共有するなんてロマンティックじゃない。ただ、長い間自分に蓋をした生き方をしたせいか、ゲイとしてデビューしたときに感じた人生の可能性を今でも忘れられない。結婚して、家庭を持つこと以外にも、そこには幾千もの道が広がっている。そのどれを選ぶか、それが問題なのだ。
トロントに来て4年近い今、キャリアも恋愛も良い意味で実を結んでいる。駄菓子屋で100円玉握って何を買うか迷っているのも、そろそろ終わりにしないといけないのかもしれない。