キャシーの日々ハッテンは、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。
キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.11 日本人の男の子ってみんなゲイ?
先日、道ですれ違った日本人の男の子たちを見て、一緒にいたトロント生まれの友達が真顔で一言。「日本のゲイの男の子ってみんな可愛いね!」これを聞いて、歩き去るその男の子たちを振り返って確認するあたし。彼らのどこにもゲイらしい特徴はないし、あれは典型的な日本のストレート男子だ。
日本の男の子は、北米の人からはみんなゲイに見えるという噂を耳に挟んだことがある。考えてみれば、日本の男の子って物腰柔らかい人が多いし、ファッションに気をつけてる人も多い。最近じゃお化粧する男子だって増えてるっていうじゃない。下手すれば、ゲイと紙一重と彼らは日本じゃ草食系とかって呼ばれてるけど、北米ではメトロ系(metrosexual)と呼ばれている。資本主義が隅々まで染み渡った先進国の都会で暮らす男子は、ゲイストレート問わずにおしゃれが好きで、時代遅れな硬派な男たちとは一線を画すという。そんな繊細で、スタイリッシュなメトロ系男子は女子にも大人気。映画『トワイライト』で、ヒロインのベラがエドワード(メトロ系)とジェイコブ(硬派)の間で揺れているのも、見事にそれを反映している。
しかし、そんなメトロ系男子の登場で、ゲイであるキャシーの立場が実に危うくなった。ファッションにはあまり興味がないし、スタイリッシュにはほど遠いあたし。キャシーより遥かにゲイの花道を歩けてるメトロ系男子たちに比べられた日には、自分が本当にゲイなのか疑ってしまう。こういった世間のイメージが一人歩きすると、なかなか個人が反映されにくくなるが、ゲイらしさも男らしさも結局は自己表現の一つだってことを忘れてはいけない。形にこだわらず、キャシーは我が道を突き進むわ。