キャシーの日々ハッテンは、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。
キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.10 アジア人男性はゲイもノンケもモテない?
いつものようにチャーチストリートでお茶をしながら、ゲイ雑誌を手に取ってみたら、思わず飛び上がってしまったわ。なぜなら、表紙がタイ人の男の子だったの。あまりの驚きに友達に電話しちゃったくらいよ。
ゲイの間では、多くの人たちが若い白人の男の子たちの美しさを賞賛する。雑誌の表紙を飾るのも彼らなら、ポルノでも彼らばかりが脚光を浴びる。おまけのように黒人や中東系が彼らに混じることはあっても、アジア人が混ざることはほとんどない。話を聞けば、アジア人の男性は男らしさに欠けて、不細工で、彼氏にもセックスの相手にも選びたくない存在と思われているらしい。これはどうやらゲイに限った話ではなく、アジア人男性全体に共通する問題らしい。その一方で、アジア人の女性はフェミニンで、従順で、可愛いという一見ポジティブなイメージを持たれている。いつの間にか血液型性格診断や星座占いのような根拠のない人種別ステレオタイプが浸透したようだ。
これがイメージのままで終わればいいのだけど、実際にはキャシーの恋愛にまで影響が及ぶわけ。多くの白人のゲイはアジア人なんてお断りだし、ましてや同じアジア人でもアジア人お断りがたくさん出て来る始末。白人でも不細工な人がいれば、アジア人でもステキな人はたくさんいるのに、本当に残念。こんな多文化が共存するトロントなら、肌の色を通り越して恋愛ができるのかと思えば、人種の覇権争いはまだまだ根強い。雑誌の表紙にアジア人が載るのはそれだけ珍しく、だから変に嬉しくなってしまったわけ。
「アジア人でも大丈夫ですか?」なんてアホくさい質問を考えなくても、誰でもデートに誘えるようになる日はまだ遠いのかしら。