思いやりで乗り切るグレーな冬

冬のトロントは寒い上に、晴れる日が珍しくて、開放的な夏の雰囲気とは真逆である。いつもなら、12月は年末セールを漁りつつ、綺麗なクリスマスツリーが飾ってあるカフェでホットココアでも飲んで、まったり友達と休暇中の予定を考えている時期である。今年は残念ながらそんなこともできない。新型コロナウイルスの感染者数が増え続けている為、トロントはただ今ロックダウン中。普段は賑やかなダウンタウンを散歩しても、異様な静けさでなんとも寂しい。夏の間はたまに距離を保ってピクニックできたが、この状況では友達とも気軽に会えない。このままでは、光のないグレーな冬にメンタルヘルスをやられてしまう。

そんなロックダウンの中、誕生日を迎えて35歳になってしまった。ここ数年、誕生日パーティはしていない。うちのパートナーと美味しいレストランでデートするくらいだ。今年から誕生日プレゼントもやめた。欲しいものや贈りたい物は、本当に買いたい時に買えばいい。今年の誕生日は、ちょっと贅沢なテイクアウトを家でゆっくり楽しんで、鏡と睨めっこしながら「あたしまだまだイケるわね?」とうちのパートナーに同意を求めていた。適当な返事しかもらえなかったが、大事なのは思い込みである。そんなシンプルな誕生日も意外と悪くなかったが、期待していなかったサプライズが待っていた。

「ピンポーン!」

散歩中に家の前をよく通る友達がシャンパンを持ってやってきた。彼の後ろから、他の友達も現れて、気が付けば家の前でマスク集団による「ハッピーバースデートゥーユー」の合唱が始まった。サプライズ・パーティなんて何年ぶりだろう。驚いたし、とても嬉しかった。ほんの数分間のやり取りだったが、これは一生忘れられないサプライズになるだろう。

振り返ってみると、今年はそんな思いやりにありふれた一年でもあった。春に風邪をこじらせて寝込んでいた友達には、みんなでケア・パッケージを届けた。悪いニュースが続いた日には、友達数人にサプライズで焼き立てのクッキーを届けた。小麦粉が買えずにいたら、友達がわざわざ家まで届けてくれた。もちろん、食べ物以外の例もある。普段は忙しくて連絡取れない友達からも頻繁に「どうしてる?」と様子見のメッセージが届くし、一人暮らしで孤独な思いをしている友達には特にみんな注意を払っている。パンデミックで会えなくなったセフレたちとも「事態が改善したらまたヤろうね(サイバーセックスは億劫なのでしていない)」とたまに連絡をしている。こうしてコミュニティに支えられているから、今年を乗り越えられると言っても過言ではないだろう。

トロントでは今週から新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まった。これからどうなるかはまだわからないが、これが長いトンネルの先にある光だと信じたい。来年の年末には、また友達と集まって馬鹿騒ぎできるかな。

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