ブームでは終わらない日本のLGBT旋風

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.110 ブームでは終わらない日本のLGBT旋風

三省堂による2015年の新語ベスト10が発表され、その第三位に「LGBT」がランクインした。ほんの数年前まで、日本の読者にLGBTがどれだけ浸透していたかわからなかった。コラムを書くときにゲイ(G)、レズビアン(L)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)と全部書くかどうかでいつも悩んでいたのが嘘のようだ。今や日本のニュース番組でLGBTという言葉がフツーに使われている。どうやら、日本にLGBTブームが到来したようだ。

渋谷区や世田谷区ではパートナーシップ証明書が交付されて、同性カップルがパートナーとして公認されるようになった。同性婚への道のりは遠いかもしれないが、日本にとっては大きなステップとなっただろう。テレビを見れば、マツコ・デラックスを筆頭におねえタレントたちが相変わらず大活躍。ストレートの友人にカミングアウトすれば、みんな驚くほどゲイについて博識である。うちの母なんてゲイを題材としたテレビドラマに夢中になっている。なんて時代だ。LGBTや性的マイノリティなどの今まで見えにくかった存在が表に出れば、隠れていた社会問題も一気に表面化する。学校でのいじめ問題や自殺問題、性を理由に悩んでいる人たちへの支援の少なさは深刻だ。おかげで日本にある数少ない団体は引っ張りだこである。数年ぶりの帰国で、ここまで社会が変わっていることに心底驚いた。大学生時代に日本でボランティアしていたLGBT団体に訪れると、高校生くらいの若い子たちが楽しそうに雑談していた。それを見た瞬間に心の中がとても暖かくなった。もしも高校生だった自分がこんな風にゲイとして生きている経験を他の人たちと共有できたら、どんなにステキだっただろう。彼らの笑顔が羨ましくなった。

ブームが一気に燃え上がれば、あっという間に燃え尽きてしまうこともある。しかし、ブームが終わったところで、LGBTという存在は社会から消えないし、彼らが抱える問題もなくならない。このブームがブームで終わらずに、もっと大きな変化に繋がっていくきっかけとなることを祈っている。毎日学校でオカマと呼ばれていじめられている子供や性を理由に日々差別されている人がいなくなる日も夢ではないと信じたい。

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