メンタルヘルスは他人事ではない

キャシーのトロント不思議ハッテンは​、ゲイ総合情報誌『Badi』で2012年から2016年まで連載されていたコラムです。

キャシーのトロント不思議ハッテン(コラム連載アーカイブ)
第37回、メンタルヘルスは他人事ではない

トロントに留学したばかりの頃に仲良くなった友達はある日、急に自殺をした。いつもと変わらない夜にそのニュースが届いて、とてもショックを受けた。タチの悪い冗談だったらどれほど良かったのに。葬式で共通の友人と思い出話をしていると、彼が生前ずっと鬱を患っていたと知った。そんな話、今までちっとも聞いたことがなかった。もしかしたら、自分から耳を塞いで聞こえないふりをしていたのかもしれない。彼の自殺が決して「急」だったわけではなく、防げたかもしれないとわかって辛くなった。

友達の死から数年経って、仕事でメンタルヘルスのプロジェクトに携わるようになった。仕事の内容を友人に話すと「実は…」とカミングアウトされることが増えた。もちろん、ゲイだとカムアウトされるわけではなく、メンタルヘルスのことだ。ここ数年、鬱で悩んでいる人や最近パニック障害に襲われた人、若い頃に統合失調症になって再発を恐れている人と、実に様々な話を聞けた。長い間友達関係にあったのに、今までまったく知らずにいた。心の病に対する理解の少なさや偏見のせいもあって、彼らは普段それを自分だけで抱えて、周りに相談できずにいる。そうやってどんどん荷物が重くなって、歩けなくなってやっと周りが気付く。そのタイミングでは、手を差し伸べるのも手遅れだったりする。これらの経験があったから、自分のメンタルヘルスにも注意するようになった。心が疲れていると感じる時は、少しペースを落として、気分転換をするように心がけている。心が病むことは弱さではない。誰だって、無理をすれば病気をする。心も体も同じことだ。

カナダの統計調査では、人口の二割近くが毎年心の病に悩むという。さらに、ゲイやバイセクシュアルの男性の間では、その数字がぐっと跳ね上がる。幼い頃から差別や偏見に晒され、未だに多くの人が自分を隠して生きているのだから、決して不自然な数字ではない。ゲイ人口の自殺率の高さは偶然の産物ではない。見えないだけで、あなたの身近にも心の病と生きている人がたくさんいるのだ。メンタルヘルスは他人事ではない。それにもっと早く気付いていればと、たまに後悔する。

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