オンタリオ州の新しい性教育カリキュラム

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.94 オンタリオ州の新しい性教育カリキュラム

ダンダーススクエアに立っていたら、こんな会話が耳に入ってきた。「オンタリオ州の新しい性教育カリキュラムが導入されると、男の子が女の子になってもいいと思うようになってしまいますよ」「そんなことになったら困るじゃないか」振り返って反論しようと思ったが、ぐっと我慢した。巧みな話術で恐怖心を煽るその人は、反対署名を増やしながら次々と周りの人にアプローチしていた。宗教団体や保守的な家庭はこの性教育カリキュラムに抗議するデモ運動として、2万人以上の小学生たちを学校から欠席させたのだ。子供達は早めの夏休みをもらって、今頃大喜びしているだろう。

肝心の性教育カリキュラムの内容だが、至って素朴である。同性愛やトランスジェンダーといった性の多様性を学んだり、社会の中に存在する様々な差別や偏見を学ぶことを除けば、日本で受ける性教育とそこまで変わらない。自分の体を知り、思春期の体や心の変化を知り、生殖器や性行為を知り、恋愛やセックスにおいてお互いを尊敬し、守ることの大切さを知る。どれも重要なことだ。メディアでは「小学校二年生がアナルセックスを学ぶ!」なんて言ってた人がいたが、もちろん嘘である。テキサス州のとある高校では性教育を教えない方針を導入した途端、生徒が性感染症にかかるケースが続発したと最近話題となった。オンタリオ州にはその後を追って欲しくない。

宗教や文化の中には、性教育を敵視する価値観がよくある。未だに、自分の子供がゲイやレズビアンのことについて学んだだけで怒る親も多い。前にも後ろにも動けず、オンタリオ州の性教育は1998年から変わっていない。子供達はいつまで時代遅れの教育を受けていればいいのだろう。性教育が数学や科学のような科目として扱われるようになるのはいつの日になるのやら。

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