ゲイのトイプードルに慌てる飼い主

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.88 ゲイのトイプードルに慌てる飼い主

ドッグパークで遊んでいたら、突然どこからかトイプードルが走ってきてうちの犬に乗っかりながら腰を振りだした。それを見たトイプードルの飼い主は慌てて走って来て、真剣な目付きでこんな質問をした。「君の犬、オスかい?」なぜこのタイミングでそんなことを知りたいのかと少し混乱しつつ、「はい」とだけ答えた。それを聞いた瞬間、その飼い主は腰振りしていたトイプードルを荒々しく抱き上げて叱った。「ゲイじゃないのに、他のオス犬に欲情するんじゃない!」あまりにもツッコミどころが多すぎて、ポカーンとして何も言えなかった。「うちの犬、メスなのに他のメス犬ばかり追いかけて腰振るからきっとレズビアンだと思う」と冗談言う人なら数人知っているが、ここまで本気にしている人は初めて見た。

犬が腰振る仕草はマウンティングと呼ばれていて、性的だと思われがちだがそれだけではない。「こっちの方が強んだぞ」とアピールしたり、喜びを表現するのにも使われる。オスもメスもマウンティングするし、同性も異性も関係ないのだ。もちろん、そのトイプードルの飼い主はそんなこと知らなかったのかもしれない。しかし、それでも自分の飼い犬がゲイだからと叱る行為は無知というだけでは片付けられない。そのトイプードルがゲイだと何かまずいことでもあるのだろうか。あまり知られていないが、実は動物の同性愛は珍しくない。ゾウ、サル、キリンと、メジャーな動物でも同性愛行為は確認されている。デンマークのオーデンセ動物園で暮らすペンギンのゲイカップルが放棄された卵を孵化させて、子育てまでしたというのは有名だ。それなのに、なぜ人間はそこまでそれに嫌悪感を示すのだろうか。そのトイプードルがゲイかどうか知る由も無いが、いつかカミングアウトしても捨てられないことを祈る。

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