キャシーの日々ハッテンは、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。
キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.82 ゲイアプリがストレートの間で大人気?
出会い系アプリグラインダーがゲイカルチャーに革命を起こしてから5年。今、ティンダーがストレートの間で大ブームとなっている。久々に一緒にランチを食べているのに、スマホを夢中でスワイプしているストレートの女友達。「あんたゲイじゃないんだから、スマホで周りのイケメンとハッテンしないでちょーだい」と呆れてからかったら、スマホの画面を見せつけられた。そこにはステキな男性の写真と、ハートとバッテンのマークがあった。まさか本当にハッテンしていたとは知らずにビックリである。聞いてもないのに、彼女は誇らしげに説明してくれた。ティンダーとはGPSを使った出会い系アプリで、自分の周囲にいる人たちと手軽に運命の出会いを楽しめてしまう。スワイプする度に現れるプロフィールを見て、好きならハート、嫌いならバッテンを選ぶ。お互いハートを選んだ場合は両思いとなりマッチングが発生する。
こうした出会い系アプリは2009年にリリースされたグラインダーを筆頭にゲイの間で爆発的な人気を獲得した。スマホでインスタントに周りのゲイと出会えるという画期的なテクノロジーによって、ゲイコミュニティは大きな転機を迎えた。それを素晴らしい発明と評価する人もいれば、出会いから人間味がなくなったと批判する人もいる。それが今、少し遅れてストレートの間でも広まっている。「もうティンダーでマッチする人みんな下心あって嫌になっちゃう!アソコの写真ばかり!」そうやって文句を垂れる女友達はまるでグラインダーを使うゲイそのものだった。ほんの数年前だったか、ストレートの間でこうしたアプリは絶対に流行らないという意見をたくさん耳にした。その言い分はゲイが性欲旺盛だからということだったが、このブームを見るにムラムラしているのはゲイだけではないようだ。