ゲイフレンドリーなファミリードクター

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.81 ゲイフレンドリーなファミリードクター

トロントで長く暮らすなら、ファミリードクターがないと話にならない。昨年永住権を手にして、やっとファミリードクターが見つけられると喜んでいたら、近くのクリニックはどこも数年待ちだった。ただでさえ選択肢が少ないのに、ゲイである自分には悩みがもうひとつある。せっかく見つけた医者がもしも保守的だったらどうしよう。大切な健康を預けるとなれば、パーソナルなことも話すことになる。ファミリードクターにゲイという理由で差別されたり、白い目で見られては、それこそ健康に関わってくる。しかし、どの医者がゲイフレンドリーかなんてわからない。背に腹は代えられないので、覚悟を決めて新しくオープンしたクリニックに彼氏と一緒に入ってみた。

ロゴのデザインがポップで可愛いし、所属している医者も若い人が多いから、きっとゲイフレンドリーに違いない。根拠もないのに、そう自分に言い聞かせながら受付で名前を呼ばれるのを待った。しばらくすると、爽やかな青年が現れた。下手したら年下かもしれないが、彼があたしたちの担当医のようだ。自己紹介を済ませると、彼氏と一緒にオフィスに招かれた。世間話をしながら、診断のプロセスやクリニックの設備などを説明されて、書類を一通り提出するとあっという間にファミリードクターができた。あまりにあっさり終わってビックリした。「ゲイですか?」といつ聞かれるのかハラハラしていたが、そんなことは話題にも登らなかった。当たり前のように、家族として対応されたのだ。

「兄弟だと思われたらどうしよう!」帰り道、ハッとして彼氏に聞いた。呆れ顔の彼は何も言わなかったが、万が一ということもある。この医者がゲイフレンドリーかどうかを決めるのは、もう少し先にしよう。とりえあず、ファミリードクターが見つかってホッとした。

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