ゲイ友達がいれば、ゲイ差別はしないのか

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.79 ゲイ友達がいれば、ゲイ差別はしないのか

パーティで楽しくワインを飲んでいると、たまに失礼な人と出会う。「ゲイはセックスばかりして病気をバラまいてるから差別されるんだ。」と、横に立っていた人が自信満々に語っていたので、会話に割り込んで「それは偏見では?」と指摘した。予想通り、その人はテンプレ通りに答えた。「私はゲイ差別主義者ではない。ほら、ゲイ友達だっている。」それを聞いて、もうこれ以上突っ込むのも面倒くさくなった。今さっきゲイに対する偏見を口にしたばかりなのに、そんな言い訳で自分を正当化できちゃう無神経な性格が羨ましい。

「ゲイ友達がいるのに、自分がゲイ差別なんてするわけない」という言い訳はもう胃もたれするくらい聞いた。文脈によっては、なんら間違っているわけではない。ゲイ友達がいれば、人間としてその人を見ることができて、偏見が減ることも多い。しかし、他人の人権を尊重しない政治家やうっかり本音を漏らした芸能人は、彼らの持つ差別意識や偏見を指摘されると決まってこの言い訳で自分の地位を守る。彼らは自身の言動でその友人を傷つけるだけではなく、その友人の存在を都合良く自分を正当化するために使っている。その友人は彼らをどう思っているのだろうか。さらに最悪なのは、その言い訳が凄く上から目線だってことに彼らが気付いてないことだ。もちろん、差別や偏見がないに越したことはないが、そんな言い訳で自分が“良い人”であることをアピールするより、「ゲイなんて嫌い。とても理解できない。」と面と向かって言ってくれた方がスッキリする。

多文化共生の街であるトロントで、差別主義者呼ばわりされたくない気持ちはよくわかる。だからこそ、下手な言い訳よりも言動でそれを示すべきなのだ。しばらくすると、パーティで偏見をバラまいていた彼は案の定孤立していた。人の目はそう簡単にごまかせない。

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