友達の元恋人に挨拶をしよう

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.78 友達の元恋人に挨拶をしよう

週末は家でゴロゴロしてばかりで社交的なことをしてなかったので、久々におめかししてゲイクラブに出かけた。20代前半の若い子たちがはしゃぐ横で、座ってお酒をグビグビ飲んでいたら見覚えのある人が近づいてきた。よく見れば友達が5年ほど付き合って、最近破局したという元カレだった。そこまで彼とは親しくはないが、何回か食事を共にしたことがあったので、気まずいのを我慢して笑顔で挨拶した。それに気付いた彼は、とっさに目を逸らして通り過ぎた。きっと周りの若い子たちには、ナンパに失敗した痛い人だと思われただろう。

彼の気持ちもわからなくはない。破局は気持ちのいいものではない。元カレの友人とバッタリ出くわして嫌なことでも思い出したのかもしれない。しかし、理解できたところで怒りが収まるわけではない。後日、他の友達にこの話をすると「フツーは挨拶しないよ」と注意された。破局した後も友達の元恋人と繋がっていたら、いろんな関係にひびが入るというのがセオリーだ。大人になればなるほど、こうした面倒くさい暗黙の了解が増えてくるのは気のせいだろうか。子供の頃、シャイで人見知りだったあたしは母から知り合いに会ったら挨拶しなさいって散々言われた。だから、苦手な人でも、嫌な過去があった人でも、いつか一晩の関係を楽しんだ人でも、ばったり会えば挨拶くらいはすることにしている。もちろん、嫌みたっぷりな挨拶ではなく、素直にお互いの存在を認識し合うための挨拶だ。そんな些細なことで、雪のように積もったわだかまりがさらっと溶けることだってある。

最近はリアリティ番組のおかげで、ドラマクイーンや修羅場がとても美化されているが、短い人生なのだから、ギスギスした気持ちを抱えて生きなくてもいいと思う自分は少数派ではないと信じたい。

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