ストレートパレードがない理由

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.74 ストレートパレードがない理由

ワールドプライドが開催された10日間、トロントは虹色の熱気に包まれた。しかし、そんなプライドがメディアで報道されると必ずこんな匿名コメントを見かけた。「どうしてゲイパレードなんてあるんだ。ストレートはパレードなんかしないのに。」こんなインスタントに情報を発信できる時代だから、深く考えずに思いついたことを書く人が増えたが、ここは親切なゲイのお兄さんとして余裕を持って回答してあげたい。

プライドパレードは1969年のストーンウォールというNYCにあるゲイバーから始まったとされる。当時のパレードを歩けば逮捕されたり、暴行の標的にされた。それでも彼らがパレードを歩き続けたのはこれ以上虐げられないために、自分たちの存在を社会に見せつけたかったからだ。ストレートの人たちはそんな風にパレードを歩く必要がなかった。なぜなら、ストレートだからという理由で逮捕されたり、家族から勘当されたり、仕事を失ったり、暴行されたり、殺されたり、愛する人と家族だと認められなかったり、そんなことを心配する必要はないからだ。ストレートパレードを歩かなくても社会に受け入れられるということは、とてつもない特権であることを忘れないでほしい。もしゲイやレズビアン、トランスジェンダーの人々が社会から差別されていなければ、プライドパレードなんて存在しなかったかもしれない。

一年のうちたった10日間だけ自分たちの存在を祝福するお祭りをやっただけで、そこまで目くじらを立てる必要もないでしょ。もし明日社会がひっくり返って、ストレートというだけで命を脅かされ、人権を失うなんてことになったとしよう。あたしは喜んでストレートパレードの中に飛び込んで、ストレートアライとしてストレートの権利を勝ち取るための戦いに手を貸すつもりよ。

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