ゲイで、ホームレスの男の子

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.73 ゲイで、ホームレスの男の子

ワールドプライドでトロントが虹色のお祭り騒ぎの中、レインボーのバッヂを売って生活費を稼ぐ17歳の少年と出会った。リュックを背負って歩く彼はホームレスで、シェルターや外で寝泊まりしているという。「このバッヂを付けて街中を歩く人がもっと増えれば、同性愛者やトランスジェンダーに対する差別や偏見もいつかなくなると思うんだ」と言いながら、彼は健気に目を輝かせていた。

ゲイやレズビアン、トランスジェンダーの若者のホームレス問題はとても深刻で、カナダでは26歳以下のホームレスの25%から40%がLGBTだという統計結果もある。保守的な家庭でゲイであることがバレて追い出されることもあれば、トランスジェンダーという理由で家族から暴力を振るわれて家を出ざるを得ないこともある。そんな中で仕事を探すのはただでさえ大変な上に、差別や偏見で性的少数者は就職に不利でもある。安全であるはずのシェルターでさえ、ゲイやトランスジェンダーという理由で虐められたり、嫌な目に遭う人もいる。カナダの保守的な田舎町でホームレスになって、よりゲイフレンドリーなトロントに可能性を見出してやってくる若者もいるが、彼らを受け入れる場所はほとんどない。かなり救いのない話をしてしまったが、これが現実なのだからしかたがない。トロントは世界初のLGBT向けスポーツセンターの建設を計画しているが、それにお金を使う前にLGBTの若者のホームレス問題のためにゲイフレンドリーなシェルターを建設するのが先ではないのかと批判する声も多い。

「同性婚ができるのに、どうして今もゲイパレードが必要なんだ」なんてことを言う人がいるが、この社会から差別や偏見がなくなる日はまだ遠い。こうして苦しむ人がいる限り、課題はまだ残っているということだ。

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