ゲイは「女子力」が高いのか

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.67 ゲイは「女子力」が高いのか?

「ゲイ友達を作って女子力向上」なんてスローガンを最近目にして、聞き慣れない「女子力」という言葉を検索してみると面白い発見があった。「女子力」は英語に直訳すると「ガールパワー」になるが、日本語と英語では使われ方がまったく違う。日本のメディアでよく耳にする「女子力」といえば、綺麗になって、オシャレなファッションに身を包んで、男性にモテるような立ち振る舞いを心がけたり、美味しいクッキーを焼いたりすることを指すことが多いが、「ガールパワー」はまったく逆である。90年代に懐かしのスパイス・ガールズたちが流行らせた「ガールパワー」は、女性の団結や結束というフェミニズムの延長線上にあって、今でも女性としての力強さ、賢さ、そして男性に媚びない自立を主張するために使われる。言葉というのは常に社会を映す鏡と言われるが、この違いはまさに日本と英語圏での女性の立場や社会の中の女性像のズレを浮き彫りにしている。

そんな「女子力」だが、どうしたことかゲイ業界にも浸食している。ゲイは美容に気を遣って、ファッションに敏感で、ユーモアもあって社交的というイメージがあるため、ゲイ=「女子力」が高いという噂まで流れている。もちろん、ただの噂である。「女子力」向上なんて目的でゲイをアクセサリーにしたいと本気で考える人がいるのなら、「女子力」以前に人格を疑ってしまう。そもそも、なぜそこまでして「女子力」を磨きたいのだろうか。

「女性はこうあるべきだ」と社会が圧力をかければ、その女性像を目指して自分磨きにお金をかける人が出てくる。いつだって、企業はそうやってお金を稼いできた。「女子力」なんてものは高い低いで語るものではない。なぜなら、人の数だけ意味や形が違うからだ。メディアが煽る女性像と自分を比べる前に、自分らしいとはどういうことかもう一度冷静に考えてみよう。

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