キャシーの日々ハッテンは、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。
キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.60 ナンパなの?挨拶なの?どっちなの?
ストレートカップルの結婚式に招かれて彼と一緒にゲイカップルとして参加したら、なんと可愛い男の子にナンパ(?)された。何を隠そう、結婚式が初めてだったキャシー。同級生たちから続々と結婚のお知らせが届くのに、日本になかなか帰れず参加できない。だから結婚式へ行けたことが本当に嬉しくて、精一杯楽しもうと独身男性のみが参加できるガーターリング・トスにノリノリで飛び込んだ。花婿が口にくわえたガーターリングを摑み取ろうと構えていると、後ろから声が聞こえた。「君、独身なの?」急な質問にビックリしつつ、ガーターリング欲しさに独身ではないのに「そうだよ」と返した。聞いてきたのは、いかにもヤンチャそうな20代前半の男の子。さっきテーブルで彼とキスしてたの見られて独身ではないことがバレたのかと思ったら、予想外な言葉が飛び出した。「君ハンサムだね!名前なんでいうの?」まさかストレートの結婚式で見知らぬ男の子からアプローチされるとは予想外だった。
状況が飲み込めないまま席に戻り、彼にそれを話すと「ただの挨拶」と片付けられたが、ストレートの男が知らない男にこんなナンパみたいな挨拶をするのかしら。あれこれ考えを巡らせながら、ダンスフロアで男友達と踊るその男の子を観察していたら、彼がゲイかどうかにこんなに拘っていた自分に呆れた。結婚式で可愛い男の子があたしをハンサムだと思って声をかけてくれた。ただそれだけのこと。わざわざゲイかストレートかなんて決めつける必要はない。そんな結論にたどり着いたら男子よりも団子が気になりだして、さっきカットしたウェディングケーキがどうなったのかばかり考えてしまった。結局、その可愛い男の子もウェディングケーキも口に出来なかったが、初めて参加した結婚式は十分すぎるほどに楽しんだ。