同性婚成立、そして10年後

キャシーのトロント不思議ハッテンは​、ゲイ総合情報誌『Badi』で2012年から2016年まで連載されていたコラムです。

キャシーのトロント不思議ハッテン(コラム連載アーカイブ)
第15回、同性婚成立、そして10年後

週末の昼下がりに、カフェでまったり新聞を読んでいると、 カナダで一番最初に結婚したゲイカップルが10年経った今でもラブラブな婚姻生活を送っているという記事が目に入った。トロントにいると、同性婚がずっと昔からあったかのような錯覚に落ちることもあるが、カナダのオンタリオ州では同性婚が成立して今年でやっと10年になる。お隣のアメリカが三歩進んでは二歩下がっている横で、同性婚に関してはカナダが数歩先を歩いているようだ。2002年のカナダ国民を対象とした統計では、約半数近くが同性婚に反対していたが、2012年の統計では反対する声が二割以下になったという。この10年で、カナダ全体の同性婚に対する見方が大きく変わったのは明らかだ。もちろん、ゲイコミュニティもその例外ではない。

2003年に同性婚が勝ち取った人たちにとって、それはとても政治的なもので、必死な思いで手にした権利である。彼らの多くは70年代から同性愛運動に励み、ゲイコミュニティのパイオニアとして生きてきた。きっとそれを手にするために犠牲にしたものも多かったのだろう。しかし、そんな彼らと今の20代では、同性婚はまったく違うものに見えるのかもしれない。子供の頃から同性婚のある社会で育った20代前半のゲイにとって、それは思ったより普遍的なものだったりする。勝ち取った権利とか政治的な意味合いなんて考えずに、「できるから結婚する」人も多いのだろう。これはとても恵まれたゲイに限られた話なのかもしれないが、 良い意味でも悪い意味でも同性婚が当たり前になったということだ。どちらにしろ、カナダの同性婚成立による影響は想像以上に大きかったみたいだ。「ハッテンしちゃった婚」とか「グラインダー婚」なんてものがメディアを賑わす日もそう遠くないのかもしれない。

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