信号無視のようなセックス

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.24 信号無視のようなセックス

セックスとは信号を無視して横断歩道を渡るようなものだ。

小さい頃によく歩行者信号は青になるまで渡るのを待つようにと言われたものだが、悪知恵が働くようになってからはそんな信号なんて待った覚えはない。きっと自分の命の大切さをそこまで考えた事がなかったし、さらに自分に限って事故なんてないと思ってた。しかし、高校時代に自転車二人乗りで危うくトラックの前に突込みそうになったときはさすがに反省したものだ。今でも信号無視はたまにする。ただ昔とは違って、リスクを理解し、細心の注意を払った上での信号無視だ。仕事柄、他人のセックス話はよく聞くわけだが、無謀な信号無視のようなセックスをする人は珍しくない。実は相手のことを全然知らないのに、まるですべてを知っているかのように勝手な推測で大丈夫だと判断し、コンドームはほこりを被ったまま。避妊のことはバッチリでも性感染症なんてよく知らないし、気にもしない。検査なんて一回も行った事がないのに、自分は大丈夫だと言い張る自信だけは一人前。たまに昭和の頑固親父にでもなって、説教しようかと思うくらい知らないうちにつまらないことで命でギャンブルをしている人ばかりである。

セックスをすれば、それ相応のリスクを背負う事になる。大事なのはそのリスクを理解した上で、自分を守る術を学ぶ事だ。しかし、そのリスクがゼロになることはありえない。長年連れ添った伴侶だって、クラブで出会った誰かだって、絶対に大丈夫だなんてことはない。信号が青だからって、必ず安全とは限らないのと同じだ。それでも信号無視とセックスをやめられないのは結局人間の性だからなのかもしれない。

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