恋愛関係と4つのアタッチメント・スタイル

パンデミック中の恋愛はただでさえ難しいが、オープン・リレーションシップはもっと複雑だったりする。オープン・リレーションシップといえば交際や結婚をしているパートナーと、お互いに同意の上で他の相手とデートやセックスを楽しめるノン・モノガミーな関係。いつの間にかキャシーもオープン・リレーションシップのベテランと見られるようになったのか、友達からたまに相談のメールが届くことがある。

この友達、交際8年目にパートナーとオープン・リレーションシップを試そうということになって、三ヶ月のトライアル期間を設けて様子見を始めた。キャシーも数ヶ月のお試し期間からオープン・リレーションシップを始めたから、個人的に初心者カップルにはお勧めな方法だと思っている。しかし、その三ヶ月間がパンデミックだったこともあり、彼らは好き勝手にデートやセックスをほとんど楽しめず、不満が残るままトライアルが終わってしまう。実際に、キャシーもパンデミックに入ってからはお互いの安全のために、パートナー以外とのデートやセックスを全て断っているから、彼らの気持ちはよくわかる。そんな友達のパートナーはオープン・リレーションシップが気に入らなかったようで、今まで通りにモノガミーな関係に戻りたいと提案したらしい。逆にオープン・リレーションシップを続けたかった友達は、どうやって前に進めばいいのかわからずに困っている。

この話を聞いて、最近読んだ「Polysecure: Attachment, Trauma and Consensual Nonmonogamy」という本を思い出した。著者であるJessica Fernは、私たちのアタッチメント・スタイルがいかに恋愛関係に影響していて、自分の弱点とちゃんと向き合うことで、より安定したオープン・リレーションシップやその他のポリアモリーな恋愛関係を築くことができると主張している。例えば、不安型のアタッチメント・スタイルを持つ人は相手から拒絶されるかもしれないという不安を感じやすく、それを克服できない限り嫉妬心や独占欲の強い恋愛関係を築くことが多いらしい。そういえば、「私たち、オープンなんだ」とオープン・リレーションシップであることを共有すると、「恋人が他人とデートやセックスするなんて考えられない。絶対無理!」という過剰気味なリアクションをもらうことがよくある。もちろん、嫉妬心なんて誰でも感じるものだから理解できないわけではないが、そのリアクションの向こうに何が隠れているのかずっと気になっていた。この友達のパートナーも、もしかしたら嫉妬心や独占欲が理由で、オープン・リレーションシップに苦戦しているのかもしれない。

そんなアタッチメント・スタイル(愛着スタイルとも呼ばれている)は4つあって、子供の頃の親や保護者との経験によって形成されると言われている。不安型は友達や恋人と関係性を築いても「いつか見捨てられてしまうかもしれない」という不信感や不安感を抱く傾向にあって、逆に回避型は自分から距離を取ったりして、独立的な傾向にある。安定型は不安や回避が低いため、より健康的な関係性を築けるが、不安と回避が共に高い不安、回避型はいつか拒絶されるかもしれない不安を感じるつつ、苦しくなると壁を作ってしまう。アタッチメント・スタイルは人間関係や恋愛関係に大きく影響する一方で、関係を築く上での弱点を克服するツールとしても使われている。ちなみに、私は専門家ではないので、これはあくまで自分の解釈に過ぎないし、日本語訳も少しズレているかもしれない。もっと正確で詳しい内容が読みたい方は、他の文献も探すことをお勧めする。

こうしてカテゴリーを作ってしまうと、血液型とか星座占いみたいにアタッチメント・スタイルをアイデンティティのように捉える人も出てくる。しかし、その考え方は危険だ。自分は不安型だから、嫉妬心や独占欲を感じて、常に拒絶されることを恐れてしまうのは仕方ない。そんな落とし穴にハマってしまうと、克服できる弱点を逆に強調してしまいかねない。「自分=不安型」ではなく、不安型の傾向にある自分は不信感を抱きやすいという風に見た方がいいのかもしれない。また、白黒ハッキリひとつの型にハマるわけではなくて、不安と回避の傾向から自分の位置を考えるべきである。自分の弱点をいかに乗り越えて、より安定したアタッチメント・スタイルに切り替えられるかが大事なのだ。

ちなみに、私はきっと回避型の傾向がとても強い。自分を知る尽くしている友達に聞いたら「キャシーはどこからどう見ても間違いなく典型的な回避型!」と物凄い自信で即答された。昔から束縛にはあまり興味なくて、嫉妬心に左右されることも少なかったが、人間関係に不和が生じると些細なことで距離を作ってしまう悪いクセがある。心の中にあるものを全部引き出して、腹を割って話すのがとてもしんどい。そんなクセに自覚もなくて、「キャシーって壁があるよね」と複数の友達に言われても最近まで全く意味がわからなかった。回避型のおかげで独立して、自分でなんでもできるようになったのはいいが、自分の感情を他人にシェアできなくて、辛くても周りに頼れない。こんな回避型の自分の傾向と向き合えたのはいいが、長年の習慣を変えるのは大変。それはこれからの課題である。

勝手な推測だが、幼い頃にゲイであることに悩んだことで、思春期をサバイバルするために回避型のアタッチメント・スタイルを身に付けてしまったかもしれない。両親がゲイというアイデンティティを受け入れることはないと子供ながらに感じていたので自分を隠すのが上手になってしまったし、友達やクラスメイトの周りにゲイだとバレないように意図的に距離を置くようになった。カミングアウトするまで、素直に自分を曝け出したことはないし、それは今でもできているか自信がない。ただ、そうやって自分を守ってきたから、それを全否定することもできないが、今は自分を隠す必要がないのも事実である。そう考えると、ちょっと不思議だし、厄介なものを抱えてしまった。だから、無意識に人を避けて人間関係を築いている自分の習慣に敏感になって、自分が苦手な感情の共有を練習して、もっとバランス良くスキルを鍛え直す必要があるのだろう。言うのは簡単だが、実践するのは難しい。

どんな恋愛関係を築くにしろ、自分のアタッチメント・スタイルと向き合うことで得られるものがきっとある。モノガミー中心の文化では一対一の恋愛がフツーだから、嫉妬心や独占欲を肯定しがちだが、そこから一歩踏み出して、どうして不安を感じてしまうのか分析してみるのも良いはずだ。オープン・リレーションシップのようなノン・モノガミーな恋愛やもっと複雑なポリアモリーな関係を築いている人にとっても、アタッチメント・スタイルは有意義な考え方だと思う。この本を読んで、自分ももっと勉強しなければとモチベーションが上がった。

ちなみに、オープン・リレーションシップを続行したい友達はあきらめずにパートナーと交渉していく予定らしい。パンデミックが収まったら、また短いトライアル期間を導入できれば、もうちょっとオープン・リレーションシップの良い部分を楽しめるだろう。その時に、パートナーと一緒にアタッチメント・スタイルについて考えてみれば、オープン・リレーションシップの不満点についてもっと掘り下げて話すこともできるかもしえない。グッドラック!

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