レズビアンカップルの新居へおじゃま

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.127 レズビアンカップルの新居へおじゃま

新居に引っ越したばかりのレズビアンカップルに招かれて一緒にブランチすることになった。ギフトを抱えて教えてもらった住所に辿り着くと立派な一軒家である。てっきり高層マンションかタウンハウスかと思っていたから意外だった。不動産の高騰が止まらないトロントで一軒家を買えてしまうなんていくら稼いでいるのだろう。お金の話を考えてボーッと立っていたら、玄関から彼女たちが現れた。

ダイニングテーブルを囲んで手作りのブランチを食べていると、当然家の話になった。新居とはいってももう100歳近い古い家である。しかし、今まで丁寧に扱われてきたのがよくわかる味のある家だ。赤いレンガの壁はお洒落で、ギシギシする木の階段は楽器のようだ。家具がまだ揃っていないから少し寂しい感じをするが、これから二人のアイデアで空白が埋まっていくのかと考えるとワクワクした。リビングルームの壁に何を飾ればいいか迷っていた彼女たちにセクシーなポートレートをお勧めしたら、近所に子供がたくさんいるという理由で却下された。そういえば、ここはトロントのミッドタウン。地下鉄の駅から徒歩20分ほどあって車社会である。周りは一軒家だらけで、見渡せばミドルクラスな家族たちばかり。そんな環境でレズビアンカップルは浮くのかと思えば、まったく問題なく馴染んでいるみたいだ。焼きたてのクッキーを配りながら周りへの挨拶も済まし、今では外を歩けば近所に住む人たちと世間話をするほどだ。子供達がトリック・オア・トリートをしにくるハロウィーンが今から待ち遠しいらしい。ダウンタウンの冷酷な近所付き合いに慣れている自分からすれば異世界に感じられるが、彼女たちはそんなライフスタイルを満喫していた。

レズビアンカップルがこんな家庭的なエリアに違和感なく住めるくらいに社会は変わったってことなのだろう。銀行の広告で新居を買う家庭的なゲイやレズビアンカップルが登場するのも頷ける。このまま、同性愛のイメージが徐々にセックスから同性婚に移行していくのかもしれない。それにしても、こんな立派なリビングルームの壁に色っぽいアートを飾れないのは勿体無い。

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