キャシーのトロント不思議ハッテンは、ゲイ総合情報誌『Badi』で2012年から2016年まで連載されていたコラムです。
キャシーのトロント不思議ハッテン(コラム連載アーカイブ)
第41回、トロント剃毛スタイル
「ハッテン場にでも行く?」冬の寒さで骨の髄まで冷えた体を暖めに、彼氏と一緒にハッテン場でまったりジャグジーに浸かろうかと思ったが、危うく自分の股間に生えた大事件を忘れるところだった。
トロントに来て間もない頃、初々しかったキャシーはクラブで知り合ったゴーゴーダンサーとウキウキしながらデートに出かけた。美味しいディナーの後、ムラムラしていたふたりは人気の無い路地裏でキスしつつ、お互いの股間へと手を伸ばした。こっちは彼のセクシーな下着から見えるもっこりにテンションが最高潮だったが、キャシーのジッパーを下ろしたゴーゴーダンサーは「え?何これ?」と真顔で驚いていた。何が起きているのか状況が飲み込めないまま自分の下半身を見下ろせば、社会の窓から覗く黒い芝生が風に揺らいでいた。「下の毛、処理しないの?」どん引きしているゴーゴーダンサーは気持ちさっきより遠くに立っていた。北米のゲイ業界では、キレイさっぱりパイパンにするか、下の毛を短くトリムするのがエチケットである。陰毛が濃い人が処理をしていない場合は、不潔だと嫌がられるケースが多い。日本では大好評だったあたしの股間も、トロントでは前戯にありつけた最初の男から苦情が入った。文化の違いは予想以上に厳しい。もちろん、陰毛フェチの人は好んでジャングルを探検してくれるが、それはまた別のお話。
そんな過去から学んで毎週丁寧に陰毛を処理していたキャシーだったが、今の彼と付き合うようになってからはやっぱり自然が一番ということで、ふたりともチン毛がぼーぼーもじゃもじゃ放置プレイ状態。これではハッテン場でみんなの笑い者になってしまう。しかし、こんな時に限ってヘアトリマーが故障している。その30分後、おかまいなしにハッテン場のど真ん中でホカホカなジャグジーに癒されるキャシーたちの姿があった。