なぜゲイにファッションセンスがあるのか

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.29 なぜゲイにファッションセンスがあるのか

先日、自分より10才も若いゲイの男の子と話をしていた。バッチリお洒落に着飾った彼が「あたしたちゲイってみんなファッションセンスが良くて、ショービジネスの才能があって…」と力説する横で、キャシーは地味なシャツに短パンで立っていた。

自分で言っちゃうけど、あたしのファッションセンスは昔から最悪。もちろん、それがゲイの中で例外ではなくて、むしろファッションに淡白なゲイの方が多いくらい。そもそも、なぜゲイ=ファッションセンスが良いという方程式が成り立っているのかわからない。「キャシーってゲイなの?じゃ今度買い物行こう?」なんて言われた日には、「キャシーって日本人なの?じゃ今度寿司作ってね?」と言われるのと同じくらい返答に困る。あたしは寿司も作れなければ、お洒落なコーディネートもできない。それでもあたしが日本人でゲイであることに変わりはない。

ファッションやショービジネスという個性的な業界では、カミングアウトをしてもキャリアーに支障がないことが多い。むしろ、それを売りにもできる。しかし、逆にスポーツ選手でオープンなゲイはほとんど見かけない。引退後にやっとカミングアウトをする人がちらほらいるくらいだ。これがゲイの本能によるものなのか、社会の中のプレッシャーによるものなのかはわからないが、少なくともあたしは勝手なステレオタイプに得意と不得意を決められたくはない。クローゼットの中でこんなに長く過ごしたんだから、ゲイにファッションセンスがあるのは当然だなんて冗談を言う人もいるけど、本当はそんな社会の中のゲイのイメージに当てはまらない人はまだクローゼットの中にいるのかもしれない。

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