ゲイの同棲恐怖症

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.20 ゲイの同棲恐怖症

付き合って一年未満の彼と、先日同棲することに決めた。ダウンタウンでとっても素敵な物件を見つけて、二人で一緒に契約書にサインもした。契約期間は1年。つまり、1年間はもう逃げられない。ラブラブな新生活を楽しみにしつつも、不安という感情が胸の奥に芽生えた。この契約書の重みを、今ようやく手に感じている。

ゲイカップルが同棲をすることは、結婚に値するとよく聞く。それだけ同棲まで漕ぎ着くゲイカップルが珍しいのだろう。ゲイはセックスにしか興味がない生き物とか、家庭を築くのに向いていないと言う人もいるが、自分はそうは思わない。ゲイにとって、同性婚という“将来がある恋愛”はまだ新しい。カナダでさえ同性婚が成立してまだ10年も経ってないし、他の国々は言うまでもない。もちろん、同性婚という道を選ばない人が多いのも事実だが、ストレートの社会だって結婚をしない人が増えている。

ここで問題となるのが、同棲や結婚をしているゲイカップルの見本が身近に全然いないことだ。今回、彼も自分も初めての同棲で、「ゲイフレンドリーな大家さんはどう探せば良いのか」「ゲイ同士、どうやって生活費を分けるべきか」とか、 ゲイカップルならではの悩みにたくさん出会った。しかし、そんな悩みを相談できるゲイカップルの先輩が本当に限られていて、余計に不安を駆り立てる。同棲でこんな手探りなのに、将来結婚や子育てなんてことになったら、いったいどうなってしまうのだろう。見本がないままに道を切り開いていくのは簡単ではない。

しかし、そんな不安に負けては先には進めない。自分の人生を切り開くには、自らそのパイオニアになるしかないのかもしれない。

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