拡散するトロントのゲイたち

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.7 拡散するトロントのゲイたち

トロントのチャーチストリートとウェルズリーストリートあたりはよく知られたゲイタウンである。歩けば、ゲイバーやセックスショップ、そしてお洒落なレストランが立並ぶ素敵な場所だ。男が好きな男を捜したいならこれ以上の場所はない。

トロントの特徴は通りを一つ抜けるだけで雰囲気がガラッと変わることだろう。多文化が共存しているが故に、この街には様々な文化のポケットがある。チャイナタウン、リトルイタリー、そしてこのゲイタウンもそのポケットの一つだ。不思議なことに、多くの人はこのポケットから溢れ出ないように暮らしている。一昔前なら、アジア人とか、ゲイとかという理由で差別されたのだから、こうして同じ色を持つ人々が団結したわけもわかる。

しかし、ここ数年でゲイタウンは目に見えて縮小した。 先日、人気ゲイクラブの前に立て札を見つけた。ここも近いうちにコンドミニアムになるらしい。地価の高騰により、ここから離れたバーやクラブも多い。最近話題になるゲイパーティは、クイーンウェストやアネックス、ケンジントンマーケットなどの離れたエリアで開催されている。ゲイたちはゲイのポケットから溢れ出したのだ。

これは縮小ではなく、むしろ拡散ではないのか。ゲイがゲイタウンの中だけで生活する時代は終わりを迎え、ゲイはトロントの至る所で存在感を示すようになったのだ。それだけ、社会がゲイフレンドリーに変わって来たということである。もうゲイタウンが形成されたときとはもう時代が違うのだろう。これはポジティブな変化と考えたい。ゲイが散らばっては男探しに困ると文句を言ったら、贅沢だと怒られちゃうかもしれない。

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