ゲイアンテナは存在するのか?

キャシーの日々ハッテンは​、トロントの日本語情報誌『Bits』(ビッツマガジン)で2011年から2017年まで連載されていたコラムです。

キャシーの日々ハッテン(コラム連載アーカイブ)
Day.1 ゲイアンテナは存在するのか?

風の便りに聞いたのだが、ゲイアンテナがあれば、相手がゲイかどうかを簡単に見極められるらしい。常連のコーヒー屋さんの可愛いお兄さんをデートに誘いたいとき、姉の彼氏がぴちぴちな服ばっかり着てたりするとき、または愛犬がオス同士の交尾にしか興味がないとき、ゲイアンテナが大活躍するだろう。下手なドラえもんの道具より遥かに便利かもしれない。

もちろん、このアンテナはショッピングモールには売っていない。最近はiPhoneで近くにいるゲイを検索できるアプリなんていうのもあるけど、そんな生易しいものでもない。培われた経験と知識と、ゲイ力があってこそ、このアンテナを持ち得る。一瞬の目つき、一瞬のしぐさ、そして、その一瞬の間を読めてこそ、正確にゲイなのかどうか見定められる。

しかし、未熟なゲイアンテナに頼ってしまうと、ステレオタイプに任せて結論に走ってしまう。男性のマドンナファンはみんなゲイに決まってる。男なのにH&Mの服をあんなにおしゃれに着こなせるなんて、ゲイじゃないはずがない。こんなにいい男が35歳でも独身だなんて、きっとゲイだ。そんな浅はかな読みでは、墓穴しか掘れない。

ここまで書いておいてなんだが、キャシーは墓穴以外掘れてるのかと突っ込まれると、痛いところでもある。正直、自分が長年培ってきた経験、知識、さらにゲイ力を掛け合わせても、全然ゲイアンテナなんて機能しない。性が多様化したこの時代、男と女、ゲイかゲイではないのか、そんな白と黒しか見えないモノクロのサングラスじゃ真実は見えない。ゲイアンテナなんてものが本当にあったら、ずっと前に製造中止になってただろう。墓穴を掘りたくない方は、黙ってiPhoneを買うべきなのしれない。

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