前回からの続きです。
大学時代のキャシーは。
毎日のように、ノンケ友達と飲み歩いては、遊んでばかりの日々でした。
自分とはまだ向き合えていなかったので、将来のことも考えませんでした。
就活なんてしたところで、きっと何も胸を張って言えるものがありませんでした。
その時に、決めたのがこの留学でした。
そう。
逃げるための留学だったんです。
しかし、このときを境に、キャシーの生活が激変してきます。
大学3年生のときでした。
当時、mixiがブームを起こし始めていて。
キャシーも暇つぶしに手を出してみたのです。
もちろん、ノンケとしてやっていました。
ところが、ふとしたきっかけでゲイの人と友達になっちゃったんです。
日記上でのコメント交換から始まって、メールをするようになり。
ついには、会うことに至りました。
でも、キャシーは自分をノンケと偽ったままでした。
相手はゲイだと打ち明けて、接してくれているのに。
自分は嘘をついているのです。
その嘘を明かせないまま、彼の友達と友達になったりして。
一緒にゲイバーに行ったり、ゲイイベントに顔を出すようにもなりました。
こうして、ゲイ友達がどんどん増えていったわけです。
ゲイなのに、ノンケと偽って、ゲイの社会に生きる。
こんな変なことってあるのでしょうか。
しかし、この状態をキャシーは1年半も続けてしまったのです。
ゲイ社会の特徴として。
思わぬところで、自分の友達同士が友達だったりするんです。
要は世界が狭いんですよね。
僕も、大学内で突然レズビアンの子に声をかけられちゃったんです。
どうやら、同性愛関係の講演会に行ったことをどこかから知ったみたいで。
「あたしレズビアンなんだけど、あなたゲイなの?」
って、話になりました。
僕は何よりビックリして。
「いや・・・。ノンケだけど、ゲイの友人がいるんだ。」
としか答えられませんでした。
この台詞は、言うたびに重くなってきて。
去年の8月、ついに謝罪と共に、ゲイだとカミングアウトすることに決めました。
このカミングアウトは、今まで言えなかった友人へのカミングアウトであると同時に。
自分へのカミングアウトともなりました。
外に一歩、大きく踏み出したわけです。
友人の反応はというと。
「キャシーがゲイでよかった。なんで今まで言ってくれなかったの?」
と優しいものから。
「ゲイをバカにするんじゃないよ!」
とガツンとしたものまで様々でした。
一番キャシーが自分の口でカミングアウトしたかった人たちに。
噂という形で、このカミングアウトが伝わってしまうという出来事もありました。
その友人からは、電話口で怒鳴られて。
どうにも言えなくて、悔しくて。
公園でわんわん、別の友人に泣きついたりしました。
自分が過ごした中でも、一番灼熱の夏だったと思います。
この夏、ちょうど東京のゲイパレードである東京プライドもありました。
キャシーは運よく、パレードに参加することが出来て。
ゲイとして、東京の中心街を歩いたのです。
そこから見る景色は、今までと違っていました。
この景色が・・・
ゲイでも、こうして前を向いて歩いていっていいんだ!
っていう勇気に繋がっていきました。
こうして、キャシーは無事にゲイとしての生活をスタートさせました!
運命の出会いと引っ張った割には、案外あさっりでガッカリさせちゃったかしら。
でも、キャシーにとっては運命だったんです。
キャシーのゲイデビュー後は、デビュー前より波乱万丈でした。
父の死、大学との抗争、母へのカミングアウトと・・・
たった1年で、めまぐるしく何もかもが変わってしまったのです。
その話は、また次回に。
また引っ張ってしまって申し訳ないですが、お付き合いいただけると幸いです。