トロントのゲイ男性を狙った連続殺人事件について

「ゲイ男性を狙った連続殺人犯が逮捕された!」

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118日、ソーシャルメディアはそのヘッドラインで埋め尽くされていた。逮捕された容疑者のBruce McArthur66歳のトロント郊外に住み、ゲイコミュニティの一員でもある。庭師である彼は、植木鉢に遺体を埋めていたようで、今も残りの遺体を見つけようと捜査が進行中である。逮捕時、彼は二人を殺害した容疑で逮捕されたが、今この記事を書いている時点で判明している犠牲者の数は五人まで増えている。そして、これから増える可能性もある。これからの捜査でもっと情報が集まるにつれて、事件の全貌も見えてくるはずだ。

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2010年から2012年の頃から、トロントのゲイコミュニティで複数のゲイ男性が失踪していて、ゲイ男性を狙った連続殺人が起きているのではないかという噂が流れていた。実際、コミュニティ側は度々ゲイヴィレッジ内外にポスターを貼ったり、ソーシャルメディアで呼びかけたりしていたが、問題解決には至らず、その間にも失踪者の数は増え続けた。2017年、プライドも終わった頃、Andrew Kinsmanが失踪したというニュースがソーシャルメディアを駆け回った。AndrewToronto People With AIDS Foundationのアクティブなボランティアで、コミュニティ内でのネットワークも広かったおかげか、ゲイ男性失踪問題が再び脚光を浴びるきっかけとなった。Andrewが失踪して約一月後、トロント市警は本格的にゲイ男性の失踪問題の捜査に乗り出した。

逮捕直後、一部のメディアはBruce容疑者を「彼が連続殺人犯だなんて誰も予想が出来なかった」と祭り上げた。しかし、逮捕後すぐに容疑者と失踪者の間に多くのリンクがあると明らかになっていった。まず、Bruce容疑者には鉄パイプで人を殴って重傷を負わせたという前科があり、それが理由でゲイタウンを含むトロントダウンタウンの一部に行くことや男性セックスワーカーと関わりを持つことを禁じられていたという。また、Bruce容疑者は2010年に失踪したSkandaraj Navaratnamと恋愛関係にあったようで、二人はFacebook上でも友達で、共通の友人もその事実を知っていたとわかった。

こうした情報が広がると共に、コミュニティ内からトロント市警に対する批判も強まった。2010年からゲイコミュニティ内で連続殺人が起きているかもしれないという声が上がっていたのにも関わらず、どうして2017年まで本格的な捜査が始まらなかったのか。今まで失踪した男性たちの多くが有色人種で、白人のAndrew Kinsmanが失踪してやっとトロント市警が真剣に対応したのはどうしてなのか。わかりやすいリンクがあったにも関わらず、2018年までBruce容疑者を逮捕できなかったのはなぜか。そして、もっとトロント市警が早く動いていれば、ここまで多くの犠牲者が出ずに済んだのではないか。2016年のトロント市警によるアグレッシブなハッテン場摘発や、ホームレスのトランス女性の遺体が発見されたことを数ヶ月コミュニティに伝えていなかったことなど、ここ数年、警察とコミュニティとの確執が強まっていたこともあり、トロント市長のJohn Toryは直々にLGBTコミュニティとタウンホール会議を行うとした

この大事件はトロントのゲイコミュニティに大きな衝撃を与えたのは間違いない。コミュニティ団体はカウンセリングサービスやサポートグループを提供しているが、この傷が癒えるまで相当な時間がかかるだろう。とりあえず今は、容疑者が逮捕されたことでこれ以上犠牲者が出ないことを祈りたい。

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