先進国カナダの陰、外国人労働者問題の続き。

先日書いた記事、「カナダの奴隷たちを自分で読み返して。

前回お話しできなかった部分も紹介しようと思い、その続きをもう少し書きます。

そんな前回の記事では、人権が保証されているというイメージを持つカナダという国で。

いかにタイの人々が悪質な個人や企業に騙され、劣悪な労働環境下にあるかについて書きました。

こういった問題に直面するのは、タイ人だけではなく、メキシコ人労働者も同じではありますが。

メキシコ人労働者の場合、既に多くの人々がその問題に着目していて、より多くのサポートがある状況です。

しかし、タイ人労働者の場合は言語の問題もより深刻で、サポートも他に比べると少ないんです。

そんな今日は、キャシーが聞いたさらに信じられない話です。

キャシーが勤める団体は、カナダで働くタイ人労働者のために様々な教育やサポートを提供していますが。

ダウンタウンを拠点とするうちの団体の力だけでは、なかなか効果的にサポートしてあげられないのが現状です。

なぜなら、オンタリオ州で働く多くのタイ人労働者は、ダウンタウンから車で数時間の郊外に居るからです。

だから、私たちは一緒に彼らにサポートを提供できる他団体たちと協力してサービスを提供しています。

少し前のこと、某外国人労働者サポート団体が外国人労働者のためにヘルスフェアを開くということで。

うちの団体も、情報やサービスを展示して、ワークショップができないか交渉したところ。

「ヘルスフェアなので、セーファーセックスとセクシュアルヘルスの話だけしてください。」

と、妙な条件を突きつけられたんです。

一見筋が通っているこの条件、現場で働くキャシーからすると全然的外れ。

セーファーセックスを心がけるには、まずは生活環境や自尊心の向上が必要で。

相手の抱える問題を理解し、その問題を取り除かなければ、ヘルスなんて話はしても効果が薄いんです。

たとえば、キャシーがカナダに来たばかりのゲイの方のためにワークショップをやるときは。

ゲイタウンの場所や情報、カナダのゲイカルチャーなどに、セーファーセックスも交えて話します。

このように、多くのHIV/AIDSの団体はセーファーセックス情報以外にも、様々なサポート情報を共に提供します。

そして、彼らはうちの団体が配ろうとしてたパンフレットに目を通して。

「労働組合に関する情報が載った情報は、私たちのフェアでは配らないでください。」

と、どう考えてもおかしいことを言うんですよね。

労働組合といえば、労働者の権利を守ったり、獲得するためのシステムで。

外国人労働者が法律に見合った労働環境下で働くためにも、労働組合の存在は非常に大きいんです。

逆に企業としては、支出も多くなり、従業員の権利も増すため、無い方がビジネスはしやすかったりします。

カナダは、アメリカに比べても、労働組合が発達していて、労働組合を優先した法律も多く存在します。

うちの団体長も、それを聞いて何かおかしいと勘づいて。

いろいろと他団体に状況を説明して、少し調査を行ったわけです。

そしたら、こんなありえない事実が判明しました。

実はこの外国人労働者サポート団体、企業からの補助金でサービスを行っています。

つまり、表面上では外国人労働者をサポートしていても、企業に都合の悪い情報は提供しないんです。

カナダの中でも、外国人労働者のために活動している名のある団体の実態がこれじゃ、本当に悲しい。

うちの団体は、結局彼らの条件を承諾することはなく、そのフェアに参加することを諦めました。

労働組合というシステム自体、カナダに来たばかりのタイ人労働者にとっては馴染みのないもの。

特に劣悪企業やリクルーターは、彼らに労働組合のことは信じるなと繰り返し教育することが多く。

その時点で既に、カナダの労働組合法に反しているわけですが。

自社に労働組合を入れたくない、または今ある労働組合を排除したい企業は隠れてやるわけです。

過去に、キャシーの同僚は労働組合のなかった企業で働くタイ人労働者を助けるため。

労働組合の情報を彼らに提供し、結果的にその企業は労働組合を導入することになったわけです。

しかし、企業より労働組合を信じるなと教育されたタイ人労働者たちの中には、それに反抗する人も居て。

タイ人労働者内から情報が漏れ、労働組合に加担したグループのリーダー格の人が解雇される形となりました。

カナダの労働組合法からすれば、労働組合に加担したから解雇ということはもちろん法律違反です。

この時点で、もちろん責められるのはキャシーの同僚。

「労働組合が入ったのに、何も変わらないし、仲間も解雇されたぞ!」

と、誰を信じて良いかわからなく、裏切られたと考え始めるタイ人労働者たち。

最終的に、労働組合の働きにより、その解雇された人は職場に戻れたらしいんですが。

キャシーの同僚は、その時の状況は本当につらかったと語っていました。

今この記事を書いてても、本当に怒りが収まらないくらい。

この社会ってなんでこんななんだろうって、落胆というか、失望というか、なんとも言えないあたし。

こんな問題って、発展途上国や遠い昔のことで、先進的なカナダとは無縁だと思っていたのに。

時代が変わっても、場所が変わっても、人がやることというのはそう簡単に変わらないんですね。

キャシーは収入もあるし、家族への仕送りもしなくていいし、友達もたくさんいて、生活に困っていません。

だから、こんな問題が車で4時間離れた場所で起こっていても無視しようと思えば簡単に無視できます。

むしろ、無視した方が、きっと素敵なレストランで食べる食事や華やかなパーティもより楽しめるでしょう。

でも、自分が口にしているものがその劣悪企業で働かされている人たちの作った野菜や肉と考えると。

やはり、自分もその問題に加担しているわけで、無視では済まされないと思うわけです。

無視せずに知ろうとすることって、最初のステップでもあって、大事なことであるとキャシーは信じていて。

とても一筋縄には行きませんが、まずは学ぶこと、考えることから始めたいと思います。

先進国カナダの陰、外国人労働者問題の続き。” への1件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    子供の頃、初海外旅行先がカナダでした。アルバータ州の自然、ビクトリアの華やかさ、そしてトロント…以来、私にとってカナダは憧れの地です。
    留学経験のあった亡き父は、何も言わずにいろいろな国へ旅行に連れて行ってくれましたが、本当は世界は多種多様だという意識を持たせたかったのかなぁと、大人になってから感じています。
    実際、学生時代に英語圏に一ヶ月ほど短期留学もどきをした時、会話についていけず無視され、ひどい時はもういいよと言わんばかりにバイバイと手を振られたこともありました。
    その一方で、ある国の人からは「日本人は親切だけど、私たちの国をバカにしている。あなたは本当に私と友達になってくれるのか。」と面と向かって言われたこともあります。
    結局行き着く先は、「どういう教育を受けてきたか(どういう環境で育ってきたか)」なんですよね。だからどうしても国の問題とは切り離しにくい…。
    ショックだったけれど、カナダの別の面を教えていただき、ありがとうございました。
    (なんか、まとまりがなくなっちゃった…。ごめんなさい。)

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