ゲイパレードの精神とトロントプライドの戦い。

先日のトロントプライドについての記事の続き、というか現状報告です。

反イスラエルのLGBTグループがプライドパレードへの参加を禁止したプライドトロント団体。

いくら財政難でスポンサーが文句を言おうとコミュニティはそれに黙っているわけもなく。

ついに、コミュニティ側とプライドトロント団体の戦いが始まりました。

キャシーが日本から戻り、時差ボケのまま仕事先のメールをチェックすると。

自分が勤める団体の創立者からメールが入っていて、その内容にお口ポカーンなあたし。

「今回のプライドトロント団体の決断は、プライドの精神に反するものであり。わたしは、プライドトロント団体より奨励賞をいただき、今年のプライドパレードを引率することが決まっておりましたが、残念ながら、この状況下では、辞退を申し出ることしか選択肢はありません。」

と、名誉ある奨励賞を辞退してしまった彼。

そのまま、緊急会議が職場で開かれ。

「今年のプライドトロント団体の行為に対して、我が団体の創立者のように、私たちも何かしらのポジションを取る必要があります。皆さんどう思いますか?では、キャシーから。」

とか、時差ボケでボーっとしてたあたしにいきなり視線が集まって。

「え?ええ?あー、えーっと、キャシーは、まだ事態をよく理解していないので、個人的に調査を行って、まずは僕自身の立場を見極めて、さらに、この団体にとって一番相応しい立場も考えて、後ほど報告します。」

とか、妙にキレたこと言っちゃったあたくし。

やだ。時差ボケ効果?

っていうか、この発言のおかげで、仕事が増えて。

プライドトロント団体の行為に反対して発足された。

“プライドの言論の自由を守る会”に参加したキャシー。

仕事の後、彼らの会議に参加してきたんですが、もうビックリ。

トロントで活躍する大物アクティビストたちがこぞって集まっていて。

もうキャシーとか、一番端っこで小さくなって、話だけ聞いておりました。

とりあえず、会議の内容から、必要な情報だけメモを取って。

さらなる情報も集めに、その次の週に行われる記者会見に参加することを決めたキャシー。

その記者会見というのが、また凄くて。

過去に、トロントプライド団体に奨励賞をもらった20人のアクティビストたちと。

今年の奨励賞を辞退したうちの団体の創立者を含む2人が。

その奨励賞をプライドトロント団体に返却するという記者会見でした。

月曜日の朝10時だというのに、会場には100人近く集まっていて。

LGBT関係のメディアだけではなく、トロントのローカルテレビ局まで取材に来ていて。

「またテレビ映っちゃうよ」って嫌な予感がしてたキャシー。

以前、テレビに映って親戚にゲイバレしかかったんです。

もう会場に居るので、引き返せずに、そのまま参加するしかないあたし。

記者会見に来た全員が素晴らしいスピーチを発表し、会場が大興奮に包まれた後。

そのまま、トロントプライド団体へ贈られる“羞恥賞”を抱えて。

みんなでマーチを始めました。

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この真ん中の方が抱えているのが、その賞。

みんなで、レインボーフラッグを掲げて、声を合わせて。

「プライドは誰のもの?」

「あたしたちのもの!」

って叫びながら、トロントプライド団体のオフィスまでマーチしたあたしたち。

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この一軒家が、トロントプライド団体のオフィス。

ドアをノックしても、誰も開けてくれないので。

そのまま、私たちはドアの前に、羞恥賞と返却された奨励賞を置きました。

トロントのハッテン車窓から・・・

本当、ジョークの効いた抗議活動です。

何も言えずに帰るのは、ちょっと味気なかったのか。

そこに集まったアクティビストたちは、即興で抗議の歌を歌い始め。

抗議活動とは思えないくらい、和やかな雰囲気で、その朝はそれで終わりました。

ちなみに、パトカーが3台も駆けつけたのですが、警察官は取り扱いに困っておりました。

トロントのハッテン車窓から・・・

これがその抗議ソングを歌っている様子です。

その日、このニュースはトロントの各ローカルテレビ局で流れました。

キャシーの姿と共に。。。

この映像にキャシーは映ってませんが、参考までに。

その記者会見の後。

プライドトロント団体は公式ページに。

「奨励賞の返却は残念ですが、私たちの立場は変えられません。」

と、抗議活動を認識しつつ、意見を変えるつもりはないと発表しました。

そして、あたしはその日のうちにうちの団体のトップと一対一で会議をし。

トロントプライド団体の行為に対しては反対で。

個人的にプライドはボイコットしたいこと。

そして、団体が取る立場として、中立を守りつつ、派手なフロートや演出はせず。

シンプルなマーチだけに徹することで、コミュニティ色を打ち出すべきだと伝えました。

その夜、プライドトロント団体の取締役は、テレビで生中継でインタビューを受けて。

それと同じ時間に、トロントのゲイタウンにあるチャーチコミュニティセンターでは。

コミュニティ会議が開かれ、500人以上の人が集まってこの問題について議論しました。

その会議のあと、チャーチストリートの車道をそのままマーチしたんです。

トロントのハッテン車窓から・・・

もうなんか凄いことになってきたわね。

キャシーも一緒にマーチしたんですが。

久しぶりに、心に熱いものを感じました。

これこそ、本物のプライドパレードなのではないのでしょうか?

コミュニティが一丸になって、納得のいかない問題に抗議して、一緒に歩く。

これがゲイパレード、もしくはプライドパレードの原点で、その精神そのものです。

その夜、キャシーはこんなメッセージを友人全員に向けて公開しました。

普段はブログに英語は載せませんが、雰囲気がよくわかると思うので、今回は特別。

I feel Pride more than actual Pride right now. Toronto is a very progressed city in terms of queer rights, but it still contains lots of issues which we need to face. The things happening right now is a good start to look at that. I’m very proud of Toronto’s LGBT community after seeing all the activists and their positive energy today. It reminded me again what being a gay is about. Thank you for a wonderful day.

和訳:
私は今、実際のプライドより、”プライド”を感じています。トロントは確かに、LGBT問題に関しては先進的ですが、未だにこの社会には私たちが戦わなきゃいけない問題がたくさんあります。今起きている一連の騒動は、それらの問題に向かい合うスタートになるでしょう。私は今日のトロントのアクティビストたちと彼らのポジティブなエナジーを見て、今とても誇りに思います。そのおかげで、今更ながら「ゲイとして生きる」意味を思い出しました。素晴らしい一日をありがとうございます。

結局、ここまでコミュニティが騒いでも、まだ片付いていないこの問題。

キャシーとしては、もうプライドごとキャンセルしてもいいと思っているくらいです。

ええっ。いつになく強気なあたしですが。

トロントプライドは一度原点に戻るべきだと思うんです。

このまま、スポンサーの言うことに従ってたら。

いくらプライドが大きくなろうと。

そのうちスターバックスパレードとかに名前変えられちゃうでしょ?

それでも、私たちのパレードだって、胸を張って歩けるっていうわけ?あたしは無理よ。

プライドとは、コミュニティーの、コミュニティーによる、コミュニティーのためのイベントです。

もしお金がないんならみんなで集まって。

チャーチストリートで踊るだけでもいいんじゃない?

今日の時点で、プライド開始まで16日です。

皮肉にも、今回が30周年のトロントプライド、果たしてどうなるのでしょうか?

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