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『ジェンダー、トイレ、そして、ユニバーサルデザイン』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第7回 テキスト by 桜井弓月

4 4月

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第7回 ジェンダー、トイレ、そして、ユニバーサルデザイン(2017/11/12)

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

 

キャシー:「まめたさんと言えばトイレ」っていう話をしたいと思ってて(笑)。

 

まめた:うん(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。これ、10年前の話なんだけど、まめたさんがレインボーカレッジの会議でトイレの話をしていて、カミングアウトしたばかりで全然右も左も分からないゲイ男性の自分は、全然トイレっていうことを考えたことがまったくなかったのね、その日まで。まめたさんが会議の中でトイレの話をしていて、すごく、「こんなにも経験が違うんだ」っていう。シスジェンダーとトランスジェンダーの間で。その話をすごい今でも覚えていて、だから「まめたさんと言えばトイレ」っていう話をしたんだけど。響きとしてはすごい悪いんだけど(笑)。

 

まめた:懐かしいよね。当時、たしかね、「パレードにみんなで行こう」みたいな話とかをしてた。代々木公園のパレード会場で、トランスの人が、男子用トイレと女子用トイレしかなくて、どっちにも行きづらいトランスの人たちがトイレを探して旅に出るみたいな状況になっちゃってて、それをすごいミーティングで喋ってた記憶がある。

 

きゃしー:あー、それかもしれないね。

 

まめた:何か、LGBTのイベントと言いながら「トイレがない!」とか言って、「トイレよこせ!」とか言って(笑)。

 

キャシー:はっはっは(笑)。「トイレよこせ!」って? でも、すごい問題だよね、それ。

 

まめた:大問題だよ。何かもう、永遠に言ってて、パレードが開かれるたびに「トイレどうするんだ」みたいなことを毎年言ってて。

 

キャシー:うん。

 

まめた:最近の東京のプライド・パレードは人が増えたので、そもそもトイレの数が足りないとか、他にもいろいろ理由があって、建設現場に置いてあるような個室トイレがたくさんバーッと並んでて、それで解決されるっていう。トランスのことだけじゃなくて、他の理由もあって変わったみたいな、そういう感じでしたね。

 

キャシー:うん。

 

まめた:というわけで、トイレ問題でございます。

 

キャシー:トイレ問題。トイレどうですか、最近?

 

まめた:トイレ、面白くて……面白くも何ともないんだけど、いま10月の終わりじゃないですか。

 

キャシー:はい。

 

まめた:服の枚数が増えたんですよ。目安があって、毎年、栗ごはんの季節になるとよくなるんですけど、5月ぐらいから9月ぐらいまで半袖とかじゃん? で、着る服の枚数が減ると、自分の中では体の線みたいなのがすごい目立つ気がして、男子としてパス……男子としてちゃんと自分が見えるかみたいなのが結構微妙な時期なんですよ。だから、いま10月の後半になって、服とか2枚も3枚も着てたりとかして、全体的にモコモコしてくると、安心して男子トイレとか入っても大丈夫だなみたいな。だから、外出先がちょっと楽になったみたいな。

 

キャシー:はあ。

 

まめた:人がいても大丈夫、みたいな。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:季節的に……季節によって、服の枚数によって周りからの扱われ方が微妙に変わる気がする。

 

キャシー:まめたさん、普段は男子トイレを使ってるって言ってたけど。

 

まめた:えっとね、見た目によって変えたりとか、えっと、職場は女子職員として入ったので女子トイレなんですよ。でも、それはすごく自分は嫌だし、周りも、お客さんとかで鉢合わせして困ることがあって、すごい問題なんだけど、職場は女子トイレと男子トイレしかなくって。で、仕事以外の場面だと、入れそうだったら男子トイレだし、難しそうだったらファミリーマートとか、コンビニのトイレを使うことが多い。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:何かその、性別で区切ってないような、そういうとこ探したりとか、すごい不便だけど、ずっとこれだから……毎日毎日これ。

 

キャシー:ほんとに不便だよね、それは。フェアじゃない。

 

まめた:そう。トイレが基準で行動するわけ。

 

キャシー:うん。

 

まめた:例えば、新宿駅とか、そういう大きい駅の中に入ってるカフェとかではあんまりお茶をしなくって。

 

キャシー:うん。

 

まめた:何でかって言うと、例えばタリーズコーヒーとかドトールコーヒーとか小さい店舗だと、店の中にトイレがあって、だいたい男女共用なんですよ。

 

キャシー:そうだね、うん。

 

まめた:だけど、新宿のルミネとかさ、そういうところに行くと、まずトイレに人が並んでるわけ。外にあって、男女別のトイレで。人が並んでいるところに行くと、自分が男子じゃないっていうふうに言われるんじゃないかとか、トランスであることがばれるんじゃないかとかすごい気になって、あんまり使いやすくないから、それだったら別のとこでお茶したほうがいいやって思う。

 

キャシー:いま日本でジェンダーフリートイレとかは増えてるの?

 

まめた:もともと結構探せばあって、コンビニとか、ドトールとか居酒屋とか、場所によるけど。探せばある。ただ、LGBT向けに増えてるとか、そういうことではないと思う。

 

キャシー:うーん。例えば結構トロントだと最近レストランとかカフェとか、昔は男女別でトイレがあったんだけど、いまはサインとかを全部取って、「どっちもトイレ」っていうところが増えてる。実際、個室が2個あったら男女別にする必要がそこまでないじゃない?

 

まめた:そう思うんだよね。

 

キャシー:うん、そう。例えばレストランとかならね。そういうところとかは、最近結構ジェンダーフリーのトイレも増えていて、僕がこっちの大学で仕事してるじゃない? そうした大きい施設だと、絶対にオールジェンダートイレが設置されていて、例えば、このフロアとこのフロアとこのフロアには、オールジェンダートイレがここら辺にありますよ、みたいな、そういうサインとかも結構増えてる。

 

まめた:この前、カナダのブリティッシュコロンビアから来ている人の話を聞いたときに驚いたのは、カナダの学校は結構もうニュートラルな、ただの個室トイレがバーンと並んでる学校が増えてるとか、それだけじゃなくて驚いたのは、病院。病院って、日本だと男性用の大部屋と女性用の大部屋が、性別で大部屋が分かれてることが多いんだけど、カナダの病院って、ただの大部屋があって、その中に別に性別で分けたりとかせずに、何人とか、そこに患者さんがいるみたいな、そういう入院の仕方なんだっていうのを聞いて、そういうのありなんだと思って結構びっくりしたんだよね。

 

キャシー:はあ。

 

まめた:別に分けなくたって、ちゃんとプライバシーが守られれば問題ないわけだから、そのほうが逆に合理的に、こっちのトイレは人が並んでて、こっちのトイレは人が空いてて、とか、こっちの部屋は空いてて、こっちの部屋は混んでて、とか、そういうのがなくなるかもしれないし、ひょっとしたら合理的なのかもしれないと思って。

 

キャシー:カナダの病院、行ったことないから全然知らなかった。

 

まめた:あ、そうなんだ? 行ったことないほうがいいよね。

 

キャシー:行ったことないほうがいいんだけど、うん。ははは(笑)。ジェンダーフリートイレっていうのが、数年前に結構問題になって。トロント大学で結構強めにジェンダーフリートイレを推し進めてた棟があって、全フロアでジェンダーフリートイレを導入したのかな。したあとに、痴漢問題が発生して、盗撮された人とか、覗き見されたとか、そういう事件が結構増えて、一部のトイレをまたジェンダー別に戻したのかな、たしか。で、こうなってくると、すごく政治的な問題になってきて、「何でそうした選択を覆すんだ!」みたいな、その決断にすごく両方から圧力がかかって、すごい難しい立場に立っていたのを覚えていて。ジェンダーフリートイレとかオールジェンダートイレとか、絶対必要な部分だと思うんだけど、社会の中で女性っていう立場を忘れてはいけないなっていうのを思っていて。例えば、痴漢っていう問題がすごい多いから、ジェンダー別のトイレも必要なのかなっていう、ジェンダー別のトイレも共存していかなきゃいけないのかなっていうのを思っていて。

 

まめた:何か、あれだよね、ジェンダーフリートイレもそうだし、自分のジェンダーアイデンティティに基づいてトイレを使おうってなったときに、トランス女性の人とかがさ、女性トイレを職場で使わせてもらえないみたいな、いま日本でそういう裁判やってて、経済通産省の職員でトランス女性の人がいるんだけど、その人が職場で女子トイレを……もともと女子トイレを使ってたんだけど、他の職員から苦情があって、結局、みんなの理解とか許可がないと女子トイレを使えない、みたいな話になっちゃって、それでいま裁判をやってるんだよね。結局、何か、分けることが安全だっていうふうに思ってる人たちにとって、トランスの人とか、ジェンダーニュートラルにするってことが安全でないみたいなふうに思ってる人たちがいて、犯罪とか、そういうのをどういうふうに防ぐかみたいなことってすごい大事だし、その辺の不安感みたいなものって、トランス女性のことに関しては別に犯罪を犯すわけでも何でもなくて、普通に使ってもらえたら全然いいんだけど、それを分かってもらうことが大事だと思うんだけど、安全って、すごい難しいよね。

 

キャシー:難しい。安全っていう問題プラス、誰がどのトイレを使っていいのかってポリーシングをしてる問題も出てくるわけじゃない? 例えば、女性トイレっていうジェンダーのトイレがあって、そこに誰が入れるのかっていうのを誰が決めるのかっていう部分になってくるから、うーん……こうした、施設のデザインは、本当に難しい。大学の施設でプレイヤースペースっていうのがあって、休憩中とか、お祈りに来るスペースがあるんだけど、そのスペースを、本来、どの宗教とか、宗教に限らず、ちょっと来てメディテーション、瞑想したいっていう人たちにも使えるスペースになってるんだけど、やっぱり実際に使う人たちが結構みんなイスラム教徒の人たちが多いわけよ。で、生徒たちからのリクエストがあって、何もプロセスなしに、いきなり女性・男性用に分かれたスペースになってしまって、すごく大問題になったっていう。例えば、イスラム教徒の生徒たちのリクエストだと、ジェンダーを分けてほしいっていうリクエストがあって、学校側は何もちゃんとプロセスをせずに「はい、はい」って言って分けちゃったっていう。こういうときに問題になってくるのが、宗教とジェンダー、どっちも人権法の下に守られていて、どっちを優先するのかとかになってきて。

 

まめた:それはもう宗教の中で考えるしかないよね。何かさ、イスラム教でLGBTの人たちのお祈りとかやってるグループがあるけど、そういう中の実践で考えるところがないと、なかなか難しいよね。

 

キャシー:うん。トロントにユニティーモスクっていう、LGBTのコミュニティがやっているイスラム教徒のグループがあるんだけど、その人たちがお祈りするとき、いつもやってるのが、僕、右左が分からないから合ってるか分からないけど、男性としてアイデンティファイしてる人たちは右に来て、女性としてアイデンティファイしてる人たちは左に来て、分けずに間に来た人は間で、みたいな、そうした感じでスペースを使ったりとか。うーん、でも、やっぱりなかなか正しい答えがない問題だから、すごい難しい問題で。スペースっていう……。トイレとかも同じなんだけど、ほんとに、トイレを囲んでいる社会に問題がありすぎて、どうスペースをデザインすればそうした問題を全部解決できるのかっていう部分があって、デザインだけで問題をすべて解決できるわけじゃないから、痴漢問題をどう対策していくかとか、誰がトイレに入って来れるかっていう、そうした視点とかをほんとにチャレンジしないと、使いやすいトイレっていう、誰でも使いやすいスペースって出来上がらないかなあっていうのを思っていて。

 

まめた:思い出したのがね、いまから8年ぐらい前に、やっぱりLGBTの若者のイベントをやったんですよ。で、そのときも私は吠えて、「トイレをちゃんとやらないとイベントとして意味がない」とか言って。建物が2階建てで、1階を当日ディスカッションに使う予定で、そこは施設に掛け合って、もともとは男女別トイレだったんだけど、その日は上から紙を貼って「どっちを使ってもいいですよ」みたいな、そういうふうに変えてもらったんですよ。当時付き合ってた彼女が、私が一生懸命それを実現したのに、男女共用トイレが嫌だったらしくて、こっそり2階か3階に行って女子トイレを使ってるところを見ちゃったんですよ。自分はこれだけ一生懸命作ったんだけど、やっぱり嫌な人は嫌なんだってことを、それを見てすごいショックを受けたことがあって。何だろう……やっぱ、分けたい人はすごい分けたいよね。あんなに努力して作ったのに、結局そうか、と思って。

 

キャシー:ジェンダーフリートイレがあったんだけど、みんな結局、上の階に行ってジェンダー別のトイレを使ってたっていう。

 

まめた:使ってる人がいて、こともあろうか付き合ってる人だったっていう。

 

キャシー:ははは(笑)。でも、僕もね、怒られるかもしれないんだけど、基本的にジェンダーフリートイレはちょっと……トイレ自体が個人的に苦手なスペースでもあって。いまの職場のトイレ、おしっこするところがすごく近くて、腕と腕が触るぐらい近くて、隣の人と。

 

まめた:近すぎでしょ。

 

キャシー:そう。何も隔てるものがなくて。トイレが子どものときから苦手な場所で。ジェンダーフリートイレとかも、結構いっつも、こっちにあるジェンダーフリートイレって、オールジェンダー、プラス障害者向けのバリアフリーのトイレみたいになってるんだけど、僕、鍵の付け方が分からなくて、ロックのシステムが分からなくて、自分が座ってる場所からドアがあんまり遠いと不安になっちゃって座れないのね(笑)。誰かが入って来たらどうしようっていう不安に勝てなくて、そういうトイレは絶対いつも避けてる(笑)。ほんとに全然違う話なんだけど。ユニバーサルデザインのはずなのに、ロックが不安っていう。

 

まめた:あれだよ、思い出したんだけど、台湾の市役所に2年ぐらい前に行ったことがあって、そこはエリアが二つ分かれてるんですよ。で、一つは男女共用エリアで、さらに女性専用エリアがあって、入口が二つに分かれてて、女性のほうに入ると通常の個室がたくさん並んでる女子トイレがあって、男女共用エリアに入ると、個室の洋式便器と男子の小便器の個室とか、子連れの人が使えるトイレとか、車椅子用のトイレとか、いろんなトイレがその中に並んでて、好きなやつを選ぶみたいな、そういう分け方をしてあったの。どうしても女子だけのほうがいいって人は女子トイレのエリアを使うし、「ちょっと面白そうだし、いろんなトイレがあるし、そっち使おうかな」みたいな人たちも結構いて。そっちのほうが、いろんなバリエーションがあるほうから選べるみたいなふうになってて、それがすごい面白かったんだよね。みんな使いやすいトイレって結構違ってたりしてさ、洋式がいい人もいれば、洋式はあんまり好きじゃない人もいるかもしれないし。

 

キャシー:そうそう。

 

まめた:使いやすいトイレを選ぶとか、あと、車椅子の人とかも……日本トイレ協会っていう人たちとこの前一緒にイベントやったんだけど、最近のトレンドは、機能別にどんどん分けたほうが実はいいってことを言ってて、多機能トイレってさ、着替える用の簡易ベッドがあったりとか、車椅子の人が使えるようなスペースがあったりとか、オストメイト用があったりとかして、際限なくでかくなるわけ、どんどん。でも、でかくなるとさ、たくさん作れないじゃん? だから、オストメイトの人はこれで、車椅子の人はスペースが必要だからこういう感じで、とかみたいな、種類をたくさん作ったほうが実はいいんじゃないかみたいな話し合いがあって。性別とはまた全然違う視点なんだけど、トイレって実はもっといろいろ種類があってもいいのかもみたいなことを最近考えてる。

 

キャシー:その話からユニバーサルデザインの話に持って行きたいんだけど、ユニバーサルデザインっていう考え方、どう?

 

まめた:自分は、みんながあまり考えずに、しれっと使えるトイレが一番いいと思ってるから、一番好きなトイレは、コンビニのただのトイレが一番好きだし、シンプル イズ ベストというか、ユニバーサルなふうに思うけど、障害がある人にとって、ファミリーマートのトイレって結構広めに作ってあって使えたりとかするし、そういうのが増えたらいいなと思ってるんだよね。それだけだと難しいのかなっていう気持ちもあって難しいんだけど。

 

キャシー:うん。ユニバーサルデザインっていう考え方自体が……いま仕事をしてる職場で障害をすごい勉強してる人たちが結構いっぱいいて、政府の施設だからこうしたユニバーサルデザインってすごい大事な部分なんだけど、考え方に問題を感じている人も結構いっぱいいて、ユニバーサルデザインって、「みんなが使いやすいトイレ」とか、「みんなが使えるバリアフリー」とか、そういう考え方じゃない? でも、その「みんな」っていうのが、すごい便利な言葉じゃない? 誰が「みんな」を決めるのかっていう部分とかもいっぱいあって、コンセプトとしてはすごい素敵なコンセプトなんだけど、なかなか現実で登場するデザインがユニバーサルじゃないことが多くて。例えば、散々、車椅子の人たちが使いやすいスペースをデザインしようとしてるのに、最後の最後でドアの開き方が間違っているとか、実際に使えないとか、あと例えば一番その施設が必要な人たちの声がなかなか反映されずに、「みんな」っていうところが勝ってしまうことが多くて、ユニバーサルデザイン、コンセプトとしてはすごい素敵なコンセプトなんだけど、やっぱり当事者の声をもっと聴かないと、トイレに限らず、ほんとにいろんなデザインの部分でもっとクリティカルにユニバーサルデザインを考えていかなきゃいけないなっていうのを思っていて。

 

まめた:それじゃない感があるよね。みんなで考えて、公募して「これにしました!」とか言って、「いやいや、でも一番困ってる人の意見を一番聴くほうがいいんじゃないの?」と思ったりとかさ。

 

キャシー:そうそうそう。だから、トロント大学の痴漢問題とかも、ジェンダーフリートイレを推し進めたときに女性の声がどこまで届いたのかなと思っていて。

 

まめた:何かさ、「何対何対何ぐらい」とかにしたらいいんじゃん?

 

キャシー:そうそうそう。でも、いきなりそういった……こうしたでかい組織とかさ、全然進まない課題があったり、パッと進んじゃう課題があったりとかして、難しいんだよね、バランスが。だから、プレイヤースペースとか、ジェンダーフリートイレとか、ほんとにコンサルタントが声を出す間もなく変わってしまったりとかするときがあって、もうちょっと時間を掛けて考えてほしかったなっていう。あと、例えばジェンダーフリートイレがあって、オールジェンダートイレでいろんな種類のトイレがあって、隣に女性専用のトイレがあったとして、また文句を言う人たちがいっぱい登場するわけじゃない? 「女性をなんで優先するんだ!」っていう声も登場したりするし。ほんとにいろんな方向から圧力が来るから、どの声を聞いたらいいかっていうのを現場の人たちが分かってるのかどうかっていうのも、ちょっと不安な部分もあって。

 

まめた:女性専用車両みたいなのが日本にあるわけだけどさ、最初にできたときはすごい嫌だったの。何でそんな……そもそも性別で区切る場所がこの星にまた増えたみたいなことをね、たしか高校のときだったんだけど、思って、すごい嫌だったんだけど、この前ネットを見てたら、ほんとに痴漢にすごいたくさん遭ってきた経験がある人がいて、その車両に乗れば痴漢に遭わないと思うとホッとする、みたいな話があって、全然、言うなら、別に女性専用車両があることによって痴漢が減るわけではないし、別にそれが何かの解決に役立ってるとは思わないけど、そういう人にとっては必要なんだみたいな話を聞くと、「そうかあ」みたいなところもあって。理想から言えばそんなのなかったほうがいいと思ってるんだけど、それがあることで安心するとか、そうじゃないとほんとに困るっていう話を聞くと、「そこまでだったら、まあ、そうかあ」って思う部分もあって。悩ましいよね。

 

キャシー:悩ましいね。

 

まめた:自分が鉄道会社の社長とかだったらさ、そういうの、あんまり導入したくない気持ちになるしさ。

 

キャシー:女性専用車両とか、本来、ほんとに何もそうした差別とか偏見とかがない社会だったら、ジェンダーフリートイレとかユニバーサルデザインとかを導入したら成功すると思うのよ。でも、やっぱり、いまの状態だと、バンドエイドデザインっていうのも加えないと、社会問題が解決してない状態でジェンダーフリートイレとか導入しちゃうと、やっぱり痴漢とかにほんとに日々悩んでる人たちにとってはあんまりセーフじゃないスペースだったりするし。ユニバーサルデザインも、障害を持つ人たちに対する偏見とか差別とかある状態で導入しちゃうと、やっぱりなかなかちゃんとしたユニバーサルデザインじゃなくて、欠けてるユニバーサルデザインになっちゃうから。ユニバーサルデザイン、プラス、反差別の姿勢をどんどん導入していきたいっていうのを思っていて。

 

まめた:あれだよね、まず性犯罪とか性暴力のやつを何とかせんとあかんよね。

 

キャシー:ほんとに、うん。女性専用車両もいつかはほんとになくなってほしい。でも、なくなる理由が、ほんとに性犯罪がなくなったっていう理由で、なくなってほしい。

 

まめた:新しい、いろんなね、LGBTの人が使いやすいようなマークとかを導入した例がさ、たびたび日本で炎上してて。例えば渋谷区で「誰でもトイレ」に付けられたいろんなアイコン、男性に見える人と女性に見える人と、間に半分男性で半分女性のイラストで、しかもレインボーに入れられた第3のキャラクターが間に入ってるデザインで、それが半分男で半分女でレインボーみたいなのが当事者の反感を買ったりとか。

 

キャシー:ははは、買うよね(笑)。

 

まめた:デザインで揉めてて、最近。

 

キャシー:うん。

 

まめた:この前もある大学で、ジェンダーニュートラルなトイレを作ったんだけど、たぶん半分冗談で、スカートで髭が生えてる人のアイコンとか、角刈りでリボンが付いてる人のアイコンとかが入ってて、たぶんシャレで付けたと思うんだけど、そのシャレの誰でも感が当事者からしたらムカついたらしくて、それも炎上してたりとかして。何だろう……目立たせたいとか、「新しいことをやった」みたいなことを、そういうイラストとかで表すとだいたい失敗するっていうのが最近の日本で相次いでいる事件ですね。

 

キャシー:うーん。アイコンはね、難しいよ。

 

まめた:トイレって書けばいいと思うんだよ。

 

キャシー:ほんとにね。だって、女性と男性のマークでさえさ、すごい問題、女性はスカートで男性は……色とかも、それだけでも問題がいっぱいあるのにさ、みんなを表現しようとしてアイコンを作るのは……誰も得しないよね。カナダのオールジェンダーデザイン、どうなってるんだろう。ちょっと、いろいろ見てみる。どういうアイコンをみんな使ってるのか。というわけで、今回の収録、アライの話とトイレの話、カタカナ3文字の話を二つしたんですけど、どうでした?

 

まめた:そうだね、トイレの話が面白かった。トイレの話をあちこちですることがいまだに多くて、そのたびに「新たなアイデアとかをそんなに求めてないんです」って話とかをすごい一生懸命してるんだけど、何だろうな……一つの解決策ですべてがうまくいくっていうふうに思わないっていうのは、これは結構大事な考え方なのかなって。そういう気付きがありましたね。用を足せれば何でもいいんだけど、なかなかそうなってないからさ、世の中が。シンプルに用を足したいだけなのに性暴力とか性別で分けるとか、いろんなバリアがあるわけで。そういうのなくなって、単に用を足したいだけだから。早くそれが実現すればいいなと思います。ほんとだよ。

 

キャシー:ほんとだね。あと、あんまり派手なトイレにされたら入りづらいよね。派手なアイコンとかあったら(笑)。ほんとに、トイレは静かに使いたい。はい、それでは、今回も楽しい収録ありがとうございました。

 

まめた:ありがとうございました。

 

キャシー:それでは、ツイッターとフェイスブックでまた話をしましょう。

 

まめた:はい。また今度。お疲れ様でした。

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『保毛尾田保毛男騒動とアライシップ』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第6回 テキスト by 桜井弓月

4 4月

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第6回 保毛尾田保毛男騒動とアライシップ(2017/11/12)

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キャシー:この前さあ、前回の収録、結構かなり前だったんだけど、まめたさん、高校に戻るとか言ってたじゃん? 高校に戻って講演をするって言ってたじゃん? どうだった?

 

まめた:それがねえ、面白くて。高校に行ったら、ほぼ全員知り合いの先生がずらっと座ってるわけよ。すごい喋りづらくって。自分が高校のときに、例えば「セーラー服が嫌だ!」とか言って先生に相談をして、「いやいや、そんなの今だけだよ」みたいな。その先生とか真ん前に座ってて。すっごい喋りづらかったんだけど、全体的な反応としては、「卒業生がよくこんな、逆にいろいろ学ぶ機会を提供したりとかして、懐かしいわね」みたいな感じでなごやかに進み、やりづらさはすごくあったけど、ちゃんと自分のふるさとみたいなとこに戻って、ちゃんとこういう日が来て良かったなと思ったね。

 

キャシー:あー、いいね。なごやかな雰囲気の中でも、ちゃんとハードな話はできた?

 

まめた:そうそう、結構話して。実際、キリスト教の学校なんだけど、キリスト教の中でもLGBTに対してあんまり、受け入れるっていうか、OKだっていう考え方の先生もいれば、それはどうなのみたいな先生もいる中だったので、他の学校で、例えばクリスチャンで教会に行ってて、そのことをどうやって話したらいいか悩んでる子のエピソードとかを入れて、ちゃんと考えたほうがいいんじゃないかってことで、そのへんもちょっと触れたりはした。

 

キャシー:すごい、あの、お疲れ様です。すごい、気まずい講演だね、それは(笑)。

 

まめた:部屋に入って行ったら、担任の先生が「ハグしたい」って言ってきたんで、何か、「うーん、それはちょっとあとで」みたいな。

 

キャシー:はっはっは(笑)。

 

まめた:ノリがよく分からなくて困っちゃった。

 

キャシー:結局ハグはしたの?

 

まめた:ハグしなかった。忘れちゃった(笑)。

 

キャシー:まあ、しなくてもいいよ。大丈夫だよ。

 

まめた:何か思い出したんだけど、キリスト教の学校だったから、結構クリスチャンの先生が多いの。で、自分がいろんな学校にLGBTの話で呼ばれても、自分の母校はずっと呼ばれなかったから、先生が「イエス・キリストが故郷では受け入れられなかったように、あなたも、うちの高校では呼ばれないだろう」みたいなことを前に喋ってたことがあって。

 

キャシー:あはは(笑)。

 

まめた:聖書を引用されて、「呼ばれることはないでしょう」みたいなことを言われたことがあって。でもちゃんと呼ばれたので、良かったなと思いました。

 

キャシー:それは、褒め言葉なの? はっはっはっは(笑)。

 

まめた:分かんない(笑)。でも、その先生としては呼んでほしかったみたいだけどね。

 

キャシー:その先生は来てほしかった?

 

まめた:その先生は来てほしくて、励ますつもりで聖書を引用したのかもしれない。

 

キャシー:あぁ。それなら、まあ、キリストとして誇らしく……あの……ごめん、全然聖書分からないから、そんなジョーク言わないほうが良かった。でも、いい仕事してますね、相変わらず。

 

まめた:最近どうですか?

 

キャシー:最近はね、ちょっと休憩しなきゃっていう。仕事プラス家事プラス、ボランティア、プラス、パートナーと犬のオーナーみたいな(笑)。その責任を全部ジャグリングしながら生きてるので、ちょっと、うーん、お休みすることを学ばなきゃっていう。というわけで、本当は先週収録する予定だったんだけど、土曜日の夜にすごい風邪をこじらせて、この声じゃ喋れないと思って。でも、ちょっとブレーキをかけて休んでいこうと思う。前回のエピソードの最後に、アライの話をしようっていう話をしてたじゃない? どう? 「アライ」って、いま、浸透してる? 言葉として。

 

まめた:アライね。LGBTの用語集の中ではすごい上のほうにくるよね。一般の社会でアライって言われても、「人の名前ですか? 荒井さんですか?」みたいな。

 

キャシー:そうそう、荒井さん(笑)。

 

まめた:一般の人が知ってるかって言ったら、どうだろうって感じだけど、「LGBT知ってるよ」みたいな、講演とか聴くと「アライになろう!」みたいな、「自分、アライなんですよ」みたいな言葉はよく使われる。日本はそんな感じかな。

 

キャシー:じゃあ、まめたさんが講演とか行ったときに「アライってなんですか?」って聞かれたら、どう答える?

 

まめた:あんまりアライって言葉を積極的に私は使わないんだけど、アライって言葉に関しては、一般的には「LGBTの理解者」とか「支援者」っていうふうに使うけど、単に理解するっていうだけじゃなくて、「ちゃんと当事者の人と一緒に何かができる人」みたいなところで、そういう言葉かなあっていうふうに説明はするよね。

 

キャシー:何で「アライ」は使わないの?

 

まめた:何か、言葉が増えるのが嫌いなんですよ。

 

キャシー:はっはっは(笑)。

 

まめた:カタカナをなるべく増やしたくないな。

 

キャシー:うーん! カタカナ増えたら、どんどん難しくなるもんね、コンセプトが。

 

まめた:うん。あとね、「理解者なんです」って現れる人がたまにいて、すごい怪しいなと思って見ちゃうので、そういう言葉は別に……何だろう、あることで便利な部分もあるかもしれないけど、積極的に使いたいかって言ったら、どうだろうなあ、みたいなとこなんだよね。

 

キャシー:うーん、何か、あれだね、たしかに「アライです」って来られたら、ちょっと一歩引くよね。

 

まめた:大丈夫かなって思うよね。

 

キャシー:一応、僕が「アライ」を使うときは、アライっていう言葉で人を指すというよりも、アライシップみたいな感じで、アライという姿勢の話をするほうが多いかな。

 

まめた:アライシップっていうのは?

 

キャシー:他人に対して理解を示すとか支援をするとか、一緒に問題解決の手助けをするみたいな、そういう姿勢がアライかなっていうのを個人的には考えていて、アライっていう帽子があるわけではなくて、アライっていう行動というのかな、姿勢とか行動とか、そういう部分にフォーカスをするようにしていて。ワークショップをしていて、例えばグループの中にLGBTの人たちと、そうではない人たちがいて、LGBTはLGBTのアイデンティティがあって、「そうではない人は、かわいそうだから、君たちにもアライというアイデンティティをあげよう」みたいな感じになると、本当に変な方向に行っちゃうから。そうではなくて、「もうちょっと深くアライっていうことを考えよう」みたいな、そういう話にできるだけ持って行く。

 

まめた:それで思い出したんだけど、この前フジテレビでさ、とんねるずの番組で、保毛尾田保毛男っていうキャラクターが出てきて、30周年で。そのキャラクターがゲイの人を揶揄した表現だとかいうことで抗議がたくさん来て、次の日にフジテレビの社長が謝罪したっていう、そういう出来事があったんだけど、そのときに結構声を上げてた人が、いわゆるLGBTの当事者とかグループ以外の人が結構声を上げてて、自治体の市長さんとか、経済評論家の勝間和代さんとか、結構いろんな人が声上げてて、それがいいなと自分は思ったんだよね。

 

キャシー:うん。もうちょっと事件の全体を教えてよ。

 

まめた:事件の全体はね、いまの40代ぐらいの人が小学生ぐらいのときに、テレビで保毛尾田保毛男っていうキャラクターがお笑い番組の中に出てて、いま40代ぐらいの人って、自分が小学生のときに、休み時間にみんながそのネタをやって笑ってるみたいなのが、つらい、苦い思い出みたいなふうに思ってる人たちが結構いたみたいで。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:とんねるずの番組の30周年記念とかでもう一回「懐かしいキャラクターが復活」みたいな感じで出てきちゃったので、いまの特に40代以上の人たちが覚えてると思うんだけど、自分が子どものときに味わったことを思い出して、それで抗議をしたってことがあったんだよね。

 

キャシー:はあ。時代の変化もあって、いろんな、当事者じゃない人たちも声を上げて抗議をしたっていう。

 

まめた:そうそう。

 

キャシー:うん。

 

まめた:で、私はWEZZYっていうウェブマガジンみたいなところで連載をしてるんだけど、そこの編集さんの、金子さんっていう人なんだけど、金子さんが結構怒って保毛尾田保毛男に関する記事を自分の名前で、金子さんの名前で記事を書いてたんだけど、彼が言ってたのは、「自分はLGBTの当事者じゃないけど、当事者にあれこれ全部言わせて戦わせるみたいなんじゃなくて、周りも声を上げないとだめだ」みたいなことをすごい言ってくれてて、何かそれはすごい大事な視点だと思って。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:いつまでも当事者団体だけが声を上げてるとかじゃなくて、みんなで考えていくっていうときに、やっぱり当事者じゃない人が声を上げることの意味とかってあると思って。アライっていうふうに、その人たちがね、金子さんとかが名乗るかどうかっていうのは分かんないんだけど、行動としてはさ、そういうふうに振る舞ってくれる人がいると、すごい、いいな。

 

キャシー:うん。で、今回の保毛尾田保毛男さん……「さん」付けたほうがいいのかな、保毛尾田保毛男さん、今回の抗議とかもあってフジテレビはどうしたの?

 

まめた:フジテレビね、謝罪して、次の日に社長が。で、そのあとですね、話し合いの場所とかを申し出したみたいで、謝罪文もわりと真摯なものが出てて、長年に渡ってこういうキャラクターで苦しめてしまったことに対してもお詫びするっていう、結構踏み込んだ内容で謝罪文が出てて、それは良かったなって、すごい思いましたね。

 

キャシー:うん。この件なんだけど、アライシップの話もしたいんだけど、フリースピーチの話もしたい。けど時間がないから、次回か、次の収録でしよう。で、話は戻るんだけど、アライとして声を上げるっていうのはすごい大事な部分、まめたさんが言ったとおり大事な部分で、やっぱりこうしたメディアとか、すごい本当に声が必要なときに、アライも一緒になって声を上げてくれるっていうのはすごい助かる部分で。例えばカナダとか北米のLGBTのムーブメントとかも、やっぱりいろんな他の団体が一緒に声を上げてくれたことで進んだ部分があって。で、そうしてアライをどんどん築いていくこともムーブメントが進んでいく要因だったのかなと思っていて。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:もうちょっとあとでアライのダメな例の話をしようと思ってたんだけど、声の上げ方みたいなのがあって、そこはちょっと難しいんだけど、声を上げることはすごい大事な部分だと思う。すごい素朴な質問なんだけど、例えば保毛尾田保毛男がダメってなって、僕が小学校のときって、中学校かな、ハードゲイっていつだったっけ?

 

まめた:あった!

 

キャシー:あったよね。あれはどうなるんだろうね。

 

まめた:そうそうそう。思い始めるとよく分かんなくて。しかも、言ったらさ、あんな誇張表現をとか言うんだけど、ああいう人いるかもしれないじゃんとかさ、いろいろ考え始めるとだんだん分かんなくなってきて。何だろう、当事者じゃない人が誇張してそういうキャラクターで、しかも完全に笑われるみたいな感じの描き方っていうのは、やっぱり正直見ててしんどいなっていうのはあるけど、ぶっちゃけハードゲイとか見てて、ちょっとなあと思うところもなくはなかったなあと思ったりとか。

 

キャシー:ハードゲイはグレーな……グレーっていうか、その……ははは(笑)。こういうメディアのリプレゼンテーションってすごい難しい部分で、どこまで……例えばハードゲイのキャラクターをやってた人が本人もゲイだったなら、また話は違うんだけど、本人はゲイじゃないからさ。ゲイコミュニティのキャラクターを使ってお金儲けしてるわけでしょ? っていう部分もあって。どうなんだろうね。ハードゲイ30周年記念みたいなときにどんな声が上がるのかちょっと楽しみ。

 

まめた:何か、ハードゲイの人さ、ゲイをダシにしていろいろ儲けたってことで、ゲイ雑誌か何かに出て、ゲイの人たちにも何かを還元したいとか言って出てましたよね。

 

キャシー:うん。還元したのかな。はははは(笑)。

 

まめた:その方向性で合ってるのか分かんないけど。

 

キャシー:ハードゲイで稼いだ収入を、例えばHIV予防啓発とかコミュニティセンターの建設とか、そういうのに役立てるなら別に話はちょっと変わるんだけど。まあ、あんまりビターになっちゃうから、じゃあ次の話に行こう!

 

まめた:はい。

 

キャシー:アライの話をしてるんだけど、もう一つ話したいのが、LGBTの中のアライ。自分がアライのときと、アライじゃないときっていうのがたくさんあって、例えばLGBTの中だと、ゲイ男性としてすごく社会的に恵まれたほうの立場にいるわけじゃない? だから、ムーブメントとかをやってたりとか、いろんなイベントとかを企画するときでも、すごく自分の立ち位置を考えなきゃいけないなといつも思っていて。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:そういうときに、自分がアライの立場を取るときも多い。例えば、先週……昨日か、パネルディスカッションみたいなのをみんなで企画していて、一人のパネリストがすごいかなり有名なゲイのフィルムメーカー、映画制作者なんだけど、その人がパネルディスカッションの2日前にメールを送ってくれて、パネルの人の名前を見て、「ゲイのおじさんがいっぱいいるから、僕抜けるわ」って言って抜けたのね。企画してるほうとしてはすごい困ったんだけど、でも助かったっていう部分もあって。やっぱり、イベントを企画するときって、なかなか完璧にコントロールできないから。例えば10人を招待して、来ちゃったのが3人のゲイのおじさんと、2人のゲイじゃない人になっちゃうとバランスが悪いから、やっぱり。でも、いまさら断れないし、みたいな。だから、その人がすごくアライとして自分の立ち位置に敏感だから、「あ、ここは自分は行かないほうがいい」っていう。その人は、それでもそのイベントに来てちゃんと他のパネリストを応援してたんだけど。それを見て、こうした考え方とか、そうやってアライとして他のLGBTの中の人たちをサポートするのって大事だなと思っていて。

 

まめた:思い出したのが、この前、京都に学生のイベントで呼ばれたんですよ。で、控室に行って、それはいろんな社会人を招いて社会人と一緒にいろいろディスカッションするっていうイベントだったんだけど、遅れて行って控室に入ったら、呼ばれている社会人がほぼみんな男だったんですよ。これはちょっとまずいなと思ったんだけど、自分は呼ばれている立場で、もうその面子でやることが決まってて、じゃあ、それをいつ指摘したらいいんだろうかみたいなことをすごい思って。結局、その日は言えないで帰ってきて、本当はそうじゃなかったら良かったなと思ったんだけど。でも、そこにいる人は全然気が付いてないかもしれないし、そういう場面って結構あるんだよね。

 

キャシー:多いね、そういうの。

 

まめた:自分がトランスだから、何だろう……何だろな、LGBTのこととかを話す機会はあるけど、そもそも女性がいないとかさ、その辺のこととかもすごい言っていかなきゃいけなかったりとかして、そういう場面はまだまだすごいあると思う。

 

キャシー:そういうときに、もし、まめたさんじゃない他の男性の人たちもそれに気づいて、「ちょっとバランス悪くない?」っていう声を上げてくれたら、もうちょっと、まめたさんに対する負担が減るんだよね。

 

まめた:そう。その他にも言わなきゃいけないことがいろいろあったから、めんどくさい人みたいに思われたらどうしよう、とか思うんだよね。

 

キャシー:そう。でも、それ多いよね。やっぱり、いろいろこうした問題が見えちゃう、そうした仕事をしてるとどんどんそうした問題が見えちゃうから、どこまで言えばいいのかみたいな部分はあって。例えば、部屋に入って問題が10個あって、でも、現実的に3個しか解決できないときに、3個しか指摘できないときに、僕は一番重要な部分を3個選んで言うんだけど、他の人も一緒になって「ここも、ちょっと、どう?」みたいな、そういう話をしてくれると、すごい問題解決が進みやすくなる。

 

まめた:気が付いてくれる人を増やしたいよね。

 

キャシー:そうだね。それもアライだよね、たぶん。当事者が指摘するまで待つっていうのは、すごくやめてほしい。ははは(笑)。それは自分にも言えることなんだけど。

 

まめた:そう。そのときは言えなかったんだよね。部屋入った瞬間に気がついたときとか、言えないよね、そういうこと。言いづらい。

 

キャシー:言いづらいよ、言いづらいよ。イベントの5分前とか、言いづらいよね。でも、そういうときに例えばイベントの5分前で何も変わらないけど、パネルの最中にその問題を指摘して、次回どう変えていけばいいのかみたいな、その話もできたらいいんだけど。それも、アライの助けが必要な部分もあったりして。

 

まめた:さっきの、ゲイの人がたくさんいてって場面なんだけど、思い出したのが、前に女性オンリーのイベントを日本で開く企画があったときに、女性の定義で揉めたことがあって。トランス女性の人がそのイベントに入れるかどうかですごい問題になっちゃったことがあって。そのときに、中野にあるLOUDっていうレズビアンとかバイセクシャル女性のセンターがあるんだけど、そこの大江さんが、その人はシスジェンダーの人なんだけど、トランスジェンダーをちゃんと仲間として入れるように、すごい一生懸命声を上げてくれて、すごい助かって。「またトランスが何か戦ってる」みたいな、LGBTコミュニティでトランスが声を上げなきゃいけないことって結構多いと思うんだけど、「トランスVSその他」みたいなのは、すごいつらいので、そこで一緒にやってくれる人がいて本当に良かったと思って。

 

キャシー:うん、それは助かるね。

 

まめた:うん、すごい良かった。

 

キャシー:そのイベントは、どうだったの?

 

まめた:今は大丈夫だと思います。分科会とかやってる、そのイベントの中で大江さんが。

 

キャシー:あの、本当に、気づいたときに当事者じゃなくても声を上げることはすごい必要だと思う。

 

まめた:いつも同じ人が声上げてると疲れるしさ。「また、あいつが声上げてるよ」みたいな。

 

キャシー:ほんと。

 

まめた:固定化される感じとか、「また言わなきゃいけない!」みたいな。言わされ感というか、言わなきゃいけないから言うけどさ、みたいな。もうちょっと負担が減るといいなってすごい思う。

 

キャシー:うん。で、ここまでさ、いろんなアライのあり方みたいな話をしてきたんだけど、ダメな例もかなりあると思うんだよね。そこはすごいほんとに難しい部分だと思っていて。どう支援すればいいのかっていう部分って、本当にちゃんと考えないと間違いをしやすい。どう? ダメな例。

 

まめた:分かりやすい例だとさ、例えば学校の先生向けに研修をして、「いい話を聞きました」と。「よく分かりました。でも、制服を変えるのは難しいから、それはまだできないんですけどね」みたいな、何か知ったり分かったっていうところで終わって、普段の行動を変えようとしないとかは、よくあるダメなアライというか、「もうちょっと頑張ってください!」みたいな。話を聴いておしまいとか、理解しておしまいじゃなくて、それは普段自分たちが過ごしてきた社会の前提とかについて考えて、もうちょっと何かを変えたりとかするところまでコミットしてくれないと、それは、何て言うのかな、ちゃんと伝わったとは言えないし、本当はそういうとこまで持って行かないと研修としてもあまり意味がないというか。ホントはそこまでやってこそかなっていうふうに、そのときすごい思って。「理解」ってすごい響きがいいから、みんな「理解」って聞くとすごいいいことだって思うんだけど、実際にその話を聴いて何か多様性のためにやろうっていうのは、もうちょっと踏み込まないとできないよね。

 

キャシー:理解するだけなら……すごい、その、ビターになっちゃうんだけど(笑)、理解するだけなら誰でもできるから、っていう部分もあって。何かしなきゃアライじゃないと思う。

 

まめた:うん。

 

キャシー:あと、例えば、理解して行動まで進む人で、耳を傾けないアライ。その時点で耳を傾けない人っていうのは、すごい危険なアライだと思うんだけど。例えばまめたさんの講演会に参加して、LGBTはこうした問題を抱えているっていうことを学んで、次のステップが「こうした解決策をすれば、きっとLGBTたちも喜ぶだろう」っていうことを勝手に考え出して、それをどんどん押し進めちゃう人。

 

まめた:いるよね。

 

キャシー:すっごい危ない。うん、いるいるいる。例えば、大学のときに、友達にカミングアウトし始めたときに、一人の友達がそんな感じで、たぶんヒーローになりたい性格の人で、僕がグループに受け入れてほしいっていうことをすごく考えていたみたいで、みんなで集まったときに勝手にカミングアウトをしてくれたわけだよ、そのグループの中で。で、周りがみんな、僕がゲイっていうことに引いてたわけじゃなくて、その子が勝手に人のすごい繊細な部分を公開したってことに引いていて。その子は自分がすごい自分が良いことをやっているっていうふうに思ってるんだけど、まったく僕のニーズには耳を傾けてない。だから、そういうアライの人たちも結構いて。それをアライとは呼ばないんだけど、僕。

 

まめた:どうしたらいいんだろうね。いろんなことに共通するよね。別にそれってさ、ゲイだからとかじゃなくてさ、他のことについてもそういうことしちゃう気がするよね。

 

キャシー:そうそうそう。何かその、ソーシャルワークとか、コミュニティワークやってるときとかは、結構その、誰かを助けたいとか、ホームレスを助けたいとか、そうしたモチベーションで来るボランティアとか結構来るのね。そういう人たちに一番最初に自分がする質問は、「何で?」っていうのが最初の質問。自分も例えばホームレスを経験したことあるから問題解決に役立ちたいとか、そういったちゃんとした理由がないと、ほんとに、雑誌で読んだ記事でホームレスはかわいそうだからっていうことを学んで何かしたいっていうところから始まると、すごい危険。やっぱり、ちゃんとニーズとか社会背景とか、ちゃんと問題自体を知らないと、いきなり入ってきて勝手に問題解決を始めると、ほんとに害しか与えないことも多い。

 

まめた:誰かを支援するって結構大変なことですよね。

 

キャシー:大変大変。

 

まめた:地震とか……日本って地震が多いからさ、震災のときとかに結構いろんな人が、やっぱ助けたいと思っていろいろ物を送ったりするけど、例えばさ、送られてきても困る物があったりとかさ、ほんとに良かれと思ってしても、逆に、それ貰ってもどこに捨てたらいいんだとか、どこに置けばいいんだとか、そういう話を聞くと、結構、支援するとか人の何か役に立つって、すごい実はスキルがいることだなってことをね、すごい思うんだよね。

 

キャシー:そう。

 

まめた:しかも、物を送るとかは目に見えるけど、LGBTのアライとかって目に見えないしさ、その辺でもうちょっと……そんなに難しいことでもない次元で、「そりゃダメだろ」みたいなことも結構あるけど。どうしたら防げるんだろうね。まあ、本人に聞きゃいいんだけどね。

 

キャシー:ははは(笑)。でも、やっぱり、例えば誰かを支援したいってときに一番シンプルな答えとしては、「どう支援すればいい?」っていう話をすればいい、って話じゃない? 個人個人で。そうした会話を続けていくっていう部分も大事だと思っていて。いきなり入ってきて声を上げるんじゃなくて、もし入ってくるなら、ほんとに座ってゆっくり話を聴いてほしい、アライとして、っていう部分があって。で、あんまり目立つ立場にどんどん行くよりも、一歩引いて周りのことを理解して、どうやって自分が役立てるのかってことを真剣に考える必要があって、それも考えて答えが出るわけじゃなくて、ほんとに考えて考えて考えて考えて、どんどん見えてくるようなものだから。これは僕自身に対する言葉でもあって、ゲイとして、アジア人のゲイとしてトロントのコミュニティで仕事をするときに、どうレズビアンとかトランスのコミュニティとかに対して支援すればいいのかとか、どう黒人とかIndigenousのコミュニティに対して支援すればいいのかとか、どう障害を持っている人たちに対する支援をすればいいのかとか、ほんとにいろんな複雑な社会の中で、自分の立ち位置からどう周りを助ければいいのかとか、どう支援すればいいのか考えなきゃいけない部分があって。で、答えはほんとにないから、分からない部分を、分からないっていうことを受け入れながら、ゆっくり進むしかない。

 

まめた:何だろう、それもそうだし、例えばゲイだったら、他の……ゲイゆえにLGBTコミュニティの中で持っちゃってる発言力とかさ、ひょっとしたらあるかもしれないじゃん? そういうのをさ、うまく他の人が喋れるように使ったりとかさ、持ってるものはうまく使ったほうがいいと思うんだよね。ちょうどこの前、異性愛者の特権リストとかシスジェンダーの特権リストみたいなのを使ってワークショップをやる機会があったんだけど、それを見たシスジェンダーの異性愛者の子が、これもすごい分かるし、プラス、「何でこの場所にいるの?」みたいなことを散々こういう勉強会に行くと聞かれるっていうことを話してて。つまり、言ったらさ、LGBTコミュニティに来て、何であなたはここにいるのかみたいなことをすごい説明しなきゃいけなくて、LGBTの当事者の人は多分そんなことは聞かれなくて、周りの人は「何で?」って聞かれないのに、彼は何をするにも「何で?」って聞かれるっていうのは、でも、普段一般社会においてLGBTの人は何をするにしても「何で?」って聞かれる、その逆の経験をしてるっていう気付きがあって。自分のそういうちょっとアウェイな経験、例えばホームレスの支援がしたいとか言って、そこに行くんだけど、自分が、何て言うか、想定されているメインの人ではなくて、一歩引いてそこにいるってことで考えること、すごい大事だなと思う。

 

キャシー:大事だね。

 

まめた:あのー、昔さ、NHKの『ハートをつなごう』って番組があって、LGBTの特集をやってたんだけど、バイセクシャルの特集がなかなかできなかったんですよ。

 

キャシー:あー、そうなんだ?

 

まめた:何でかって言うと、バイセクシャルっていうのはどう扱っていいか分からないって、番組の制作チームの人が言っていて。ゲイとかレズビアンとかトランスジェンダーだったら描きやすいんだけど、バイセクシャルっていうのは、例えば同性愛のコミュニティの中にも馴染めないとか、より複雑だみたいなことを制作チームが言っていて、でも番組に対しては「バイセクシャルもちゃんと扱ってくれ」ってメッセージがどんどん番組に寄せられるみたいなことがあって。

 

キャシー:うん。

 

まめた:結局そのときは、ホームページで座談会をやったらいいんじゃないかみたいな話になって、番組で難しいんだったら、せめてホームページ上でバイセクシャルの人を集めた何か企画をしようってことにして、そういう企画が実現したんだけど。そのときは、自分はバイセクシャルじゃないから、何していいか分からなくて、結局周りのバイの友達とかに声かけて実現したからすごい良かったと思って。何て言うのかな、何をしていいか分からないとかいうときに、そういう場を作るとかって、そんなに難しくないっていうか、まずはそういうところからやるのでもいいんだなと思って。

 

キャシー:そのバイセクシャルの番組は……番組じゃなくて座談会は、どうなったの?

 

まめた:それはね、3人のバイの人が喋るみたいな企画で、それは今もNHKのページに載ってるんだけど、わりといい内容だと思うし、いまだにメディアでバイセクシャルのことがちゃんと取り上げられることが日本はすごい少ないから、そういう意味では良かったかなと思うんだけど。ホントはテレビでやったらいいと思うんだけど。

 

キャシー:というわけで、次回予告に行きますか?

 

まめた:そうですね。

 

キャシー:リクエストがあったんだよね?

 

まめた:そう。リクエスト頂きました。普段ブログ用に字幕を付けてくれている桜井弓月さんからリクエストを頂きました。読み上げると、『以前から、トイレ問題をもう少しきちんと知りたいなと思っています。トイレって生活していく上で絶対に避けて通れないのに、多目的トイレですら必ずしも誰もが使いやすいようにはなっていないんですよね。でもこれは、あくまで私が車椅子ユーザーの視点で感じていることです。LGBT当事者の人たちもいろいろと不都合を感じているのだろうな、ということは何となく想像できるのですが、具体的な課題やニーズは、正直あまり分かっていません。「LGBT当事者の人たち」と書きましたが、素人考えでは、例えばLGBとTでは求めている方向性が違ったりするのでは? と思ったり、もっと言うと、同性愛の人やバイセクシャルの人とトイレが自分の中で結びついておらず、主にトランスジェンダーの人たちが直面している事柄なのかなあと想像してみたり。例えば、社会の意識や制度が変わって、本人が使いたいトイレが使えるようになれば解決するのか、それとも他にトイレの構造などの問題もあるのか……とか、そこら辺の課題とニーズを教えてもらえたらありがたいです。』というメッセージを頂きました。

 

キャシー:はい。

 

まめた:じゃあ、次回はトイレの話をしますかね。

 

キャシー:トイレの話をしよう。

 

まめた:そうですね。

 

キャシー:実は、「まめたさんと言えばトイレ」っていうイメージがあって。

 

まめた:ははは(笑)。

 

キャシー:この話をしたい(笑)。次回のエピソード。説明しないと、すごい変な響きなんだけど。説明させて、次の話で。あの、ごめん、ちょっと鼻がすごい詰まってて、トイレ行ってくる。

 

まめた:また今度で。

トロントのゲイ男性を狙った連続殺人事件について

1 2月

「ゲイ男性を狙った連続殺人犯が逮捕された!」

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118日、ソーシャルメディアはそのヘッドラインで埋め尽くされていた。逮捕された容疑者のBruce McArthur66歳のトロント郊外に住み、ゲイコミュニティの一員でもある。庭師である彼は、植木鉢に遺体を埋めていたようで、今も残りの遺体を見つけようと捜査が進行中である。逮捕時、彼は二人を殺害した容疑で逮捕されたが、今この記事を書いている時点で判明している犠牲者の数は五人まで増えている。そして、これから増える可能性もある。これからの捜査でもっと情報が集まるにつれて、事件の全貌も見えてくるはずだ。

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2010年から2012年の頃から、トロントのゲイコミュニティで複数のゲイ男性が失踪していて、ゲイ男性を狙った連続殺人が起きているのではないかという噂が流れていた。実際、コミュニティ側は度々ゲイヴィレッジ内外にポスターを貼ったり、ソーシャルメディアで呼びかけたりしていたが、問題解決には至らず、その間にも失踪者の数は増え続けた。2017年、プライドも終わった頃、Andrew Kinsmanが失踪したというニュースがソーシャルメディアを駆け回った。AndrewToronto People With AIDS Foundationのアクティブなボランティアで、コミュニティ内でのネットワークも広かったおかげか、ゲイ男性失踪問題が再び脚光を浴びるきっかけとなった。Andrewが失踪して約一月後、トロント市警は本格的にゲイ男性の失踪問題の捜査に乗り出した。

逮捕直後、一部のメディアはBruce容疑者を「彼が連続殺人犯だなんて誰も予想が出来なかった」と祭り上げた。しかし、逮捕後すぐに容疑者と失踪者の間に多くのリンクがあると明らかになっていった。まず、Bruce容疑者には鉄パイプで人を殴って重傷を負わせたという前科があり、それが理由でゲイタウンを含むトロントダウンタウンの一部に行くことや男性セックスワーカーと関わりを持つことを禁じられていたという。また、Bruce容疑者は2010年に失踪したSkandaraj Navaratnamと恋愛関係にあったようで、二人はFacebook上でも友達で、共通の友人もその事実を知っていたとわかった。

こうした情報が広がると共に、コミュニティ内からトロント市警に対する批判も強まった。2010年からゲイコミュニティ内で連続殺人が起きているかもしれないという声が上がっていたのにも関わらず、どうして2017年まで本格的な捜査が始まらなかったのか。今まで失踪した男性たちの多くが有色人種で、白人のAndrew Kinsmanが失踪してやっとトロント市警が真剣に対応したのはどうしてなのか。わかりやすいリンクがあったにも関わらず、2018年までBruce容疑者を逮捕できなかったのはなぜか。そして、もっとトロント市警が早く動いていれば、ここまで多くの犠牲者が出ずに済んだのではないか。2016年のトロント市警によるアグレッシブなハッテン場摘発や、ホームレスのトランス女性の遺体が発見されたことを数ヶ月コミュニティに伝えていなかったことなど、ここ数年、警察とコミュニティとの確執が強まっていたこともあり、トロント市長のJohn Toryは直々にLGBTコミュニティとタウンホール会議を行うとした

この大事件はトロントのゲイコミュニティに大きな衝撃を与えたのは間違いない。コミュニティ団体はカウンセリングサービスやサポートグループを提供しているが、この傷が癒えるまで相当な時間がかかるだろう。とりあえず今は、容疑者が逮捕されたことでこれ以上犠牲者が出ないことを祈りたい。

『他のマイノリティの人たちと一緒にいて学んだこと』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第5回 テキスト by 桜井弓月

4 11月

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第5 他のマイノリティの人たちと一緒にいて学んだこと2017/09/22

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

まめた:そう言えばドラクエの話。

 

キャシー:うん。まだプレイしてるんだけど。

 

まめた:おー。

 

キャシー:仕事が忙しくて、なかなか進められなくて。

 

まめた:ははは(笑)。

 

キャシー:で、前回のエピソードでメディアの中の話をしてたじゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:ドラクエのキャラクターが結構面白い部分で、シルビアっていうキャラクターがいて。このキャラクターがゲイなのかストレートなのか分かんないし、実際のところジェンダーもよく分からない。

 

まめた:へえ。

 

キャシー:このキャラクターを男性って呼ぶ人がいたり、小っちゃい子がいて「おねえさん」って呼んでたりとかしたり。パレードもあったりとかもして、途中で「世界が暗いから、明るくしたくて、パレードで全世界を巡る」みたいな話をしていて。かわいい男の子たちが、みんな「おねえさーん」って言ってフロートの周りをついて行ったりとかしていて。

 

まめた:ドラクエって、そういうのだっけ?(笑)

 

キャシー:そういうのじゃなかったよね(笑)。それをプレイしていて、ゲイの自分がちょっと引いている。あははははは(笑)。それぐらいテンションが高くて(笑)。すごく気に入ったんだけど。結構怖かったのが、こういうキャラクターが登場すると、笑いのネタだったり、「かわいそう」とか、すごい一面的に、すごく極端な例で描かれることが多いから。実際のキャラクターはすごくいろんな顔があって、笑いのネタでもなくて、ちゃんとプレイヤーキャラとして使えて、感じのいい描かれ方だったのかなと思って。まだ終わってないから、これから何かあるかもしれないけど。

 

まめた:あははは(笑)。

 

キャシー:あんまりネタバレはせずにいようと思うんだけど。なんだけど、もう一つ問題に気付いて。女性キャラがいっぱい登場するのね、ドラクエ。昔から、あぶない水着とか知ってる?

 

まめた:あー、知ってる!

 

キャシー:とか、あるじゃん? 女性キャラが着ると裸になったりする。今回も、そういう部分はなしにしても、キャラクターが登場するじゃない? 女性キャラが。女性キャラが登場して、性的に描かれる、性的にシーンが動いたりとか。男性的な視点、ストレートな男性の視点で女性が登場するのね。意味分かる? 胸のアップとか。

 

まめた:小学生のときに、ドラクエよくやってたんだけど、小学生のときに世界にあった一番エロいものがドラクエだった。

 

キャシー:はははははは(爆笑)。

 

まめた:女戦士とか、すごい露出が激しいし。

 

キャシー:露出激しかったよね。

 

まめた:そう。自分が見たどんなものより、ドラクエがエロかった。

 

キャシー:うんうん。そう。で、まあ、エロいのは別に、個人的には良かったんだけど。

 

まめた:そうそう。何だろう、エロさに偏りがあるよね。

 

キャシー:偏りがあるよね。その、視点に偏りがあるよねっていう話。ゲイキャラクターがもうちょっとまともになってきたっていう部分があるのと、男性的な視点がいまだにすごい根強い。

 

まめた:あれだよね、女キャラは、「女」っていうキャラクターなんだよね、たぶんね。

 

キャシー:そう。萌える妹系とか、ツンデレとか……ツンデレってまだ使われてる?

 

まめた:まだ大丈夫。

 

キャシー:すごく定番な、モテる女性とか、定番な、ストレート男性に人気な女性像がいまだにすごく強い。

 

まめた:無愛想な人とか出てきたらいいのにね。

 

キャシー:ん?

 

まめた:無愛想な女性キャラとか、どんどん出てきたらいいよね。

 

キャシー:ね! あと、女性キャラは全員すごく美人とか。そういう部分とかも、うーん、おばあちゃんの魔法使いがいたりしてもいいじゃん? あと、女性は絶対いつも回復系とか。あはははは(笑)。

 

まめた:魔法使うほうが得意なんだっけ?

 

キャシー:そういうキャラが多いね。そういうキャラがいるから、真逆の女性を作ろうとして、格闘家の女性とか女戦士とか、そういうのが登場したりして。

 

まめた:女戦士とかさあ、露出多すぎてさあ。ちゃんと守ってほしいよね、体をね。

 

キャシー:そう。あぶない水着とか、守備力高かったりするんだよね。ビスチェとか下着とか。そういう部分はやっぱり、やってて、あんまり気持ちのいい部分ではないね、個人的に。そんな感じです。また、プレイが終わったら、シルビアさんが何か面白いことやらかしたら、アップデートします。

 

まめた:報告してください(笑)。

 

キャシー:ツイッターで結構いつもいろいろ写真を撮ってアップロードしてるので。

 

まめた:おー。

 

キャシー:前回のエピソードで、次回予告するのを忘れたんですけど。

 

まめた:そうだね。

 

キャシー:そうだね。今回の話は、「他のマイノリティグループと一緒にいて気付いたこと」なんだけど、何かある?

 

まめた:自分からこのテーマを振ったんだけど、結構強烈な経験がいくつかあって、その一つはね、自分が最初に就職したところの話なんだけど、自分が就職したのって大阪の、ある屠場だったんですよ。屠場って分かる?

 

キャシー:分からない。

 

まめた:牛とか豚とかを殺して、お肉とかにする場所で自分は最初に働いてたんだわ。

 

キャシー:うん。

 

まめた:それって伝統的に被差別部落の人とかすごい多い職場で、朝出勤すると、靴を脱ぐところにでっかい看板があって、「人権を守りましょう」って書いてあるんだよね。毎朝その看板を見て職場に通ってたんだけど。そこでは自分は部落出身ではなくて、獣医師だから……一応、獣医なんだけど、獣医師としてそこに来てる人で、まあ言ったら、自分は社会的なマジョリティだったわけ。そこで働いてる人とかってさ、例えば仕事終わったあとに一緒にご飯に行ったりとかしても、「どこで働いてるんですか?」って聞かれたときに自分は答えられるけど、その人たちとかは結構答えるのがすごい難しかったりとか。自分が多数派なんだなってことを結構思わされる職場だったんだよね。

 

キャシー:うん。

 

まめた:入って2日目ぐらいのときに言われたんだけど、屠場って結構、牛とか豚を解体して加工する日があって、皮とかを加工する日があって、加工する薬品とか機械を回すときって結構においが出るんですよ。で、そのにおいに対して結構みんな無邪気に「くさいよね」とか「今日特別にくさいよね」みたいなことを言ったりするんだけど、結構それが傷つく人がいるって話を入って2日目ぐらいにされたんですよ。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:においって目に見えないじゃん? だから、小っちゃい頃から結構「くさい」とか言っていじめられたりしてる人がいて、何かその、同じ言葉でも全然意味合いが違う、と。だから、「そういう背景とかをちゃんと知って一緒にやってほしい」みたいなことを言われたことがあって。考えてみもしないことがいっぱいあるんだなってことに気が付かされたんだよね。結構さ、LGBTの運動とかやってて、自分がマイノリティである部分っていうのは結構……何だろうな、言語化する能力があったりするけど、いざマジョリティ的な立場になったときに、意外とボキャブラリーがないというか、意外と気が付かされることが多かったりとかするんだなと思って。

 

キャシー:うん。

 

まめた:本当はさ、「今日、工場のあとでくさいよね」とかってみんなで普通に言えるようになればいいと思うんだけど、いつかね。

 

キャシー:いつか。

 

まめた:そう。でも、いまは、やっぱ知らないで、全然そういう経験がない人が「くさいよね」とか言っちゃうと、すごいやっぱ、そこで意味合いが違うわけだよ。

 

キャシー:うんうんうんうん。

 

まめた:一緒に「今日くさいなあ」って言えるようになったらいいなあ、なんて思ったりもして。

 

キャシー:で、その、さっきまめたさんが話した、マイノリティとしてマジョリティの立場に立つ場合があったりとかするときに、どうすればいいのか分からなくなったりとか、そういう部分があって、まめたさんの場合、例えば「くさい」って言葉だったりとか、そこで働く人たちの経験とか様子を観察したあと、どう切り替えた?

 

まめた:そうだね。元々あんまり「くさい」とか言わないようにしようと思ってたし、あんまり言う機会もなかったんだけど、自分は逆に、自分が屠場で働いてたこととかは言える立場にあるんだなと思って、喋って大丈夫そうな人にはちょっと喋ったりとか、LGBTの講演に呼ばれたときとかに、たまに、ちょろちょろって話を混ぜたりして、すごい特別な仕事って思われがちだから、そうじゃなくて、ちょっと身近に感じてもらえるように話しようっていうふうには思ってるよね。ただ、本当にそこでずっと親子で働いてる人とか、その話できなくて、自分がたまたま部落じゃないから、いろんなところでそういう話してるんだろうなって思うよね。

 

キャシー:うーん、難しい部分だね、それすごく。で、僕の仕事とかだと、結構その、HIV陽性者とか、メンタルヘルス……いろんなメンタルヘルスの問題があったりとかする人たちと働く機会が結構多かったんだけど、昔は、自分もゲイだし、周りもゲイだから、そういうHIVとかメンタルヘルスの部分をあんまり考えてなかったのね。例えば、同じグループの中にいて、誰かが「もしHIV陽性者に出会ったら、絶対にエッチしない」とか。

 

まめた:あぁ。

 

キャシー:あと例えば、「めっちゃウツなんだよねー」とか言って、すごいカジュアルな感じに使ってる人がいたりとか、それに気付くようになってきて、グループの中でHIV陽性だったりとかメンタルヘルスで困ってたりとか悩んでる人たちが、マイノリティのグループの中でどんどん居場所がなくなっていくプロセスを目撃するようになってきて。あと、いまトロントのLGBTムーブメントの歴史の研究をちょっとしてるんだけど、この前、他の大学で研究してる人たちと一回集まっていろいろ話をしたときに、面白い部分が出てきて、よく、LGBTムーブメントってLGBTコミュニティのムーブメントだと思われがちなんだけど、実際の歴史をたどってみると意外とそうではなくて、他の被差別者に結構サポートされながらLGBTムーブメントって進んできていて。

 

まめた:うん。

 

キャシー:例えばトロントだと、一番最初のデモ行進が1981年だったと思うんだけど……82年かな。そのときに黒人の人権団体とか、南アジア人の団体だったりとか、そういう団体が集まって、一緒に人権を訴えた部分があって。で、悲しいことに、そういう歴史があるにも関わらす、いまLGBTがかなり違う場所に立っている部分があって。でも、黒人コミュニティはそこまで行ってなかったりとかして。黒人コミュニティが困ってるときに、LGBTコミュニティがどれほどそこにいるのかとか、黒人コミュニティのためのデモのときに、LGBTコミュニティがどこまで理解してるのかとか、そういう部分がすごいギャップがあって。

 

まめた:なるほどねー。

 

キャシー:うん。で、まめたさんが話してた、マイノリティとして、マジョリティとか……マジョリティとマイノリティって言葉じたい複雑なんだけど、数の問題じゃなくて、パワーの問題とか社会的な立ち位置の問題じゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:マイノリティとして有利な立ち位置になって、例えば黒人と比べたりとか、ゲイ男性としてトランスジェンダーと比べたりとか、そういう立ち位置に立ったときに、どれだけアライとしてサポートできるのかとか、どれだけ相手のコミュニティの形成に役立てるのかとか、そういう部分をいますごい考えていて。

 

まめた:うん。

 

キャシー:だから、部落差別とか、そうした、あまり……うん、どう? すごい難しい質問なんだけど。

 

まめた:難しいんだよね。

 

キャシー:すごい難しい部分だと思う、これは。

 

まめた:当事者じゃない人が語る危険性とかさ、当事者じゃないから語れる部分とかってあったりするじゃん?

 

キャシー:うん。

 

まめた:本人は……例えば部落の人とかは、自分が部落だとか、すごい言いづらかったりするし、そうじゃないから言えてる部分とかって絶対あるし、って思うんだけど、自分は、言える立場にあるのは、逆に、失礼がない範囲で言っていくのは、一つありかなと思って。

 

キャシー:問題提示をしていく……問題提示ができる立場の人として。

 

まめた:うん、そうそう。あと何か、思い出したんだけど、大阪にいるときに在日コリアンの人とすごい仲良くなって、めちゃくちゃ仲良くなって、クリスマスにもずっと一緒におでん食べたりとかして、何でクリスマスにおでん食べてるのかよく分かんないけど。

 

キャシー:ははは(笑)。おいしいからじゃない?

 

まめた:ははは(笑)。おいしいからね(笑)。あるとき、やっぱり全然理解されないってことで、そこに集まったみんなが結構落ち込んだり怒ったりしてる日があって、確かオリンピックの話かなんかで、みんなが「すごい疎外感を感じてる」みたいな話のときに、私は日本人なんだけど、もう一人、別の日本人の人がその場所にいて、「日本人はどうなの?」ってことをその人に聞いたのね、みんなが。で、その人が「日本人的には、うーん、どうなんだろうねえ」みたいなことを言ってて、しばらく経ってから私に気が付いて、「あ、この人も日本人だった」ってなったんですよ。

 

キャシー:ははは(笑)。うん。

 

まめた:で、自分はすごい面白かったのと、日本人と思われてないんだって結構衝撃だったりとかして(笑)。その場は楽しかったんだけど、あとから考えて、自分は、何だろ、間違われて嬉しかったけど、でもやっぱり日本人だしなって思ったんですよ。日本人として、日本人にもいろいろいるってことが大事だと思って。そこで「いや、自分、日本人だけどさ」って言えたほうが良かったのかなって思ったの。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:だから、何か、何て言うのかな……自分が、部落じゃないし在日コリアンじゃないんだけど、そうじゃない人の中にいろんな人がいるっていうところを強調していくってのも、ありかなと思って。

 

キャシー:うん。

 

まめた:うん。むしろ、そこの場所で自分が日本人だって名乗り出づらかったの、すごい。何か、自分は「在日コリアンの人たちの仲間」みたいなところにいたかったんだけど、でも絶対共有してないしさ、その壁は。普段感じてることとか。

 

キャシー:そうだね。

 

まめた:そうそうそう。そこはちゃんと日本人だって思ったほうがいいなと思って。「日本人ですけど」って(笑)。「忘れられてますけど」みたいな。そのほうがいいかなって、そのとき思ったんだよね。

 

キャシー:でも、それはすごく大事な部分だよね。自分の立ち位置を本当に認識したうえで、相手の立ち位置を認識して、関係を築いていくとか、自分が属していないコミュニティにいたときに、自分の立ち位置をちゃんと認識していないと、ほんとに気付かずにいろんな失礼なことだったりとか、相手が傷つくような言動を取ってしまうことが、結構あると思うのね。よく人権教育とかやるときとかも、一番最初に始めるのが自分の立ち位置を知ること。それが最初のことが多い。

 

まめた:うんうん、そうだよね。

 

キャシー:昔シェアしたことないと思うんだけど、昔働いてた団体で、きっかけとかあんまり覚えてないんだけど、某大学がセックスワーカーのスピーカーとかを招いて講演をやったんだけど、その内容がとても問題で、「セックスワーカーはみんな被害者で、困ってる」っていう話をしに来たのね。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:で、そういうセックスワーカーがいるのは確かなんだけど、そうではないセックスワーカーがいるのも確かなのに、その部分をまったく喋っていなかったっていう部分があって、それに対する反省会みたいなのがあったのね。で、どんなきっかけか覚えてないけど、それに連れて行かれて、仕事のおかげで。

 

まめた:おー。

 

キャシー:で、15人ぐらいいたのかな、部屋の中に。15人いる部屋の中で僕一人、男性(笑)。シスゲイ男性が。自分、セックスワーカーでもないし、すごく……何でだろうねって話だよね。でも、もう勢いでついて行っちゃったから。勢いで連れて行かれから、仕事でね。だから、そこに座って話を聞くしかない。そのミーティングの最中に、何か言ったほうがいいのかなっていう考えをずっとしていて。やっぱり仕事できたんだから何か言わなきゃっていうプレッシャーを感じてたんだけど、途中から、でも自分が何か言っても何も貢献できないし、自分が話すことでスペースを占領してしまうから、っていう部分を考慮して、ずっと無言だったのね。で、ミーティングの最中に、みんな結構 ”We are all women” とか、そういうコメントが飛び出して。

 

まめた:はははは(笑)。

 

キャシー:誰かが「あそこに男性も一人いるよ」って、そんな気まずい流れが結構何回かあって(笑)。もうほんとに、家帰りたいとずっと思ってて(笑)。ははは(笑)。そんな話があった。でも、その経験がすごく、自分の立ち位置の認識に役立ったのかなと思っていて、その経験のあとからは、すごくいつも、会議とかミーティングとかワークショップとか講演とか行ったときに、「いま自分はどこにいるんだろう」っていうのを確認してから話をするようにしてる。

 

まめた:なるほどね。すごいね。

 

キャシー:その気まずさ(笑)。

 

まめた:気まずさがね。

 

キャシー:うん。で、聞こうと思ってたんだけど、BIPOC(バイポック)って知ってる?

 

まめた:知らない。

 

キャシー:QTBIPOC(キューティーバイポック)とか、聞いたことない?

 

まめた:全然分かんない。

 

キャシー:あぁ。一応説明すると、BがBlackで、IがIndigenousで。

 

まめた:うん。people of color?

 

キャシー:people of color、そう! ははは(笑)。

 

まめた:ははは(笑)。なるほど。

 

キャシー:すごい! 鋭い(笑)。BIPOCっていうのは、黒人、先住民、それと有色人種。QTBIPOCは、どう? 分かる?

 

まめた:難易度が上がったね。BIPOCにQとTがついてて、たぶんqueerとtrans?

 

キャシー:そう。で、いま、ラディカルなほうかなと思うんだけど、コミュニティで使われてる言葉がBIPOCとか、クィア、トランスのコミュニティだとQTBIPOCっていう言葉がよく使われていて。で、この言葉がとても波紋を招いているというか、呼んでいるというか、問題になっている。まずみんな、何でBlackが最初なの? っていう。

 

まめた:あぁ。

 

キャシー:BとIが何で最初なの? っていうところにみんな引っかかって。だって、BってPOCじゃないの? っていう。

 

まめた:あ、そうそうそう。そう思った。

 

キャシー:ってことをみんな聞くのね。あと、例えばレイシズムの話をするときに、よくレイシズムとアンチ・ブラック・レイシズムの話をしたりするんだけど、何でレイシズムの他にアンチ・ブラック・レイシズムがあるの? っていう話になるのね。

 

まめた:つまり、Blackだけさらに強調してるってこと?

 

キャシー:そうそうそうそう。それにすごく違和感を感じてるコミュニティの人がいっぱいいて、それを説明するのが結構大変だったりするんだけど。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:で、Indigenousとかも、昔はほんとに全然話に含まれていなかった人種で、先住民がどれだけ不利な立場にいるのかっていう話があまりされてこなかったから、こうやって、B・I・P・O・Cって並んでるっていう意味合いがほんとにすごい強くて、かなり政治的な言葉で。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:うん。いまほんとに大学とかに行くと、QTBIPOCイベントとかがかなりメジャーになってきてる。

 

まめた:へえ。QTが付くっていうのは、どういう流れで付いたの?

 

キャシー:BIPOCがもっと全体的なコミュニティで、ほんとにクィアとトランスだけのコミュニティとかイベントやりたいときとかはQTBIPOCって付いたりする。で、個人的に気付いたのが、こういうBIPOCとか、ほんとに全体的なイベントやるときとかも、かなりクィアとかトランスの人たちが参加してることが多くて。

 

まめた:へえ。

 

キャシー:うん。だから、比較的新しいムーブメントっていうか言葉なんだけど、いろんなコミュニティが一緒に集まって、人種問題とかそれ以外の差別・偏見に取り組むようなイベントとかスペース作りとか、そういう感じで、昔みたいにLGBTとかゲイ&レズビアンよりかなり、もっとインクルーシブなムーブメントになっていて。

 

まめた:すごいね。覚えた。キューティービー……

 

キャシー:そう(笑)。QTバイポックっていう。

 

まめた:バイポックね、はいはいはい。

 

キャシー:少し前までPOCってずっと使われていて、Iがなかったのね。IってPOCに入らないから。

 

まめた:あ、そうなんだね。

 

キャシー:うん、そう。昔はQPOCっていう言葉がよく使われてたの。Tもなかったの。

 

まめた:ふーん。

 

キャシー:そう、だから、言葉の変化もすごく面白い部分。

 

まめた:あれだよね、台湾とかもさ、先住民の人とLGBTのコミュニティが結構一緒にやったりするよね。

 

キャシー:あ、そうなの?

 

まめた:うんうん。台湾では「先住民」じゃなくて「原住民」っていうんだけど、結構たくさんいろんな民族の人たちが元々住んでて、その人たちが結構歴史的にすごい迫害とかされてて、その人たちの人権の回復みたいなところとLGBTのことっていうのは、運動やってる人たちが一緒にやってきたところがあるような話を聞いて。いまの台湾の総統の人が、蔡英文っていう人が台湾の総統やってるんだけど、彼女も原住民のクオーターだってことを話してて、同性婚とかの推進とか応援とかも彼女はしてるんだけど、同時にそういうことにも取り組んだりとかして、ちょっと似てるのかなと思ったりしたの。

 

キャシー:うん。

 

まめた:あと、あれだよね、原住民の歌手の阿妹(アーメイ)っていう人がいるんだけど、その人もすごい、プライドのベントで歌ったりとかして、結構距離感が近いですね。

 

キャシー:それはいいね。

 

まめた:うん。あと何かね、原住民に対するこれまでの取り組みを謝ったりとかして、蔡英文が。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:すごいなと思って。

 

キャシー:で、それと似てるんだけど、今年トロントのプライドの先頭を歩いたのが、Indigenousのコミュニティ。モントリオールのカナダ・プライドに行って来て。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:その先頭を歩いたのも、Indigenousのコミュニティだったんだけど……

 

まめた:すごいね。

 

キャシー:だったんだけど、今まであんまり存在感がなかったコミュニティ、まったく取り組みがされてなかったコミュニティをいきなりバン! と先頭に持って来て、「今年はIndigenousをサポートしますよ」みたいな、そんな勢いを感じてるんだけど、これが今年で終わったら悲しいなっていう部分があって。

 

まめた:それは悲しいね。

 

キャシー:それが終わるかもしれないっていう、終わる可能性がかなり高いっていう部分とかも感じていて。やっぱり、プライドとかコミュニティの運営とか、上の方が結構白人ばっかりなのね。有色人種のスペースとか、Indigenousのプログラミングとか、もっとラディカルなほうの部分はサポートされづらい部分があって。ブログでもちょっと問題を書いたんだけど、モントリオールで今年初めて有色人種のためのステージが開催されて、そのステージに警察が入ってきて、マリファナを吸ってた黒人の少年を逮捕して……ステージの最中に逮捕して。

 

まめた:すごいね。

 

キャシー:マリファナ吸ってるの、ほんとにもう、その子だけじゃないのね。いっぱい他の人も吸ってるのに、その子だけ逮捕された、みたいな。

 

まめた:狙われちゃったみたいな。

 

キャシー:すっごい大きい問題になって。やっぱりほんとに、ギャップがあるなっていう。うーん。

 

まめた:何かあれだよね、インクルーシブにしようって部分と、全然そうじゃない部分と両方あるって感じだよね。

 

キャシー:そうそうそうそうそう。ただ単に、居場所を作ったりとか、ただ単に受け入れようっていう、そういうインクルーシブは絶対にうまくいかないのはもう分かってるはずなんだけど。

 

まめた:根本的なところがね。そういうリアリティがあるっていうところと、でも、目指したいっていうところと。

 

キャシー:そうそうそう。LGBTのコミュニティとしてそれを経験してきたにもかかわらず、それを他のコミュニティにやってしまうっていう悲しさがあって。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:例えば、トロントのLGBTコミュニティセンターが新しいレクレーション……レクセンターみたいな、スポーツセンターを立てるのね。それを立てるために、低所得層とかが住んでるスペースにあるセンターを取り壊して、LGBTのスポーツセンターを立てることになって。

 

まめた:あぁ……悲しい……。

 

キャシー:で、かなり問題になって。でも、実際それに声を上げる人たちがすごい反感を買ってしまう現象が起きて。例えば「LGBTコミュニティが何でそんなLGBTコミュニティのためのスペースを邪魔するんだ!」とか。

 

まめた:あぁ……。

 

キャシー:あと、低所得層には移民とかが多いから、「こいつらはホモフォビアとかトランスフォビアが多いから、いいじゃないか」みたいな、そういう意見とかも出て来て。もう、すごく、かなり……(苦笑)。

 

まめた:そこで争わせないでほしいよね。

 

キャシー:そうそうそうそう。すごい悲しい状況になって。だから、現在進行形で、問題解決に持っていこうっていう話が進んでるんだけど。でも、そういう悲しい部分はあるよね。

 

まめた:何かその、頑張ってやろうっていう部分の話と、ギャップがすごいある。

 

キャシー:他のコミュニティを踏んで上まで行きたいのか、みたいな。

 

まめた:日本にいるとさ、そこまで、残念ながら運動がそもそもインクルーシブな印象がなかったりとか、カナダのほうがいろんな多様性について視点がある気がするんだけど、それでも一方さ、落差というか、現実に起きてること、ギャップがすごいあるなあと思って。

 

キャシー:うんうん。どうしたらいい? ははは(笑)。

 

まめた:でも、両方あるってことが現実だなって思うし。いつもそういう、矛盾みたいなのはあるよね。

 

キャシー:あるね。まとめじゃないけど、自分がマイノリティだからって、他のマイノリティのグループたちと同じ経験をしてるわけでもない。差別がまったく同じではないし、偏見が同じでもないし、個人が経験してることは違うっていう部分を知ることは大事で、ゲイが受ける差別とトランスが受ける差別は違うし、アジア系の自分が受ける差別と、黒人とかインディジネスのコミュニティが受ける差別は違うし、そういう部分を認識して、ちゃんと耳を傾けられることは大事だよね。

 

まめた:うん、そうだよね。

 

キャシー:うん、何か、難しい話をしたね、今日は。

 

まめた:うん。でも何か、あれだね、いろいろ問題が起きてディスカッションして深まっていく部分があるっていうのは、すごいいいことだと思って。

 

キャシー:うん。

 

まめた:だから、こういう話をもっと、いろんな場所でしていくのがいいと思うんだよね。

 

キャシー:そうだね。

 

まめた:はい。

 

キャシー:というわけで。

 

まめた:というわけで。

 

キャシー:エピソード5、今回エピソード4と5を一緒に収録したんだけど、どうでした?

 

まめた:そうだね……だいぶ収録に緊張しなくなってきて、最初の頃はほんとに部屋の片づけから始めて、すごいドキドキしてたんだけど、何か余裕を持って喋れるようになって。

 

キャシー:うん。あ、まだ部屋片づけてるの? はっはっは(笑)。

 

まめた:今日、掃除機かけたんだけど。

 

キャシー:はははは(笑)。

 

まめた:映らないんだけどね(笑)。

 

キャシー:映らない(笑)。

 

まめた:ははは(笑)。いろんな話ができて、いいよね。何かその……デミセクシャルの話もね。

 

キャシー:うん、そうだね。あと、なかなかこういう話を……ごめん、全然考えがまとまってない(笑)。

 

まめた:ははは(笑)。

 

キャシー:ははは(笑)。一応、このpodcastさ、LGBTの話プラス、すごい多様な話をしていくじゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:あと、他の問題がどう交差していくのかっていう話をするじゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:こういう話は、日本の今のLGBTのメディアとか講演会とかプライドとか、いろんなプラットホームでされてる?

 

まめた:どうでしょうね。「引きこもりとLGBT」みたいな話は、たまにそういうところで喋ったりとか、あと何があったかな。

 

キャシー:この前、記事で「年収100万円、52歳ゲイ」の記事があったよね。

 

まめた:あー、ありましたね。ああいう話はあって、今年、東大でLGBTと貧困の話をしたりとかして。結構……まあ、どこまで大きく広がってるかっていうのはあるけど、例えば薬物依存のLGBTの人の「オープン・スピーカーズ・ミーティング」っていう、自分の経験を話すイベントが年2回あったりだとか、すごい行くたびに力をもらうというか、胸を打たれるというか、ひしひし来るものがあるんだけど、そういうところに足を運んだりすると、いろいろ交差してる問題とかをすごく感じたりするよね。

 

キャシー:うん。ぜひ、このpodcastでも、どんどんそういうムーブメントとか取り組みとか紹介していきたいね。

 

まめた:うんうん、そうだね。

 

キャシー:というわけで、次回どんな話がしたいですか?

 

まめた:次回、何しよっかなあ。

 

キャシー:もうちょっとカジュアルなトピックとかも全然……人種差別との戦い方とか。

 

まめた:ははははは(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。すごいカジュアル(笑)。

 

まめた:すごいカジュアルだわぁ(笑)。ははははは(笑)。カジュアルじゃねーよ!

 

キャシー:ははははは(笑)。

 

まめた:あと何があるかなあ。

 

キャシー:今日の話で、まあ、結構これまでの話でアライの話をしてきたじゃない? ちょっと、アライのあり方とか。

 

まめた:そうだね。

 

キャシー:ちょっと話をしてみたい。

 

まめた:いいねー。

 

キャシー:うん。じゃあ、次回は、アライについて話しましょうか。

 

まめた:はい。ディープだ。

 

キャシー:ディープですか? ははは(笑)。カジュアルに話しましょう(笑)。でも、結構、反響とかで、「分かりやすい」っていう。

 

まめた:ね! 「癒されてる」とか。癒される話してるのかな。

 

キャシー:うん、あの、すごく難しい話をしてるので、できるだけ分かりやすく噛み砕いて話をしていこうっていうふうに思ってるんだけど、やっぱりなかなか、テーマがテーマだから、噛み砕けない部分とかもあったりして。でも、できるだけ頑張ります。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:明日は月曜日ですよね?

 

まめた:月曜日だよ。

 

キャシー:まめたさんって、フルタイムで仕事しながら、どうやってここまで活動できてるの?

 

まめた:秘密ですよ(笑)。

 

キャシー:秘密ですか(笑)。

 

まめた:土曜日に仕事で出勤しなきゃいけないので、明日はそれで代休ですね。

 

キャシー:あ、いや、別に休みの話じゃなくて。

 

まめた:休みの話じゃないの(笑)。

 

キャシー:ほんとに。

 

まめた:いや、無理です、無理(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。

 

まめた:だから、通勤途中にコラム書いたりとかしてて。

 

キャシー:ほんとに!?

 

まめた:やばいでしょ?

 

キャシー:やばいね。

 

まめた:やばいでしょ。

 

キャシー:でも、通勤途中にメールを返してる。通勤途中、いつもメール書いてる。

 

まめた:iPhoneのおかげでね、どこでも仕事できちゃうんです。

 

キャシー:ほんとにね。昔が懐かしい。

 

まめた:ホント。恐ろしい。

 

キャシー:では!

 

まめた:はい。

 

キャシー:ゆっくり休んで、明日の講演頑張ってください。

 

まめた:はい、ありがとうございます。

 

キャシー:それでは、また来月、収録しましょう。

 

まめた:はい。またお会いしましょう。

『LGBTは日々多様化している』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第4回 テキスト by 桜井弓月

15 9月

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第4 LGBTは日々多様化している2017/09/10

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

キャシー:おはようございます。

まめた:おはようございまーす。

キャシー:いま、向こう何時ですか?

まめた:ここは、夜の9時ですね。

キャシー:夜の9時ですよね。何度ぐらいですか、いま日本。

まめた:日本はね、25度ぐらいかな。

キャシー:25度(笑)。こっちは、今朝10度。

まめた:えー、寒いね。

キャシー:すっごい寒い。残暑がまったくないという。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:というわけで、エピソード4まで来ました。

まめた:はい。

キャシー:一応これ、リスナーに対するネタバレなんですけど、このpodcast、月1収録で、月2エピソード更新みたいな感じになってます。

まめた:そうなんです、実は。

キャシー:別に隠してたわけじゃないんですけど。

まめた:(笑)。

キャシー:ははは(笑)。で、このpodcast、まめたさんと全く打ち合わせとか、Facebookでチャットしてるぐらいで、実際に話して打ち合わせする、まったくそういう機会がないので、ほんとに。

まめた:ぶっつけ本番。

キャシー:ぶっつけ本番。1ヶ月ぶりに話すよね、たぶんこれ。

まめた:そう。何かね、ひさびさ感がある。

キャシー:ひさびさだね。

まめた:うん、懐かしい。

キャシー:どう? 最近。

まめた:最近はね、何してんだろ……あ! 明日、自分が通ってた中学校と高校に行って、先生向けの研修をすることになりました。

キャシー:すごい(笑)。

まめた:怖いんだけど。はっはっは(笑)。超喋りづらいんだけど(笑)。先生みんな知ってるみたいな。

キャシー:あ、みんな知ってるんだ? すごいね。

まめた:そう。超やりづらい(笑)。

キャシー:高校とか中学のときは、カミングアウトしてたとか、いろいろそういう取り組みとかやってたの? 学校で。

まめた:いやー、先生にカミングアウトして、当時セーラー服の学校に通ってたんですけど、女子高で、制服嫌で、先生とかに言って変えてもらおうとしたんだけど、だめだったのね。っていういわくがあって。その先生とか来てるかもしれないじゃん?

キャシー:あ、そうだね。

まめた:うん。

キャシー:でも、そこから時間もだいぶ経ってるから、何か変わってるかもしれないし、変わってないかもしれないね。

まめた:そう。期待して行きたいなと思ってます。

キャシー:ぜひ来月の収録のときに結果を教えてください(笑)。

まめた:はい。最近どうですか?

キャシー:最近は、うーん、何してるんだろう、すごく忙しいです。いまオリエンテーションの時期なんですよ、トロントの。で、新しい大学生がバンバン来ていて。で、オリエンテーションのプレゼンテーションに行って、LGBTの紹介を各所でしてます。

まめた:おー。そっか、9月入学だからね。

キャシー:9月入学だから、そうそうそう。だから、前回のpodcastで話した「LGBTをどう語るか」っていう部分がとても難しくて、しかも3分の間にLGBTの説明とか、そういうことをリクエストされて、もうホント無理難題ばかりです。そんなわけで、今日の話なんですけど、前回、多様化していくLGBTのアイデンティティたちの話をしようってしてたじゃないですか。ちょっと、トロントで仕事してたときのエピソードがあって、前の仕事、結構、高校とか中学に行ったり、クラスルームだったりゲイ・ストレート・アライアンスが結構いっぱいあるから、そういうグループに直接行ってこういうワークショップやったりするんだけど、何か、若い人たちのアイデンティティがすごく細分化している。

まめた:ほー。

キャシー:うん。毎回、僕が入ってきて、LGBTのワークショップをしようってなってるんだけど、逆に僕が教わってるみたいな感じになってて。分からないから。結構、例とかをいっぱい持って来たんだけど、今日は。フレイセクシュアルって知ってる?

まめた:フレイセクシュアル?

キャシー:うん。

まめた:全然分かんない。

キャシー:全然分かんない? デミセクシュアルとか聞いたことある?

まめた:デミセクシュアルは聞いたことあるけど、説明できない。ははは(笑)。

キャシー:あー。アロマンティックとかは?

まめた:あのねー、「ア」が付くやつがいくつかあるのは知ってる。

キャシー:うん。一応、アセクシュアルは結構メジャーだと思うんだけど、性的指向がないとか、相手に性的な欲求を感じないとか、いろいろ人によって結構解釈は違うんだけど、アセクシュアルっていうのがあって。アロマンティックは親密な関係とか、そういう感情を抱かないとか、そういうアイデンティティで。デミセクシュアルは逆に、親密な関係がないと性的な欲求を抱かないとか。

まめた:ほー。

キャシー:フレイセクシュアルは、その逆。親密になっていくほど性的な欲求、性的指向がなくなっていくみたいな、そんな。

まめた:切ない。

キャシー:切ないのかな。その、個人的に、僕かなりフレイセクシュアルなほうだと思うんだけど、うん。

まめた:何かすごい、気になりますね。

キャシー:何が気になるの?

まめた:それは、付き合って長くなると、徐々に減っていくみたいな?

キャシー:そうそう。で、こういう言葉とかも、すごい新しいから、解釈とかも、たぶんかなり曖昧な場所にあって、常に新しい言葉作りがされている感じ。それと同じように、ジェンダーに関する言葉作りも最近かなり増えてきたなと思ってて、ジェンダークリエイティブとか。

まめた:クリエイティブ?

キャシー:うん。カナダに「ジェンダークリエイティブキッズ・カナダ」みたいな団体があって。

まめた:かっこいい!

キャシー:かっこいいよね。ジェンダークリエイティブっていいなと思って。

まめた:楽しそう。

キャシー:そう。で、そういう言葉がどんどん新しく生まれて来ている現象に、すごくいつもインスパイアされていて。

まめた:うんうん。

キャシー:うん。LGBTだけじゃなくて、どんどん、マイノリティの中のマイノリティとか、もっと自分により近い、より説明しやすい言葉が作られていくことについて、いま考えてる。

まめた:何かあの、でも自分も、高校生とか大学生に会うと、知らない言葉喋ってますよ。だから、デミセクシュアルとかも聞いたことあるし、だいたい毎回その意味が分かんなくて、訊いてる。で、例えばデミセクシュアルって言ってる子とか、やっぱりいたりするんだけど、毎回「どういう意味なの」とか、「何でそういうふうに名乗るようになってるのか」とか、その背景みたいなところが自分は興味があるから、訊いてみたりとかしてる。

キャシー:例えばどういう背景? シェアできる範囲で。

まめた:うーん、そうだね。例えば、友達を好きになっちゃうことが多いみたいな話をしてる子がいて、デミセクシュアルの子で。で、やっぱ仲良くなっちゃうとすごい好きになって、でも叶わないことが多いとか、そういう話をしてくれたりとか。なるほどなあと思って。

キャシー:そういう言葉とかは、浸透してる気がする?

まめた:ネットとか、特にツイッターとかでは結構見たりするんだよね。

キャシー:こっちも、北米とか、若者のそういう言葉が広がっていくのも、やっぱりタンブラーとか、ソーシャルメディアの上……みんな、すごい、ストーリーテリングとかを使って自分のアイデンティティの形成とかをしてる。すごい時代になってるね、と思って。

まめた:日本でもね、面白くって、Xジェンダーって言葉があって、カナダでなんて言うのかな。

キャシー:Xジェンダーっていうのは、どう説明する?

まめた:一応ね、「男性でも女性でもない」とか、「どちらでもある」とか、ぐらいの定義みたいなんだけど、人によって全然違うんだよね。「Xジェンダーです」って言ってる人のXジェンダーの意味は、実はその人によって結構違ってたりして。

キャシー:はあ。

まめた:その研究をしてる人がいて。

キャシー:うん。

まめた:「Xジェンダーです」って言ってる人に、それがどういう感じなのかってことを訊いてる人がいて、Xジェンダーって言葉を知ったきっかけとかは、ツイッターとかSNSとか、そういうものを通じて、例えば「男でも女でもない」とか、そういう言葉を検索するとそういうのが出てきたりとか。

キャシー:一応、Xって昔から、日本にいた頃から結構使ってた人がいっぱいいて、MtXとかFtXとか使ってた人がいて、Xジェンダーっていうのは知ってたんだけど、あんまりトロントでは使ってる人を見たことがなくて。いまよく使われているのが、ジェンダークィアか、ノンバイナリー。ノンバイナリーが「女性と男性っていう区分けに従わない」みたいな感じで、いま話してたXジェンダーに近いかもしれないんだけど、ジェンダークィアはもうちょっと政治的な部分も入ってきて。あと、アジェンダーとかもある。

まめた:アジェンダーって何?

キャシー:ミーティングのアジェンダじゃなくて、「ア」に「ジェンダー」……ジェンダー自体がない人。

まめた:日本だとね、Xジェンダーが最初に出始めたときってのは、結構トランスのコミュニティとかで語られることが多くって、自分のイメージだけど、例えばホルモン治療とか、胸を取るとかしてる人でもXジェンダーの人がいたりとかっていう印象があったんだけど、人によっては体の違和感が別になかったりとか、あと、ちょっとフェミニストっぽいと思うんだけど、典型的な「男らしさ」「女らしさ」に対するアンチの馴染めなさとか、そういうところからXジェンダーって言ってる人もいるし、意味合いは全然違うし、その人の選択してる見た目のプレゼンテーションというのは、外見とか服装とか体の捉え方とか、ほんとに一人一人違うから、面白いと言うか、聞いてみないとXジェンダーの意味が分からないんだよね。

キャシー:結構、新しい言葉に共通してるよね、そういうところは。人によって使い方が違うし、人によって解釈が違うし。トロントで研究とかしてるんだけど、サーベイの選択肢みたいなのあるじゃん? ジェンダーの選択肢。昔はmalefemaletransとか、そういう感じで書いてあったんだけど、最近はmalefemaletransnon-binaryになってきて、トランスとノンバイナリーが分かれてきた、っていう部分があって。

まめた:malefemaleにトランスは入らないの?

キャシー:あー、一応、malefemaleも場合によってはカギカッコでtranscis、どっちも、とか。

まめた:なるほどね。ほお、ほお。

キャシー:あと、詳しいサーベイになってくると、cis malecis femaleとか。あと、malefemaletransのほかに「cistransか」みたいな、そういう選択肢があったりする。

まめた:なるほど。項目がどんどん増えていくね。

キャシー:項目がどんどん増えていく。サーベイ作るときはすごく大変。やっぱり、どうやって複雑なアイデンティティたちをキャプチャーするのかみたいな感じで。

まめた:何か、自分も前に大学生に話をしてて、バイセクシュアルの人の話をしてたら、「それはパンセクシュアルじゃないか」って言われたことがあって。それは、トランスジェンダーの人を好きになったり、好きになる人の性別をあんまり問わない人の話をしてたときに、「それはバイというよりパンではないか」みたいなことを言われたことがあって、そのときちょっと考えたのが、そもそもバイセクシュアルの人たちの語りとかって、あんまり日本に暮らしててそんなに多く目にしないなってことを思ったんですよ。だから、バイって言ってる人も、バイセクシュアルの意味合いとか、どういう感じなのかってホント一人一人違ってたりするし、それを思うとLGBTとかも、トランスって言ってるけど結構違ってたりとか、やっぱり聞いてみないと分かんないなって思うとこが結構多いなと思ったんですよね。

キャシー:そのトランスとかバイセクシュアルの話なんだけど、トランスとかも、最近は「トランスジェンダー」じゃなくて、トランスに*が付いたやつ(trans*)があって。

まめた:そうそうそう。あれ、何て読むんだっけ?

キャシー:一応「トランス」なんだけど、下に……何て言うの、脚注って言うの? それでトランスのアイデンティティを全部リストアップしたりとかするし。trans* (all trans identities) みたいな、そういう感じで。あと、バイセクシュアルも面白い部分。過去に男性、女性みたいな、すごく区分けが強い時代の言葉がバイセクシュアルだと思うんだけど、最近どんどんそれが変わってきて、パンセクシュアルを使う人が増えてきた気がする。

まめた:最近、日本もそうだね。

キャシー:そう?

まめた:うん、そう思う。若い人とか特にそうだし。何であえてバイセクシュアルって名乗るんだろう。いまのネット環境とかを見て、「自分はこれかな」って見てる人にとって、たぶんパンセクシュアルの方がむしろ多く見れる言葉なんじゃないかなと思う。

キャシー:うん。

まめた:でも、20年ぐらいずっとコミュニティにいる人とかは、ずっとバイセクシュアルって言葉を大事にして使っていたりするし、その人のバイセクシュアルって言葉の深さみたいなものが自分は結構好きだったりして。だから何か、言葉は言葉であるけど、その人がどういうことを伝えようとしてるかみたいなことのほうが興味あるかな。

キャシー:そうだね。そういう物語の部分が大事だね。

まめた:自分はデミセクシュアルなのかなあとか、考え始めた。

キャシー:何が?

まめた:自分はデミセクシュアルなのかなあ。

キャシー:ちょっと待って、まめたさん。一番いいところで音が途切れた。ちょっと待って待って!

まめた:いや、自分はデミセクシュアルなのかどうかが気になり始めたけど、でも別にあえて名前を付けなくてもいい気もする。

キャシー:ちょっと、すごい気になるから、もうちょっと教えてよ。

まめた:えー、何だろ、あんまり性欲がなくて、だいぶ関係性とか盛り上がらないと性欲があんまりないね。

キャシー:うーん、僕とは真逆だね、そしたら。知れば知るほど興味がなくなっていく。性的な興味がね、なくなっていく部分があって。

まめた:出会った瞬間が一番?

キャシー:出会った瞬間って言うか、知らない人のほうがいいみたいな(笑)。はっはっは(笑)。

まめた:はっはっはっは(笑)。それ面白いね。

キャシー:それはゲイカルチャーの部分があるかもしれないんだけど。

まめた:すごいな。でも、すごい興味がある。

キャシー:それをこの前友達と話していて、昔はすごくそれが、例えば出会った人と23回会ったあとは、もうあんまり性的な欲求がなくなっていくことにすごく不安を感じたり、そういうふうに感じてしまう自分にかなりクリティカルだったんだけど、最近は、仕方ないから、もういいやっていう感じになってきて、吹っ切れて。友達に話したら、意外にそう感じる人は結構いるみたいで。で、昨日podcastの準備中にサーチをしてたら、この言葉に出会って、「あ、自分だ」って(笑)。でも、まめたさんが言ったみたいに、あえて言葉で説明する必要もないのかなと思っていて。自分がいる立場からするとね。やっぱり中学校とか高校のときって、言葉があること自体がとても救いになる部分があるでしょ? 例えば、自分はゲイっていう言葉を中学校のときに学んで、すごく自分自身の形成に役立った気がする。

まめた:そうだよね。自分も、トランスジェンダーって言葉を知ったときに、すごい嬉しかったよね。素晴らしい言葉だと思った。高校1年のときかな、ネット検索してて、最初に出てきたのは性同一性障害が出てきたんだけど、何かトランスという字面にとてもいいものを感じましたよ、うん。

キャシー:どういう関係を持った? その言葉と。

まめた:トランスジェンダーって書いて出てくるいろんな日記とか、当事者の人のホームページとかを見ると、自分が普段考えてることが……脳みそがそこに流出してるぐらい「あ、それ!」みたいな、「めっちゃ分かる!」みたいなことが多くって、逆に、「自分がトランスじゃなければ、世界の誰もトランスじゃない!」ぐらいのことを思ったりした。

キャシー:すごいね、それは。いいね。

まめた:でも、自分がそうなのかなと思ってるときは、ずっとネットで見たり書いたりすることがすごく多くて、実際にコミュニティに足を運ぶのは2年ぐらい時間が経ってるんだけど、そのときは、「このトランスのコミュニティで友達が見つからなかったら、自分は独りぼっちなんじゃないか」とか思ったりとか。

キャシー:あー、それは不安だね。

まめた:これだけ自分とぴったりくると思ってるのに、もし全然話が合わなかったらどうしようみたいな、それはそれで困るなあと思ったりとか。

キャシー:話は合った?

まめた:あのね、グループに行ったら、一人しかいなかったんですよ。

キャシー:ははは(笑)。

まめた:正確には、最初に行ったグループが「おにいちゃんの時間」っていう、中野にあるラウドで開かれてたグループで、最初はFtM、トランス男性の人とそのパートナーの人が二人のところにガチャッと入って行って、「グループじゃないの?」って言ったら「グループですよ」って言われて、そのあとに紹介された横浜のグループに行ったら、主催者の人が一人だけ部屋に座ってたの。「グループですよね?」って訊いたら「グループです」って言われて。

二人:はっはっはっは(笑)。

まめた:それがトランスのコミュニティデビューでした。

キャシー:ははははは(笑)。

まめた:いろんな不安が全部崩れた瞬間。

キャシー:ははは(笑)。逆にそれがモチベーションになって、コミュニティ作りにいま励んでるかもしれない。はっはっは(笑)。

まめた:面白かったですよ(笑)。

キャシー:面白かった? ははは(笑)。でも、ごめん、その、笑ってるのが、トロントで聞いた話を思い出していて、この前も話したけど、インターセクションにいる人たちが自分たちの居場所を探す……例えばアジア系でトランスとか、イスラム教徒でトランスとかゲイとか、そういうインターセクションの居場所を探すときに、グループとかネットで見つけて行くと一人とか二人とかしかいなかったりするエピソードがいっぱいあって。

まめた:それはそれで貴重な出会いだと思うんだよ。

キャシー:そうそうそうそうそう。

まめた:絶対一生忘れないよね。

キャシー:そこから始まって、いま団体になったっていう場所も結構あって、結構その歴史の部分で、歴史を学ぼうみたいな感じのイベントに行くとそういうエピソードを結構聞いたりする。だから、グループに行って一人しかいなくても諦めないでください、っていうメッセージ(笑)。

まめた:ははは(笑)。でも、何か、どこにでも行けるから、すごいワクワクするよ。一人とかね。

キャシー:で、ちょっと質問があるんだけど。

まめた:はいはい。

キャシー:さっき、性同一性障害が出てきたって言ったじゃん、検索してるとき、トランスジェンダーを。いまは、日本でトランスジェンダーっていう言葉と性同一性障害っていう言葉は、どういう関係とか、どういう感じで使われてるの?

まめた:難しくって、あのね、性同一性障害って言葉のほうが全然有名で、トランスジェンダーはそれに比べたら全然知名度下がると思うんだよね。基本的には、トランスの人たちは何かしらの病気の枠組みで捉えてる人がいまの日本では結構多いから、そういう意味では、性同一性障害って言葉のほうが、そういう、ある種の病気とか、そういう捉え方のほうがポピュラーな捉え方かなと思うんだよね。

キャシー:うん。

まめた:自分なんかは、トランスジェンダーっていうアイデンティティのほうが気に入ってるんだけど、生活していくうえで、例えば自分はホルモン注射をしたいと思って、16歳のときかな、ジェンダークリニックってところに通って、性同一性障害っていう診断をもらって、結局そのあとホルモン治療とかはせずに診断書だけ宙ぶらりんに存在するみたいな感じになってるから、「性同一性障害ですか?」って訊かれたら、まあそうなんだけど、でもあんまり積極的にそういうことを名乗りたいわけじゃなかったりとか。性同一性障害って疾患の名前だから、他の人、医者とか、そういう人が自分をどう捉えるかみたいな感じで、自分が自分のことをどう捉えるのかっていうところからいくと、自分はトランスジェンダーっていう言葉のほうが好き。一方で、「自分は性同一性障害です」って言ってる人も、まだまだたくさんいる。

キャシー:はあ。この質問をしたっていうのも、いまカナダで「誰がトランスジェンダーなのか」っていう話が盛り上がってきていて、身分証明書で名前を変えたりとか性別を変えたりするときに、誰ができるのかっていう話になってくるじゃない? 例えば、昔はオペをしていないとできなかったりとかがあったんだけど、数年前にオンタリオ州だと、オペとかしてなくても、どこまで緩いのか分からないけど、性自認だけで名前が変えられたりとか性別が変えられたりとかするし、大学とかでも、身分証明にある名前を自分が使いたい名前に変えてもらうとか、そういうことができたりするし。だから、昔はもっと性同一性障害で、障害があるから、障害のための受け入れ態勢っていう部分から、トランスジェンダーっていうコミュニティがあって、トランスジェンダーっていうふうに自認する人たちがいるから、この人たちのためにシステムを作っていこうっていう部分に話が変わってきている感じがして。最近ニュースになったのが、ジェンダーフリーの赤ちゃん、出生証明書に性別の明記がない赤ちゃんが初めて生まれたとか。あと、カナダの人権法にジェンダー・アイデンティティとジェンダー・エクスプレッションが含まれることになる……もう含まれる方向になっていくと思うから。オンタリオでは、もうあるんだけど。カナダ全体でジェンダー・アイデンティティとジェンダー・エクスプレッションが人権になるから、それを理由に差別とか偏見をすれば、かなり問題になってくる。だから、国自体もそれに従ってシステムが変わっていくのかなと思って。

まめた:そうだねー。日本も、「診断書を持って来てください」って言われることは、場面によってはまだたくさんあって、でも別になくてもいいじゃんとか、別に必要ないっていう場面では自己申告だけで変えれることはあるよね。まあ、場所によるって感じだね。

キャシー:あ、そうなんだ。

まめた:名前に関しては、診断書さえあれば、別に手術とかしてなくても、これも地域とか家庭裁判所の人の判断によるんだけど、いまは診断書一枚あれば何とかなることが多い。まあ、何で診断書いるんだって話はあるけど。

キャシー:じゃあ、昔よりは、やりやすくなったって感じ?

まめた:そうそう。

キャシー:はあ。で、日本で性同一性障害がトランスジェンダーより知名度があるって話をしてたじゃない? 個人的に覚えてるのが、日本にいた頃、結構チャリティ・テレビとか、そういう感じの番組とかで、かわいそうみたいな感じで、性同一性障害がすごくメディアに登場してた時期だったと思うんだよね。『金八先生』とか、あったよね。上戸彩が何かやってたよね、確か。

まめた:そう、大変そうだった。

キャシー:大変そうだった?

まめた:何だろう、いまでもすごく覚えてるんだけど、上戸彩がカミングアウトする授業か何かがあって、保健室の先生が黒板に文字を書こうとするんだけど、手が震えてチョークが折れるんだよ、バキッて。

キャシー:うん。ははは(笑)。

まめた:すごい、あの、何だろう、すごくアンタッチャブルなイメージを植え付けてるんじゃないかと思って。授業で扱うにあたって。そんな大変なことなんだ、みたいな。時代を感じさせるよね。いま、そういう表現の仕方するのかね。どうなんでしょう。

キャシー:メディアに登場してる? トランスジェンダーの人たちとか。

まめた:出る出る。

キャシー:で、結構トランスジェンダーのカミングアウトしたタレントさんたちとか登場したよね。

まめた:ね。中村中さんとかね。歌手で、紅白歌合戦のときに紅組から出て、中居くんが手紙を読んだりとかしてね。

キャシー:それもだいぶ前だよね。

まめた:結構前だね。

キャシー:あと、もう一人タレントさんいなかった?

まめた:誰だかな……はるな愛?

キャシー:はるな愛さん、そうそう。

まめた:あの人は、やっぱタレントで、人を笑わせる感じのキャラクターだよね。楽しませる系だよね。何か、シリアスな性同一性障害のイメージと、テレビの楽しいオネエキャラってのがすごい乖離してて、日本って。性同一性障害っていうと真面目なイメージ。だけど、オネエっていうと、すごい全然違う感じになる。

キャシー:はあ。

まめた:たぶん、はるな愛が性同一性障害で番組作ったら、すごいシリアスな話になるんだと思う。

キャシー:あー、何か番組作れそうだね。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:はっはっは(笑)。で、このエピソードで、すごく、こうやってアイデンティティがどんどん細分化していく話をして、若い層とかでどんどん可視化されていく部分があると思うんだけど、メディアとか、一般大衆みたいな間では、やっぱりオネエとか性同一性障害とか「LGBT」のまま? 進んでる感じがする?

まめた:しないなあ。うーん。

キャシー:しない? きっぱり(笑)。

まめた:しない。しません。ははは(笑)。

キャシー:しません。はい(笑)。

まめた:サブカルとかでねえ、サブカルチャーとか漫画の中とかはいろいろどんどん増えてく気はするけど。やっぱり、なかなか……

キャシー:あー、漫画の中で? 増えてる?

まめた:増えてるっていうか、描き方はどんどん……性の描き方はどんどんどんどん、何て言うか、ファンタジーな部分も含めて、すごく増えていくんだけど、それが、よりメジャーなメディアとかに対して影響を与える気がしないんだよね。

キャシー:かなしいね。

まめた:どうだろうね。でも、これから変わるかもしれないしね。

キャシー:変わってほしいね、どんどん。

まめた:変わりましょう……分かんないけど。変えましょう(笑)。

キャシー:ははは(笑)。変えていきましょう、はい。じゃあ、まめたさんがトイレに行くということで。

まめた:それは放送に……

キャシー:これは放送します(笑)。

まめた:何でだよー! はっはっはっは(笑)。

キャシー:ははは(笑)。僕もあとでトイレ行くから大丈夫。一緒に、別々に、インターナショナルにトイレに行きましょう。

まめた:じゃあ、またあとで(笑)。

『日本でLGBTという言葉が浸透して、何が変わった?』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第3回 テキスト by 桜井弓月

4 9月

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第3 日本でLGBTという言葉が浸透して、何が変わった?2017/8/27

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

キャシー:あははは(笑)。

まめた:汗をダラダラ流しながら(笑)。

キャシー:そう、すごい濡れ濡れです。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:はい。というわけで、エピソード3に来ましたけど。

まめた:はい。

キャシー:どうですか、まめたさん。

まめた:また「にじいろ交差点」を言いたい。

キャシー:また言うの? ははは(笑)。じゃあ、やってみよう(笑)。じゃあ、「にじいろ」って僕が言って、まめたさんが「交差点」って言って、で、12、せーので……

まめた:「LGBTの多様性を語るpodcast

キャシー:そうそうそうそう。じゃあ行くよ?

まめた:うん。

キャシー:にじいろ!

まめた:交差点!

キャシー:12、せーの!

二人:LGBTの多様性を語るpodcast(最後のほうは微妙にズレながら二人で言う)

まめた:ははは(笑)。

キャシー:どうだった? 微妙だね。

まめた:今までの中で一番言えてると思うよ?

キャシー:うん、ポジティブ思考はいいと思うよ(笑)。

まめた:だんだん成功に。

キャシー:うん、だんだん完璧なオープニングにしていこう。というわけで、今回のエピソード、いきなり本題に入ろうと思うんだけど、日本の話を聞きたい。

まめた:日本のLGBTコミュニティについて。

キャシー:そう。個人的にシェアしたいのが、2015年の秋に日本に一回帰国して、そのときに初めてうちのパートナーと一緒に日本に行ったのね。で、二人で電車に乗っていて、日本の電車ってモニターがあるじゃん?ニュースとか流れてるのがあって。で、僕のパートナーがすごいつんつんしてくるから、何?と思って話を聞いたら、モニター内のニュースのテロップに「LGBT」って書いてあって。

まめた:あははは(笑)。

キャシー:それにすごいショックを受けた。

まめた:おー、たしかに。

キャシー:すんごいショックを受けた。

まめた:考えられないことだよ、それは。

キャシー:ほんとに。

まめた:10年前を考えると、考えられないことだよ。

キャシー:うん。その話が聞きたい。何があったの?(笑)。

まめた:ははは(笑)。一応、その、きっかけは週刊誌かな。ビジネス系の雑誌がLGBT市場について特集を出したってことを皮切りに、LGBTブームってのがやって来たっていうことになってるらしいんだけど、たぶんそれだけじゃないと思うんだけど、例えば2007年とか、それぐらいのときに比べると、比べものにならないぐらい、いまLGBTのことっていうのは普通に新聞とかニュースで取り上げられるし、そもそもLGBTって言葉が見出しで注釈なく使われること自体に、いまだにちょっと衝撃を覚えるんだよね。

キャシー:はぁー。でも、ほんとだよね。ブログを9年前に始めたときにカテゴリーとかがあってさ、LGBTとかなかったから、オカマで始めたのね。

まめた:へぇ。

キャシー:そう(笑)。これ選びたくないなと思ったんだけど、それしかないから。

まめた:他にないから。

キャシー:うん。で、記事とか書くときとかも、LGBTって書いたら、LGBTを知らない人たちに伝わるかどうかも分からなくて、ほんとに毎回困ってたの、言葉がなくて。

まめた:だって、新聞の見出しとかって、「性的少数者」とか、せいぜいそんなもんしかなかったと思うんだよね。

キャシー:そうだね。

まめた:何かでも、いまだに、ほんとに伝わるのかなって心配になるけどね。市民講座とかやっても、「知ってますか、LGBT」みたいな。知らない人は来ないもん、「知ってますか?」って言ってるけど。興味を持って来る人は、何のことかおぼろげながら分かる人が来ると思うから。「知ってますか?」と組み合わせで使えること自体がすごいと思う。

キャシー:そうだね、すごいね。まめたさんが言う通り、言葉は浸透してるけど、実際どこまで理解されてるのかっていうところは、ちょっと分からない。

まめた:ドキドキするね。

キャシー:ははは(笑)。

まめた:今日この話をしたいと思ったのがあって、去年、某毎日新聞っていう……某を付ける意味が全くなかったわ。毎日新聞の記者さんの有志の勉強会に呼ばれたんですよ。

キャシー:うん!

まめた:毎日新聞っていうのは、LGBTのことを結構前から取り上げてた新聞の一つなんだけど、記者さんが記事を書くうえで悩むと。悩むので、一回いろいろ勉強したいっていうことで、有志のライターの人で、記者さんと勉強会やったんですよ。で、面白かったのは、見出しをね、どういう見出しを付けるかっていうので、百何件とかの数……LGBT 理解を」っていう見出しだったらしいんですよ。「LGBT 理解」とか「性的少数者 理解」っていう見出しがやたら多くって。でも、漠然としすぎていると、記者さんが言うに。で、どういうふうに見出しを付けていいか分からないから、そういう見出しが増えちゃうんだけど、実はそれがちゃんとそのイベントについて適切に描いてるものかっていうと、必ずしも見出しとして、ぼやんとしてたりとか。あと、例えばトランスジェンダーについてどういうふうに書いたら適切なのかとか。結構、記者の人も悩んでて、っていう中で勉強会やったんですよ。

キャシー:うーん、面白いね、それ。

まめた:そう。で、やっぱり結構ニュースになるし、発信する人もどんどん増えてて、これまでだったら当事者団体の人とかぐらいしか発信してなかったのが、今はウェブニュースとか、これまで関心のなかった新聞記者さんとか、あるいは個人でLGBTについて語っていく場面っていうのも、実はどんどんどんどん増えてて、昔と比べて最近っていうのは、LGBTに発信するメディアっていうのがどんどん増えていると。そのメディアっていうのは、マスメディアだけじゃなくって、いろんな団体とか、いろんな企業の担当者とか個人とか、発信する人が非常にいま増えてるっていうのが、ここ最近の一番の変化かなっていうふうに思ってるんだよね。

キャシー:はあ。その毎日新聞の勉強会の結論は何だったの? 結論というか、学習点とか、そういう感じのことはあったの?

まめた:一応、用語について、どういう言葉なのかっていうことをみんなで確認したりだとか、あとは、いろんな論点が出たんだけどね。当事者がプレスリリースで出してくる言葉をそのまま拾ったりしがちなんだけど、当事者が間違えてることが多いので、そこをちょっと疑ってかからないといけないっていうことがあって。例として挙げられてたのが、「LGBT向けの服屋さんがオープンしました」みたいな記事があったのね。LGBT向け衣料……服ですね。衣料、「衣」に料金の「料」の。「LGBT向け衣料のお店が始まりました」っていう新聞の見出しだったんだけど、中身はトランスの人向けの服とかだったり下着の、そういうお店だったんだけど、なんかその、見出しとして結構微妙になってるのは、元々それは売ってる団体とか人たちがそういう呼び方をしているので、そのまま言葉を使うと逆に伝わりにくくなっちゃったとか、そういうことがありましたね。

キャシー:はぁー。でも、そうだよね。LGBTがあまりに浸透しちゃって、でもLGBTっていう言葉がすごく、全然違う人たちをひっくるめた言葉だから。あー、そうなっちゃうのかあ。

まめた:結構ね、「この記事どうだった?」みたいな実例を持ち寄ってディスカッションしたりして。

キャシー:あー、それは面白いね。

まめた:うん、面白かった。

キャシー:もう一つ聞きたかったのが、LGBTがさ、流行語大賞第3位とかになってたじゃん? 何か、どうなの? このブームみたいな感じの流れは。

まめた:どうなんでしょうね。その、差別とかしたり、あからさまに気持ち悪いとか言うと、ちょっとまずいかなっていう風潮にはなりつつあると思うんだよね。前とかは、もっと普通にいじったりとかしやすかったと思うけど、最近は、「でも、そういう人たちもいるみたいだし」っていうのが人々の頭の片隅にあるような気はする。

キャシー:はぁ。じゃあ、もっと礼儀正しくなったんだね。

まめた:まあ、でも、どこまで分かってんのかなっていうところだよね(笑)。

キャシー:あぁ。何か、その話を聞いてると、トロントに似てる感じがする。みんな、どこまで分かってるのか分からないけど、人権で守られてるから、下手なこと言っちゃいけないっていう、そういう空気はある気がする、こっちも、うん。

まめた:まあ、でも、みんな普通にいまだに差別的なこと言うけどね。あの、でも、ちょっとこう、何か変化があったなと思ったのは、この前ツイッターで石原慎太郎、元東京都知事の。あの人が、まあ、ずっと同性愛者に対する差別的なことを言ってきた人なんだけど、この前また同じことを呟いてて。同性愛者に対して失礼なことを書いてたんだけど。何か、それの反響とか、それに対するリプライとかを見てると、石原さんを支持する人が減ってると言うか、「石原さん、何を言ってるんだ!」っていう人たちが、すごいエネルギーを持ってると言うか。だから、前は石原さんのような人がたくさんいて、大変だなという印象を受けてたんだけど、何か最近はちょっと潮目が変わってきて、あからさまに「理解できない」って言ってる人はちょっと「追いついてない」みたいな形で捉えられてるんだなってことを思ったことがありました。

キャシー:はぁ。でも、そういう変化があるのは面白いね。

まめた:石原さんは何も変わってないんだよ(笑)。

キャシー:はっはっはっは(笑)。まあね。ははは(笑)。いま何してんの、あの人。

まめた:何してんだろうね。でも、もう隠居してるんじゃないの?

キャシー:あぁ。あんまり推測で言っちゃだめだよ、まめたさん。ははは(笑)。その、2015年に日本に帰ったときに、地元の友達、みんなノンケの男の子だと思うんだけど、久々に顔を合わせて、で、もうほんとに今更だから、もうほんとにどうでもいいやと思ってカミングアウトしたのね。で、そしたら何か、すごくみんなLGBTというか、ゲイ・コミュニティのスラングとかを知っていて。

まめた:何で?

キャシー:何で? って話だよね。いきなり、「あー、お前ゲイなんだ? で、ネコなの? タチなの?」って言われて。何でそんな言葉知ってるの、みたいな。ハッテン場とか知ってる。何でハッテン場を知ってるの? みたいな。すごい戸惑った。あまりにみんながみんな知ってるから。ちょっと戸惑った。一人だけならまだいいんだけど。何かみんなそういう知識があって、一緒に高校とか中学とか過ごしてきた子たちだから、そういう知識が昔はなかったはずだから。何が変わったんだろうね、っていう。すごい不思議。

まめた:何か最近ね、LGBTスピーカー養成講座っていうのを静岡でやってて、全部で3回の講座なんだけどね、そこで聞いた話っていうのが、LGBTについて研修をして下さいっていう依頼が、かつてない、かつてそんなことなかったのに、いきなり来るようになったと。団体とか個人に対して。で、「ぜひぜひ」ってなるんだけど、いざ喋るとかいうことをしたことがないってことで、「何を誰が、どう喋ったらいいんだろう」みたいなところで悩んだりとか、あとまあ、いきなり忙しくなる。講演の依頼とかも来るし、相談する人とかも来て、なかなか時間の流れ方っていうのが、これまでのんびりやれてた人たちとかも、ちょっと時代の変化みたいなところに合わせて、振る舞い方とか、やっていかなきゃいけないこととか変わりつつあるのかなってことを、ちょっと思ってるんだよね。

キャシー:面白いね。どうだった? そのLGBT養成講座をやってみて。

まめた:まあ、基本的に自信を持って喋ったらいいと思うんですよ。で、上がった声としては、当事者じゃないのに自分が語っていいのかっていうこととか、あとは専門の何かこう、例えば大学でジェンダーとか勉強したことがないっていうことに何となく引け目があったりとか、何て言うのかな、正しい知識みたいなことをどこかできっちり学ぶ機会があった方がいいっていうか、ないで喋ることに対する不安みたいなのは、あるんだろうなっていうふうに思ったんだよね。でもまあ、その、一定の間、活動したりとか、いろんな当事者の人の話を聞いたりとかして、そこで学んでることはちゃんと学んでることだし、「自分が言ってることが正しいのかな、大丈夫なのかな」っていうことを反省しながらやっていくぶんには、それはちゃんとした伝え方になってるんじゃないのかなっていうふうには思うんだけど。

キャシー:はぁ。でも、そこらへんは、まめたさんとしてはどうなの? 当事者じゃないのに、例えば「LGBTの話をしてください」って言われたときに、一人で行く場合、絶対に当事者じゃない部分が出てくるわけでしょ?

まめた:そうする場合は、どういうふうに当事者の語りっていうのを入れていくのかとか、すごく問題になると思うんですよ。で、そこ、すごいポイントで、当事者じゃない人が勝手に代弁しすぎるのってよくなくて、ちゃんと当事者の語りを、ビデオとか流したりとか、書いてるものを配ったりとか、そういう形で紹介することもできるだろうし、何で逆に自分が当事者じゃないけれども、そこに関わるきっかけになったのかみたいなことを話したりとか、やれるかなというふうに思ってる。

キャシー:はぁ。でも個人的にもそうなんだけど、「LGBTの話をしてください」って依頼されるのがすごく一番苦手なワークショップで、一回ワークショップをやってくださいって依頼されてトロントのNPOに行ったんだけど、事前に言われたのが、「LGBTが過ごしやすい環境作りの話をしてください」って言うから、もっとNPOの環境の話をしようと思ったら、NPOのスタッフたちが全然LGBTのことを知らなかったから、LGBTの基礎知識みたいなことをやることになって、いきなり。全然準備してないのに。ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスから、全部いちいち意味を説明しなきゃいけなくて、そこが一番難しいところじゃない? 例えばトランスジェンダーとかもさ、単語一つが、ものすごいたくさんいる人たちを全部ひっくるめていて、ジェンダークィアだったり、Xジェンダーだったり、MtFFtMとか、全部ひっくるめて入ってるでしょ? それをどこまで説明すればいいのか、しかもゲイ男性の自分がどこまで説明していいのかっていうところがすごいあって、だから、ほんとに、「LGBTの話をしてください」って言われるときは、できるだけ内容をもっと絞るようにしてる。

まめた:だって、性に3要素あるのか4要素あるのか6要素あるのか、そのへんの話とかもすごい難しいよね。考え始めるとね。

キャシー:うん。そこらへんは、LGBTスピーカーはすごい難しい。

まめた:大事にしたいと思ってることが一つあって、それは、何で、そのスピーカーの人がこの話をしてるのかってことを、ちゃんと自分の言葉で喋れるようになってほしいっていうのがある。この前やったワークショップでは、例えば、職場でLGBTのことをもし話すことになるとしたら、何でこの話をこの職場でしなきゃいけないのかっていうことを、その「なぜ」の部分をちゃんと自分の言葉で語れるかっていうところをフォーカスしようと思って、ちょっとみんなで考えてもらったの。例えば、学校の先生だったら、子どもたちにいるかもしれないとか、あと、介護の仕事してる人だったら、利用者さんにいるかもしれないとか、そういう、お客さんとか、対象となる人たちにいるかもしれないっていう視点を持ったほうがいいんじゃないかとか。そもそも何でやるかって言うと、今この働いている状況がみんなにとって過ごしやすいものではないっていうことに、まずはみんなで気が付こうとか、そのへんを自分の言葉で喋れるようになってほしいな、みたいな、そういうことをやったりしましたね。

キャシー:でも、そうだね。そこのほうが大事だよね。LGBTが何なのかっていうのを完璧に理解するよりも、どうしてこのワークショップをやってるのかとか、この講演をやってるのかってところが大事だよね。

まめた:そう。

キャシー:あと、LGBTっていうことを完璧に理解しようっていう人たちが結構いっぱいいて、でも、それも日々変化してるから、完璧に理解するなんてたぶん無理に近い部分だと思うので、そこにエナジーを持っていくよりも、まめたさんが言ったところの方が大事だと思う。

まめた:なんだろう、非当事者って言われる人が喋るのってすごい難しいんだけど、逆に、自分の友達で、Aさんっていう人がいるんだけど、AさんはLGBTの当事者ではないんだけど、LGBTのことをすごい一生懸命NPOとかで発信するようになった人で。で、何でかって言うと、親友がいたんだけど、その親友と大学時代に同じ寮で生活をしてて、四六時中一緒にいて、毎日一緒にご飯を食べて友達のところで寝てたのに、その親友が外国に留学することになる直前に初めてカミングアウトされた。それまで数年間ずっと一緒にいたのに初めて言われて、何でかなって考えたときに、その子の前で結構失礼なことをたくさん言ってしまったっていう後悔があって。もし、いろんなことを考えていれば、絶対にそんなことしなかったっていう、あとになってすごくそう思うことがあったので、それをきっかけに、自分みたいな、昔の自分みたいな人がたくさんいるんじゃないかってことで、みんなにも考えてほしいってことを、自分の言葉でちゃんと喋れる友達がいるんだよ。そういう人たちが増えるといいなと思って。非当事者なんだけど、その人なりのちゃんとストーリーがあったりとか、何かそういう人たちが話がしていくといいなって。

キャシー:その非当事者の話をもうちょっとしたいんだけど。トロントでよく議論になるのが、例えば前回のエピソードでも話したんだけど、人種ってところが関わってくるでしょ? 例えばLGBTのパネルとかに行って、スピーカーが全員白人とか、そういうことが結構あって。で、あと例えば、非当事者か当事者かとか、リプレゼンテーションっていう部分がすごく重要で、誰が表舞台に立ってるのかっていうところがほんとに話の内容よりも大事な部分があって。例えば、非当事者で、当事者が本来しているべきかもしれない講演とかでスピーカーをやっている場合、話のクオリティの話ではなくて、非当事者として、当事者のスペースを占領してるっていう部分があるじゃない?

まめた:うんうん。

キャシー:そういう、アイデンティティ・ポリティクスみたいな感じのところがあるんだけど、そういう部分がある。例えばカンファレンスとかに行って、ゲイ男性がLGBTカンファレンスのどれだけスペースを取ってるかとか、白人がどれだけスペースを取ってるかとか、シスジェンダーの人たちがどれだけスペースを取ってるかとか、そういう部分がすごく考えなきゃいけない部分だと思う。

まめた:うんうん、あるよね。日本でもさ、トランスの話をしてるのに、ステージに誰もトランスがいないとかは、代わりに話してもらってても、ムカついたりとかは、やっぱあるよね。何でいないの!? みたいな。いるでしょ、誰か! みたいな。そういう気持ちにはなるよね。

キャシー:だめだよね、それ。

まめた:そこだよねー。しかもさ、映画とかでさ、よくさ、何だっけ、本来は例えばアジア人の、原作ではそうなのに、白人の人がキャストされると結構微妙だもんね。

キャシー:そう。だから、その、社会の中でパワーを、特権を持つ人たちがどんどん居場所を占領していくっていうのは、すごく……うん、ここの話とかはかなりアライの話になっていくんだけど、支援者として、アライとして、どういう立ち位置にいるべきかっていうところは、難しいところだけど、いっぱい考えなきゃいけない部分だと思う。

まめた:そうだね。何か日本でさ、この前LGBT検定っていうのが4万円で始まるかもしれないっていうことで、結構話題になったことがあったのね。

キャシー:うん。

まめた:そのLGBT検定っていうのは、えっと、一定のカリキュラムを受けて、その講義のあとに検定の試験をやってバッジを貰えるみたいな触れ込みで、ただ、その4万円っていう、高いんじゃないかとか、いろいろ議論はあったんだけど。この話を聞いたときに一つ思ったのが、誰がどうやって語るのかということにまつわる不安っていうのがみんなにあって、でもその不安って実はすごい大事で、みんながそれについて考えていくってことが大事なんじゃないかと思ったんだよ。自分が間違えて他の人の足を踏むというか、他の人をかえって困らせるようなことを言っちゃうんじゃないかっていう不安だとか、いろいろたぶん不安って、ものを発信してるときにはあって、でもその不安ってすごい大事だから、むしろその不安を何かの権威付けで、検定があるとかないとか、そういうことで保障するんじゃなくって、うまいことその不安についてみんなが語っていくってことがいいんじゃないかなって思ったんだよ。

キャシー:そうだね。特に、その、スピーカーとか、発信者とか、その、ブロガーとしても、個人的にすごくいつもそこらへんは迷っていて、「これ、いいの?」みたいな質問がいつも頭の中にいっぱいあって、溢れている感じ。ものを書くときとか、このpodcastをやるときとかもそうなんだけど、やっぱり、そういう不安っていうのは常にあるね。で、あってほしいね、そういう不安は。自信満々に何かを言えるときは、絶対何か変なこと言ってる。

まめた:そうね。

キャシー:はっはっはっは(笑)。で、このLGBT検定っていうのは、どういう内容なの? 分かる?

まめた:内容がね、全然分かんないの。それが不安なの。

キャシー:あー。4万円なんだよね? 払うんだよね? 4万円。

まめた:払うんだよ。

キャシー:あははは(笑)。っていうのも、トロントでもこういう、スピーカー養成講座みたいなのがあって、でも、前回の話でもした通りに、NPOがコミュニティの支援みたいな形でこういうプログラムとかを運営していて、だから、お金を貰ってこういうトレーニングを受けることが多いのね。例えばHIV陽性者スピーカー支援養成講座とか、あと、TEACHプログラムっていうのがトロントにあって、21歳までの若者をトレーニングして、高校に行ってクラスルームで自分の経験を話すみたいな、そういう養成講座とかもあって、ほんとに、お金を貰ってやるようなプログラムが結構いっぱいあって。

まめた:お金の流れが逆ってことだよね。

キャシー:そうだね。でも、やっぱりお金が政府から出てないから、こういうLGBT支援とかも、お金がなきゃできないことになっちゃうんだよ。

まめた:今回静岡でやったときは、静岡県の助成が出たんだよ。で、参加者は全部受講料無料で、静岡大学と静岡県と、両方のプロジェクトということでできたんで、こういうのが広がっていけばいいのかなと思ったりして。

キャシー:うん。

まめた:「講演してください」とか、そういうニーズが増えて、派遣する人もどんどん育てなきゃいけないっていうところが静岡の場合あったので、それも行政と一緒にやっていくっていうのはすごいいい発想だなと思って。

キャシー:でも、大学っていうのは面白いスペースだよね。もっと大学内でこういうLGBTの知識を増やせるようなスペースがあったら、プログラムがあったらいいね。

まめた:そう。どんどん増えてほしいなあと思ってる。

キャシー:あの、「にじーず」の話も聞きたいんだけど。

まめた:そう。えっとね、去年ちょうど1年ぐらい前に始めた「にじーず」っていうグループがあって、それは東京の池袋で月に1回、10代から23歳ぐらいまでのLGBTとか、自分がそうかもしれないっていう若者向けの居場所作りっていうのをやってるんだよね。

キャシー:うん。

まめた:で、結構人が来て、今スタッフ入れてだいたい毎回20人以上は来てて。

キャシー:すごいね!

まめた:そう、すごくって。で、年齢も今、10歳から、一番下が小学生とか、ちょっと前だとあんまり考えられないような状況になってきて。

キャシー:いいなー。そういう場所に行きたかった、小学生のとき。

まめた:うん、何かワイワイして遊んでますけど。

キャシー:何か流しそうめん食べてたよね。

まめた:そうそう(笑)。この前、流しそうめんやって。百円均一のお店で朝顔の支柱みたいな、細長い棒を買ってきて、そこに半分に割ったペットボトルをくっ付けて、それで固定をして上からそうめんを流すっていう、そういう流しそうめんをやって。終わったあと朝顔の支柱でみんながチャンバラを始めて、ちょっとどうしようかなっていう。

キャシー:あははははは(笑)。楽しそう。

まめた:うん、楽しい楽しい。何かやっぱり情報が増えてるから、自分がそうかもしれないって、わりと早い年齢で気がつく子も増えてるし、自分の子どもがそうかもっていうふうに考える親も昔と比べれば増えてるかなっていうところで、より若い年齢の人のサポートっていうのが、一つ課題としてあるなと思ってる。

キャシー:うん。でも、いいね、そういうスペースは。

まめた:そうそう。

キャシー:トロントもね、そういうLGBTの支援が結構10代後半から20代前半にフォーカスが行ってて、なかなかやっぱり、それより若い層になかなかサポートが行かない。

まめた:うんうん。何かね、どういう感じなんだろ、若い人のサポートっていうと、どういうプログラムがあるの?

キャシー:あのね、知ってる限りだと、サマーキャンプとかがあったり。

まめた:おー。

キャシー:あと、若いって言ってもね、ほんとに、高校生だと、高校のゲイ・ストレート・アライアンスみたいな感じの、高校内のサークルみたいなのがあったりとかして。あと、NPOのプログラムで、年齢をほんとに下げた、制限したプログラムとかがあんまりないと、そういうスペースはないね。

まめた:なるほどね。

キャシー:だから、ほとんどのLGBTユーススペースが、10代後半から20代前半になっちゃってるから、すごい若い子が来ても居場所がない。

まめた:結構それは感じてて、高校生と中学生は全然やっぱり違ったりするね。ノリとかもあるし、やってることも違ったりとか。大人になると、例えば23歳と25歳だとそんなに違わないかもしれないけど、中学校2年生と高校2年生って、そこそこ違ったりするから。

キャシー:全然違うよね(笑)。

まめた:部活とかでもさ、2コ上の先輩だとすごい偉かったりするから。そうやって考えると、そのへんの年齢って結構シビアなのかなと思ったりする。

キャシー:うん。あと、トロントでLGBTユースの仕事をしてるときに一番困ったのが、宗教とか、人種の問題が関わってくるのね。オンタリオ州で数年前に新しい性教育カリキュラムをアップデートしたんだけど、かなり若い、小2から始まるのかな、教育が。トピックがかなり、セルフイメージとか、メンタルヘルスとか、いろんな話をするようなカリキュラムで。それが保守のほうに行っちゃうと、かなりセンセーショナルに、「小2の子がアナルセックスについて学ぶぞ」みたいな、そういう話が流れちゃって、で、かなり、有色人種とか、イスラム教とかキリスト教の人たちからすごいネガティブな反応が出て、地域によっては高校から生徒がいなくなっちゃったとか、そういう事件とかもあって。だから、LGBTのすごい若い層を支援したいと思っても、なかなかできない。

まめた:家族の問題がすごいあるなと思って、うちに来てる人の中には、例えば、家族が「にじーず」っていうのを見つけてくれて、子どもに「こういうところがあるよ」っていうふうに紹介してくれる人もいれば、だいたいの場合は子どもが自分で見つけてきて、親には何か別の理由を付けて出掛けて来てる子が多いわけ。

キャシー:うん。

まめた:だから、親がやっぱり、どこ行くのかとか、すごい聞いてくるとか、チェックしたいような場合とかだと、なかなか来るのが難しかったりとか。だからやっぱり、16歳とか17歳とか、もっと上になってくると、一人でいろいろ行ける範囲ってのが広くなるかもしれないけど、小中学生とかになってくると、なかなか遠くまで行ったりするのが大変だったりとか、家族の影響ってのがすごい大きいよね。

キャシー:そうだね。

まめた:あと、一つすごく思ってるのが、「にじーず」見てると、高校生、大学生ぐらいになると、自分のこと、自分の困ってることとか状況とかについて、自分が言葉にして発していくってことが、だんだんできていくのかなっていうふうに思うんだけど、最初にコミュニティにアクセスするときとかは、他の人の話を聞くことが勉強になるのかなって思うことがあって。他の人の喋ってる体験とか、そういうのを聞いて、まだ自分では自分のことを喋ることが難しいとか、結構自分の中にためらいがあるっていう中でも、結構他の人の話を聞くのは、みんな何か参考になってる感じがしますね。

キャシー:でも、そうだよね。やっぱり、そういう「にじーず」みたいなスペースに行って、自分より年上の人たちで、ロールモデルみたいな感じで、いろんな話が聞けるのはすっごい大事な機会だよね。

まめた:普段は基本はずっと遊んでて、遊んで3時ぐらいになってコンビニ行ってアイス食べて、また帰ってきて、みたいな感じの居場所なんだけど、そういう中でもちょっと大学生の人を呼んで喋ってもらったりとかすると、みんなすごい真面目に聞いてて、やっぱりこういう話を聞いたりするのはいいんだなーと思ったりして。

キャシー:すんごい素敵、それ。ぜひ、そういうプログラムがあったら良かったなっていう。

まめた:まあ、全国にこういう場所が増えたらいいなと思ってますね。

キャシー:そうだね。あー(感嘆)、しみじみ、すごい、あの……

まめた:今度、あれだよ、15歳以下向けの、子どもと家族のプログラムっていうのをまた別で始める予定があって。

キャシー:あー、ほんとに?

まめた:そう。主な想定としては、小学生ぐらいで性別に違和感がある子や、その家族が孤立しないようにっていうところで、何か、でも、基本的にはワイワイやりたいので、お菓子作ったりとか、そういうのやりたいなと思ってる。

キャシー:そういうスペースってすごい大事だと思う。日本って、あんまりLGBTのコミュニティセンターみたいなのって、欠けてるじゃない?

まめた:ないね。ほとんどね。

キャシー:アクタとかディスタとかみたいな、HIVの予防啓発スペースがあったりとか、昔はパフスペースとかも。

まめた:ありましたね。懐かしいな。

キャシー:まだある? パフスペース。

まめた:ないない。

キャシー:ない?

まめた:うん。

キャシー:そういうスペースがあったけど、LGBTの活動をしていくうえで、スペースって大事だなって痛感していて、最近。日本だとどういうところにみんな集まるの?

まめた:どうなんだろうね。神奈川だと「SHIP」さんとか、大阪だと「QWRC」っていう、マンションの一室を借りてるみたいなところはあるけど、なかなかないよね。で、「にじーず」は、池袋保健所の1階にもともとHIVとかエイズに関する若者向けの発信してる居場所サロンみたいな場所があって、名前は「フォーティー」っていう名前の場所があって、そこの人たちと一緒にやってるから、アクセスもいいし、公の場所というところで、いつも同じ場所を使えるんだよね。

キャシー:あー、そうなんだ。

まめた:ただ、何か、フォーティーでやる意味ってすごいあって、普段そこは若い人がダラダラできる場所で、「にじーず」ってのは月に1回しかやってないけど、行きたければ平日とか、毎日そこは空いてるし、そこのスタッフといつも「にじーず」をやってるんで、何か喋りたいなってことがあったときにそこに寄って喋ったりもできるし。

キャシー:あー、それはいいね。

まめた:そうそう。LGBTのためだけの場所じゃなくって、普段からそこはいろんな若者の、例えば「試験ダルいわぁ」とか、「先生めっちゃおかしいんだけど」とか、部活でこういうことがあってちょっと自慢したいとか、そういうことを話せる場所だから、LGBT以外のことを喋りやすい場所なので、そういうところと一緒にやってることは結構意味があるかなと思って。

キャシー:将来的に、日本にLGBTのコミュニティセンターみたいなのって、できると思う?

まめた:どうだろう。

キャシー:あと、必要だと思う?

まめた:個人的には、もっと既存の施設とコラボしたりとかのほうがいいんじゃないかなって思う。何だろ、自分が若者支援とかやってると、「こっちの世界とあっちの世界」みたいなふうに分けて考えがちだなっていうのがあって。特に、若い子って極端に考えがちだなってのがあって。そうじゃなくて、確かに、この時間とか、この日はそういうプログラムでやってるけれども、別のことも話せるし、別の人たちも来る場所でやったほうが、「こっちの世界とあっちの世界」みたいにならずに済むかなって思ったりする。

きゃしー:うん、そうかもね。

まめた:まあ、トピック入れると、LGBTだけでやるニーズっていうのはあるかもしれないから。

キャシー:カミングアウトサポートとかね。

まめた:そうそう。そのほうが安全だって感じる人もいると思うから。

キャシー:ぜひ、日本での活動、頑張ってください。いつも、まめたさんの活動を遠くから見てます(笑)。

まめた:ははは(笑)。じゃあ、見られてます(笑)。

キャシー:あの、今回、結構いろいろ日本の話が聞けたんですけど、どうですか? こうやって日本の話をしてみて。

まめた:うん、まあ、明るいなって思ってて、大変なことはいっぱいあるけど、状況が変化してるし、動きがあるってことは明るいなって思ってる。

キャシー:うん。

まめた:なんで、5年後、10年後どうなってるのかなって楽しみですね。

キャシー:楽しみだね。楽しみだけど、ちょっと怖いね。

まめた:ははははは(笑)。まあ日本は……

キャシー:でも、そういう不安もいいんだよね。ははは(笑)。

まめた:この話を最後にしよう。ちょっと感動したことがあって、栃木県のあるところに呼ばれて、LGBTの子ども・若者支援の話をしたんですね。

キャシー:うん。

まめた:そしたら、そこの教育関係の施設の施設長の、もうたぶん60ぐらいの男性が、最初に挨拶みたいな感じで、「今日はお越しいただきまして、ありがとうございました」みたいな、全体に挨拶するわけですよ。普通そういうのって、当たり障りがない挨拶をして、講師の紹介をして、っていうことがだいたい多いんだけど、そのときの挨拶をしてくれた教育長の方ですかね、すごい素晴らしい方で、「この前アエラっていう雑誌を見た」と。「そこでLGBTブームっていうことが検証されてた」と。その挨拶してくれた人は、「人権とブームってことを一緒に考えた場合に、やっぱり、最近の話題みたいなふうにLGBTのことを扱うのは間違ってるんじゃないかっていうふうに僕は思った」っていう話をしてて。その彼は、ずっと部落差別の問題とかを一生懸命やってきた人で、部落差別っていうのは江戸時代とか、もっとその前とか、数百年とかすごい歴史があることで、LGBTっていうのはひょっとしたら、性別に関することって、数百年とかじゃなくてもっとすごい昔からいろいろ脈々とあった流れの中の出来事であって、だから、最近になってLGBTが脚光を浴びたとか、新しい人権課題ってことはないんじゃないかってことを、その人が喋ってたんですよ。

キャシー:うん!

まめた:すごい嬉しくて。何か、これまでやってきたいろんな取り組みの中で、それを応用してLGBTについて考えてくれる人たちが現れてるってことが、すごい嬉しかった。

キャシー:嬉しいね、それは。

まめた:やっぱり何か、最近の流れとか、それこそ「石原慎太郎が時代に追いついていない」みたいな表現で語られることに対して、それで楽な部分もあるんだけど、別に今に始まったことでも何でもないから。そういう視点で考えられる人がちゃんといるってことが貴重だな、ありがたいなって思って。そういう人が増えてほしい。

キャシー:というわけで、次回予告。

まめた:次回予告……次回、何にしましょうか。

キャシー:あの、僕のインスタグラムでリクエストがあったんですけど、こたるいママさんからのリクエストで、「はじめまして。興味深くてあっというまの30分でした!」……これが1回目のエピソードですね。「次回以降も楽しみにしています。機会があればXジェンダー(Third gender)についての話題も聞いてみたいです」という話なので、次回ちょっと個人的に話をしてみたいのが、トロントで高校生とか中学生とかにワークショップをするときに、ジェンダーの多様性とかセクシャリティの多様性がすごいことになってる話がしたい。

まめた:うんうん、ぜひぜひ。トロントと言えば、もういろんな、トランスジェンダー、トランスアンブレラというか、いろんな人がたくさんいるイメージがすごいある。

キャシー:あ、ほんとに?

まめた:うん。日本もあれだよね、LGBT以外のアイデンティティ持つ人が非常に増えてるよね。

キャシー:そう?

まめた:ジェンダーもそうだし。自分で自分のセクシャリティについてどういうふうに捉えるかとかっていうところで、より、LGBTとかだけじゃなくって、捉えていこうっていう人たちがいて、一方で、「そもそもレズビアンってどんな人?」みたいなところも、個人的にはすごいテンションが上がるテーマで。

キャシー:うん。

まめた:これまで、レズビアンとかゲイって言われていた人たちも、それってそもそも何を指してたの? みたいな話はまだまだ、どんどん議論し尽くしても足りないみたいなところがあると思うから。何か、自分をどうアイデンティファイするかとか、アイデンティティをめぐる言葉っていうのは面白いかなと思う。

キャシー:じゃあ、ぜひ次回はいろんなアイデンティティの話をしてみましょう。まあ、そんな感じで、はい。それでは。

まめた:はい。

キャシー:また次回に会いましょう。

まめた:じゃあ、またお会いしましょう。

 

Producer: キャシー (@torontogay69)
Co-host: 遠藤まめた (@mameta227)
Composer: hirontier/Hiroyuki Sugawara (@hirontier)

そして、桜井弓月さんの超丁寧な文字起こしに大感謝!

モントリオールのプライドと、人種。

23 8月

先週末、モントリオールに行って来たわ!

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もちろん、目的はモントリオール・プライド。今年、モントリオールが主催するプライドはカナダ・プライドというスペシャル・エディションで、例年より規模も大きくて大盛り上がりだろうと期待して、数ヶ月前からプライドに合わせて小旅行を企画していたのよ。

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久しぶりに訪れたモントリオールのゲイヴィレッジであサント・カトリーヌ通りは相変わらず活気がすごい。このエリアは夏の間ずっと歩行者天国になっていて、自由気ままに歩き回ることができる。頭上に広がるのは無数のアナルビーズは虹色のグラデーションになっている。トロントの寂しいゲイヴィレッジに比べると本当に段違い。

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規模こそトロントのに及ばないが、モントリオールのプライドはまったりしていて素敵な空気が流れている。広い公園で開催されるイベントがあるおかげで子供連れでも参加しやすく、芝生に座ってリラックスだってできる。チャーチストリートが人で占領されて歩けないほど混雑するトロントのプライドにはなかなかないクオリティである。

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個人的に、夏の終わりに友達とゲイバーのパティオに座って、夜空の下でサングリアで乾杯できたのがこの旅のハイライトである。その後、朝までクラブで大はしゃぎ…と言いたいところだが、実は毎晩11時頃には宿泊先に戻って爆睡してたわ。20台前半の時の体力はないし、うるさい音楽で聴力を破壊しながら汗臭いスペースで踊るモチベーションはもうないのよ。放っておいてちょーだい。早起きしてマーケットでクロワッサン頬張りながらとコーヒー飲んでる方が楽しい年頃なの。

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ちなみに、ツイッターで既にモントリオール・プライドの魅力は散々伝えたと思うので、この記事ではちょっと違う話をしたい。プライドパレードの様子が気になる方は、インスタグラムに山ほど写真があるので、気が済むまで漁ってちょーだい。

タイトルにもあるように、モントリオールのプライドで気になったのはやはり「人種」という視点である。今、トロントでは人種がLGBTコミュニティにとっての課題であるとまめたさんと一緒にやっているポッドキャスト『にじいろ交差点』でも話したが、モントリオールのプライドでもLGBTから人種というアイデンティティが欠けているようだ。

今年、モントリオール・プライドは人種問題に真剣に取り組みたいという意図で、有色人種LGBTのためのコミュニティ・ステージやイベントを初めて導入した。正直、トロントほどマルチカルチャーではないということを踏まえても、2017年まで有色人種向けのスペース作りをしてこなかったという事実に少しショックを受けた。現地のLGBTアクティビストの話を聞けば、マイノリティの中のマイノリティである有色人種のLGBTはモントリオールでの居場所作りに未だに苦戦しているとのことである。

しかし、有色人種のLGBTのために企画されたBBQイベントは、直前になってゲイマガジンにスペースを取られて、ユース向けのBBQイベントとの合同イベントに変更されてしまう。せっかくのセーフスペースが台無しだ。

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さらに、有色人種のためのステージではイベントの最中に警察が現れて、マリファナを吸っていた黒人のユースを逮捕し、手錠をかけて力ずくで連行した。もうすぐ合法化される予定であるマリファナの使用を理由に逮捕されるのも不自然だし、他にマリファナを吸っている人たちが多くいる中でなぜ黒人のユースだけが逮捕されたのかも気になる。幸いなことに逮捕された黒人のユースは既に釈放されているが、この事件が有色人種のLGBTコミュニティに大きな衝撃を与えたのは言うまでもない。この件については、モントリオール在住のアクティビストであるKama La Mackerelさんのブログ(#英語よ)でもっと詳しく読める。

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モントリオールのプライドパレードでは、追悼の気持ちを込めてモーメント・オブ・サイレンスが毎年行われる。ド派手で騒がしいパレードが参加者、観客共々静まっていく光景はとてもパワフルである。そんな今年のパレードでは、モーメント・オブ・サイレンスが始まった瞬間に遠くから叫び声が聞こえた。

「Black Lives Matter!(黒人の命は大事だ!)」

赤い煙が上がる方を見ると、Black Lives Matterのアクティビストたちが力強い声で抗議をしていた。2016年にトロント・プライドで起きたデモに比べれば遥かに短く簡略なものだったが、それでも彼らのメッセージは深く心に響いた。LGBTの権利が増えて、プライドがどんどんコマーシャライズされていく中で、取り残されていく人たちがいる。それを決して忘れてはいけない。誰かの人権を蔑ろにした人権活動は結局誰も守れないのだ。

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あと、そういえばカナダのトルドー首相もモントリオールのプライドに参加してたわ。写真映りが抜群で、メディア受けが良くて、プライドパレードにいつも参加する彼の話はまた別の機会にするわ。そして、トルドー首相の横を歩くのはオープンリーゲイであるアイルランドバラッカー首相よ。あたし、アイルランドのファーストジェントルマンになれるかしら。