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『LGBTは日々多様化している』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第4回 テキスト by 桜井弓月

15 9月

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第4 LGBTは日々多様化している2017/09/10

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

キャシー:おはようございます。

まめた:おはようございまーす。

キャシー:いま、向こう何時ですか?

まめた:ここは、夜の9時ですね。

キャシー:夜の9時ですよね。何度ぐらいですか、いま日本。

まめた:日本はね、25度ぐらいかな。

キャシー:25度(笑)。こっちは、今朝10度。

まめた:えー、寒いね。

キャシー:すっごい寒い。残暑がまったくないという。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:というわけで、エピソード4まで来ました。

まめた:はい。

キャシー:一応これ、リスナーに対するネタバレなんですけど、このpodcast、月1収録で、月2エピソード更新みたいな感じになってます。

まめた:そうなんです、実は。

キャシー:別に隠してたわけじゃないんですけど。

まめた:(笑)。

キャシー:ははは(笑)。で、このpodcast、まめたさんと全く打ち合わせとか、Facebookでチャットしてるぐらいで、実際に話して打ち合わせする、まったくそういう機会がないので、ほんとに。

まめた:ぶっつけ本番。

キャシー:ぶっつけ本番。1ヶ月ぶりに話すよね、たぶんこれ。

まめた:そう。何かね、ひさびさ感がある。

キャシー:ひさびさだね。

まめた:うん、懐かしい。

キャシー:どう? 最近。

まめた:最近はね、何してんだろ……あ! 明日、自分が通ってた中学校と高校に行って、先生向けの研修をすることになりました。

キャシー:すごい(笑)。

まめた:怖いんだけど。はっはっは(笑)。超喋りづらいんだけど(笑)。先生みんな知ってるみたいな。

キャシー:あ、みんな知ってるんだ? すごいね。

まめた:そう。超やりづらい(笑)。

キャシー:高校とか中学のときは、カミングアウトしてたとか、いろいろそういう取り組みとかやってたの? 学校で。

まめた:いやー、先生にカミングアウトして、当時セーラー服の学校に通ってたんですけど、女子高で、制服嫌で、先生とかに言って変えてもらおうとしたんだけど、だめだったのね。っていういわくがあって。その先生とか来てるかもしれないじゃん?

キャシー:あ、そうだね。

まめた:うん。

キャシー:でも、そこから時間もだいぶ経ってるから、何か変わってるかもしれないし、変わってないかもしれないね。

まめた:そう。期待して行きたいなと思ってます。

キャシー:ぜひ来月の収録のときに結果を教えてください(笑)。

まめた:はい。最近どうですか?

キャシー:最近は、うーん、何してるんだろう、すごく忙しいです。いまオリエンテーションの時期なんですよ、トロントの。で、新しい大学生がバンバン来ていて。で、オリエンテーションのプレゼンテーションに行って、LGBTの紹介を各所でしてます。

まめた:おー。そっか、9月入学だからね。

キャシー:9月入学だから、そうそうそう。だから、前回のpodcastで話した「LGBTをどう語るか」っていう部分がとても難しくて、しかも3分の間にLGBTの説明とか、そういうことをリクエストされて、もうホント無理難題ばかりです。そんなわけで、今日の話なんですけど、前回、多様化していくLGBTのアイデンティティたちの話をしようってしてたじゃないですか。ちょっと、トロントで仕事してたときのエピソードがあって、前の仕事、結構、高校とか中学に行ったり、クラスルームだったりゲイ・ストレート・アライアンスが結構いっぱいあるから、そういうグループに直接行ってこういうワークショップやったりするんだけど、何か、若い人たちのアイデンティティがすごく細分化している。

まめた:ほー。

キャシー:うん。毎回、僕が入ってきて、LGBTのワークショップをしようってなってるんだけど、逆に僕が教わってるみたいな感じになってて。分からないから。結構、例とかをいっぱい持って来たんだけど、今日は。フレイセクシュアルって知ってる?

まめた:フレイセクシュアル?

キャシー:うん。

まめた:全然分かんない。

キャシー:全然分かんない? デミセクシュアルとか聞いたことある?

まめた:デミセクシュアルは聞いたことあるけど、説明できない。ははは(笑)。

キャシー:あー。アロマンティックとかは?

まめた:あのねー、「ア」が付くやつがいくつかあるのは知ってる。

キャシー:うん。一応、アセクシュアルは結構メジャーだと思うんだけど、性的指向がないとか、相手に性的な欲求を感じないとか、いろいろ人によって結構解釈は違うんだけど、アセクシュアルっていうのがあって。アロマンティックは親密な関係とか、そういう感情を抱かないとか、そういうアイデンティティで。デミセクシュアルは逆に、親密な関係がないと性的な欲求を抱かないとか。

まめた:ほー。

キャシー:フレイセクシュアルは、その逆。親密になっていくほど性的な欲求、性的指向がなくなっていくみたいな、そんな。

まめた:切ない。

キャシー:切ないのかな。その、個人的に、僕かなりフレイセクシュアルなほうだと思うんだけど、うん。

まめた:何かすごい、気になりますね。

キャシー:何が気になるの?

まめた:それは、付き合って長くなると、徐々に減っていくみたいな?

キャシー:そうそう。で、こういう言葉とかも、すごい新しいから、解釈とかも、たぶんかなり曖昧な場所にあって、常に新しい言葉作りがされている感じ。それと同じように、ジェンダーに関する言葉作りも最近かなり増えてきたなと思ってて、ジェンダークリエイティブとか。

まめた:クリエイティブ?

キャシー:うん。カナダに「ジェンダークリエイティブキッズ・カナダ」みたいな団体があって。

まめた:かっこいい!

キャシー:かっこいいよね。ジェンダークリエイティブっていいなと思って。

まめた:楽しそう。

キャシー:そう。で、そういう言葉がどんどん新しく生まれて来ている現象に、すごくいつもインスパイアされていて。

まめた:うんうん。

キャシー:うん。LGBTだけじゃなくて、どんどん、マイノリティの中のマイノリティとか、もっと自分により近い、より説明しやすい言葉が作られていくことについて、いま考えてる。

まめた:何かあの、でも自分も、高校生とか大学生に会うと、知らない言葉喋ってますよ。だから、デミセクシュアルとかも聞いたことあるし、だいたい毎回その意味が分かんなくて、訊いてる。で、例えばデミセクシュアルって言ってる子とか、やっぱりいたりするんだけど、毎回「どういう意味なの」とか、「何でそういうふうに名乗るようになってるのか」とか、その背景みたいなところが自分は興味があるから、訊いてみたりとかしてる。

キャシー:例えばどういう背景? シェアできる範囲で。

まめた:うーん、そうだね。例えば、友達を好きになっちゃうことが多いみたいな話をしてる子がいて、デミセクシュアルの子で。で、やっぱ仲良くなっちゃうとすごい好きになって、でも叶わないことが多いとか、そういう話をしてくれたりとか。なるほどなあと思って。

キャシー:そういう言葉とかは、浸透してる気がする?

まめた:ネットとか、特にツイッターとかでは結構見たりするんだよね。

キャシー:こっちも、北米とか、若者のそういう言葉が広がっていくのも、やっぱりタンブラーとか、ソーシャルメディアの上……みんな、すごい、ストーリーテリングとかを使って自分のアイデンティティの形成とかをしてる。すごい時代になってるね、と思って。

まめた:日本でもね、面白くって、Xジェンダーって言葉があって、カナダでなんて言うのかな。

キャシー:Xジェンダーっていうのは、どう説明する?

まめた:一応ね、「男性でも女性でもない」とか、「どちらでもある」とか、ぐらいの定義みたいなんだけど、人によって全然違うんだよね。「Xジェンダーです」って言ってる人のXジェンダーの意味は、実はその人によって結構違ってたりして。

キャシー:はあ。

まめた:その研究をしてる人がいて。

キャシー:うん。

まめた:「Xジェンダーです」って言ってる人に、それがどういう感じなのかってことを訊いてる人がいて、Xジェンダーって言葉を知ったきっかけとかは、ツイッターとかSNSとか、そういうものを通じて、例えば「男でも女でもない」とか、そういう言葉を検索するとそういうのが出てきたりとか。

キャシー:一応、Xって昔から、日本にいた頃から結構使ってた人がいっぱいいて、MtXとかFtXとか使ってた人がいて、Xジェンダーっていうのは知ってたんだけど、あんまりトロントでは使ってる人を見たことがなくて。いまよく使われているのが、ジェンダークィアか、ノンバイナリー。ノンバイナリーが「女性と男性っていう区分けに従わない」みたいな感じで、いま話してたXジェンダーに近いかもしれないんだけど、ジェンダークィアはもうちょっと政治的な部分も入ってきて。あと、アジェンダーとかもある。

まめた:アジェンダーって何?

キャシー:ミーティングのアジェンダじゃなくて、「ア」に「ジェンダー」……ジェンダー自体がない人。

まめた:日本だとね、Xジェンダーが最初に出始めたときってのは、結構トランスのコミュニティとかで語られることが多くって、自分のイメージだけど、例えばホルモン治療とか、胸を取るとかしてる人でもXジェンダーの人がいたりとかっていう印象があったんだけど、人によっては体の違和感が別になかったりとか、あと、ちょっとフェミニストっぽいと思うんだけど、典型的な「男らしさ」「女らしさ」に対するアンチの馴染めなさとか、そういうところからXジェンダーって言ってる人もいるし、意味合いは全然違うし、その人の選択してる見た目のプレゼンテーションというのは、外見とか服装とか体の捉え方とか、ほんとに一人一人違うから、面白いと言うか、聞いてみないとXジェンダーの意味が分からないんだよね。

キャシー:結構、新しい言葉に共通してるよね、そういうところは。人によって使い方が違うし、人によって解釈が違うし。トロントで研究とかしてるんだけど、サーベイの選択肢みたいなのあるじゃん? ジェンダーの選択肢。昔はmalefemaletransとか、そういう感じで書いてあったんだけど、最近はmalefemaletransnon-binaryになってきて、トランスとノンバイナリーが分かれてきた、っていう部分があって。

まめた:malefemaleにトランスは入らないの?

キャシー:あー、一応、malefemaleも場合によってはカギカッコでtranscis、どっちも、とか。

まめた:なるほどね。ほお、ほお。

キャシー:あと、詳しいサーベイになってくると、cis malecis femaleとか。あと、malefemaletransのほかに「cistransか」みたいな、そういう選択肢があったりする。

まめた:なるほど。項目がどんどん増えていくね。

キャシー:項目がどんどん増えていく。サーベイ作るときはすごく大変。やっぱり、どうやって複雑なアイデンティティたちをキャプチャーするのかみたいな感じで。

まめた:何か、自分も前に大学生に話をしてて、バイセクシュアルの人の話をしてたら、「それはパンセクシュアルじゃないか」って言われたことがあって。それは、トランスジェンダーの人を好きになったり、好きになる人の性別をあんまり問わない人の話をしてたときに、「それはバイというよりパンではないか」みたいなことを言われたことがあって、そのときちょっと考えたのが、そもそもバイセクシュアルの人たちの語りとかって、あんまり日本に暮らしててそんなに多く目にしないなってことを思ったんですよ。だから、バイって言ってる人も、バイセクシュアルの意味合いとか、どういう感じなのかってホント一人一人違ってたりするし、それを思うとLGBTとかも、トランスって言ってるけど結構違ってたりとか、やっぱり聞いてみないと分かんないなって思うとこが結構多いなと思ったんですよね。

キャシー:そのトランスとかバイセクシュアルの話なんだけど、トランスとかも、最近は「トランスジェンダー」じゃなくて、トランスに*が付いたやつ(trans*)があって。

まめた:そうそうそう。あれ、何て読むんだっけ?

キャシー:一応「トランス」なんだけど、下に……何て言うの、脚注って言うの? それでトランスのアイデンティティを全部リストアップしたりとかするし。trans* (all trans identities) みたいな、そういう感じで。あと、バイセクシュアルも面白い部分。過去に男性、女性みたいな、すごく区分けが強い時代の言葉がバイセクシュアルだと思うんだけど、最近どんどんそれが変わってきて、パンセクシュアルを使う人が増えてきた気がする。

まめた:最近、日本もそうだね。

キャシー:そう?

まめた:うん、そう思う。若い人とか特にそうだし。何であえてバイセクシュアルって名乗るんだろう。いまのネット環境とかを見て、「自分はこれかな」って見てる人にとって、たぶんパンセクシュアルの方がむしろ多く見れる言葉なんじゃないかなと思う。

キャシー:うん。

まめた:でも、20年ぐらいずっとコミュニティにいる人とかは、ずっとバイセクシュアルって言葉を大事にして使っていたりするし、その人のバイセクシュアルって言葉の深さみたいなものが自分は結構好きだったりして。だから何か、言葉は言葉であるけど、その人がどういうことを伝えようとしてるかみたいなことのほうが興味あるかな。

キャシー:そうだね。そういう物語の部分が大事だね。

まめた:自分はデミセクシュアルなのかなあとか、考え始めた。

キャシー:何が?

まめた:自分はデミセクシュアルなのかなあ。

キャシー:ちょっと待って、まめたさん。一番いいところで音が途切れた。ちょっと待って待って!

まめた:いや、自分はデミセクシュアルなのかどうかが気になり始めたけど、でも別にあえて名前を付けなくてもいい気もする。

キャシー:ちょっと、すごい気になるから、もうちょっと教えてよ。

まめた:えー、何だろ、あんまり性欲がなくて、だいぶ関係性とか盛り上がらないと性欲があんまりないね。

キャシー:うーん、僕とは真逆だね、そしたら。知れば知るほど興味がなくなっていく。性的な興味がね、なくなっていく部分があって。

まめた:出会った瞬間が一番?

キャシー:出会った瞬間って言うか、知らない人のほうがいいみたいな(笑)。はっはっは(笑)。

まめた:はっはっはっは(笑)。それ面白いね。

キャシー:それはゲイカルチャーの部分があるかもしれないんだけど。

まめた:すごいな。でも、すごい興味がある。

キャシー:それをこの前友達と話していて、昔はすごくそれが、例えば出会った人と23回会ったあとは、もうあんまり性的な欲求がなくなっていくことにすごく不安を感じたり、そういうふうに感じてしまう自分にかなりクリティカルだったんだけど、最近は、仕方ないから、もういいやっていう感じになってきて、吹っ切れて。友達に話したら、意外にそう感じる人は結構いるみたいで。で、昨日podcastの準備中にサーチをしてたら、この言葉に出会って、「あ、自分だ」って(笑)。でも、まめたさんが言ったみたいに、あえて言葉で説明する必要もないのかなと思っていて。自分がいる立場からするとね。やっぱり中学校とか高校のときって、言葉があること自体がとても救いになる部分があるでしょ? 例えば、自分はゲイっていう言葉を中学校のときに学んで、すごく自分自身の形成に役立った気がする。

まめた:そうだよね。自分も、トランスジェンダーって言葉を知ったときに、すごい嬉しかったよね。素晴らしい言葉だと思った。高校1年のときかな、ネット検索してて、最初に出てきたのは性同一性障害が出てきたんだけど、何かトランスという字面にとてもいいものを感じましたよ、うん。

キャシー:どういう関係を持った? その言葉と。

まめた:トランスジェンダーって書いて出てくるいろんな日記とか、当事者の人のホームページとかを見ると、自分が普段考えてることが……脳みそがそこに流出してるぐらい「あ、それ!」みたいな、「めっちゃ分かる!」みたいなことが多くって、逆に、「自分がトランスじゃなければ、世界の誰もトランスじゃない!」ぐらいのことを思ったりした。

キャシー:すごいね、それは。いいね。

まめた:でも、自分がそうなのかなと思ってるときは、ずっとネットで見たり書いたりすることがすごく多くて、実際にコミュニティに足を運ぶのは2年ぐらい時間が経ってるんだけど、そのときは、「このトランスのコミュニティで友達が見つからなかったら、自分は独りぼっちなんじゃないか」とか思ったりとか。

キャシー:あー、それは不安だね。

まめた:これだけ自分とぴったりくると思ってるのに、もし全然話が合わなかったらどうしようみたいな、それはそれで困るなあと思ったりとか。

キャシー:話は合った?

まめた:あのね、グループに行ったら、一人しかいなかったんですよ。

キャシー:ははは(笑)。

まめた:正確には、最初に行ったグループが「おにいちゃんの時間」っていう、中野にあるラウドで開かれてたグループで、最初はFtM、トランス男性の人とそのパートナーの人が二人のところにガチャッと入って行って、「グループじゃないの?」って言ったら「グループですよ」って言われて、そのあとに紹介された横浜のグループに行ったら、主催者の人が一人だけ部屋に座ってたの。「グループですよね?」って訊いたら「グループです」って言われて。

二人:はっはっはっは(笑)。

まめた:それがトランスのコミュニティデビューでした。

キャシー:ははははは(笑)。

まめた:いろんな不安が全部崩れた瞬間。

キャシー:ははは(笑)。逆にそれがモチベーションになって、コミュニティ作りにいま励んでるかもしれない。はっはっは(笑)。

まめた:面白かったですよ(笑)。

キャシー:面白かった? ははは(笑)。でも、ごめん、その、笑ってるのが、トロントで聞いた話を思い出していて、この前も話したけど、インターセクションにいる人たちが自分たちの居場所を探す……例えばアジア系でトランスとか、イスラム教徒でトランスとかゲイとか、そういうインターセクションの居場所を探すときに、グループとかネットで見つけて行くと一人とか二人とかしかいなかったりするエピソードがいっぱいあって。

まめた:それはそれで貴重な出会いだと思うんだよ。

キャシー:そうそうそうそうそう。

まめた:絶対一生忘れないよね。

キャシー:そこから始まって、いま団体になったっていう場所も結構あって、結構その歴史の部分で、歴史を学ぼうみたいな感じのイベントに行くとそういうエピソードを結構聞いたりする。だから、グループに行って一人しかいなくても諦めないでください、っていうメッセージ(笑)。

まめた:ははは(笑)。でも、何か、どこにでも行けるから、すごいワクワクするよ。一人とかね。

キャシー:で、ちょっと質問があるんだけど。

まめた:はいはい。

キャシー:さっき、性同一性障害が出てきたって言ったじゃん、検索してるとき、トランスジェンダーを。いまは、日本でトランスジェンダーっていう言葉と性同一性障害っていう言葉は、どういう関係とか、どういう感じで使われてるの?

まめた:難しくって、あのね、性同一性障害って言葉のほうが全然有名で、トランスジェンダーはそれに比べたら全然知名度下がると思うんだよね。基本的には、トランスの人たちは何かしらの病気の枠組みで捉えてる人がいまの日本では結構多いから、そういう意味では、性同一性障害って言葉のほうが、そういう、ある種の病気とか、そういう捉え方のほうがポピュラーな捉え方かなと思うんだよね。

キャシー:うん。

まめた:自分なんかは、トランスジェンダーっていうアイデンティティのほうが気に入ってるんだけど、生活していくうえで、例えば自分はホルモン注射をしたいと思って、16歳のときかな、ジェンダークリニックってところに通って、性同一性障害っていう診断をもらって、結局そのあとホルモン治療とかはせずに診断書だけ宙ぶらりんに存在するみたいな感じになってるから、「性同一性障害ですか?」って訊かれたら、まあそうなんだけど、でもあんまり積極的にそういうことを名乗りたいわけじゃなかったりとか。性同一性障害って疾患の名前だから、他の人、医者とか、そういう人が自分をどう捉えるかみたいな感じで、自分が自分のことをどう捉えるのかっていうところからいくと、自分はトランスジェンダーっていう言葉のほうが好き。一方で、「自分は性同一性障害です」って言ってる人も、まだまだたくさんいる。

キャシー:はあ。この質問をしたっていうのも、いまカナダで「誰がトランスジェンダーなのか」っていう話が盛り上がってきていて、身分証明書で名前を変えたりとか性別を変えたりするときに、誰ができるのかっていう話になってくるじゃない? 例えば、昔はオペをしていないとできなかったりとかがあったんだけど、数年前にオンタリオ州だと、オペとかしてなくても、どこまで緩いのか分からないけど、性自認だけで名前が変えられたりとか性別が変えられたりとかするし、大学とかでも、身分証明にある名前を自分が使いたい名前に変えてもらうとか、そういうことができたりするし。だから、昔はもっと性同一性障害で、障害があるから、障害のための受け入れ態勢っていう部分から、トランスジェンダーっていうコミュニティがあって、トランスジェンダーっていうふうに自認する人たちがいるから、この人たちのためにシステムを作っていこうっていう部分に話が変わってきている感じがして。最近ニュースになったのが、ジェンダーフリーの赤ちゃん、出生証明書に性別の明記がない赤ちゃんが初めて生まれたとか。あと、カナダの人権法にジェンダー・アイデンティティとジェンダー・エクスプレッションが含まれることになる……もう含まれる方向になっていくと思うから。オンタリオでは、もうあるんだけど。カナダ全体でジェンダー・アイデンティティとジェンダー・エクスプレッションが人権になるから、それを理由に差別とか偏見をすれば、かなり問題になってくる。だから、国自体もそれに従ってシステムが変わっていくのかなと思って。

まめた:そうだねー。日本も、「診断書を持って来てください」って言われることは、場面によってはまだたくさんあって、でも別になくてもいいじゃんとか、別に必要ないっていう場面では自己申告だけで変えれることはあるよね。まあ、場所によるって感じだね。

キャシー:あ、そうなんだ。

まめた:名前に関しては、診断書さえあれば、別に手術とかしてなくても、これも地域とか家庭裁判所の人の判断によるんだけど、いまは診断書一枚あれば何とかなることが多い。まあ、何で診断書いるんだって話はあるけど。

キャシー:じゃあ、昔よりは、やりやすくなったって感じ?

まめた:そうそう。

キャシー:はあ。で、日本で性同一性障害がトランスジェンダーより知名度があるって話をしてたじゃない? 個人的に覚えてるのが、日本にいた頃、結構チャリティ・テレビとか、そういう感じの番組とかで、かわいそうみたいな感じで、性同一性障害がすごくメディアに登場してた時期だったと思うんだよね。『金八先生』とか、あったよね。上戸彩が何かやってたよね、確か。

まめた:そう、大変そうだった。

キャシー:大変そうだった?

まめた:何だろう、いまでもすごく覚えてるんだけど、上戸彩がカミングアウトする授業か何かがあって、保健室の先生が黒板に文字を書こうとするんだけど、手が震えてチョークが折れるんだよ、バキッて。

キャシー:うん。ははは(笑)。

まめた:すごい、あの、何だろう、すごくアンタッチャブルなイメージを植え付けてるんじゃないかと思って。授業で扱うにあたって。そんな大変なことなんだ、みたいな。時代を感じさせるよね。いま、そういう表現の仕方するのかね。どうなんでしょう。

キャシー:メディアに登場してる? トランスジェンダーの人たちとか。

まめた:出る出る。

キャシー:で、結構トランスジェンダーのカミングアウトしたタレントさんたちとか登場したよね。

まめた:ね。中村中さんとかね。歌手で、紅白歌合戦のときに紅組から出て、中居くんが手紙を読んだりとかしてね。

キャシー:それもだいぶ前だよね。

まめた:結構前だね。

キャシー:あと、もう一人タレントさんいなかった?

まめた:誰だかな……はるな愛?

キャシー:はるな愛さん、そうそう。

まめた:あの人は、やっぱタレントで、人を笑わせる感じのキャラクターだよね。楽しませる系だよね。何か、シリアスな性同一性障害のイメージと、テレビの楽しいオネエキャラってのがすごい乖離してて、日本って。性同一性障害っていうと真面目なイメージ。だけど、オネエっていうと、すごい全然違う感じになる。

キャシー:はあ。

まめた:たぶん、はるな愛が性同一性障害で番組作ったら、すごいシリアスな話になるんだと思う。

キャシー:あー、何か番組作れそうだね。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:はっはっは(笑)。で、このエピソードで、すごく、こうやってアイデンティティがどんどん細分化していく話をして、若い層とかでどんどん可視化されていく部分があると思うんだけど、メディアとか、一般大衆みたいな間では、やっぱりオネエとか性同一性障害とか「LGBT」のまま? 進んでる感じがする?

まめた:しないなあ。うーん。

キャシー:しない? きっぱり(笑)。

まめた:しない。しません。ははは(笑)。

キャシー:しません。はい(笑)。

まめた:サブカルとかでねえ、サブカルチャーとか漫画の中とかはいろいろどんどん増えてく気はするけど。やっぱり、なかなか……

キャシー:あー、漫画の中で? 増えてる?

まめた:増えてるっていうか、描き方はどんどん……性の描き方はどんどんどんどん、何て言うか、ファンタジーな部分も含めて、すごく増えていくんだけど、それが、よりメジャーなメディアとかに対して影響を与える気がしないんだよね。

キャシー:かなしいね。

まめた:どうだろうね。でも、これから変わるかもしれないしね。

キャシー:変わってほしいね、どんどん。

まめた:変わりましょう……分かんないけど。変えましょう(笑)。

キャシー:ははは(笑)。変えていきましょう、はい。じゃあ、まめたさんがトイレに行くということで。

まめた:それは放送に……

キャシー:これは放送します(笑)。

まめた:何でだよー! はっはっはっは(笑)。

キャシー:ははは(笑)。僕もあとでトイレ行くから大丈夫。一緒に、別々に、インターナショナルにトイレに行きましょう。

まめた:じゃあ、またあとで(笑)。

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『日本でLGBTという言葉が浸透して、何が変わった?』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第3回 テキスト by 桜井弓月

4 9月

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第3 日本でLGBTという言葉が浸透して、何が変わった?2017/8/27

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

キャシー:あははは(笑)。

まめた:汗をダラダラ流しながら(笑)。

キャシー:そう、すごい濡れ濡れです。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:はい。というわけで、エピソード3に来ましたけど。

まめた:はい。

キャシー:どうですか、まめたさん。

まめた:また「にじいろ交差点」を言いたい。

キャシー:また言うの? ははは(笑)。じゃあ、やってみよう(笑)。じゃあ、「にじいろ」って僕が言って、まめたさんが「交差点」って言って、で、12、せーので……

まめた:「LGBTの多様性を語るpodcast

キャシー:そうそうそうそう。じゃあ行くよ?

まめた:うん。

キャシー:にじいろ!

まめた:交差点!

キャシー:12、せーの!

二人:LGBTの多様性を語るpodcast(最後のほうは微妙にズレながら二人で言う)

まめた:ははは(笑)。

キャシー:どうだった? 微妙だね。

まめた:今までの中で一番言えてると思うよ?

キャシー:うん、ポジティブ思考はいいと思うよ(笑)。

まめた:だんだん成功に。

キャシー:うん、だんだん完璧なオープニングにしていこう。というわけで、今回のエピソード、いきなり本題に入ろうと思うんだけど、日本の話を聞きたい。

まめた:日本のLGBTコミュニティについて。

キャシー:そう。個人的にシェアしたいのが、2015年の秋に日本に一回帰国して、そのときに初めてうちのパートナーと一緒に日本に行ったのね。で、二人で電車に乗っていて、日本の電車ってモニターがあるじゃん?ニュースとか流れてるのがあって。で、僕のパートナーがすごいつんつんしてくるから、何?と思って話を聞いたら、モニター内のニュースのテロップに「LGBT」って書いてあって。

まめた:あははは(笑)。

キャシー:それにすごいショックを受けた。

まめた:おー、たしかに。

キャシー:すんごいショックを受けた。

まめた:考えられないことだよ、それは。

キャシー:ほんとに。

まめた:10年前を考えると、考えられないことだよ。

キャシー:うん。その話が聞きたい。何があったの?(笑)。

まめた:ははは(笑)。一応、その、きっかけは週刊誌かな。ビジネス系の雑誌がLGBT市場について特集を出したってことを皮切りに、LGBTブームってのがやって来たっていうことになってるらしいんだけど、たぶんそれだけじゃないと思うんだけど、例えば2007年とか、それぐらいのときに比べると、比べものにならないぐらい、いまLGBTのことっていうのは普通に新聞とかニュースで取り上げられるし、そもそもLGBTって言葉が見出しで注釈なく使われること自体に、いまだにちょっと衝撃を覚えるんだよね。

キャシー:はぁー。でも、ほんとだよね。ブログを9年前に始めたときにカテゴリーとかがあってさ、LGBTとかなかったから、オカマで始めたのね。

まめた:へぇ。

キャシー:そう(笑)。これ選びたくないなと思ったんだけど、それしかないから。

まめた:他にないから。

キャシー:うん。で、記事とか書くときとかも、LGBTって書いたら、LGBTを知らない人たちに伝わるかどうかも分からなくて、ほんとに毎回困ってたの、言葉がなくて。

まめた:だって、新聞の見出しとかって、「性的少数者」とか、せいぜいそんなもんしかなかったと思うんだよね。

キャシー:そうだね。

まめた:何かでも、いまだに、ほんとに伝わるのかなって心配になるけどね。市民講座とかやっても、「知ってますか、LGBT」みたいな。知らない人は来ないもん、「知ってますか?」って言ってるけど。興味を持って来る人は、何のことかおぼろげながら分かる人が来ると思うから。「知ってますか?」と組み合わせで使えること自体がすごいと思う。

キャシー:そうだね、すごいね。まめたさんが言う通り、言葉は浸透してるけど、実際どこまで理解されてるのかっていうところは、ちょっと分からない。

まめた:ドキドキするね。

キャシー:ははは(笑)。

まめた:今日この話をしたいと思ったのがあって、去年、某毎日新聞っていう……某を付ける意味が全くなかったわ。毎日新聞の記者さんの有志の勉強会に呼ばれたんですよ。

キャシー:うん!

まめた:毎日新聞っていうのは、LGBTのことを結構前から取り上げてた新聞の一つなんだけど、記者さんが記事を書くうえで悩むと。悩むので、一回いろいろ勉強したいっていうことで、有志のライターの人で、記者さんと勉強会やったんですよ。で、面白かったのは、見出しをね、どういう見出しを付けるかっていうので、百何件とかの数……LGBT 理解を」っていう見出しだったらしいんですよ。「LGBT 理解」とか「性的少数者 理解」っていう見出しがやたら多くって。でも、漠然としすぎていると、記者さんが言うに。で、どういうふうに見出しを付けていいか分からないから、そういう見出しが増えちゃうんだけど、実はそれがちゃんとそのイベントについて適切に描いてるものかっていうと、必ずしも見出しとして、ぼやんとしてたりとか。あと、例えばトランスジェンダーについてどういうふうに書いたら適切なのかとか。結構、記者の人も悩んでて、っていう中で勉強会やったんですよ。

キャシー:うーん、面白いね、それ。

まめた:そう。で、やっぱり結構ニュースになるし、発信する人もどんどん増えてて、これまでだったら当事者団体の人とかぐらいしか発信してなかったのが、今はウェブニュースとか、これまで関心のなかった新聞記者さんとか、あるいは個人でLGBTについて語っていく場面っていうのも、実はどんどんどんどん増えてて、昔と比べて最近っていうのは、LGBTに発信するメディアっていうのがどんどん増えていると。そのメディアっていうのは、マスメディアだけじゃなくって、いろんな団体とか、いろんな企業の担当者とか個人とか、発信する人が非常にいま増えてるっていうのが、ここ最近の一番の変化かなっていうふうに思ってるんだよね。

キャシー:はあ。その毎日新聞の勉強会の結論は何だったの? 結論というか、学習点とか、そういう感じのことはあったの?

まめた:一応、用語について、どういう言葉なのかっていうことをみんなで確認したりだとか、あとは、いろんな論点が出たんだけどね。当事者がプレスリリースで出してくる言葉をそのまま拾ったりしがちなんだけど、当事者が間違えてることが多いので、そこをちょっと疑ってかからないといけないっていうことがあって。例として挙げられてたのが、「LGBT向けの服屋さんがオープンしました」みたいな記事があったのね。LGBT向け衣料……服ですね。衣料、「衣」に料金の「料」の。「LGBT向け衣料のお店が始まりました」っていう新聞の見出しだったんだけど、中身はトランスの人向けの服とかだったり下着の、そういうお店だったんだけど、なんかその、見出しとして結構微妙になってるのは、元々それは売ってる団体とか人たちがそういう呼び方をしているので、そのまま言葉を使うと逆に伝わりにくくなっちゃったとか、そういうことがありましたね。

キャシー:はぁー。でも、そうだよね。LGBTがあまりに浸透しちゃって、でもLGBTっていう言葉がすごく、全然違う人たちをひっくるめた言葉だから。あー、そうなっちゃうのかあ。

まめた:結構ね、「この記事どうだった?」みたいな実例を持ち寄ってディスカッションしたりして。

キャシー:あー、それは面白いね。

まめた:うん、面白かった。

キャシー:もう一つ聞きたかったのが、LGBTがさ、流行語大賞第3位とかになってたじゃん? 何か、どうなの? このブームみたいな感じの流れは。

まめた:どうなんでしょうね。その、差別とかしたり、あからさまに気持ち悪いとか言うと、ちょっとまずいかなっていう風潮にはなりつつあると思うんだよね。前とかは、もっと普通にいじったりとかしやすかったと思うけど、最近は、「でも、そういう人たちもいるみたいだし」っていうのが人々の頭の片隅にあるような気はする。

キャシー:はぁ。じゃあ、もっと礼儀正しくなったんだね。

まめた:まあ、でも、どこまで分かってんのかなっていうところだよね(笑)。

キャシー:あぁ。何か、その話を聞いてると、トロントに似てる感じがする。みんな、どこまで分かってるのか分からないけど、人権で守られてるから、下手なこと言っちゃいけないっていう、そういう空気はある気がする、こっちも、うん。

まめた:まあ、でも、みんな普通にいまだに差別的なこと言うけどね。あの、でも、ちょっとこう、何か変化があったなと思ったのは、この前ツイッターで石原慎太郎、元東京都知事の。あの人が、まあ、ずっと同性愛者に対する差別的なことを言ってきた人なんだけど、この前また同じことを呟いてて。同性愛者に対して失礼なことを書いてたんだけど。何か、それの反響とか、それに対するリプライとかを見てると、石原さんを支持する人が減ってると言うか、「石原さん、何を言ってるんだ!」っていう人たちが、すごいエネルギーを持ってると言うか。だから、前は石原さんのような人がたくさんいて、大変だなという印象を受けてたんだけど、何か最近はちょっと潮目が変わってきて、あからさまに「理解できない」って言ってる人はちょっと「追いついてない」みたいな形で捉えられてるんだなってことを思ったことがありました。

キャシー:はぁ。でも、そういう変化があるのは面白いね。

まめた:石原さんは何も変わってないんだよ(笑)。

キャシー:はっはっはっは(笑)。まあね。ははは(笑)。いま何してんの、あの人。

まめた:何してんだろうね。でも、もう隠居してるんじゃないの?

キャシー:あぁ。あんまり推測で言っちゃだめだよ、まめたさん。ははは(笑)。その、2015年に日本に帰ったときに、地元の友達、みんなノンケの男の子だと思うんだけど、久々に顔を合わせて、で、もうほんとに今更だから、もうほんとにどうでもいいやと思ってカミングアウトしたのね。で、そしたら何か、すごくみんなLGBTというか、ゲイ・コミュニティのスラングとかを知っていて。

まめた:何で?

キャシー:何で? って話だよね。いきなり、「あー、お前ゲイなんだ? で、ネコなの? タチなの?」って言われて。何でそんな言葉知ってるの、みたいな。ハッテン場とか知ってる。何でハッテン場を知ってるの? みたいな。すごい戸惑った。あまりにみんながみんな知ってるから。ちょっと戸惑った。一人だけならまだいいんだけど。何かみんなそういう知識があって、一緒に高校とか中学とか過ごしてきた子たちだから、そういう知識が昔はなかったはずだから。何が変わったんだろうね、っていう。すごい不思議。

まめた:何か最近ね、LGBTスピーカー養成講座っていうのを静岡でやってて、全部で3回の講座なんだけどね、そこで聞いた話っていうのが、LGBTについて研修をして下さいっていう依頼が、かつてない、かつてそんなことなかったのに、いきなり来るようになったと。団体とか個人に対して。で、「ぜひぜひ」ってなるんだけど、いざ喋るとかいうことをしたことがないってことで、「何を誰が、どう喋ったらいいんだろう」みたいなところで悩んだりとか、あとまあ、いきなり忙しくなる。講演の依頼とかも来るし、相談する人とかも来て、なかなか時間の流れ方っていうのが、これまでのんびりやれてた人たちとかも、ちょっと時代の変化みたいなところに合わせて、振る舞い方とか、やっていかなきゃいけないこととか変わりつつあるのかなってことを、ちょっと思ってるんだよね。

キャシー:面白いね。どうだった? そのLGBT養成講座をやってみて。

まめた:まあ、基本的に自信を持って喋ったらいいと思うんですよ。で、上がった声としては、当事者じゃないのに自分が語っていいのかっていうこととか、あとは専門の何かこう、例えば大学でジェンダーとか勉強したことがないっていうことに何となく引け目があったりとか、何て言うのかな、正しい知識みたいなことをどこかできっちり学ぶ機会があった方がいいっていうか、ないで喋ることに対する不安みたいなのは、あるんだろうなっていうふうに思ったんだよね。でもまあ、その、一定の間、活動したりとか、いろんな当事者の人の話を聞いたりとかして、そこで学んでることはちゃんと学んでることだし、「自分が言ってることが正しいのかな、大丈夫なのかな」っていうことを反省しながらやっていくぶんには、それはちゃんとした伝え方になってるんじゃないのかなっていうふうには思うんだけど。

キャシー:はぁ。でも、そこらへんは、まめたさんとしてはどうなの? 当事者じゃないのに、例えば「LGBTの話をしてください」って言われたときに、一人で行く場合、絶対に当事者じゃない部分が出てくるわけでしょ?

まめた:そうする場合は、どういうふうに当事者の語りっていうのを入れていくのかとか、すごく問題になると思うんですよ。で、そこ、すごいポイントで、当事者じゃない人が勝手に代弁しすぎるのってよくなくて、ちゃんと当事者の語りを、ビデオとか流したりとか、書いてるものを配ったりとか、そういう形で紹介することもできるだろうし、何で逆に自分が当事者じゃないけれども、そこに関わるきっかけになったのかみたいなことを話したりとか、やれるかなというふうに思ってる。

キャシー:はぁ。でも個人的にもそうなんだけど、「LGBTの話をしてください」って依頼されるのがすごく一番苦手なワークショップで、一回ワークショップをやってくださいって依頼されてトロントのNPOに行ったんだけど、事前に言われたのが、「LGBTが過ごしやすい環境作りの話をしてください」って言うから、もっとNPOの環境の話をしようと思ったら、NPOのスタッフたちが全然LGBTのことを知らなかったから、LGBTの基礎知識みたいなことをやることになって、いきなり。全然準備してないのに。ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスから、全部いちいち意味を説明しなきゃいけなくて、そこが一番難しいところじゃない? 例えばトランスジェンダーとかもさ、単語一つが、ものすごいたくさんいる人たちを全部ひっくるめていて、ジェンダークィアだったり、Xジェンダーだったり、MtFFtMとか、全部ひっくるめて入ってるでしょ? それをどこまで説明すればいいのか、しかもゲイ男性の自分がどこまで説明していいのかっていうところがすごいあって、だから、ほんとに、「LGBTの話をしてください」って言われるときは、できるだけ内容をもっと絞るようにしてる。

まめた:だって、性に3要素あるのか4要素あるのか6要素あるのか、そのへんの話とかもすごい難しいよね。考え始めるとね。

キャシー:うん。そこらへんは、LGBTスピーカーはすごい難しい。

まめた:大事にしたいと思ってることが一つあって、それは、何で、そのスピーカーの人がこの話をしてるのかってことを、ちゃんと自分の言葉で喋れるようになってほしいっていうのがある。この前やったワークショップでは、例えば、職場でLGBTのことをもし話すことになるとしたら、何でこの話をこの職場でしなきゃいけないのかっていうことを、その「なぜ」の部分をちゃんと自分の言葉で語れるかっていうところをフォーカスしようと思って、ちょっとみんなで考えてもらったの。例えば、学校の先生だったら、子どもたちにいるかもしれないとか、あと、介護の仕事してる人だったら、利用者さんにいるかもしれないとか、そういう、お客さんとか、対象となる人たちにいるかもしれないっていう視点を持ったほうがいいんじゃないかとか。そもそも何でやるかって言うと、今この働いている状況がみんなにとって過ごしやすいものではないっていうことに、まずはみんなで気が付こうとか、そのへんを自分の言葉で喋れるようになってほしいな、みたいな、そういうことをやったりしましたね。

キャシー:でも、そうだね。そこのほうが大事だよね。LGBTが何なのかっていうのを完璧に理解するよりも、どうしてこのワークショップをやってるのかとか、この講演をやってるのかってところが大事だよね。

まめた:そう。

キャシー:あと、LGBTっていうことを完璧に理解しようっていう人たちが結構いっぱいいて、でも、それも日々変化してるから、完璧に理解するなんてたぶん無理に近い部分だと思うので、そこにエナジーを持っていくよりも、まめたさんが言ったところの方が大事だと思う。

まめた:なんだろう、非当事者って言われる人が喋るのってすごい難しいんだけど、逆に、自分の友達で、Aさんっていう人がいるんだけど、AさんはLGBTの当事者ではないんだけど、LGBTのことをすごい一生懸命NPOとかで発信するようになった人で。で、何でかって言うと、親友がいたんだけど、その親友と大学時代に同じ寮で生活をしてて、四六時中一緒にいて、毎日一緒にご飯を食べて友達のところで寝てたのに、その親友が外国に留学することになる直前に初めてカミングアウトされた。それまで数年間ずっと一緒にいたのに初めて言われて、何でかなって考えたときに、その子の前で結構失礼なことをたくさん言ってしまったっていう後悔があって。もし、いろんなことを考えていれば、絶対にそんなことしなかったっていう、あとになってすごくそう思うことがあったので、それをきっかけに、自分みたいな、昔の自分みたいな人がたくさんいるんじゃないかってことで、みんなにも考えてほしいってことを、自分の言葉でちゃんと喋れる友達がいるんだよ。そういう人たちが増えるといいなと思って。非当事者なんだけど、その人なりのちゃんとストーリーがあったりとか、何かそういう人たちが話がしていくといいなって。

キャシー:その非当事者の話をもうちょっとしたいんだけど。トロントでよく議論になるのが、例えば前回のエピソードでも話したんだけど、人種ってところが関わってくるでしょ? 例えばLGBTのパネルとかに行って、スピーカーが全員白人とか、そういうことが結構あって。で、あと例えば、非当事者か当事者かとか、リプレゼンテーションっていう部分がすごく重要で、誰が表舞台に立ってるのかっていうところがほんとに話の内容よりも大事な部分があって。例えば、非当事者で、当事者が本来しているべきかもしれない講演とかでスピーカーをやっている場合、話のクオリティの話ではなくて、非当事者として、当事者のスペースを占領してるっていう部分があるじゃない?

まめた:うんうん。

キャシー:そういう、アイデンティティ・ポリティクスみたいな感じのところがあるんだけど、そういう部分がある。例えばカンファレンスとかに行って、ゲイ男性がLGBTカンファレンスのどれだけスペースを取ってるかとか、白人がどれだけスペースを取ってるかとか、シスジェンダーの人たちがどれだけスペースを取ってるかとか、そういう部分がすごく考えなきゃいけない部分だと思う。

まめた:うんうん、あるよね。日本でもさ、トランスの話をしてるのに、ステージに誰もトランスがいないとかは、代わりに話してもらってても、ムカついたりとかは、やっぱあるよね。何でいないの!? みたいな。いるでしょ、誰か! みたいな。そういう気持ちにはなるよね。

キャシー:だめだよね、それ。

まめた:そこだよねー。しかもさ、映画とかでさ、よくさ、何だっけ、本来は例えばアジア人の、原作ではそうなのに、白人の人がキャストされると結構微妙だもんね。

キャシー:そう。だから、その、社会の中でパワーを、特権を持つ人たちがどんどん居場所を占領していくっていうのは、すごく……うん、ここの話とかはかなりアライの話になっていくんだけど、支援者として、アライとして、どういう立ち位置にいるべきかっていうところは、難しいところだけど、いっぱい考えなきゃいけない部分だと思う。

まめた:そうだね。何か日本でさ、この前LGBT検定っていうのが4万円で始まるかもしれないっていうことで、結構話題になったことがあったのね。

キャシー:うん。

まめた:そのLGBT検定っていうのは、えっと、一定のカリキュラムを受けて、その講義のあとに検定の試験をやってバッジを貰えるみたいな触れ込みで、ただ、その4万円っていう、高いんじゃないかとか、いろいろ議論はあったんだけど。この話を聞いたときに一つ思ったのが、誰がどうやって語るのかということにまつわる不安っていうのがみんなにあって、でもその不安って実はすごい大事で、みんながそれについて考えていくってことが大事なんじゃないかと思ったんだよ。自分が間違えて他の人の足を踏むというか、他の人をかえって困らせるようなことを言っちゃうんじゃないかっていう不安だとか、いろいろたぶん不安って、ものを発信してるときにはあって、でもその不安ってすごい大事だから、むしろその不安を何かの権威付けで、検定があるとかないとか、そういうことで保障するんじゃなくって、うまいことその不安についてみんなが語っていくってことがいいんじゃないかなって思ったんだよ。

キャシー:そうだね。特に、その、スピーカーとか、発信者とか、その、ブロガーとしても、個人的にすごくいつもそこらへんは迷っていて、「これ、いいの?」みたいな質問がいつも頭の中にいっぱいあって、溢れている感じ。ものを書くときとか、このpodcastをやるときとかもそうなんだけど、やっぱり、そういう不安っていうのは常にあるね。で、あってほしいね、そういう不安は。自信満々に何かを言えるときは、絶対何か変なこと言ってる。

まめた:そうね。

キャシー:はっはっはっは(笑)。で、このLGBT検定っていうのは、どういう内容なの? 分かる?

まめた:内容がね、全然分かんないの。それが不安なの。

キャシー:あー。4万円なんだよね? 払うんだよね? 4万円。

まめた:払うんだよ。

キャシー:あははは(笑)。っていうのも、トロントでもこういう、スピーカー養成講座みたいなのがあって、でも、前回の話でもした通りに、NPOがコミュニティの支援みたいな形でこういうプログラムとかを運営していて、だから、お金を貰ってこういうトレーニングを受けることが多いのね。例えばHIV陽性者スピーカー支援養成講座とか、あと、TEACHプログラムっていうのがトロントにあって、21歳までの若者をトレーニングして、高校に行ってクラスルームで自分の経験を話すみたいな、そういう養成講座とかもあって、ほんとに、お金を貰ってやるようなプログラムが結構いっぱいあって。

まめた:お金の流れが逆ってことだよね。

キャシー:そうだね。でも、やっぱりお金が政府から出てないから、こういうLGBT支援とかも、お金がなきゃできないことになっちゃうんだよ。

まめた:今回静岡でやったときは、静岡県の助成が出たんだよ。で、参加者は全部受講料無料で、静岡大学と静岡県と、両方のプロジェクトということでできたんで、こういうのが広がっていけばいいのかなと思ったりして。

キャシー:うん。

まめた:「講演してください」とか、そういうニーズが増えて、派遣する人もどんどん育てなきゃいけないっていうところが静岡の場合あったので、それも行政と一緒にやっていくっていうのはすごいいい発想だなと思って。

キャシー:でも、大学っていうのは面白いスペースだよね。もっと大学内でこういうLGBTの知識を増やせるようなスペースがあったら、プログラムがあったらいいね。

まめた:そう。どんどん増えてほしいなあと思ってる。

キャシー:あの、「にじーず」の話も聞きたいんだけど。

まめた:そう。えっとね、去年ちょうど1年ぐらい前に始めた「にじーず」っていうグループがあって、それは東京の池袋で月に1回、10代から23歳ぐらいまでのLGBTとか、自分がそうかもしれないっていう若者向けの居場所作りっていうのをやってるんだよね。

キャシー:うん。

まめた:で、結構人が来て、今スタッフ入れてだいたい毎回20人以上は来てて。

キャシー:すごいね!

まめた:そう、すごくって。で、年齢も今、10歳から、一番下が小学生とか、ちょっと前だとあんまり考えられないような状況になってきて。

キャシー:いいなー。そういう場所に行きたかった、小学生のとき。

まめた:うん、何かワイワイして遊んでますけど。

キャシー:何か流しそうめん食べてたよね。

まめた:そうそう(笑)。この前、流しそうめんやって。百円均一のお店で朝顔の支柱みたいな、細長い棒を買ってきて、そこに半分に割ったペットボトルをくっ付けて、それで固定をして上からそうめんを流すっていう、そういう流しそうめんをやって。終わったあと朝顔の支柱でみんながチャンバラを始めて、ちょっとどうしようかなっていう。

キャシー:あははははは(笑)。楽しそう。

まめた:うん、楽しい楽しい。何かやっぱり情報が増えてるから、自分がそうかもしれないって、わりと早い年齢で気がつく子も増えてるし、自分の子どもがそうかもっていうふうに考える親も昔と比べれば増えてるかなっていうところで、より若い年齢の人のサポートっていうのが、一つ課題としてあるなと思ってる。

キャシー:うん。でも、いいね、そういうスペースは。

まめた:そうそう。

キャシー:トロントもね、そういうLGBTの支援が結構10代後半から20代前半にフォーカスが行ってて、なかなかやっぱり、それより若い層になかなかサポートが行かない。

まめた:うんうん。何かね、どういう感じなんだろ、若い人のサポートっていうと、どういうプログラムがあるの?

キャシー:あのね、知ってる限りだと、サマーキャンプとかがあったり。

まめた:おー。

キャシー:あと、若いって言ってもね、ほんとに、高校生だと、高校のゲイ・ストレート・アライアンスみたいな感じの、高校内のサークルみたいなのがあったりとかして。あと、NPOのプログラムで、年齢をほんとに下げた、制限したプログラムとかがあんまりないと、そういうスペースはないね。

まめた:なるほどね。

キャシー:だから、ほとんどのLGBTユーススペースが、10代後半から20代前半になっちゃってるから、すごい若い子が来ても居場所がない。

まめた:結構それは感じてて、高校生と中学生は全然やっぱり違ったりするね。ノリとかもあるし、やってることも違ったりとか。大人になると、例えば23歳と25歳だとそんなに違わないかもしれないけど、中学校2年生と高校2年生って、そこそこ違ったりするから。

キャシー:全然違うよね(笑)。

まめた:部活とかでもさ、2コ上の先輩だとすごい偉かったりするから。そうやって考えると、そのへんの年齢って結構シビアなのかなと思ったりする。

キャシー:うん。あと、トロントでLGBTユースの仕事をしてるときに一番困ったのが、宗教とか、人種の問題が関わってくるのね。オンタリオ州で数年前に新しい性教育カリキュラムをアップデートしたんだけど、かなり若い、小2から始まるのかな、教育が。トピックがかなり、セルフイメージとか、メンタルヘルスとか、いろんな話をするようなカリキュラムで。それが保守のほうに行っちゃうと、かなりセンセーショナルに、「小2の子がアナルセックスについて学ぶぞ」みたいな、そういう話が流れちゃって、で、かなり、有色人種とか、イスラム教とかキリスト教の人たちからすごいネガティブな反応が出て、地域によっては高校から生徒がいなくなっちゃったとか、そういう事件とかもあって。だから、LGBTのすごい若い層を支援したいと思っても、なかなかできない。

まめた:家族の問題がすごいあるなと思って、うちに来てる人の中には、例えば、家族が「にじーず」っていうのを見つけてくれて、子どもに「こういうところがあるよ」っていうふうに紹介してくれる人もいれば、だいたいの場合は子どもが自分で見つけてきて、親には何か別の理由を付けて出掛けて来てる子が多いわけ。

キャシー:うん。

まめた:だから、親がやっぱり、どこ行くのかとか、すごい聞いてくるとか、チェックしたいような場合とかだと、なかなか来るのが難しかったりとか。だからやっぱり、16歳とか17歳とか、もっと上になってくると、一人でいろいろ行ける範囲ってのが広くなるかもしれないけど、小中学生とかになってくると、なかなか遠くまで行ったりするのが大変だったりとか、家族の影響ってのがすごい大きいよね。

キャシー:そうだね。

まめた:あと、一つすごく思ってるのが、「にじーず」見てると、高校生、大学生ぐらいになると、自分のこと、自分の困ってることとか状況とかについて、自分が言葉にして発していくってことが、だんだんできていくのかなっていうふうに思うんだけど、最初にコミュニティにアクセスするときとかは、他の人の話を聞くことが勉強になるのかなって思うことがあって。他の人の喋ってる体験とか、そういうのを聞いて、まだ自分では自分のことを喋ることが難しいとか、結構自分の中にためらいがあるっていう中でも、結構他の人の話を聞くのは、みんな何か参考になってる感じがしますね。

キャシー:でも、そうだよね。やっぱり、そういう「にじーず」みたいなスペースに行って、自分より年上の人たちで、ロールモデルみたいな感じで、いろんな話が聞けるのはすっごい大事な機会だよね。

まめた:普段は基本はずっと遊んでて、遊んで3時ぐらいになってコンビニ行ってアイス食べて、また帰ってきて、みたいな感じの居場所なんだけど、そういう中でもちょっと大学生の人を呼んで喋ってもらったりとかすると、みんなすごい真面目に聞いてて、やっぱりこういう話を聞いたりするのはいいんだなーと思ったりして。

キャシー:すんごい素敵、それ。ぜひ、そういうプログラムがあったら良かったなっていう。

まめた:まあ、全国にこういう場所が増えたらいいなと思ってますね。

キャシー:そうだね。あー(感嘆)、しみじみ、すごい、あの……

まめた:今度、あれだよ、15歳以下向けの、子どもと家族のプログラムっていうのをまた別で始める予定があって。

キャシー:あー、ほんとに?

まめた:そう。主な想定としては、小学生ぐらいで性別に違和感がある子や、その家族が孤立しないようにっていうところで、何か、でも、基本的にはワイワイやりたいので、お菓子作ったりとか、そういうのやりたいなと思ってる。

キャシー:そういうスペースってすごい大事だと思う。日本って、あんまりLGBTのコミュニティセンターみたいなのって、欠けてるじゃない?

まめた:ないね。ほとんどね。

キャシー:アクタとかディスタとかみたいな、HIVの予防啓発スペースがあったりとか、昔はパフスペースとかも。

まめた:ありましたね。懐かしいな。

キャシー:まだある? パフスペース。

まめた:ないない。

キャシー:ない?

まめた:うん。

キャシー:そういうスペースがあったけど、LGBTの活動をしていくうえで、スペースって大事だなって痛感していて、最近。日本だとどういうところにみんな集まるの?

まめた:どうなんだろうね。神奈川だと「SHIP」さんとか、大阪だと「QWRC」っていう、マンションの一室を借りてるみたいなところはあるけど、なかなかないよね。で、「にじーず」は、池袋保健所の1階にもともとHIVとかエイズに関する若者向けの発信してる居場所サロンみたいな場所があって、名前は「フォーティー」っていう名前の場所があって、そこの人たちと一緒にやってるから、アクセスもいいし、公の場所というところで、いつも同じ場所を使えるんだよね。

キャシー:あー、そうなんだ。

まめた:ただ、何か、フォーティーでやる意味ってすごいあって、普段そこは若い人がダラダラできる場所で、「にじーず」ってのは月に1回しかやってないけど、行きたければ平日とか、毎日そこは空いてるし、そこのスタッフといつも「にじーず」をやってるんで、何か喋りたいなってことがあったときにそこに寄って喋ったりもできるし。

キャシー:あー、それはいいね。

まめた:そうそう。LGBTのためだけの場所じゃなくって、普段からそこはいろんな若者の、例えば「試験ダルいわぁ」とか、「先生めっちゃおかしいんだけど」とか、部活でこういうことがあってちょっと自慢したいとか、そういうことを話せる場所だから、LGBT以外のことを喋りやすい場所なので、そういうところと一緒にやってることは結構意味があるかなと思って。

キャシー:将来的に、日本にLGBTのコミュニティセンターみたいなのって、できると思う?

まめた:どうだろう。

キャシー:あと、必要だと思う?

まめた:個人的には、もっと既存の施設とコラボしたりとかのほうがいいんじゃないかなって思う。何だろ、自分が若者支援とかやってると、「こっちの世界とあっちの世界」みたいなふうに分けて考えがちだなっていうのがあって。特に、若い子って極端に考えがちだなってのがあって。そうじゃなくて、確かに、この時間とか、この日はそういうプログラムでやってるけれども、別のことも話せるし、別の人たちも来る場所でやったほうが、「こっちの世界とあっちの世界」みたいにならずに済むかなって思ったりする。

きゃしー:うん、そうかもね。

まめた:まあ、トピック入れると、LGBTだけでやるニーズっていうのはあるかもしれないから。

キャシー:カミングアウトサポートとかね。

まめた:そうそう。そのほうが安全だって感じる人もいると思うから。

キャシー:ぜひ、日本での活動、頑張ってください。いつも、まめたさんの活動を遠くから見てます(笑)。

まめた:ははは(笑)。じゃあ、見られてます(笑)。

キャシー:あの、今回、結構いろいろ日本の話が聞けたんですけど、どうですか? こうやって日本の話をしてみて。

まめた:うん、まあ、明るいなって思ってて、大変なことはいっぱいあるけど、状況が変化してるし、動きがあるってことは明るいなって思ってる。

キャシー:うん。

まめた:なんで、5年後、10年後どうなってるのかなって楽しみですね。

キャシー:楽しみだね。楽しみだけど、ちょっと怖いね。

まめた:ははははは(笑)。まあ日本は……

キャシー:でも、そういう不安もいいんだよね。ははは(笑)。

まめた:この話を最後にしよう。ちょっと感動したことがあって、栃木県のあるところに呼ばれて、LGBTの子ども・若者支援の話をしたんですね。

キャシー:うん。

まめた:そしたら、そこの教育関係の施設の施設長の、もうたぶん60ぐらいの男性が、最初に挨拶みたいな感じで、「今日はお越しいただきまして、ありがとうございました」みたいな、全体に挨拶するわけですよ。普通そういうのって、当たり障りがない挨拶をして、講師の紹介をして、っていうことがだいたい多いんだけど、そのときの挨拶をしてくれた教育長の方ですかね、すごい素晴らしい方で、「この前アエラっていう雑誌を見た」と。「そこでLGBTブームっていうことが検証されてた」と。その挨拶してくれた人は、「人権とブームってことを一緒に考えた場合に、やっぱり、最近の話題みたいなふうにLGBTのことを扱うのは間違ってるんじゃないかっていうふうに僕は思った」っていう話をしてて。その彼は、ずっと部落差別の問題とかを一生懸命やってきた人で、部落差別っていうのは江戸時代とか、もっとその前とか、数百年とかすごい歴史があることで、LGBTっていうのはひょっとしたら、性別に関することって、数百年とかじゃなくてもっとすごい昔からいろいろ脈々とあった流れの中の出来事であって、だから、最近になってLGBTが脚光を浴びたとか、新しい人権課題ってことはないんじゃないかってことを、その人が喋ってたんですよ。

キャシー:うん!

まめた:すごい嬉しくて。何か、これまでやってきたいろんな取り組みの中で、それを応用してLGBTについて考えてくれる人たちが現れてるってことが、すごい嬉しかった。

キャシー:嬉しいね、それは。

まめた:やっぱり何か、最近の流れとか、それこそ「石原慎太郎が時代に追いついていない」みたいな表現で語られることに対して、それで楽な部分もあるんだけど、別に今に始まったことでも何でもないから。そういう視点で考えられる人がちゃんといるってことが貴重だな、ありがたいなって思って。そういう人が増えてほしい。

キャシー:というわけで、次回予告。

まめた:次回予告……次回、何にしましょうか。

キャシー:あの、僕のインスタグラムでリクエストがあったんですけど、こたるいママさんからのリクエストで、「はじめまして。興味深くてあっというまの30分でした!」……これが1回目のエピソードですね。「次回以降も楽しみにしています。機会があればXジェンダー(Third gender)についての話題も聞いてみたいです」という話なので、次回ちょっと個人的に話をしてみたいのが、トロントで高校生とか中学生とかにワークショップをするときに、ジェンダーの多様性とかセクシャリティの多様性がすごいことになってる話がしたい。

まめた:うんうん、ぜひぜひ。トロントと言えば、もういろんな、トランスジェンダー、トランスアンブレラというか、いろんな人がたくさんいるイメージがすごいある。

キャシー:あ、ほんとに?

まめた:うん。日本もあれだよね、LGBT以外のアイデンティティ持つ人が非常に増えてるよね。

キャシー:そう?

まめた:ジェンダーもそうだし。自分で自分のセクシャリティについてどういうふうに捉えるかとかっていうところで、より、LGBTとかだけじゃなくって、捉えていこうっていう人たちがいて、一方で、「そもそもレズビアンってどんな人?」みたいなところも、個人的にはすごいテンションが上がるテーマで。

キャシー:うん。

まめた:これまで、レズビアンとかゲイって言われていた人たちも、それってそもそも何を指してたの? みたいな話はまだまだ、どんどん議論し尽くしても足りないみたいなところがあると思うから。何か、自分をどうアイデンティファイするかとか、アイデンティティをめぐる言葉っていうのは面白いかなと思う。

キャシー:じゃあ、ぜひ次回はいろんなアイデンティティの話をしてみましょう。まあ、そんな感じで、はい。それでは。

まめた:はい。

キャシー:また次回に会いましょう。

まめた:じゃあ、またお会いしましょう。

 

Producer: キャシー (@torontogay69)
Co-host: 遠藤まめた (@mameta227)
Composer: hirontier/Hiroyuki Sugawara (@hirontier)

そして、桜井弓月さんの超丁寧な文字起こしに大感謝!

モントリオールのプライドと、人種。

23 8月

先週末、モントリオールに行って来たわ!

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もちろん、目的はモントリオール・プライド。今年、モントリオールが主催するプライドはカナダ・プライドというスペシャル・エディションで、例年より規模も大きくて大盛り上がりだろうと期待して、数ヶ月前からプライドに合わせて小旅行を企画していたのよ。

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久しぶりに訪れたモントリオールのゲイヴィレッジであサント・カトリーヌ通りは相変わらず活気がすごい。このエリアは夏の間ずっと歩行者天国になっていて、自由気ままに歩き回ることができる。頭上に広がるのは無数のアナルビーズは虹色のグラデーションになっている。トロントの寂しいゲイヴィレッジに比べると本当に段違い。

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規模こそトロントのに及ばないが、モントリオールのプライドはまったりしていて素敵な空気が流れている。広い公園で開催されるイベントがあるおかげで子供連れでも参加しやすく、芝生に座ってリラックスだってできる。チャーチストリートが人で占領されて歩けないほど混雑するトロントのプライドにはなかなかないクオリティである。

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個人的に、夏の終わりに友達とゲイバーのパティオに座って、夜空の下でサングリアで乾杯できたのがこの旅のハイライトである。その後、朝までクラブで大はしゃぎ…と言いたいところだが、実は毎晩11時頃には宿泊先に戻って爆睡してたわ。20台前半の時の体力はないし、うるさい音楽で聴力を破壊しながら汗臭いスペースで踊るモチベーションはもうないのよ。放っておいてちょーだい。早起きしてマーケットでクロワッサン頬張りながらとコーヒー飲んでる方が楽しい年頃なの。

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ちなみに、ツイッターで既にモントリオール・プライドの魅力は散々伝えたと思うので、この記事ではちょっと違う話をしたい。プライドパレードの様子が気になる方は、インスタグラムに山ほど写真があるので、気が済むまで漁ってちょーだい。

タイトルにもあるように、モントリオールのプライドで気になったのはやはり「人種」という視点である。今、トロントでは人種がLGBTコミュニティにとっての課題であるとまめたさんと一緒にやっているポッドキャスト『にじいろ交差点』でも話したが、モントリオールのプライドでもLGBTから人種というアイデンティティが欠けているようだ。

今年、モントリオール・プライドは人種問題に真剣に取り組みたいという意図で、有色人種LGBTのためのコミュニティ・ステージやイベントを初めて導入した。正直、トロントほどマルチカルチャーではないということを踏まえても、2017年まで有色人種向けのスペース作りをしてこなかったという事実に少しショックを受けた。現地のLGBTアクティビストの話を聞けば、マイノリティの中のマイノリティである有色人種のLGBTはモントリオールでの居場所作りに未だに苦戦しているとのことである。

しかし、有色人種のLGBTのために企画されたBBQイベントは、直前になってゲイマガジンにスペースを取られて、ユース向けのBBQイベントとの合同イベントに変更されてしまう。せっかくのセーフスペースが台無しだ。

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さらに、有色人種のためのステージではイベントの最中に警察が現れて、マリファナを吸っていた黒人のユースを逮捕し、手錠をかけて力ずくで連行した。もうすぐ合法化される予定であるマリファナの使用を理由に逮捕されるのも不自然だし、他にマリファナを吸っている人たちが多くいる中でなぜ黒人のユースだけが逮捕されたのかも気になる。幸いなことに逮捕された黒人のユースは既に釈放されているが、この事件が有色人種のLGBTコミュニティに大きな衝撃を与えたのは言うまでもない。この件については、モントリオール在住のアクティビストであるKama La Mackerelさんのブログ(#英語よ)でもっと詳しく読める。

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モントリオールのプライドパレードでは、追悼の気持ちを込めてモーメント・オブ・サイレンスが毎年行われる。ド派手で騒がしいパレードが参加者、観客共々静まっていく光景はとてもパワフルである。そんな今年のパレードでは、モーメント・オブ・サイレンスが始まった瞬間に遠くから叫び声が聞こえた。

「Black Lives Matter!(黒人の命は大事だ!)」

赤い煙が上がる方を見ると、Black Lives Matterのアクティビストたちが力強い声で抗議をしていた。2016年にトロント・プライドで起きたデモに比べれば遥かに短く簡略なものだったが、それでも彼らのメッセージは深く心に響いた。LGBTの権利が増えて、プライドがどんどんコマーシャライズされていく中で、取り残されていく人たちがいる。それを決して忘れてはいけない。誰かの人権を蔑ろにした人権活動は結局誰も守れないのだ。

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あと、そういえばカナダのトルドー首相もモントリオールのプライドに参加してたわ。写真映りが抜群で、メディア受けが良くて、プライドパレードにいつも参加する彼の話はまた別の機会にするわ。そして、トルドー首相の横を歩くのはオープンリーゲイであるアイルランドバラッカー首相よ。あたし、アイルランドのファーストジェントルマンになれるかしら。

『トロントのLGBTコミュニティってどうなの?』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第2回 テキスト by 桜井弓月

16 8月

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第2 トロントのLGBTコミュニティってどうなの?2017/8/13

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

まめた:「にじいろ交差点」が言えるんじゃない? 今日は。

キャシー:あー、言えるかもね。試してみる?

まめた:2回目にして。

キャシー:2回目にして。じゃあ、どう言う? 今回……あの、ちょっとタグラインを変えようと思うんだけど。

まめた:おー。

キャシー:「LGBTの多様性を語るpodcast」にしようと思って。

まめた:分かった。メモる。

キャシー:ははは(笑)。LGBTの多様性。

まめた:(メモする音)LGBTの多様性を語る……

キャシー:うん。podcast。でもそれで、ちゃんと、このpodcastの意味というか、コンセプトをキャプチャーできてる?

まめた:確かにね。「東京とトロント」って言いづらかったからね(笑)。

キャシー:うん、言いづらかったから、ちょっと変えようと思って。

まめた:分かった、オッケー。じゃあ、キャシーが「にじいろ」って言って、私が「交差点」?

キャシー:うん。で、そのあとに一緒に……

まめた:「LGBTの多様性を語るpodcast

キャシー:うん。で、リズムを付けよう。

まめた:オッケー。

キャシー:リズムを付ければ、たぶん簡単にいけるから。「交差点」って言ったあとに、12……2のところで一緒に。

まめた:12で入るんだね?

キャシー:12で入る。僕、リズムまったくできないから、どうだろう。やってみよう。

まめた:はい。

キャシー:じゃあ、いくよ?

まめた:オッケー!

キャシー:あ、そうだ、「せーの!」って言おう。12で。

まめた:うん。12で。

キャシー:はははは(笑)。

まめた:12で、せーの!

キャシー:うん。僕が「せーの!」って言うよ。

まめた:オッケー。

キャシー:にじいろ!

まめた:交差点!

キャシー:(少し無言に)……ちょっと待って、待って!(笑) ちょっと待って、まだね、起きたばっかだからちょっと……

まめた:オッケー(笑)。

キャシー:うん、あの、頭が冴えてない。もう一回いこう。

まめた:オッケー。

キャシー:にじいろ!

まめた:交差点!

キャシー:12、せーの!

二人:LGBTの、多様性を……語る……

まめた:podcast

キャシー:……podcast……全然だめだね(苦笑)。

まめた:なかなか。2回目だからね。

キャシー:うん。じゃあ、あの、またあとでチャレンジしてみよう。

まめた:はい。

キャシー:これ、全然、あの、難しいね。

まめた:7回目ぐらいでできるんじゃない?

キャシー:うーん。っていうわけで、今回2回目なんですけど。

まめた:そう。

キャシー:1回目のpodcastどうでした?

まめた:結構、反響がすぐに来て、びっくりはしましたね。

キャシー:うん。結構、ポジティブな反応ばっかりで。

まめた:そう。

キャシー:個人的に、すごい、ネガティブな反応を期待していたので(笑)。

まめた:「キャシーさんが日本語ペラペラ」っていうコメントがありましたよね(笑)。

キャシー:はっはっは(笑)。あったね。

まめた:日本語でブログ書いてたやん! っていう。

キャシー:あと、マサキチトセさんからツイートがすぐに来て、podcastをロンチしたあとに。で、ブログの記事として「LGBTの発信者」みたいな感じで、僕とまめたさんがリストアップされていて、すごく嬉しかった。

まめた:そうですね。すごい早く記事になってくれて。で、一緒にYouTubeの、最近いろんな、YouTube中でもLGBTのことを発信する人たちが増えたってことで紹介してもらって、そのつながりで動画を見るチャンスがあったりして、楽しかったですね。

キャシー:あと、紹介されてる動画もすごい面白くて。すごい記事、早かったよね。話したあと、20分ぐらい、そんな感じで記事が出てきて、すごいびっくりした。

まめた:仕込んでたんじゃないかってぐらいの(笑)。

キャシー:あはははは(笑)。あと、podcastを始める前にちょっと気になったのが、やっぱり、オーディオなので全員が全員聴けるわけじゃないじゃないですか。

まめた:そうですね。

キャシー:それで、まめたさんの友達が文字起こしをしてくれて、すごい嬉しかったです。

まめた:神様が降りてきて。文字起こしの神様が。桜井さんっていう方が、今回、全部文字に起こしてくれて、それを送ってくれて、すごい助かりました。ありがとうございました。

キャシー:ほんとにすごい丁寧な文字起こしで、読んでいても結構面白い、二人のぎこちない感じがすごく文字に表れていて。

まめた:ははは(笑)。そうだよね。

キャシー:うん、いいと思う。

まめた:っていう感じで、今回も文字起こししたいと思うので、またよろしくお願いします。で、今回のテーマからいきたいんですが、えっと、前回の終わり辺りにちょっと話をしてた、キャシーが今トロントにいるってことで、トロントのLGBTコミュニティについて、いろいろお話を聞いていきたいというふうに思っています。

キャシー:はい。

まめた:っていうことで、今回の「にじいろ交差点」第2話ということで、よろしくお願いします。

キャシー:よろしくお願いします。

まめた:さっそくなんだけれども、キャシーがトロントに行ったのって、今からどれぐらい前なんですか?

キャシー:トロントに来たのがね、2008年の4月の終わりぐらいかな。というわけで、もうすぐ、来年の4月で10年になるね。

まめた:おー。行く前と行ったあとで何か変わったこととか、何かありますか? たくさんあると思うんだけど。

キャシー:うーん、たくさんあるね。行った前の自分をあんまり覚えていないっていうのもあるんだけど。ギャップっていうのが結構あって、日本にいた頃の海外のイメージがすごくキラキラしていて、トロントに到着してすぐに「あ、これ、ここに住みたくないな」って。

まめた:ははは(笑)。

キャシー:ははは(笑)。最初の2ヶ月ずっと思っていて。

まめた:なんかホームシックになったとか、そういうことではなくて?

キャシー:ホームシックでもあったし、横浜と東京と比べると何もなかった。

まめた:あー、そうなんですか? トロントっていうと、都会じゃないの?

キャシー:横浜と同じぐらいのスケールかな。

まめた:あー、そうなんだ。

キャシー:来たときはトロントのダウンタウンじゃなくて、結構郊外のほうに住んでたので。だから、トロントの魅力っていうものを、いまいち体験できなくて、最初の数ヶ月はホントに「いやー、ちょっと、うーん……」っていう感じで(笑)。4月に来て、6月がちょうどプライドだったんですよ、トロントの。その頃にやっとLGBTコミュニティと交流できるようになって、すごく印象が変わってきたっていうのを覚えていて。一番カルチャーショックだったのが、LGBTのユースの会議とかあるじゃないですか。そういうのに参加すると、ただで食事がもらえて、交通費も出るんですよ。

まめた:おー! それは日本では普通ちょっとないですよね。

キャシー:すごいよね。だって、日本のときは、レインボー・カレッジとか早稲田のGLOWとか、参加するたびにすごい出費だったんだよね。だから個人的に、セブンイレブンでアルバイトしてたんだけど。

まめた:そうなんだ。

キャシー:そうそう。で、いつも給料の半分ぐらいをLGBTの活動に持っていかれるから……

まめた:なるほど。

キャシー:すごい、きつかったんだけど。トロントだと貧乏な留学生だったから、そういう交通費とか食事とか助かった。

まめた:食事が付くって、すごいよね。

キャシー:そう、食事、ほんとにショックだった。

まめた:それは、NPOみたいなところが食事を出してくれるの?

キャシー:そうそうそうそう。基本的にこういうグループとかもNPOとかが主催していて、トロント市とかオンタリオ州とかからお金が出ていて。そういう意味で、すごい、支援されているプログラムが多かったんだよね。

まめた:今でも、私もユースの、若者のグループとかやってるけど、やっぱ交通費のためにアルバイトしちゃう子とか、いまだにたくさんいますもんね。切ないけどね。

キャシー:うーん。アルバイトできればいいんだけど、できない子とかいると、もう、それだけでカットされちゃうから。あと、その、2008年っていうのが結構面白い時期で、カナダの同性婚が認められたのが確か2005年だったのかな。オンタリオ州は2003年だったんだけど、カナダ全体は2005年。日本にいた頃は、ちょうどまだLGBTが全然浸透していなかった頃で、みんなですごい頑張って周りにLGBTのことを広めよう、伝えようっていうすごい情熱があったんだけど、トロントに来たときは、何かみんな冷めてるなっていうイメージがあって。「もう同性婚があるし、プライドももうお祭りみたいになったし、もうLGBTのムーブメントも終わったよね」みたいな感じの雰囲気があったのね、2008年は。

まめた:2008年の時点でそれっていうのがすごいですね。日本で2008年って言ったら、まだレインボー・カレッジが8時間ぐらいミーティングしてた……

キャシー:そうそう。

まめた:ハングリー精神って言うか、飢えてるみたいなね。

キャシー:そのギャップがすごかった。レインボー・カレッジでみんなで話し合った話と、トロントで参加したユースグループがみんなで話してた話が、全然内容が違っているみたいな。

まめた:へー。そのユースのグループっていうのは、どんな話をしたの?

キャシー:あー、何の話をしてたんだろう。何かホントに他愛もない話を。すごい、平和な若者が話すような話、恋愛とか食べ物とか。でも、個人的にそういう話、LGBTの仲間たちとそういう話をする機会があまりなかったから、それも新鮮で良かったんだけど。でも、個人的にはいつも「何かアクティビズムをやろうよ」とかってみんなに言うんだけど、「アクティビズムって何?」って、そんな流れ(笑)。

まめた:そっか、そっかー。トロントに行ったあとそういうことがあって、そのあといろんな活動をしていったと思うんだけど、具体的にはキャシーはどういう活動に関わっていったんですか?

キャシー:最初はHIVの予防啓発のボランティアとかをしていて、それがLGBTのコミュニティ内でもあったから、そういう感じでいろいろ活動してたんだけど、トロントって面白いところがあって、LGBTの中にポケットがいっぱいあるんですよね。

まめた:ポケット?

キャシー:例えば、アジア系のLGBTの団体があったり、黒人系のLGBTの団体があったり、そういう感じでみんな分かれていて。それがトロントのLGBTの歴史に繋がってるんだけど、そういう感じでポケットがいっぱいあって、僕はアジア系の団体とずっと活動してきていて。で、何をやったんだろう。いろんなワークショップをやったり、あと、プライドの最中にみんなでステージを一緒に、ステージのパフォーマンスとかをコーディネートしたり、自分も多少パフォーマンスしたんですけど、9年前ぐらいに。もう、ちょっと舞台には立てないかな。ははは(笑)。あと、何だろ、そんな感じの活動をしていて、それがひょんなことで仕事になって、今に至るみたいな感じですね。

まめた:やってて、「ここはトロントのいいところだな」みたいな、好きなところってどういうところがありますか?

キャシー:うーん、日本よりお金が出てるところかな(笑)。

まめた:そりゃそうだよね(笑)。

キャシー:ははは(笑)。やっぱり、お金は大事だなっていうのをホントに感じて、市とかから、政府からもお金が出ていて、プラス、コミュニティからも寄付がいっぱいもらえて、そういう感じでプログラムがコミュニティの中で成り立っているっていうのがすごく大事で、それがすごく、若者のカミングアウトだったり、コミュニティの居場所作りだったりとか、そういうのができて、しかも普通は来れないような人たちにも交通費とか食事とかで、バリアーを取り除けるっていうのが大きかった。っていうのは10年前の話なんだけど。

まめた:で、そのあとは?(笑)

キャシー:ははは(笑)。今のトロントは、お金がどんどん減ってきていて、やっぱりHIVに下りるお金がもう本当に減ってきていて、今トロントはLGBTのプログラムがちょっと減少中。

まめた:それは、感染の拡大のリスクとかが前より比べて今のほうが落ち着いたとか、そういうことなの?

キャシー:感染のリスクの話もあるんだけど、たぶん、どっちかって言うとHIVがどれほど深刻な病なのかっていう認識が変わってきたってところがあるのかな。だから、そこにお金を入れるより、他のところにお金を入れた方が良いんじゃないかっていう話が増えてきていて。例えばLGBTのホームレス問題とかも結構大きくて、やっとここ数年でLGBT専用のホームレスシェルターとかができて。違う問題が取り上げられるようになったんだけど、まあ、いろいろ、そこらへんは複雑だね。

まめた:何年前かな。3年ぐらい前にニューヨークに行ったことがあるんだけど、ニューヨークのLGBTセンターに行ったときは、結構アディクションの問題がすごく深刻で、最初はHIVのこととかにたくさん予算が付いたんだけど、そのあと薬物依存とかアルコール依存とか、そのへんのところで政府とか行政とかと一緒にやり始めたみたいなことを聞いたんだけど、やっぱりホームレスとか薬物依存とか、その話って、トロントでもされる機会が多いのかな?

キャシー:うん、そうだね。ホントにホームレスとかアディクションとかの問題がもっと中心になってきた感じかな。特に、ゲイ・コミュニティ内ではクリスタルメスっていうドラッグが……日本では何て言うんだろう、スピード? 覚醒剤かな。覚醒剤の使用がすごく深刻で、中毒性もすごいから、ほんとに「一回だけ」ってやって、中毒になってしまう人がいっぱいいて。

まめた:日本でもそういうのが話題として出てきてるけど、まだ全然お金が回ってこないよね。そこを何とかしたいよね。

キャシー:あー、そうなんだ? あと、さっきトロントのポケットの話をしたんだけど、今盛り上がってるのが、トロントのLGBTコミュニティ内でいかに人種を取り上げていくかっていうところで、さっきツイッターに来たコメントがあるので、ちょっと読み上げますね。コーディーさんからのコメントで、「キャシーさん、初めまして。まめたさん、元気ですか? 今回の放送も楽しみです。質問、トロントでオリエンタリズムを感じることがありますか? 特にゲイ・コミュニティ内で。私は英国のオリエンタリズムが強くて、結構億劫になることが多いです。他の白人ゲイの友達と比べて、圧倒的に年上、特に40代や50代から声を掛けられることが多いし、しかも、その内容もすごく一方的な性行為の押しつけだったり扱い方だったりすることが多いです。カナダ、トロントではどんな感じでしょうか?」という質問です。

まめた:おー。

キャシー:うーん、これもすごく感じていたことで。トロントって、多文化共生都市みたいなマーケティングがされていて。

まめた:そうイメージありますよね。トロントと言ったら、いろんな人がいて、みたいな。

キャシー:いろんな人がいて多文化なのは確かなんだけど、やっぱり、共生できているかできていないかっていうところは、すごく、いまだに現在進行形でいろいろ問題が起きているところがあって。やっぱり社会の基盤に人種差別とか植民地主義があるから、いろんな人を同じところに持って来ただけだと、共存、共生はできないと思うんだよね。だから、いかに人種間のダイナミックとか、人種間のギャップを埋めていかないと、積極的に埋めていかないと、どんどん問題が発生する。例えばゲイ・コミュニティだと、やっぱりアジア系と白人系コミュニティの関係がとても複雑で。ライスクイーンとか、ポテトクイーンとかって聞いたことある?

まめた:あれだよね、アジア人がすごい好きで、でも勝手な妄想とかファンタジーがあって、みんな受け身とか、従順とか、そういうやつだっけ?

キャシー:そうそうそう。そういうステレオタイプがあって、あと、ライスクイーンがアジア系が好きな白人のことを指す言葉で、ポテトクイーンが白人が好きなアジア系のことを指す言葉で。

まめた:あ、そうなんだ。対なのね。

キャシー:そうそうそう。で、スティッキーライスっていうのもあって、もち米なんだけど、スティッキーライスはアジア系でアジア系が好きな人を指す。そういう言葉があるっていうこと自体がコミュニティ内の関係性を表現していて。例えば一回パーティーとかに行ったときに、すごい年上、60代ぐらいの白人のおじさんと20代のアジア系のカップルに会って、話を聞いてると、白人のかたがアジア系の人を移民でスポンサーしたんだけど、アジア系の子が45年外出してないとかって話をしていて、友達を作ったり他のアジア系とか他のゲイ・コミュニティと関わっちゃダメって言われてる。

まめた:大丈夫なの? そういう関係なの?

キャシー:結婚してる恋人同士なんだけど。

まめた:閉じ込めちゃってる状態ってことだよね、心理的というか。

キャシー:うん。ちょっと、すごい束縛されている。その話を聞いて、ちょっと、うーん……あんまり人の恋愛だから何も言えなかったんだけど、それを聞いていて、すごくいろいろ感じていて。ただ単に他の人種が好きっていう以上に、まめたさんが言ったようなステレオタイプがあったりとか、偏見があったりとか、あと、恋愛の中にパワーがあったりとか、同じ年代、同じ容姿の人でも人種によって扱いが全く違っていたりとか。トロントでも、ほんとに、アジア系だとゲイ・クラブに入れなかったりとか、そういう話もあったみたい。今はもうないかもしれないけど、確か10年ぐらい前はあったみたいで。でもニューヨークとかはいまだにあるみたいよ。

まめた:うん、ニューヨークでその話を聞いた。で、何か、大っぴらに、例えば「アジア人だから」とかは言われないんだけど、ドレスコードが「もうちょっと、ちゃんとした服着て来ないとダメ」みたいなことで断られてるっていう話をしていて。でも、面白くて、そのあとに白人の人が同じ恰好をしてそのお店に行ったら入れたんだよね。それで「おかしいじゃないか」ってことで問題になって、結局そのお店は行政処分かな、行政から指導が入ったって話をアジア系の団体の人が喋ってましたね。

キャシー:そういう直接的な差別だったり、掲示板とかグラインダーとか、そういうアプリとか行くと、いまだにNo AsiansとかWhite Onlyとか、そういう感じのコメントをよく見たりする。でも、これもね、ここ10年、こういう話が盛り上がってるから、10年前に比べるとすごい減ったっていう話をよく聞く。だから、やっぱり人種っていう部分が、racializationっていうんだけど、トロントに来るまであんまりそこらへんを意識してなかった。LGBTコミュニティ内で人種っていう部分をほとんど意識せずにきたから、トロントのLGBT内で活動しながら人種っていう部分がいかに大事か、いかにLGBTの経験を形成してるかっていうのを痛感した。

まめた:なるほどね。日本にいると、そのへんってあんまり意識しないで、たぶん日本人だからだけど、済んじゃってるところはあるよね。

キャシー:だから、そこらへんの交差点、インターセクションも見ていくと面白いと思う。

まめた:これからのとか、今感じてるトロントの課題みたいなのって、どんなことがあるんですか?

キャシー:たぶんね、一番の課題は、今現在だと去年のプライド・パレード……あの、Black Lives Matterって知ってる?

まめた:黒人の運動のやつだよね? 黒人のって言うか……

キャシー:そうそうそうそう。黒人主体の運動で、警察、警官による暴力とか、殺害がきっかけで生まれた運動なんだけど、「黒人の命は大事だ」っていうメッセージを掲げていろんな活動をしてるんだけど、トロントにもBlack Lives Matterの支部があって、その人たちが去年のプライド・パレードの先頭を率いたのね。で、パレードの最中にその人たちがいきなり座り込んでパレードを止めたのね。

まめた:その人たちが止まっちゃった?

キャシー:そう。止まって座り込み抗議をして、トロントのプライド・パレードに警察がいっぱい来るのね。仕事で来るんじゃなくて、まあ仕事なんだけど、ブースを持ってきたり、あとプライドのマーチ、制服でマーチしたりするんだけど、ユニフォームで。それをするなっていう。それプラス、他のいろんな条件とかもあったんだけど、それを突き付けて、要求に従わないとパレードを動かさないみたいな、そんな状況になって、30分間プライドが止まったんだよね。

まめた:やりますね。やるなあ。

キャシー:やるよね、ホントに、うん。それが結果で、警察のブースと警察のフロートがなくなったんだけど。

まめた:それもすごい。

キャシー:それすごいよね、うん。それに、この事件のせいで今コミュニティ内がすごい割れていて、「プライドって、みんな受け入れるものじゃないの?」っていう人たちと、「プライドは弱者を守るためのものだ」っていう人たちが対立をしていて、いまだにすごい意見が割れていて、黒人のLGBTとしてプライドに参加する人たちの経験が、やっぱり理解されていないことを痛感した。やっぱり、あそこまでいっぱい警察がいるスペースに来て、黒人としてどう感じるのかっていうのを、自分もなんだけど、すごい学んだ気がする。

まめた:言ったら、黒人の人は日常的にすごい不当な……いきなり取り調べられたりとか、ひどい目に遭ったりってことを、警察からされているってことだよね。

キャシー:そうだね。すごい印象的だったのが、一回、住宅街とかを歩いていて、黒人の男の子二人が走ってたのね。普通に、鬼ごっこかなんかしていて。そしたら、近所のおばさんかお母さんか分からないけど、「走ったら警察に捕まるよ」みたいな話を、「だから走ったらダメだよ」っていうことを言っていて、それを聞いてすごいショックを受けたのね。その、男の子二人が鬼ごっこしてるっていう普通の光景が、そういうふうに捉えられてしまうっていう。

まめた:パレードって、この人たちが来ることで別の人たちの安全が守られないかもしれないとか、あと、よりラディカルな主張をしたい人っていうのが、パレード全体のお祝いの雰囲気とかと照らし合わせると浮いてたりとか、まあ浮いててもいいんだけれど、それをよく思わない人がいるっていうのは、何かこのトピックに限らず、ちょくちょく見ますよね。何か自分の中では、パレードっていうのはそういうものみたいに思ってて、みんなが集まって、だいたいいくつかそういう考えなきゃいけないことが突きつけられて、みんなで「あれはどうなんだろう」みたいな話をして毎年やってるっていうところが、まあ、それはそれで大事かなって思ったりしてるんだよね。

キャシー:まめたさん前回も言ってたけど、みんなで仲良くわいわいできるだけじゃなくて、納得いかなかったら、それを口に出せる環境が必要だよね、やっぱり。時には、例えば多様性とか、みんなを受け入れるために特定のグループを取り除く必要も出てくるかもしれない。そこらへんはすごく難しいところなんだけど。

まめた:あ、一つね、トロントのことで質問があって、素朴な質問なんだけど、トロントでトランスの人が服を買うときに、みんなどこで買ってるのかってことが気になって。っていうは、自分がニューヨークに行ったときに、メンズの服ってすごいサイズが大きくて、ただでさえアジア人で小さいのに、子供用の店に行かない限り、100%自分の服は見つからないなって思った経験があったのね。で、これが例えば日本だと、お店を探せば見つかったりするし。そういう意味で、こう、服を買ったりとか、パスしたりとか、トランスの人の経験っていうのは、そのへん、どうなのかなと思ったりしてる。

キャシー:どうなんだろうね。そこらへんは、あまり分からないんだけど、でも服のサイズっていうのは、トロントのサイズはすごい、XSからXXXLまである。あと、子供服を買う人が多い、大人でも。例えば、アバクロの、10年前すごい流行ったけど、子供服のお店があって、子供服だと税金も少ないのかな。消費税も少ない。

まめた:へえ。安心して買い物に行けそうな気がしました。ははは(笑)。

キャシー:そう、ゲイ友達でも結構、身長がすごく小柄な子とかもいっぱいいて、その人たちは子供服を買いに行ってるね。「安いし」とか言って、みんな。ファッションなんだけど、ここはトロントの良いところだと思うんだけど、すごく、みんなだらしない(笑)。東京って、ホントにちゃんと服を着ていないと疎外される感じがあったから。トロントは何を着てても大丈夫、みたいな。そんな雰囲気がある。結構パジャマで犬の散歩に行ったりする。

まめた:それはホッとするわ。服、ちゃんとしてなきゃいけないのが苦手だから。

キャシー:いまだに、自分の仕事でスーツを着て仕事に行ったことがない(笑)。っていうのも結構大きい。そこらへんは嬉しい。

まめた:あ、何か来ました、メッセージ、今。えっと、これは何て読むのかな。ナオミチさんからのメッセージで「第一回、とても面白かったです。カナダのセクシャリティと人種に関する話題、日本のLGBT運動とビジネスの関係、台湾のパレードの様子など、興味深く聴かせてもらいました。次回も楽しみにしています」ということで、ありがとうございました。結構こういう話を聞きたい人がいっぱいいて、ホッとしています。

キャシー:ありがとうございます。すごいびっくりしたのが、日本のpodcastランキングで36位を記録したんだよね。

まめた:びっくりしたわ。

キャシー:すごいびっくりした(笑)。かなりニッチなpodcastだと思ったんだけど。うちの母に言ったら、「10位に入ってから報告して」って言われて。

まめた:10位に入ったらびっくりしちゃうんじゃない?

キャシー:うん。すごい冷たい反応をもらった。はっはっはっは(笑)。10位に入れるかな。まあ、そんな感じなんですけど。次回は……今回は僕がいっぱい話したので、次回はもっと、まめたさんの話が聴きたいです。

まめた:はい。じゃあ、日本のLGBTコミュニティの最近の話とか、やってることの話とか、お話できればなと思うんだけど、何か他に聞きたいこととかあります?

キャシー:うん、いっぱいある。やっぱり、日本を長い間離れてるから、いつも日本のLGBTの変化とか気になる。あと、すごい些細な変化とかも気になる。例えば、みんな今クラブはどこに行ってるのかとか、二丁目の新しい美味しいカフェとか。

まめた:うん、知らない(笑)。

キャシー:そういう情報とかも聞きたい。

まめた:知らなかった。ははははは(笑)。

キャシー:知らない?

二人:はっはっは(笑)。

まめた:全然アップデートされてない(笑)。

キャシー:僕もね、トロントのゲイ・ヴィレッジに全然行ってないから、最近のことは全然分からない(笑)。

まめた:アーチが閉まるかも、ぐらいで記憶が止まってる。ははははは(笑)。

キャシー:ええっ!?

まめた:閉まるかもっていう話が。

キャシー:アーチが閉まっちゃうの?

まめた:たぶん45年ぐらい前にあったんじゃないかな。

キャシー:あー、ちょっとショック、それは。

まめた:二丁目……分かんないや。適当なこと言えないです。閉まってなかったらごめん。ははは(笑)。

キャシー:適当なこと言っちゃだめだよ。

まめた:はい。

キャシー:うん! それでは、次回にもっといっぱい話をしましょう。もし感想とか質問があれば、ホントにツイッターでもメールでも、何でもいいので送ってください。すごい、いつも読んでいて嬉しくなっています。あと、ネガティブなこととかもどんどん、クリティカルな話とかも全然……

まめた:そのほうが、やってて楽しいしね。

キャシー:最後に何か、今回の感想について。

まめた:今回ね、そうだなー、トロントの話をしたときに、お金の話が出たと思うんだけど、お金があることで普段届かない、日本とかではまだまだ届けられない人たちにアプローチすることできるっていうのは、そうだなって、そこは率直に羨ましいなって思いましたね。大変なこともいっぱいあると思うんだけど、そこはすごく羨ましいなって思ったのと、パレードを止める人たちと仲良くなりたいなと思いました。

キャシー:そうだね、仲良くなりたいね。今回、いまさらトロントの話をしてみて、すごく自分でも感じたことがいっぱいあって、ちょっと不思議な感じ、不思議な気持ちになった。そんな感じです。

まめた:じゃあ……

キャシー:それでは、次のエピソードで会いましょう。

まめた:またお会いしましょう。

Producer: キャシー (@torontogay69)
Co-host: 遠藤まめた (@mameta227)
Composer: hirontier/Hiroyuki Sugawara (@hirontier)

そして、桜井弓月さんの超丁寧な文字起こしに大感謝!

『LGBTを多様性の視点から見るってどういうこと?』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第3回 テキスト by 桜井弓月

2 8月

Untitled_Artwork

1 LGBTを多様性の視点から見るってどういうこと?(2017/7/31

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

キャシー:今日、その、初めてのエピソードじゃないですか。

まめた:そうですね。

キャシー:一応、あの、ちょっと恥ずかしいことをしようと思っていて。

まめた:おー。もうすでに恥ずかしいけど(笑)。

キャシー:ははは。すでに恥ずかしい?

まめた:すでに恥ずかしい。

二人:ははははは!

キャシー:このpodcastのタイトル、「にじいろ交差点」じゃないですか。これを二人で一緒に言おうと思って。

まめた:おー、いいですね。

キャシー:呼吸を合わせて。どうします?

まめた:どれぐらいの速さで言います?……にじいろ、こうさ……(ゆっくり言ってみる)

キャシー:それぐらいの速さで。ただ、僕が「にじいろ」って言って、まめたさんが「交差点」って言う。

まめた:あー、いいね。

キャシー:それでいいかな?

まめた:頑張ろう。

キャシー:で、そのあとに二人で一緒に「東京とトロントから届けるLGBT podcast

まめた:オッケー!

キャシー:それでいきましょう。

まめた:東京とトロントから……届ける……

キャシー:滑舌、すごい大変ですね、これは。

まめた:メモるわ、メモるわ。

キャシー:ははは(笑)。「東京とトロントから届けるLGBT podcast

まめた:二人で言うの?

キャシー:二人で言う、その長いとこ。

まめた:分かった分かった、大丈夫。

キャシー:じゃあ、行くよ? にじいろ!

まめた:交差点!

キャシー:東京とトロントから……

まめた:と、と、トロント……

キャシー:ははは(笑)。言えてないじゃん。

まめた:もう一回、もう一回!

キャシー:にじいろ!

まめた:交差点! 東京とトロントから……

キャシー:トロント……はは、全然合わない(笑)……今回は成功しなかったんですけど、次のエピソードで成功させましょう。

まめた:もう一回やったらできるんじゃ……

キャシー:もう一回やったらできる?

まめた:はい。

キャシー:じゃあ、もう一回、最後に。にじいろ!

まめた:交差点! 東京と

キャシー:トロントから届ける

二人:LGBT ポッ……(二人のスピードが合わず)

キャシー:はっはっはっは!(笑)

まめた:せーので、LGBT podcastだけ作って……

キャシー:うん、でもこれ、このまま載せようと思ってたんですよね。

まめた:オッケー。頑張りましょう。

キャシー:この、呼吸が合わない感じがいいかなと思って。

まめた:分かりました、はい。

キャシー:そんな感じのpodcastです。

まめた:はい。そうですね、しみじみと……

キャシー:しみじみと、はい。今回、初めてのエピソードなんですけど、二人ともpodcastの経験とか、ない。

まめた:ゼロですね。

キャシー:ゼロです。そう、素人が一緒に頑張って作るpodcastなので、よろしくお願いします。

まめた:よろしくお願いしまーす。

キャシー:というわけで、まず最初のエピソードなので、とりあえず自己紹介から始めようと思っていて。

まめた:そうですね。

キャシー:まめたさんから。

まめた:はい、私から。はじめまして。まめたと申します。えっと、東京でいま活動していて、活動を始めてからだいたい12年ぐらいになるんですが、トランスジェンダーの活動家ということで、やってます。主にやってるのは、LGBTの子どもや若者の支援に関することで、だいたい、いろんな学校とか教育現場に行って、LGBTのことをお話したりだとか、あとは月に一回、池袋で「にじーず」という、10代から23歳ぐらいまでのLGBTかもしれない人たちの居場所作りなんかをやってます。よろしくお願いします。

キャシー:よろしくお願いします。LGBTかもしれないって、どういうことですか?

まめた:えっと、10代ぐらいだと、自分がはっきりと、例えばゲイだとかバイセクシャルだとか決めなくても、自分がそうかもしれないなと思ったときにアクセスできるっていうところで、居場所作りができないかなというふうに思ってます。

キャシー:にじーずって、新しいんですか?

まめた:えっと、去年のちょうど8月から始めて、今年で……今月で1年目かな。

キャシー:1年目。おめでとうございます。

まめた:ありがとうございます。

キャシー:すごい、こんな活動があるなんて、素敵だな……と、一応、僕の自己紹介もしようと思うんですけど。ネット上では、キャシーという名前で通っています。一応、ブログで「トロントのハッテン車窓から」というところから始まって、もうブログを始めて10年以上……9年以上になるんですけど、ツイッターでも、いろいろいつも写真とかツイートとかを書いていて……うん、それぐらいですかね、ネット上では。でも、一応トロントでは前にLGBT支援の仕事をコミュニティ団体内でしていて、いまは大学教育機関でLGBT支援から、ダイバーシティ促進から、反差別教育まで、いろいろやっています。そんな感じです。

まめた:いつも楽しみに、ツイッターを勝手に見てます。

キャシー:ありがとうございます! (二人、笑う)ツイッターでは、オネエキャラで始めて、そのまま残ってるんですが、あんまり実生活でオネエキャラができないので、結構、ブログとかを読んでくれた方が実際に会って、「あ、オネエじゃないんですね」って、結構意外に思われるので、まあ、podcastでも、こんな感じで話していくと思います。

まめた:はい。いつも、ハッシュタグ「#英語よ」っていう、あれがいつもすごい羨ましいなって。

キャシー:(笑)なんで羨ましいんですか?

まめた:カッコいいな、って(二人、笑う)

キャシー:あー、あれは、日本語の記事とかをあんまり読んでなかったんで、結構英語の記事とかを読んだあとに「あ、これシェアしたい!」って思ったときに、翻訳するのめんどくさいなと思って。

まめた:なるほど。

キャシー:でも、あんまり英語の記事をバンと載せるのも失礼なので。読めないと悲しいと思うので、一応、忠告として「#英語よ」ってハッシュタグを。

まめた:たまにパクって、私もブログに「#英語よ」って書いてます。

キャシー:全然、あの、パクってください。

二人:ははは(笑)

キャシー:響きがかわいいですよね、「#英語よ」。で、まめたさんと僕が、podcastを始める経緯、というのを話したいんですけど。

まめた:そうですねー。

キャシー:はい。

まめた:ま、あのう、なんかいま日本で、LGBTに関する情報ってそこそこ出てるような気がするんだけど、あんまり、その、無料で、特に、深いところで話してるコンテンツって、あんまりそんなにないような気もするんですよね。

キャシー:うん、無料で、その、まあ、誰でもアクセスできるようなコンテンツになってない。

まめた:そうそうそう。で、しかも、日本のここ最近の動きを見ていると、結構、企業のダイバーシティみたいなところでLGBTについて語られることって増えてきたんだけれども、何て言うのかな、人権とか、いろいろ社会の基礎的なところで考えたときに、LGBTのことをもうちょっと、いろんな視点から見つめる必要があるんじゃないかなっていうふうに思ってですね。そういう意味で、トロントで活躍しているキャシーとコラボレーションでいろいろ語っていけたらいいな、っていうふうに思ってるんだよね。

キャシー:いいですね、語っていけたら。

まめた:うん、そうそう。

キャシー:まあ、podcastを、いろんな視点で、LGBTのアイデンティティーとか、LGBTというコンセプトを見ていこうという……もうちょっとあとで解説、説明しようと思うんですけど。このpodcast、まめたさんも、かなりいろんなフォローイングがツイッターから、今までの活動でいろんな人がまめたさんをすごい尊敬していると思うんですけど。

まめた:いやいや。

キャシー:あんまり、まめたさんとキャシーって、繋がってるっていう、そういうイメージはないと思うんですけど、実は繋がっていたっていう。ちょっと二人の歴史について話してみようかなと思っていて。

まめた:そう。今でもね、忘れられないんだけど、新宿の紀伊国屋書店の下にファーストキッチンがあったんですよ。今もあるのか分かんないんだけど。そこでキャシーとご飯を食べてて。そのあと二丁目の方向に歩いて行くんだけども、そこで、あのー、山の上で宇宙人が捕まえられてる写真って、有名なのあるじゃないか?

キャシー:えっ?

まめた:二人、背が高い人がいて、間に小っちゃい宇宙人が……

キャシー:あー、はいはいはいはい!

まめた:あれをやったんですよ。

キャシー:やったかもしれない。

二人:ははは(笑)

まめた:もう一人、背が高い人がいて。私、身長が157センチしかないんだけど、で、宇宙人役をやって、二丁目に連れて行かれたっていうことが、昔、思い出としてあります。

キャシー:あ、それ僕、全然覚えてなかったけど、今思い出した。そんなことやったね。

まめた:だいたい10年ぐらい前。

キャシー:10年前ですね。一応、僕がカミングアウトしたのが2007年の8月なので、ちょうど今年で、今月で10周年で。そのあたりに、レインボー・カレッジっていう、まめたさんが共同運営していたんですよね? していた団体に参加して。

まめた:学生だったから。二人とも学生だったんだよね?

キャシー:そう。

まめた:学生の、LGBTの学生生活を考えるサークルみたいなところで出会ったんだよね。

キャシー:そう。で、レインボー・カレッジは、かなり初めて行ったミーティングで、かなり不純な理由で参加したんですけど、カミングアウトしたばかりのゲイの男の子として出会いを求めて、のこのこついて行ったんですけど、友達に。レインボー・カレッジのミーティングに参加して、「あ、この人たち、プロだ」ってすごい思ったんですね。あのー、ほんとに、ミーティングをホワイトボードでMTGって略していて……

まめた:ははははは(笑)

キャシー:「すごいカッコいいな、この人たち」と思って。みんな、すごい慣れた様子でコミュニティをオーガナイジングしていて、それを見て、すごい感化されて。レインボー・カレッジで学んだことは……あのときはね、何を話してたんだろうね。

まめた:なんか、よく、ミーティングが長くって、1時ぐらいから始めて8時ぐらいまでずっとやってた記憶が。

キャシー:そう。ミーティングがいつもすごい長かった。

まめた:途中で2回ぐらい喧嘩するんですよね(笑)。

キャシー:そうそうそう。

まめた:ゲイのメンバーが考えてることと、トランスのメンバーが考えてることが全然違ってたりするんで。なんで、違うなあ、みたいな。

キャシー:ナイーブだった自分は、それを観察していた感じでした(笑)。

まめた:そうですね。何なんだろうなあ、って。

キャシー:でも、レインボー・カレッジで学んだことは、今でも自分がしている仕事で役に立っていて。すごい、自分の基礎を築いてくれた団体だったと思います。もう、レインボー・カレッジはないんですよね?

まめた:何か今、ないんですよね。残念だね。

キャシー:残念だね。

まめた:まあ、でも、学生サークルが今はたくさんあるんで、そういう似たような人たちがいっぱいいるのかなというふうに思ってますね。

キャシー:うん。

まめた:なんかね、1時から8時まで飽きずに喧嘩しながらミーティングしてるって、やっぱ、おかしいよね。ははは(笑)

キャシー:ちょっと、うん、おかしいよね。

まめた:ああいう場所が必要だよね。

キャシー:うん。今までこの10年、ずっと、いろんなコミュニティでいろんな活動をしてきたけど、あそこまで長いミーティングをする団体はレインボー・カレッジだけ。

まめた:しかも、8時に終わって、そこからご飯食べに行って、また長いんだわ(笑)。

キャシー:そうそうそうそう。でも、ああいう場所が必要だったよね、あのときは、たぶん。

まめた:そうなんだよねー。何か、意外とないよね。

キャシー:すごく……うん、すごい、いつもはレインボー・カレッジとかのミーティングは楽しみで、横浜から東京まで結構遠かったんですけど、その道のりがいつもすごい楽しみで、今でも覚えています。これが10年前だなんて、ちょっと……

まめた:たしかに、そう思うとね、やばいね(笑)

キャシー:やばいね。

二人:(笑う)

キャシー:で、まあ、一応……

まめた:当時……

キャシー:うん?

まめた:当時、全然LGBTとか新聞にも載らなかったし、初めてNHKで「ハートをつなごう」かな、LGBT特集なんかをやって、その時にレインボー・カレッジが出たんですけど、やっぱ、スタジオの収録も6時間とか、とんでもない時間で。

キャシー:あ、そんなに長かったんだ?

まめた:そう。

キャシー:僕、ちょうどそのNHKで「ハートをつなごう」に出るかもしれないみたいな会議が、自分の最後の会議なのね。

まめた:あー、なるほど。

キャシー:だから、そのあとにトロントに留学して、インターネットで、その番組が放送されたっていうのを聞いて、「あ、すごい」っていう。

まめた:それが10年前だからね。

キャシー:すごいね。でも、そう考えると、かなり日本も、いろんな意味で変わった部分もあって、変わらない部分もあって。

まめた:そうですね。

キャシー:それも、このpodcastで話していこうと思います。

まめた:そうですね、はい。

キャシー:で、まあ、このpodcastのタイトルが「にじいろ交差点」なんですけど。

まめた:うんうん。

キャシー:その「にじいろ交差点」っていうタイトルが、LGBTを多様な視点から見ていこうっていう、このpodcastのテーマに沿っているんですよね。

まめた:うんうん、そうですね。「にじいろ」って、ジェンダーとかセクシャリティとか、性に関することだけじゃなくって、もっといろんな人の違いとか、例えば民族とか、カナダと日本とか、いろんな違いを、こう、見ていこうかなと思っているんですね。

キャシー:そうそうそう。あと、その、まあ、「交差点」っていう意味でも、まめたさんと僕で、違う国で同じような仕事をしてきた二人がどう交差するのかっていうのも、結構、個人的には楽しみで。

まめた:そうだね。

キャシー:うん。いろいろ聞きたいと思います。

まめた:はい。

キャシー:で、さっき、日本のLGBTにまつわるもの、部分が変わってきたっていう話をしたんですけど、どういう変化が起きたと思いますか?

まめた:そうですね、やっぱり、一番変わったのは、企業とメディア、この二つだと思うんですよ。で、企業は、雑誌の「週刊ダイヤモンド」とか、あのへんのビジネス雑誌が「LGBT市場」っていう特集を組んだのをきっかけに、いろんな企業が「LGBTのこともダイバーシティとしてやっていかなきゃ」というふうに変わった、これ一番大きいと思うんですけど。

キャシー:うん。

まめた:一方で、メディアとかも後押ししていく形で広まってきてはいるんですけど、でも一方で、政治が何が変わったかって言うと、特に新しい法律は国のほうではできてなかったりだとか、何かこう、ちょっと、その伸びている部分、経済とかメディアとかっていう伸びている部分と、そのまま変わってないかなっていう部分と、いろいろちぐはぐと言うか、そういう部分があると思ってるんですよね。

キャシー:うん。だって今、プライド・パレードとかも、すごいスポンサーがいるよね。

まめた:そうそうそうそう。もう、昔の10年前とはあまり企業ブースとかそんなに目立たなかったと思うんだけども、今はすごいいろんな企業がブースを出してて。でも、一方で、じゃあ本当にその会社の中で、例えばトランスジェンダーの社員のこととかをどこまで本気で考えてるのかなっていうと、ちょっとまだ見えないところもあって、それは課題なのかなと思ってるんです。

キャシー:10年前に、東京プライド・パレードを歩いたときに、企業ブースがたぶん23個だったんですよね。そのうち一つが、お茶屋さんだったんですけど、あんまり大きいスポンサーではなくて、かなり個人的なスポンサーだったんですけど。で、トロントに来て、トロントのプライド・パレードを歩いて、スポンサーの数がもう、すごい。

まめた:何人ぐらい、トロントのパレードって歩いてるんですか?

キャシー:えー、何人いるんだろ。一応、あの、45時間続くんですよ、パレードが。

まめた:ほぉー!

キャシー:その、2時か1時から始まって、結構、僕が前いたときは、うちの団体、結構先頭にいるんですよ。で、先頭を歩いて、パレードを終えて、僕、一回家に帰って寝るんですね。

まめた:はははは(笑)

キャシー:(笑)疲れるんで、パレードのあと。で、一回家に帰ってシャワー浴びて、ちょっと昼寝して、もう一回戻ってくるんですよ。で、まだパレード続いてるんですよ(笑)。

まめた:はははは(笑)。なげーよ。

キャシー:すごい長い。で、スポンサーの数もすごくて、でも、プロテストという感じではなくて、デモ行進という感じではなくて、もうほんとにお祭りっていうものになっていて。日本で歩いたパレードとは全然違っていて、すごく嬉しいっていう部分がある反面、これが最終地点、目的地になったら、どうなるんだろうっていう不安もあったりして。やっぱり、その、LGBTコミュニティが、その、すごくマーケットとして見られるというのが、その、うーん……っていうところがあるじゃないですか。

まめた:そのー、自分は台湾の、台北のプライド・パレードに行ったことがあるんだけれども、そのときは企業ブースって目立たなかったんですね。で、すごい、デモ自体も日本と違って両方の車線使えるんですね。で、歩いて行くと向こうからもパレードがやってくるみたいな、ちょっとよく分かんない。

キャシー:すごいな、それ。

まめた:しかも、作りもうまくって、歩いて行くと、例えば「199X年にこういう事件がありました」みたいなことを、横断幕の下を通って行くんですね。それによって、そのコミュニティがどういう歴史をたどって今まで来たのかということを歩きながら学ぶことができたりとか。一番面白かったのは、ナース服を着て拡声器を持ってる人がいたんですよ、横断幕のところに。それはゲイのパーティーがあったときに、HIVのテストを受けるように、勝手に強制的に行政の人が入ってきて、っていう事件があったらしいんですけど、そのときのことをその人がアピールしてるんだけど、服装とかもちょっと人目を引くって言うか、考えさせる仕組みになっていたりして。同じパレードって言っても、単にお祭りだけじゃなくて、みんなが考えたりとか、そういうちゃんと仕掛けがあって、いいなってことをすごく思ったんだよね。

キャシー:それ、すごい政治的だね。

まめた:そうそう。あと結構途中でも止めちゃって、スピーカーでスピーチしてるんですよ。同性結婚っていうか、同性同士で結婚できるっていうムーブメントが台湾では一生懸命やっていたんだけども、そこの団体の代表の人が途中で演説をしてたりだとか、すごい政治的で。それを普通に皆がエンジョイしてるっていう光景がすごい印象的だったんですね。

キャシー:ぜひ台湾のプライド、行ってみたい。

まめた:そう。良かった。車からドラァグクイーンの人がコンドームを投げまくってて、それを皆が拾うとかね。何か、東京のプライド・パレードでは見ないような光景がいっぱいありましたね。

キャシー:東京のプライド・パレードではコンドーム投げないんですか?

まめた:投げないですかね(笑)。

キャシー:投げない(笑)。

まめた:前に、あの、安倍昭恵さんがトラックの後ろに乗ってたときに、私、ドラァグクイーンが乗ってると思ったんですよ。「誰だろう、あのドラァグは?」と思ったら、安倍昭恵さんだった。

二人:はっはっは(笑)

まめた:ドラァグじゃなかった。

キャシー:あー、すごい(笑)。これ、載せていいんでしょうかっていう。

二人:はははは(笑)

まめた:誰だろうと思って(笑)。

キャシー:はっはっはっは(笑)。さっきのは、プライドの、企業のブースと、企業の広告塔になっていくっていう方向性と、プライドの政治的な意味合いのバランスがすごく難しい部分なんですけど。このpodcastの多様な視点から見ていくと、すごく、その、企業の広告塔になるイコール、お金持ちのLGBTにフォーカスがいくことが、すごい問題ですよね。

まめた:そうなんですよね。

キャシー:LGBTの中で、例えばトロントだと、LGBTの中に、例えば有色人種のLGBTとか、移民とか難民のLGBTとかがいて、必ずしも企業の広告塔がターゲットしてるマーケットではないLGBTがたくさんいるんですよ。

まめた:そうですよね。

キャシー:うん。だから、そういう意味でLGBTを狭い視野で見て、マーケットとして使われるというのが、すごい個人的に複雑で。トロントでも、その課題はものすごく多いんですけど。日本も、もうちょっとそこのバランスが取れたらいいなって思っていて。

まめた:そうなんですよね。日本に関していくと、やっぱり、地道な人権運動みたいなのが全然お金にならないし、例えば、その、自治体とか学校に対していろんな講演とかをしても、正直、食べていくのが、たぶんすごく大変だから、いま日本で活躍しているLGBTNPOって、やっぱり企業向けの講演とかしないとやっていけない状況にあるわけですよ。でも、そうすると、企業向けってなってくると、よりラディカルな主張ってなかなかしづらくなってきて、一つの例は、例えばトランスジェンダーのトイレの問題とか、雇用の問題だと思うんだけれども、いわゆる多数派の人たちの価値観をちょっと変えたりとか、より、そういう物の見方を変えたりとかの主張っていうのは、実は企業への講演とか、そういうものをベースにしてるとなかなかできないっていう、それは構造的な問題だと思うんですよ。で、去年「work with Pride」っていうイベントがあって、そこで53社から、LGBTについて一生懸命取り組んでいる会社ってことで表彰されるんだけれども、一方で、地方に住んでいる人たちってどういう状況にいるかって言うと、そもそも、40代、50代のレズビアンの女性は、レズビアンであるっていうことだけじゃなくって、独身の女性であるっていうことでも、町ではすごい生きづらかったりとか。ジェンダーとか、地方とか、そういうものが絡んでいるっていう状況もあったりして。何かこう、いろいろまとめて、いろんな視点から語っていく必要があるのかなって、そういう時期なのかなって、いま思っているところですね。

キャシー:いま日本で、企業研修とかでLGBTについて扱うときって、どういう内容になるんですかね。

まめた:どうなんですかね。やったことないからわかんない(笑)。一生懸命、皆さんやっているとは思うんだけれども、まあ、でも、やっぱり構造的に限界があるかなっていうふうに思ってるんですよ。あのー、企業がやりやすい方法と、やりづらいとか、より、その、何て言うのかな、根本的に皆の考えを変えなくちゃいけない部分っていうのは、やっぱりちょっと、それぞれあると思うので。なかなか、トランスジェンダーの、トランスジェンダー女性の人が更衣室を使いたいって言ったときに、やっぱり当事者の基本的なところに立つってことではなくって、どうやって職場をうまく丸めるかとか、そういう視点でやっぱりやらざるを得ないところってあるのかな、っていうふうに思ってるんですよね。

キャシー:これ僕の経験なんですけど、前の仕事ではコミュニティの中から企業とか大学に出向いて、ワークショップとかトレーニングとか提供したんですよ。LGBTに関するトレーニングだったりとか、LGBTプラス人種差別とか、そういう感じでいろいろやってたんですけど、今の仕事だと、僕、組織に雇われて、組織内でこういう仕事をやるんですよ。で、初めて、雇われたあと初めてワークショップをする日になったときに、ステージに立ってマイクを握った瞬間に、何を言えばいいか分からなくなったんですね。

まめた;ほー。

キャシー:まず、どこまで相手の意見を変えるかっていうラインがすごく難しいところで、これを言ったら、うちの上司からあとで注意されたりするかもしれないとか。

まめた:うんうん。

キャシー:これを推し進めてしまうと、上のほうから文句が来るかもしれないとか、そういうことを考え始めて、言いたいことが言えなくなったんですね。例えば、だから、LGBTに関することは言えても、人種差別とか……

まめた:ありますよね。

キャシー:うん。例えば黒人に対する人種差別とか、すごい今トロントでヒートアップしてるトピックなんですけど、そこを持ち出すか持ち出さないかっていうところで、すごく困ったんですね。うん、だから、空気を読む教育者になっちゃった(笑)。

まめた:(笑)

キャシー:組織内にいるっていうことで、そういうことができなくなっちゃったので、企業向けに、こうした、お金をもらって、こうした仕事をするのは大変だなっていうのは感じますね。

まめた:そうですね。何て言うか、やっぱり、それぞれの立場でできることと苦手なことができてくると思うんだよね。なので、まあ、例えば自分が学校に行っても、そういう場面って必ずあって、学校の先生に対して、ここはこれ以上求めると心を閉ざされてしまうんじゃないかみたいな、空気を読むみたいな、そういうところってあったりとかして。

キャシー:じゃあ、まめたさんが例えばワークショップとかをトレーニングするときに、これだけは譲らないっていう部分はどこですか?

まめた:えー……難しい質問ですね。

キャシー:難しいですか?(笑)

まめた:あ、でも、えっと、一つこれ、必ず思っていることは、理解ってすごく曖昧な言葉だと思っているんですよ。「理解しました」とか「理解しましょう」とか、そうではなくって、ちゃんと行動まで起こしてこそ意味があるっていうふうに思ってるんで、学校の先生に対してとかも「聞いて勉強になりました」とか「理解が深まりました」っていうんじゃなくて、じゃあ、具体的に、「廊下や保健室とかに、こういうの、ポスターとか置いてくださいよ」とか、「こういう、学校の制服を着なきゃいけないっていうルールを見直してみましょう」とか、やっぱ、ちゃんと行動に移してもらうっていうところは、一つ譲れないかなっていうふうに思ってますね。

キャシー:あー、いいですね、それは。僕のは何だろう、一応その、このpodcastのテーマでもあるんですけど、多様性ってのはすごく大事だなと思っていて、例えば「LGBTのことについて話してください」と依頼されたときに、絶対にLGBT以外の部分も持っていくっていうのがすごく大事なところで、例えば……

まめた:いいですね。

キャシー:すごくいつも個人的に複雑な気分になる言葉があって、「トロントはゲイが一番住みやすい街」とか、そういうフレーズをたくさん聞くんですよ。でも、その文の中にある「ゲイ」って誰なのかっていうことを考え始めると、必ずしも、その文が正しいっていうわけではないんですよね。

まめた:うんうん。

キャシー:例えば、白人でカナダ生まれでゲイという人と比べて、移民で来て、有色人種で、アクセントがあって、ゲイっていう人たちと比べたら、その人たちの経験は全く違うと思うんですよね。

まめた:一口にゲイと言っても、全然違うってことですよね。

キャシー:そう。だから、トロントという街をどう経験するのか、その人のアイデンティティーとか、その人の複雑なアイデンティティーがどう絡み合っていくのかっていう部分が個人的にすごい大事で。だから、その、ワークショップとかトレーニングするときとかは絶対そういう部分を強調して、LGBTLGBTとして考えるだけではなくて、他の部分も見ていこうっていうのは大事なテーマですね。

まめた:ほんと、そうですよね。大事だあ。

キャシー:大事ですね。

まめた:大事ですね。

キャシー:あの、こんな感じのpodcastなんですけど。

まめた:1回ですよね。

キャシー:1回、こんな感じですけど、どうですか?

まめた:そうですね。あのー、なんだろ、人権問題って、人権とか多様性の話って、皆共通してる部分が必ずあって、それは、その、LGBTのことだけじゃなくて、ジェンダーとか民族とか、いろんなところで、すごく同じような似てるようなトピックっていっぱいあって、何かそれがこう、結びついて皆で考えられるようになったらいいなっていうふうに、すごい思ってます。

キャシー:うーん。

まめた:だから、このラジオがすごい楽しみにしてます。

キャシー:ラジオって言わないでください。podcastです。

まめた:あ、podcastだ(笑)。

キャシー:ははは(笑)。トレンディーにいきましょう、トレンディーに(笑)。でも、ほんと、今まめたさんが言ったこと、すごい大事なところで、人権問題を考えるときに、誰かを忘れるともう成り立たないと思ってるんですよね、人権っていうのは。だから、LGBTだけを守ったところで、有色人種を守れなかったりとか、黒人の人を守れなかったりとか、あと、障害者を守れなかったりとか、そういう部分が残ってると、LGBT内でそうしたアイデンティティーを抱えている人たちを守れないっていうことになるので、だからほんとに、holisticって英語でよく使うんですけど、日本語だと、包括的?

まめた:まるごと? 包括的?

キャシー:まるごと? 全部まるごと一緒に問題解決みたいな。言うのは簡単ですけど、やるのは大変な部分ですよね。

まめた:やっぱ、こう、考え続けていくとか、あと、何だろう、レインボー・カレッジとかでもそうだったんだけど、皆が仲良くやっていける場所じゃなくって、何か、おかしいと思ったらちゃんと「おかしい」って言えて、それを聴いてくれる人もいて、「よく分かんねーよ」って言う人もいて、っていう空間をちゃんと作っていくことが大事かなって、すごい思ってるんですよね。

キャシー:そうですね。会話じゃなくて、対話をしていけるような場所ですね。うん。という感じなんですけど、次回予告にいきますか? それとも、もうちょっと話しますか?

まめた:次回予告してみる?

キャシー:次回予告、まったく、何もあの、考えてないんですけど。

まめた:あー、何がいいかな。

キャシー:次のトピック、何か話したいこととかありますか?

まめた:やっぱ、こう、何だろ、トロントの話が聴きたいですね。何か、あのー……

キャシー:トロントの話ですか? はい。

まめた:うん。自分は、何だろ、勝手に憧れがあって、トロントってのは、すごい日本よりも進んでるんじゃないかみたいな、憧れの部分と、とは言え、「いやいやいや!」みたいな、いろいろ課題があるんだろうなっていう部分と、両方あるだろうなって思うので、そのへんの話が聴きたいかな。

キャシー:ぜひ、トロントの話をしましょう、次回。あと、まめたさんのほうで他に話したい部分とかありますか?

まめた:他に話したい部分ね……あのー、そうだな、最近アメリカでトランプ大統領が、今度軍隊でトランスジェンダーの人を排斥するっていうようなニュースがあって、それに対して、例えばカナダってのは「いや、自分らはウェルカムなんだ」ってことをツイッターで首相が発信する場面もあったんですけど、実際にそのへんで、例えば、「ウェルカムだ」って人と、「いやいや、排斥したいんだ」って人たちの間っていうのは、どういう関係性なんだろうか。コミュニティの中で、どういうふうに意見が割れたりとかあるんだろうなっていうのは、関心がありますね。

キャシー:うん。あと、そのまあ、ツイッター上の発言と、実際のポリシーがどう繋がっていくのかっていうのもありますよね。

まめた:そうそうそう。それは気になるな。

キャシー:うん。個人的に、すごい、ポップカルチャーのほうになっちゃうんですけど、昨日ドラゴンクエストをダウンロードしてプレイしてるんですけど、噂によると、ゲイのキャラクターが登場するらしいんですよ、ドラクエに。最近結構ゲイのキャラクターがたくさんメディアで登場するように、日本のメディアで登場するようになってきたじゃないですか。

まめた:ドラマとかね。

キャシー:ドラマとか。で、個人的に結構、メディアの中で、どう、こういうマイノリティーが表現されるのかっていうことにすごい興味があって。

まめた:うんうん。

キャシー:日本のクリエイターが、どう、こうしたコミュニティを見て、どんなキャラクターを創っていくのかっていう部分が、かなり興味深いです。

まめた:うんうん。

キャシー:というわけで、次回までにそのキャラクターを仲間にして、どんな人なのかを探ってみます(笑)。あと、あのー、このpodcastを聴いてる人たちからもいろいろ質問とか。

まめた:バッチ来い! みたいな。何でも。

二人:ははははは(笑)。

キャシー:何でも、全部答える。

まめた:答えられるのか?

キャシー:わけでもないんですけど、頑張って全部答えます。

まめた:はははは(笑)。答えるんだ?

キャシー:ははははは(笑)。まあ、あのー、あんまり失礼なとかは無視するかもしれないので、はい。

まめた:そうですね(笑)。

キャシー:リスペクトを持って質問してください(笑)。って感じです。

まめた:いやー、面白かった。

キャシー:面白かったですか?

まめた;うん。

キャシー:すごい、あの、ほんとにpodcast初めてなので、すごい緊張して。

まめた:部屋を片づけ始めたけど、映らない(笑)。

キャシー:はっはっは、映らない(笑)。

まめた:掃除機かけて。

キャシー:あと、あの、オープニングテーマなんですけど、僕の友達に頼んで作ってもらったんですよ。すごく素晴らしい曲ができたので、ぜひスガワラヒロユキくんのページをたぶんリンクに、リンクがどっかにあるので、探してみて、チェックアウトしてみてください。というわけで、この「にじいろ交差点 エピソード1」、これでお開きにしますか?

まめた:はい。

キャシー:まだ、ウイークリーか、マンスリーか、どれぐらいの頻度でやるか決めてないんですけど、まあ、決めましょう、それは。また今度で。

まめた:はい。

キャシー:それでは。

まめた:それでは。

キャシー:これ、ちょっと待って待って! これ、どう閉じるの? podcastって。

まめた:えー。それでは……何だろ。また来週?

キャシー:また来週って、決めてないからね。

まめた:「それでは、また今度」とかで、音楽が流れるのかな?

キャシー:うん。じゃあ、また今度。一緒に「また今度」って言ったあとにオープニングテーマを流しましょうか。ま、エンディングテーマになりますけど。では、せーの!

二人:また今度!……はははは(笑)。

キャシー:まあ、こんな感じです。こんな感じの二人です。ありがとうございました。

まめた:ありがとうございました。

Producer: キャシー (@torontogay69)
Co-host: 遠藤まめた (@mameta227)
Composer: hirontier/Hiroyuki Sugawara (@hirontier)

桜井弓月さんの超丁寧な文字起こしに大感謝!

『にじいろ交差点』:LGBTの多様性を語るポッドキャスト

31 7月

LGBTポッドキャスト:『にじいろ交差点』がついに公開!

ストリーミングやダウンロードはこちらのリンクからどうぞ。

もちろん、iTunesやGoogle Play Musicでも聴けるので、ぜひ購読してみて。

にじいろ交差点 new

にじいろ交差点(iTunes)

にじいろ交差点(Google Play Music)

にじいろ交差点(libsyn)

『にじいろ交差点』は、10年前にレインボーカレッジで一緒に活動した遠藤まめたさんとのコラボレーション企画で、日本とカナダでそれぞれ活動する二人が一緒になって、多様な視点からLGBTというトピックを語るポッドキャスト。ポッドキャスト未経験の素人な私たちの努力が実ったのか、『にいじろ交差点』はなかなか楽しめる内容になっている…はずである。

遠藤まめたさんの活動が気になる方は、ウェブサイト『バラバラに、ともに。』やツイッター(@mameta227)をチェックしてみて。

『にじいろ交差点』のテーマ曲を手掛けたのはhirontier/Hiroyuki Sugawara(@hirontier)で、ポッドキャストの雰囲気とピッタリな曲に仕上がっている。

『にじいろ交差点』についての感想、質問、リクエストを大募集中なので、コメント欄、ツイッター、メールでどんどん絡んでちょーだい。

トロント・インターナショナル・ポルノ・フェスティバルに行ってきた

22 4月

「トロント・インターナショナル・ポルノ・フェスティバルに行かない?」

とても急な誘いだったが、アダルトビデオで育った自分には断れるはずもなく、気付いた時には映画館でポップコーンを食べながらビッグスクリーンでポルノ鑑賞を楽しんでいた。

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トロント・インターナショナル・ポルノ・フェスティバル(Toronto International Porn Festival)は、2006年から毎年トロントで開催されてきたフェミニスト・ポルノ・アワードから発展したイベントである。メインストリームなアダルドビデオ業界ではなかなか見られない多様性に富んだオルタナティブなポルノを祝福し、そうした作品を製作する人たちを支えるイベントである。

正直なところ、どんなポルノが上映されるのか予想もできなかったが、期待した以上に素敵なイベントだった。この『Having My Cake』という作品では美味しそうなフレンチペストリーと共にクィアでクリーミィなセックスを楽しんでいて、カラフルなセットとレトロな音楽にうっとりしてしまった。また、『50 Shades of A Tranny』はトランスジェンダー女性とトランスジェンダー男性のストレートカップルのセックスを収録した作品はジェンダーやセクシュアリティの既成概念に挑戦していてとても興味深かった。

そんな作品たちの中でも、一番のハイライトは『Etage X』である。故障したエレベーターの中に閉じ込められた年上の女性二人は、衝動を抑えられずに過激なプレイに手を出してしまう。ポルノというよりショートフィルムに近い作品だが、セクシュアルなエナジーを上手に捉えていて、最後の最後までドキドキして見てしまった。

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こうしてポルノを鑑賞するのは自分にとっても初めての経験である。他の観客と一緒に感じて、笑って、歓声を上げるのはとても楽しかった。思春期の頃からポルノはオナニーするために消費するもので、こうやって映像作品として観察する機会なんてなかった。何より、こうしてフェミニズムや反差別なテーマが反映されたポルノに触れる機会さえなかった。このイベントに参加して、実に多種多様なポルノを見て、自分のポルノとの向き合い方を改めて考えることができた。それだけでも価値ある経験である。

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トロント・インターナショナル・ポルノ・フェスティバル、来年も楽しみだ。