『ジェンダー、トイレ、そして、ユニバーサルデザイン』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第7回 テキスト by 桜井弓月

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第7回 ジェンダー、トイレ、そして、ユニバーサルデザイン(2017/11/12)

にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn

 

キャシー:「まめたさんと言えばトイレ」っていう話をしたいと思ってて(笑)。

 

まめた:うん(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。これ、10年前の話なんだけど、まめたさんがレインボーカレッジの会議でトイレの話をしていて、カミングアウトしたばかりで全然右も左も分からないゲイ男性の自分は、全然トイレっていうことを考えたことがまったくなかったのね、その日まで。まめたさんが会議の中でトイレの話をしていて、すごく、「こんなにも経験が違うんだ」っていう。シスジェンダーとトランスジェンダーの間で。その話をすごい今でも覚えていて、だから「まめたさんと言えばトイレ」っていう話をしたんだけど。響きとしてはすごい悪いんだけど(笑)。

 

まめた:懐かしいよね。当時、たしかね、「パレードにみんなで行こう」みたいな話とかをしてた。代々木公園のパレード会場で、トランスの人が、男子用トイレと女子用トイレしかなくて、どっちにも行きづらいトランスの人たちがトイレを探して旅に出るみたいな状況になっちゃってて、それをすごいミーティングで喋ってた記憶がある。

 

きゃしー:あー、それかもしれないね。

 

まめた:何か、LGBTのイベントと言いながら「トイレがない!」とか言って、「トイレよこせ!」とか言って(笑)。

 

キャシー:はっはっは(笑)。「トイレよこせ!」って? でも、すごい問題だよね、それ。

 

まめた:大問題だよ。何かもう、永遠に言ってて、パレードが開かれるたびに「トイレどうするんだ」みたいなことを毎年言ってて。

 

キャシー:うん。

 

まめた:最近の東京のプライド・パレードは人が増えたので、そもそもトイレの数が足りないとか、他にもいろいろ理由があって、建設現場に置いてあるような個室トイレがたくさんバーッと並んでて、それで解決されるっていう。トランスのことだけじゃなくて、他の理由もあって変わったみたいな、そういう感じでしたね。

 

キャシー:うん。

 

まめた:というわけで、トイレ問題でございます。

 

キャシー:トイレ問題。トイレどうですか、最近?

 

まめた:トイレ、面白くて……面白くも何ともないんだけど、いま10月の終わりじゃないですか。

 

キャシー:はい。

 

まめた:服の枚数が増えたんですよ。目安があって、毎年、栗ごはんの季節になるとよくなるんですけど、5月ぐらいから9月ぐらいまで半袖とかじゃん? で、着る服の枚数が減ると、自分の中では体の線みたいなのがすごい目立つ気がして、男子としてパス……男子としてちゃんと自分が見えるかみたいなのが結構微妙な時期なんですよ。だから、いま10月の後半になって、服とか2枚も3枚も着てたりとかして、全体的にモコモコしてくると、安心して男子トイレとか入っても大丈夫だなみたいな。だから、外出先がちょっと楽になったみたいな。

 

キャシー:はあ。

 

まめた:人がいても大丈夫、みたいな。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:季節的に……季節によって、服の枚数によって周りからの扱われ方が微妙に変わる気がする。

 

キャシー:まめたさん、普段は男子トイレを使ってるって言ってたけど。

 

まめた:えっとね、見た目によって変えたりとか、えっと、職場は女子職員として入ったので女子トイレなんですよ。でも、それはすごく自分は嫌だし、周りも、お客さんとかで鉢合わせして困ることがあって、すごい問題なんだけど、職場は女子トイレと男子トイレしかなくって。で、仕事以外の場面だと、入れそうだったら男子トイレだし、難しそうだったらファミリーマートとか、コンビニのトイレを使うことが多い。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:何かその、性別で区切ってないような、そういうとこ探したりとか、すごい不便だけど、ずっとこれだから……毎日毎日これ。

 

キャシー:ほんとに不便だよね、それは。フェアじゃない。

 

まめた:そう。トイレが基準で行動するわけ。

 

キャシー:うん。

 

まめた:例えば、新宿駅とか、そういう大きい駅の中に入ってるカフェとかではあんまりお茶をしなくって。

 

キャシー:うん。

 

まめた:何でかって言うと、例えばタリーズコーヒーとかドトールコーヒーとか小さい店舗だと、店の中にトイレがあって、だいたい男女共用なんですよ。

 

キャシー:そうだね、うん。

 

まめた:だけど、新宿のルミネとかさ、そういうところに行くと、まずトイレに人が並んでるわけ。外にあって、男女別のトイレで。人が並んでいるところに行くと、自分が男子じゃないっていうふうに言われるんじゃないかとか、トランスであることがばれるんじゃないかとかすごい気になって、あんまり使いやすくないから、それだったら別のとこでお茶したほうがいいやって思う。

 

キャシー:いま日本でジェンダーフリートイレとかは増えてるの?

 

まめた:もともと結構探せばあって、コンビニとか、ドトールとか居酒屋とか、場所によるけど。探せばある。ただ、LGBT向けに増えてるとか、そういうことではないと思う。

 

キャシー:うーん。例えば結構トロントだと最近レストランとかカフェとか、昔は男女別でトイレがあったんだけど、いまはサインとかを全部取って、「どっちもトイレ」っていうところが増えてる。実際、個室が2個あったら男女別にする必要がそこまでないじゃない?

 

まめた:そう思うんだよね。

 

キャシー:うん、そう。例えばレストランとかならね。そういうところとかは、最近結構ジェンダーフリーのトイレも増えていて、僕がこっちの大学で仕事してるじゃない? そうした大きい施設だと、絶対にオールジェンダートイレが設置されていて、例えば、このフロアとこのフロアとこのフロアには、オールジェンダートイレがここら辺にありますよ、みたいな、そういうサインとかも結構増えてる。

 

まめた:この前、カナダのブリティッシュコロンビアから来ている人の話を聞いたときに驚いたのは、カナダの学校は結構もうニュートラルな、ただの個室トイレがバーンと並んでる学校が増えてるとか、それだけじゃなくて驚いたのは、病院。病院って、日本だと男性用の大部屋と女性用の大部屋が、性別で大部屋が分かれてることが多いんだけど、カナダの病院って、ただの大部屋があって、その中に別に性別で分けたりとかせずに、何人とか、そこに患者さんがいるみたいな、そういう入院の仕方なんだっていうのを聞いて、そういうのありなんだと思って結構びっくりしたんだよね。

 

キャシー:はあ。

 

まめた:別に分けなくたって、ちゃんとプライバシーが守られれば問題ないわけだから、そのほうが逆に合理的に、こっちのトイレは人が並んでて、こっちのトイレは人が空いてて、とか、こっちの部屋は空いてて、こっちの部屋は混んでて、とか、そういうのがなくなるかもしれないし、ひょっとしたら合理的なのかもしれないと思って。

 

キャシー:カナダの病院、行ったことないから全然知らなかった。

 

まめた:あ、そうなんだ? 行ったことないほうがいいよね。

 

キャシー:行ったことないほうがいいんだけど、うん。ははは(笑)。ジェンダーフリートイレっていうのが、数年前に結構問題になって。トロント大学で結構強めにジェンダーフリートイレを推し進めてた棟があって、全フロアでジェンダーフリートイレを導入したのかな。したあとに、痴漢問題が発生して、盗撮された人とか、覗き見されたとか、そういう事件が結構増えて、一部のトイレをまたジェンダー別に戻したのかな、たしか。で、こうなってくると、すごく政治的な問題になってきて、「何でそうした選択を覆すんだ!」みたいな、その決断にすごく両方から圧力がかかって、すごい難しい立場に立っていたのを覚えていて。ジェンダーフリートイレとかオールジェンダートイレとか、絶対必要な部分だと思うんだけど、社会の中で女性っていう立場を忘れてはいけないなっていうのを思っていて。例えば、痴漢っていう問題がすごい多いから、ジェンダー別のトイレも必要なのかなっていう、ジェンダー別のトイレも共存していかなきゃいけないのかなっていうのを思っていて。

 

まめた:何か、あれだよね、ジェンダーフリートイレもそうだし、自分のジェンダーアイデンティティに基づいてトイレを使おうってなったときに、トランス女性の人とかがさ、女性トイレを職場で使わせてもらえないみたいな、いま日本でそういう裁判やってて、経済通産省の職員でトランス女性の人がいるんだけど、その人が職場で女子トイレを……もともと女子トイレを使ってたんだけど、他の職員から苦情があって、結局、みんなの理解とか許可がないと女子トイレを使えない、みたいな話になっちゃって、それでいま裁判をやってるんだよね。結局、何か、分けることが安全だっていうふうに思ってる人たちにとって、トランスの人とか、ジェンダーニュートラルにするってことが安全でないみたいなふうに思ってる人たちがいて、犯罪とか、そういうのをどういうふうに防ぐかみたいなことってすごい大事だし、その辺の不安感みたいなものって、トランス女性のことに関しては別に犯罪を犯すわけでも何でもなくて、普通に使ってもらえたら全然いいんだけど、それを分かってもらうことが大事だと思うんだけど、安全って、すごい難しいよね。

 

キャシー:難しい。安全っていう問題プラス、誰がどのトイレを使っていいのかってポリーシングをしてる問題も出てくるわけじゃない? 例えば、女性トイレっていうジェンダーのトイレがあって、そこに誰が入れるのかっていうのを誰が決めるのかっていう部分になってくるから、うーん……こうした、施設のデザインは、本当に難しい。大学の施設でプレイヤースペースっていうのがあって、休憩中とか、お祈りに来るスペースがあるんだけど、そのスペースを、本来、どの宗教とか、宗教に限らず、ちょっと来てメディテーション、瞑想したいっていう人たちにも使えるスペースになってるんだけど、やっぱり実際に使う人たちが結構みんなイスラム教徒の人たちが多いわけよ。で、生徒たちからのリクエストがあって、何もプロセスなしに、いきなり女性・男性用に分かれたスペースになってしまって、すごく大問題になったっていう。例えば、イスラム教徒の生徒たちのリクエストだと、ジェンダーを分けてほしいっていうリクエストがあって、学校側は何もちゃんとプロセスをせずに「はい、はい」って言って分けちゃったっていう。こういうときに問題になってくるのが、宗教とジェンダー、どっちも人権法の下に守られていて、どっちを優先するのかとかになってきて。

 

まめた:それはもう宗教の中で考えるしかないよね。何かさ、イスラム教でLGBTの人たちのお祈りとかやってるグループがあるけど、そういう中の実践で考えるところがないと、なかなか難しいよね。

 

キャシー:うん。トロントにユニティーモスクっていう、LGBTのコミュニティがやっているイスラム教徒のグループがあるんだけど、その人たちがお祈りするとき、いつもやってるのが、僕、右左が分からないから合ってるか分からないけど、男性としてアイデンティファイしてる人たちは右に来て、女性としてアイデンティファイしてる人たちは左に来て、分けずに間に来た人は間で、みたいな、そうした感じでスペースを使ったりとか。うーん、でも、やっぱりなかなか正しい答えがない問題だから、すごい難しい問題で。スペースっていう……。トイレとかも同じなんだけど、ほんとに、トイレを囲んでいる社会に問題がありすぎて、どうスペースをデザインすればそうした問題を全部解決できるのかっていう部分があって、デザインだけで問題をすべて解決できるわけじゃないから、痴漢問題をどう対策していくかとか、誰がトイレに入って来れるかっていう、そうした視点とかをほんとにチャレンジしないと、使いやすいトイレっていう、誰でも使いやすいスペースって出来上がらないかなあっていうのを思っていて。

 

まめた:思い出したのがね、いまから8年ぐらい前に、やっぱりLGBTの若者のイベントをやったんですよ。で、そのときも私は吠えて、「トイレをちゃんとやらないとイベントとして意味がない」とか言って。建物が2階建てで、1階を当日ディスカッションに使う予定で、そこは施設に掛け合って、もともとは男女別トイレだったんだけど、その日は上から紙を貼って「どっちを使ってもいいですよ」みたいな、そういうふうに変えてもらったんですよ。当時付き合ってた彼女が、私が一生懸命それを実現したのに、男女共用トイレが嫌だったらしくて、こっそり2階か3階に行って女子トイレを使ってるところを見ちゃったんですよ。自分はこれだけ一生懸命作ったんだけど、やっぱり嫌な人は嫌なんだってことを、それを見てすごいショックを受けたことがあって。何だろう……やっぱ、分けたい人はすごい分けたいよね。あんなに努力して作ったのに、結局そうか、と思って。

 

キャシー:ジェンダーフリートイレがあったんだけど、みんな結局、上の階に行ってジェンダー別のトイレを使ってたっていう。

 

まめた:使ってる人がいて、こともあろうか付き合ってる人だったっていう。

 

キャシー:ははは(笑)。でも、僕もね、怒られるかもしれないんだけど、基本的にジェンダーフリートイレはちょっと……トイレ自体が個人的に苦手なスペースでもあって。いまの職場のトイレ、おしっこするところがすごく近くて、腕と腕が触るぐらい近くて、隣の人と。

 

まめた:近すぎでしょ。

 

キャシー:そう。何も隔てるものがなくて。トイレが子どものときから苦手な場所で。ジェンダーフリートイレとかも、結構いっつも、こっちにあるジェンダーフリートイレって、オールジェンダー、プラス障害者向けのバリアフリーのトイレみたいになってるんだけど、僕、鍵の付け方が分からなくて、ロックのシステムが分からなくて、自分が座ってる場所からドアがあんまり遠いと不安になっちゃって座れないのね(笑)。誰かが入って来たらどうしようっていう不安に勝てなくて、そういうトイレは絶対いつも避けてる(笑)。ほんとに全然違う話なんだけど。ユニバーサルデザインのはずなのに、ロックが不安っていう。

 

まめた:あれだよ、思い出したんだけど、台湾の市役所に2年ぐらい前に行ったことがあって、そこはエリアが二つ分かれてるんですよ。で、一つは男女共用エリアで、さらに女性専用エリアがあって、入口が二つに分かれてて、女性のほうに入ると通常の個室がたくさん並んでる女子トイレがあって、男女共用エリアに入ると、個室の洋式便器と男子の小便器の個室とか、子連れの人が使えるトイレとか、車椅子用のトイレとか、いろんなトイレがその中に並んでて、好きなやつを選ぶみたいな、そういう分け方をしてあったの。どうしても女子だけのほうがいいって人は女子トイレのエリアを使うし、「ちょっと面白そうだし、いろんなトイレがあるし、そっち使おうかな」みたいな人たちも結構いて。そっちのほうが、いろんなバリエーションがあるほうから選べるみたいなふうになってて、それがすごい面白かったんだよね。みんな使いやすいトイレって結構違ってたりしてさ、洋式がいい人もいれば、洋式はあんまり好きじゃない人もいるかもしれないし。

 

キャシー:そうそう。

 

まめた:使いやすいトイレを選ぶとか、あと、車椅子の人とかも……日本トイレ協会っていう人たちとこの前一緒にイベントやったんだけど、最近のトレンドは、機能別にどんどん分けたほうが実はいいってことを言ってて、多機能トイレってさ、着替える用の簡易ベッドがあったりとか、車椅子の人が使えるようなスペースがあったりとか、オストメイト用があったりとかして、際限なくでかくなるわけ、どんどん。でも、でかくなるとさ、たくさん作れないじゃん? だから、オストメイトの人はこれで、車椅子の人はスペースが必要だからこういう感じで、とかみたいな、種類をたくさん作ったほうが実はいいんじゃないかみたいな話し合いがあって。性別とはまた全然違う視点なんだけど、トイレって実はもっといろいろ種類があってもいいのかもみたいなことを最近考えてる。

 

キャシー:その話からユニバーサルデザインの話に持って行きたいんだけど、ユニバーサルデザインっていう考え方、どう?

 

まめた:自分は、みんながあまり考えずに、しれっと使えるトイレが一番いいと思ってるから、一番好きなトイレは、コンビニのただのトイレが一番好きだし、シンプル イズ ベストというか、ユニバーサルなふうに思うけど、障害がある人にとって、ファミリーマートのトイレって結構広めに作ってあって使えたりとかするし、そういうのが増えたらいいなと思ってるんだよね。それだけだと難しいのかなっていう気持ちもあって難しいんだけど。

 

キャシー:うん。ユニバーサルデザインっていう考え方自体が……いま仕事をしてる職場で障害をすごい勉強してる人たちが結構いっぱいいて、政府の施設だからこうしたユニバーサルデザインってすごい大事な部分なんだけど、考え方に問題を感じている人も結構いっぱいいて、ユニバーサルデザインって、「みんなが使いやすいトイレ」とか、「みんなが使えるバリアフリー」とか、そういう考え方じゃない? でも、その「みんな」っていうのが、すごい便利な言葉じゃない? 誰が「みんな」を決めるのかっていう部分とかもいっぱいあって、コンセプトとしてはすごい素敵なコンセプトなんだけど、なかなか現実で登場するデザインがユニバーサルじゃないことが多くて。例えば、散々、車椅子の人たちが使いやすいスペースをデザインしようとしてるのに、最後の最後でドアの開き方が間違っているとか、実際に使えないとか、あと例えば一番その施設が必要な人たちの声がなかなか反映されずに、「みんな」っていうところが勝ってしまうことが多くて、ユニバーサルデザイン、コンセプトとしてはすごい素敵なコンセプトなんだけど、やっぱり当事者の声をもっと聴かないと、トイレに限らず、ほんとにいろんなデザインの部分でもっとクリティカルにユニバーサルデザインを考えていかなきゃいけないなっていうのを思っていて。

 

まめた:それじゃない感があるよね。みんなで考えて、公募して「これにしました!」とか言って、「いやいや、でも一番困ってる人の意見を一番聴くほうがいいんじゃないの?」と思ったりとかさ。

 

キャシー:そうそうそう。だから、トロント大学の痴漢問題とかも、ジェンダーフリートイレを推し進めたときに女性の声がどこまで届いたのかなと思っていて。

 

まめた:何かさ、「何対何対何ぐらい」とかにしたらいいんじゃん?

 

キャシー:そうそうそう。でも、いきなりそういった……こうしたでかい組織とかさ、全然進まない課題があったり、パッと進んじゃう課題があったりとかして、難しいんだよね、バランスが。だから、プレイヤースペースとか、ジェンダーフリートイレとか、ほんとにコンサルタントが声を出す間もなく変わってしまったりとかするときがあって、もうちょっと時間を掛けて考えてほしかったなっていう。あと、例えばジェンダーフリートイレがあって、オールジェンダートイレでいろんな種類のトイレがあって、隣に女性専用のトイレがあったとして、また文句を言う人たちがいっぱい登場するわけじゃない? 「女性をなんで優先するんだ!」っていう声も登場したりするし。ほんとにいろんな方向から圧力が来るから、どの声を聞いたらいいかっていうのを現場の人たちが分かってるのかどうかっていうのも、ちょっと不安な部分もあって。

 

まめた:女性専用車両みたいなのが日本にあるわけだけどさ、最初にできたときはすごい嫌だったの。何でそんな……そもそも性別で区切る場所がこの星にまた増えたみたいなことをね、たしか高校のときだったんだけど、思って、すごい嫌だったんだけど、この前ネットを見てたら、ほんとに痴漢にすごいたくさん遭ってきた経験がある人がいて、その車両に乗れば痴漢に遭わないと思うとホッとする、みたいな話があって、全然、言うなら、別に女性専用車両があることによって痴漢が減るわけではないし、別にそれが何かの解決に役立ってるとは思わないけど、そういう人にとっては必要なんだみたいな話を聞くと、「そうかあ」みたいなところもあって。理想から言えばそんなのなかったほうがいいと思ってるんだけど、それがあることで安心するとか、そうじゃないとほんとに困るっていう話を聞くと、「そこまでだったら、まあ、そうかあ」って思う部分もあって。悩ましいよね。

 

キャシー:悩ましいね。

 

まめた:自分が鉄道会社の社長とかだったらさ、そういうの、あんまり導入したくない気持ちになるしさ。

 

キャシー:女性専用車両とか、本来、ほんとに何もそうした差別とか偏見とかがない社会だったら、ジェンダーフリートイレとかユニバーサルデザインとかを導入したら成功すると思うのよ。でも、やっぱり、いまの状態だと、バンドエイドデザインっていうのも加えないと、社会問題が解決してない状態でジェンダーフリートイレとか導入しちゃうと、やっぱり痴漢とかにほんとに日々悩んでる人たちにとってはあんまりセーフじゃないスペースだったりするし。ユニバーサルデザインも、障害を持つ人たちに対する偏見とか差別とかある状態で導入しちゃうと、やっぱりなかなかちゃんとしたユニバーサルデザインじゃなくて、欠けてるユニバーサルデザインになっちゃうから。ユニバーサルデザイン、プラス、反差別の姿勢をどんどん導入していきたいっていうのを思っていて。

 

まめた:あれだよね、まず性犯罪とか性暴力のやつを何とかせんとあかんよね。

 

キャシー:ほんとに、うん。女性専用車両もいつかはほんとになくなってほしい。でも、なくなる理由が、ほんとに性犯罪がなくなったっていう理由で、なくなってほしい。

 

まめた:新しい、いろんなね、LGBTの人が使いやすいようなマークとかを導入した例がさ、たびたび日本で炎上してて。例えば渋谷区で「誰でもトイレ」に付けられたいろんなアイコン、男性に見える人と女性に見える人と、間に半分男性で半分女性のイラストで、しかもレインボーに入れられた第3のキャラクターが間に入ってるデザインで、それが半分男で半分女でレインボーみたいなのが当事者の反感を買ったりとか。

 

キャシー:ははは、買うよね(笑)。

 

まめた:デザインで揉めてて、最近。

 

キャシー:うん。

 

まめた:この前もある大学で、ジェンダーニュートラルなトイレを作ったんだけど、たぶん半分冗談で、スカートで髭が生えてる人のアイコンとか、角刈りでリボンが付いてる人のアイコンとかが入ってて、たぶんシャレで付けたと思うんだけど、そのシャレの誰でも感が当事者からしたらムカついたらしくて、それも炎上してたりとかして。何だろう……目立たせたいとか、「新しいことをやった」みたいなことを、そういうイラストとかで表すとだいたい失敗するっていうのが最近の日本で相次いでいる事件ですね。

 

キャシー:うーん。アイコンはね、難しいよ。

 

まめた:トイレって書けばいいと思うんだよ。

 

キャシー:ほんとにね。だって、女性と男性のマークでさえさ、すごい問題、女性はスカートで男性は……色とかも、それだけでも問題がいっぱいあるのにさ、みんなを表現しようとしてアイコンを作るのは……誰も得しないよね。カナダのオールジェンダーデザイン、どうなってるんだろう。ちょっと、いろいろ見てみる。どういうアイコンをみんな使ってるのか。というわけで、今回の収録、アライの話とトイレの話、カタカナ3文字の話を二つしたんですけど、どうでした?

 

まめた:そうだね、トイレの話が面白かった。トイレの話をあちこちですることがいまだに多くて、そのたびに「新たなアイデアとかをそんなに求めてないんです」って話とかをすごい一生懸命してるんだけど、何だろうな……一つの解決策ですべてがうまくいくっていうふうに思わないっていうのは、これは結構大事な考え方なのかなって。そういう気付きがありましたね。用を足せれば何でもいいんだけど、なかなかそうなってないからさ、世の中が。シンプルに用を足したいだけなのに性暴力とか性別で分けるとか、いろんなバリアがあるわけで。そういうのなくなって、単に用を足したいだけだから。早くそれが実現すればいいなと思います。ほんとだよ。

 

キャシー:ほんとだね。あと、あんまり派手なトイレにされたら入りづらいよね。派手なアイコンとかあったら(笑)。ほんとに、トイレは静かに使いたい。はい、それでは、今回も楽しい収録ありがとうございました。

 

まめた:ありがとうございました。

 

キャシー:それでは、ツイッターとフェイスブックでまた話をしましょう。

 

まめた:はい。また今度。お疲れ様でした。

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