『他のマイノリティの人たちと一緒にいて学んだこと』ポッドキャスト:にじいろ交差点・第5回 テキスト by 桜井弓月

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第5 他のマイノリティの人たちと一緒にいて学んだこと2017/09/22

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まめた:そう言えばドラクエの話。

 

キャシー:うん。まだプレイしてるんだけど。

 

まめた:おー。

 

キャシー:仕事が忙しくて、なかなか進められなくて。

 

まめた:ははは(笑)。

 

キャシー:で、前回のエピソードでメディアの中の話をしてたじゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:ドラクエのキャラクターが結構面白い部分で、シルビアっていうキャラクターがいて。このキャラクターがゲイなのかストレートなのか分かんないし、実際のところジェンダーもよく分からない。

 

まめた:へえ。

 

キャシー:このキャラクターを男性って呼ぶ人がいたり、小っちゃい子がいて「おねえさん」って呼んでたりとかしたり。パレードもあったりとかもして、途中で「世界が暗いから、明るくしたくて、パレードで全世界を巡る」みたいな話をしていて。かわいい男の子たちが、みんな「おねえさーん」って言ってフロートの周りをついて行ったりとかしていて。

 

まめた:ドラクエって、そういうのだっけ?(笑)

 

キャシー:そういうのじゃなかったよね(笑)。それをプレイしていて、ゲイの自分がちょっと引いている。あははははは(笑)。それぐらいテンションが高くて(笑)。すごく気に入ったんだけど。結構怖かったのが、こういうキャラクターが登場すると、笑いのネタだったり、「かわいそう」とか、すごい一面的に、すごく極端な例で描かれることが多いから。実際のキャラクターはすごくいろんな顔があって、笑いのネタでもなくて、ちゃんとプレイヤーキャラとして使えて、感じのいい描かれ方だったのかなと思って。まだ終わってないから、これから何かあるかもしれないけど。

 

まめた:あははは(笑)。

 

キャシー:あんまりネタバレはせずにいようと思うんだけど。なんだけど、もう一つ問題に気付いて。女性キャラがいっぱい登場するのね、ドラクエ。昔から、あぶない水着とか知ってる?

 

まめた:あー、知ってる!

 

キャシー:とか、あるじゃん? 女性キャラが着ると裸になったりする。今回も、そういう部分はなしにしても、キャラクターが登場するじゃない? 女性キャラが。女性キャラが登場して、性的に描かれる、性的にシーンが動いたりとか。男性的な視点、ストレートな男性の視点で女性が登場するのね。意味分かる? 胸のアップとか。

 

まめた:小学生のときに、ドラクエよくやってたんだけど、小学生のときに世界にあった一番エロいものがドラクエだった。

 

キャシー:はははははは(爆笑)。

 

まめた:女戦士とか、すごい露出が激しいし。

 

キャシー:露出激しかったよね。

 

まめた:そう。自分が見たどんなものより、ドラクエがエロかった。

 

キャシー:うんうん。そう。で、まあ、エロいのは別に、個人的には良かったんだけど。

 

まめた:そうそう。何だろう、エロさに偏りがあるよね。

 

キャシー:偏りがあるよね。その、視点に偏りがあるよねっていう話。ゲイキャラクターがもうちょっとまともになってきたっていう部分があるのと、男性的な視点がいまだにすごい根強い。

 

まめた:あれだよね、女キャラは、「女」っていうキャラクターなんだよね、たぶんね。

 

キャシー:そう。萌える妹系とか、ツンデレとか……ツンデレってまだ使われてる?

 

まめた:まだ大丈夫。

 

キャシー:すごく定番な、モテる女性とか、定番な、ストレート男性に人気な女性像がいまだにすごく強い。

 

まめた:無愛想な人とか出てきたらいいのにね。

 

キャシー:ん?

 

まめた:無愛想な女性キャラとか、どんどん出てきたらいいよね。

 

キャシー:ね! あと、女性キャラは全員すごく美人とか。そういう部分とかも、うーん、おばあちゃんの魔法使いがいたりしてもいいじゃん? あと、女性は絶対いつも回復系とか。あはははは(笑)。

 

まめた:魔法使うほうが得意なんだっけ?

 

キャシー:そういうキャラが多いね。そういうキャラがいるから、真逆の女性を作ろうとして、格闘家の女性とか女戦士とか、そういうのが登場したりして。

 

まめた:女戦士とかさあ、露出多すぎてさあ。ちゃんと守ってほしいよね、体をね。

 

キャシー:そう。あぶない水着とか、守備力高かったりするんだよね。ビスチェとか下着とか。そういう部分はやっぱり、やってて、あんまり気持ちのいい部分ではないね、個人的に。そんな感じです。また、プレイが終わったら、シルビアさんが何か面白いことやらかしたら、アップデートします。

 

まめた:報告してください(笑)。

 

キャシー:ツイッターで結構いつもいろいろ写真を撮ってアップロードしてるので。

 

まめた:おー。

 

キャシー:前回のエピソードで、次回予告するのを忘れたんですけど。

 

まめた:そうだね。

 

キャシー:そうだね。今回の話は、「他のマイノリティグループと一緒にいて気付いたこと」なんだけど、何かある?

 

まめた:自分からこのテーマを振ったんだけど、結構強烈な経験がいくつかあって、その一つはね、自分が最初に就職したところの話なんだけど、自分が就職したのって大阪の、ある屠場だったんですよ。屠場って分かる?

 

キャシー:分からない。

 

まめた:牛とか豚とかを殺して、お肉とかにする場所で自分は最初に働いてたんだわ。

 

キャシー:うん。

 

まめた:それって伝統的に被差別部落の人とかすごい多い職場で、朝出勤すると、靴を脱ぐところにでっかい看板があって、「人権を守りましょう」って書いてあるんだよね。毎朝その看板を見て職場に通ってたんだけど。そこでは自分は部落出身ではなくて、獣医師だから……一応、獣医なんだけど、獣医師としてそこに来てる人で、まあ言ったら、自分は社会的なマジョリティだったわけ。そこで働いてる人とかってさ、例えば仕事終わったあとに一緒にご飯に行ったりとかしても、「どこで働いてるんですか?」って聞かれたときに自分は答えられるけど、その人たちとかは結構答えるのがすごい難しかったりとか。自分が多数派なんだなってことを結構思わされる職場だったんだよね。

 

キャシー:うん。

 

まめた:入って2日目ぐらいのときに言われたんだけど、屠場って結構、牛とか豚を解体して加工する日があって、皮とかを加工する日があって、加工する薬品とか機械を回すときって結構においが出るんですよ。で、そのにおいに対して結構みんな無邪気に「くさいよね」とか「今日特別にくさいよね」みたいなことを言ったりするんだけど、結構それが傷つく人がいるって話を入って2日目ぐらいにされたんですよ。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:においって目に見えないじゃん? だから、小っちゃい頃から結構「くさい」とか言っていじめられたりしてる人がいて、何かその、同じ言葉でも全然意味合いが違う、と。だから、「そういう背景とかをちゃんと知って一緒にやってほしい」みたいなことを言われたことがあって。考えてみもしないことがいっぱいあるんだなってことに気が付かされたんだよね。結構さ、LGBTの運動とかやってて、自分がマイノリティである部分っていうのは結構……何だろうな、言語化する能力があったりするけど、いざマジョリティ的な立場になったときに、意外とボキャブラリーがないというか、意外と気が付かされることが多かったりとかするんだなと思って。

 

キャシー:うん。

 

まめた:本当はさ、「今日、工場のあとでくさいよね」とかってみんなで普通に言えるようになればいいと思うんだけど、いつかね。

 

キャシー:いつか。

 

まめた:そう。でも、いまは、やっぱ知らないで、全然そういう経験がない人が「くさいよね」とか言っちゃうと、すごいやっぱ、そこで意味合いが違うわけだよ。

 

キャシー:うんうんうんうん。

 

まめた:一緒に「今日くさいなあ」って言えるようになったらいいなあ、なんて思ったりもして。

 

キャシー:で、その、さっきまめたさんが話した、マイノリティとしてマジョリティの立場に立つ場合があったりとかするときに、どうすればいいのか分からなくなったりとか、そういう部分があって、まめたさんの場合、例えば「くさい」って言葉だったりとか、そこで働く人たちの経験とか様子を観察したあと、どう切り替えた?

 

まめた:そうだね。元々あんまり「くさい」とか言わないようにしようと思ってたし、あんまり言う機会もなかったんだけど、自分は逆に、自分が屠場で働いてたこととかは言える立場にあるんだなと思って、喋って大丈夫そうな人にはちょっと喋ったりとか、LGBTの講演に呼ばれたときとかに、たまに、ちょろちょろって話を混ぜたりして、すごい特別な仕事って思われがちだから、そうじゃなくて、ちょっと身近に感じてもらえるように話しようっていうふうには思ってるよね。ただ、本当にそこでずっと親子で働いてる人とか、その話できなくて、自分がたまたま部落じゃないから、いろんなところでそういう話してるんだろうなって思うよね。

 

キャシー:うーん、難しい部分だね、それすごく。で、僕の仕事とかだと、結構その、HIV陽性者とか、メンタルヘルス……いろんなメンタルヘルスの問題があったりとかする人たちと働く機会が結構多かったんだけど、昔は、自分もゲイだし、周りもゲイだから、そういうHIVとかメンタルヘルスの部分をあんまり考えてなかったのね。例えば、同じグループの中にいて、誰かが「もしHIV陽性者に出会ったら、絶対にエッチしない」とか。

 

まめた:あぁ。

 

キャシー:あと例えば、「めっちゃウツなんだよねー」とか言って、すごいカジュアルな感じに使ってる人がいたりとか、それに気付くようになってきて、グループの中でHIV陽性だったりとかメンタルヘルスで困ってたりとか悩んでる人たちが、マイノリティのグループの中でどんどん居場所がなくなっていくプロセスを目撃するようになってきて。あと、いまトロントのLGBTムーブメントの歴史の研究をちょっとしてるんだけど、この前、他の大学で研究してる人たちと一回集まっていろいろ話をしたときに、面白い部分が出てきて、よく、LGBTムーブメントってLGBTコミュニティのムーブメントだと思われがちなんだけど、実際の歴史をたどってみると意外とそうではなくて、他の被差別者に結構サポートされながらLGBTムーブメントって進んできていて。

 

まめた:うん。

 

キャシー:例えばトロントだと、一番最初のデモ行進が1981年だったと思うんだけど……82年かな。そのときに黒人の人権団体とか、南アジア人の団体だったりとか、そういう団体が集まって、一緒に人権を訴えた部分があって。で、悲しいことに、そういう歴史があるにも関わらす、いまLGBTがかなり違う場所に立っている部分があって。でも、黒人コミュニティはそこまで行ってなかったりとかして。黒人コミュニティが困ってるときに、LGBTコミュニティがどれほどそこにいるのかとか、黒人コミュニティのためのデモのときに、LGBTコミュニティがどこまで理解してるのかとか、そういう部分がすごいギャップがあって。

 

まめた:なるほどねー。

 

キャシー:うん。で、まめたさんが話してた、マイノリティとして、マジョリティとか……マジョリティとマイノリティって言葉じたい複雑なんだけど、数の問題じゃなくて、パワーの問題とか社会的な立ち位置の問題じゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:マイノリティとして有利な立ち位置になって、例えば黒人と比べたりとか、ゲイ男性としてトランスジェンダーと比べたりとか、そういう立ち位置に立ったときに、どれだけアライとしてサポートできるのかとか、どれだけ相手のコミュニティの形成に役立てるのかとか、そういう部分をいますごい考えていて。

 

まめた:うん。

 

キャシー:だから、部落差別とか、そうした、あまり……うん、どう? すごい難しい質問なんだけど。

 

まめた:難しいんだよね。

 

キャシー:すごい難しい部分だと思う、これは。

 

まめた:当事者じゃない人が語る危険性とかさ、当事者じゃないから語れる部分とかってあったりするじゃん?

 

キャシー:うん。

 

まめた:本人は……例えば部落の人とかは、自分が部落だとか、すごい言いづらかったりするし、そうじゃないから言えてる部分とかって絶対あるし、って思うんだけど、自分は、言える立場にあるのは、逆に、失礼がない範囲で言っていくのは、一つありかなと思って。

 

キャシー:問題提示をしていく……問題提示ができる立場の人として。

 

まめた:うん、そうそう。あと何か、思い出したんだけど、大阪にいるときに在日コリアンの人とすごい仲良くなって、めちゃくちゃ仲良くなって、クリスマスにもずっと一緒におでん食べたりとかして、何でクリスマスにおでん食べてるのかよく分かんないけど。

 

キャシー:ははは(笑)。おいしいからじゃない?

 

まめた:ははは(笑)。おいしいからね(笑)。あるとき、やっぱり全然理解されないってことで、そこに集まったみんなが結構落ち込んだり怒ったりしてる日があって、確かオリンピックの話かなんかで、みんなが「すごい疎外感を感じてる」みたいな話のときに、私は日本人なんだけど、もう一人、別の日本人の人がその場所にいて、「日本人はどうなの?」ってことをその人に聞いたのね、みんなが。で、その人が「日本人的には、うーん、どうなんだろうねえ」みたいなことを言ってて、しばらく経ってから私に気が付いて、「あ、この人も日本人だった」ってなったんですよ。

 

キャシー:ははは(笑)。うん。

 

まめた:で、自分はすごい面白かったのと、日本人と思われてないんだって結構衝撃だったりとかして(笑)。その場は楽しかったんだけど、あとから考えて、自分は、何だろ、間違われて嬉しかったけど、でもやっぱり日本人だしなって思ったんですよ。日本人として、日本人にもいろいろいるってことが大事だと思って。そこで「いや、自分、日本人だけどさ」って言えたほうが良かったのかなって思ったの。

 

キャシー:うんうん。

 

まめた:だから、何か、何て言うのかな……自分が、部落じゃないし在日コリアンじゃないんだけど、そうじゃない人の中にいろんな人がいるっていうところを強調していくってのも、ありかなと思って。

 

キャシー:うん。

 

まめた:うん。むしろ、そこの場所で自分が日本人だって名乗り出づらかったの、すごい。何か、自分は「在日コリアンの人たちの仲間」みたいなところにいたかったんだけど、でも絶対共有してないしさ、その壁は。普段感じてることとか。

 

キャシー:そうだね。

 

まめた:そうそうそう。そこはちゃんと日本人だって思ったほうがいいなと思って。「日本人ですけど」って(笑)。「忘れられてますけど」みたいな。そのほうがいいかなって、そのとき思ったんだよね。

 

キャシー:でも、それはすごく大事な部分だよね。自分の立ち位置を本当に認識したうえで、相手の立ち位置を認識して、関係を築いていくとか、自分が属していないコミュニティにいたときに、自分の立ち位置をちゃんと認識していないと、ほんとに気付かずにいろんな失礼なことだったりとか、相手が傷つくような言動を取ってしまうことが、結構あると思うのね。よく人権教育とかやるときとかも、一番最初に始めるのが自分の立ち位置を知ること。それが最初のことが多い。

 

まめた:うんうん、そうだよね。

 

キャシー:昔シェアしたことないと思うんだけど、昔働いてた団体で、きっかけとかあんまり覚えてないんだけど、某大学がセックスワーカーのスピーカーとかを招いて講演をやったんだけど、その内容がとても問題で、「セックスワーカーはみんな被害者で、困ってる」っていう話をしに来たのね。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:で、そういうセックスワーカーがいるのは確かなんだけど、そうではないセックスワーカーがいるのも確かなのに、その部分をまったく喋っていなかったっていう部分があって、それに対する反省会みたいなのがあったのね。で、どんなきっかけか覚えてないけど、それに連れて行かれて、仕事のおかげで。

 

まめた:おー。

 

キャシー:で、15人ぐらいいたのかな、部屋の中に。15人いる部屋の中で僕一人、男性(笑)。シスゲイ男性が。自分、セックスワーカーでもないし、すごく……何でだろうねって話だよね。でも、もう勢いでついて行っちゃったから。勢いで連れて行かれから、仕事でね。だから、そこに座って話を聞くしかない。そのミーティングの最中に、何か言ったほうがいいのかなっていう考えをずっとしていて。やっぱり仕事できたんだから何か言わなきゃっていうプレッシャーを感じてたんだけど、途中から、でも自分が何か言っても何も貢献できないし、自分が話すことでスペースを占領してしまうから、っていう部分を考慮して、ずっと無言だったのね。で、ミーティングの最中に、みんな結構 ”We are all women” とか、そういうコメントが飛び出して。

 

まめた:はははは(笑)。

 

キャシー:誰かが「あそこに男性も一人いるよ」って、そんな気まずい流れが結構何回かあって(笑)。もうほんとに、家帰りたいとずっと思ってて(笑)。ははは(笑)。そんな話があった。でも、その経験がすごく、自分の立ち位置の認識に役立ったのかなと思っていて、その経験のあとからは、すごくいつも、会議とかミーティングとかワークショップとか講演とか行ったときに、「いま自分はどこにいるんだろう」っていうのを確認してから話をするようにしてる。

 

まめた:なるほどね。すごいね。

 

キャシー:その気まずさ(笑)。

 

まめた:気まずさがね。

 

キャシー:うん。で、聞こうと思ってたんだけど、BIPOC(バイポック)って知ってる?

 

まめた:知らない。

 

キャシー:QTBIPOC(キューティーバイポック)とか、聞いたことない?

 

まめた:全然分かんない。

 

キャシー:あぁ。一応説明すると、BがBlackで、IがIndigenousで。

 

まめた:うん。people of color?

 

キャシー:people of color、そう! ははは(笑)。

 

まめた:ははは(笑)。なるほど。

 

キャシー:すごい! 鋭い(笑)。BIPOCっていうのは、黒人、先住民、それと有色人種。QTBIPOCは、どう? 分かる?

 

まめた:難易度が上がったね。BIPOCにQとTがついてて、たぶんqueerとtrans?

 

キャシー:そう。で、いま、ラディカルなほうかなと思うんだけど、コミュニティで使われてる言葉がBIPOCとか、クィア、トランスのコミュニティだとQTBIPOCっていう言葉がよく使われていて。で、この言葉がとても波紋を招いているというか、呼んでいるというか、問題になっている。まずみんな、何でBlackが最初なの? っていう。

 

まめた:あぁ。

 

キャシー:BとIが何で最初なの? っていうところにみんな引っかかって。だって、BってPOCじゃないの? っていう。

 

まめた:あ、そうそうそう。そう思った。

 

キャシー:ってことをみんな聞くのね。あと、例えばレイシズムの話をするときに、よくレイシズムとアンチ・ブラック・レイシズムの話をしたりするんだけど、何でレイシズムの他にアンチ・ブラック・レイシズムがあるの? っていう話になるのね。

 

まめた:つまり、Blackだけさらに強調してるってこと?

 

キャシー:そうそうそうそう。それにすごく違和感を感じてるコミュニティの人がいっぱいいて、それを説明するのが結構大変だったりするんだけど。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:で、Indigenousとかも、昔はほんとに全然話に含まれていなかった人種で、先住民がどれだけ不利な立場にいるのかっていう話があまりされてこなかったから、こうやって、B・I・P・O・Cって並んでるっていう意味合いがほんとにすごい強くて、かなり政治的な言葉で。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:うん。いまほんとに大学とかに行くと、QTBIPOCイベントとかがかなりメジャーになってきてる。

 

まめた:へえ。QTが付くっていうのは、どういう流れで付いたの?

 

キャシー:BIPOCがもっと全体的なコミュニティで、ほんとにクィアとトランスだけのコミュニティとかイベントやりたいときとかはQTBIPOCって付いたりする。で、個人的に気付いたのが、こういうBIPOCとか、ほんとに全体的なイベントやるときとかも、かなりクィアとかトランスの人たちが参加してることが多くて。

 

まめた:へえ。

 

キャシー:うん。だから、比較的新しいムーブメントっていうか言葉なんだけど、いろんなコミュニティが一緒に集まって、人種問題とかそれ以外の差別・偏見に取り組むようなイベントとかスペース作りとか、そういう感じで、昔みたいにLGBTとかゲイ&レズビアンよりかなり、もっとインクルーシブなムーブメントになっていて。

 

まめた:すごいね。覚えた。キューティービー……

 

キャシー:そう(笑)。QTバイポックっていう。

 

まめた:バイポックね、はいはいはい。

 

キャシー:少し前までPOCってずっと使われていて、Iがなかったのね。IってPOCに入らないから。

 

まめた:あ、そうなんだね。

 

キャシー:うん、そう。昔はQPOCっていう言葉がよく使われてたの。Tもなかったの。

 

まめた:ふーん。

 

キャシー:そう、だから、言葉の変化もすごく面白い部分。

 

まめた:あれだよね、台湾とかもさ、先住民の人とLGBTのコミュニティが結構一緒にやったりするよね。

 

キャシー:あ、そうなの?

 

まめた:うんうん。台湾では「先住民」じゃなくて「原住民」っていうんだけど、結構たくさんいろんな民族の人たちが元々住んでて、その人たちが結構歴史的にすごい迫害とかされてて、その人たちの人権の回復みたいなところとLGBTのことっていうのは、運動やってる人たちが一緒にやってきたところがあるような話を聞いて。いまの台湾の総統の人が、蔡英文っていう人が台湾の総統やってるんだけど、彼女も原住民のクオーターだってことを話してて、同性婚とかの推進とか応援とかも彼女はしてるんだけど、同時にそういうことにも取り組んだりとかして、ちょっと似てるのかなと思ったりしたの。

 

キャシー:うん。

 

まめた:あと、あれだよね、原住民の歌手の阿妹(アーメイ)っていう人がいるんだけど、その人もすごい、プライドのベントで歌ったりとかして、結構距離感が近いですね。

 

キャシー:それはいいね。

 

まめた:うん。あと何かね、原住民に対するこれまでの取り組みを謝ったりとかして、蔡英文が。

 

キャシー:うんうんうん。

 

まめた:すごいなと思って。

 

キャシー:で、それと似てるんだけど、今年トロントのプライドの先頭を歩いたのが、Indigenousのコミュニティ。モントリオールのカナダ・プライドに行って来て。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:その先頭を歩いたのも、Indigenousのコミュニティだったんだけど……

 

まめた:すごいね。

 

キャシー:だったんだけど、今まであんまり存在感がなかったコミュニティ、まったく取り組みがされてなかったコミュニティをいきなりバン! と先頭に持って来て、「今年はIndigenousをサポートしますよ」みたいな、そんな勢いを感じてるんだけど、これが今年で終わったら悲しいなっていう部分があって。

 

まめた:それは悲しいね。

 

キャシー:それが終わるかもしれないっていう、終わる可能性がかなり高いっていう部分とかも感じていて。やっぱり、プライドとかコミュニティの運営とか、上の方が結構白人ばっかりなのね。有色人種のスペースとか、Indigenousのプログラミングとか、もっとラディカルなほうの部分はサポートされづらい部分があって。ブログでもちょっと問題を書いたんだけど、モントリオールで今年初めて有色人種のためのステージが開催されて、そのステージに警察が入ってきて、マリファナを吸ってた黒人の少年を逮捕して……ステージの最中に逮捕して。

 

まめた:すごいね。

 

キャシー:マリファナ吸ってるの、ほんとにもう、その子だけじゃないのね。いっぱい他の人も吸ってるのに、その子だけ逮捕された、みたいな。

 

まめた:狙われちゃったみたいな。

 

キャシー:すっごい大きい問題になって。やっぱりほんとに、ギャップがあるなっていう。うーん。

 

まめた:何かあれだよね、インクルーシブにしようって部分と、全然そうじゃない部分と両方あるって感じだよね。

 

キャシー:そうそうそうそうそう。ただ単に、居場所を作ったりとか、ただ単に受け入れようっていう、そういうインクルーシブは絶対にうまくいかないのはもう分かってるはずなんだけど。

 

まめた:根本的なところがね。そういうリアリティがあるっていうところと、でも、目指したいっていうところと。

 

キャシー:そうそうそう。LGBTのコミュニティとしてそれを経験してきたにもかかわらず、それを他のコミュニティにやってしまうっていう悲しさがあって。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:例えば、トロントのLGBTコミュニティセンターが新しいレクレーション……レクセンターみたいな、スポーツセンターを立てるのね。それを立てるために、低所得層とかが住んでるスペースにあるセンターを取り壊して、LGBTのスポーツセンターを立てることになって。

 

まめた:あぁ……悲しい……。

 

キャシー:で、かなり問題になって。でも、実際それに声を上げる人たちがすごい反感を買ってしまう現象が起きて。例えば「LGBTコミュニティが何でそんなLGBTコミュニティのためのスペースを邪魔するんだ!」とか。

 

まめた:あぁ……。

 

キャシー:あと、低所得層には移民とかが多いから、「こいつらはホモフォビアとかトランスフォビアが多いから、いいじゃないか」みたいな、そういう意見とかも出て来て。もう、すごく、かなり……(苦笑)。

 

まめた:そこで争わせないでほしいよね。

 

キャシー:そうそうそうそう。すごい悲しい状況になって。だから、現在進行形で、問題解決に持っていこうっていう話が進んでるんだけど。でも、そういう悲しい部分はあるよね。

 

まめた:何かその、頑張ってやろうっていう部分の話と、ギャップがすごいある。

 

キャシー:他のコミュニティを踏んで上まで行きたいのか、みたいな。

 

まめた:日本にいるとさ、そこまで、残念ながら運動がそもそもインクルーシブな印象がなかったりとか、カナダのほうがいろんな多様性について視点がある気がするんだけど、それでも一方さ、落差というか、現実に起きてること、ギャップがすごいあるなあと思って。

 

キャシー:うんうん。どうしたらいい? ははは(笑)。

 

まめた:でも、両方あるってことが現実だなって思うし。いつもそういう、矛盾みたいなのはあるよね。

 

キャシー:あるね。まとめじゃないけど、自分がマイノリティだからって、他のマイノリティのグループたちと同じ経験をしてるわけでもない。差別がまったく同じではないし、偏見が同じでもないし、個人が経験してることは違うっていう部分を知ることは大事で、ゲイが受ける差別とトランスが受ける差別は違うし、アジア系の自分が受ける差別と、黒人とかインディジネスのコミュニティが受ける差別は違うし、そういう部分を認識して、ちゃんと耳を傾けられることは大事だよね。

 

まめた:うん、そうだよね。

 

キャシー:うん、何か、難しい話をしたね、今日は。

 

まめた:うん。でも何か、あれだね、いろいろ問題が起きてディスカッションして深まっていく部分があるっていうのは、すごいいいことだと思って。

 

キャシー:うん。

 

まめた:だから、こういう話をもっと、いろんな場所でしていくのがいいと思うんだよね。

 

キャシー:そうだね。

 

まめた:はい。

 

キャシー:というわけで。

 

まめた:というわけで。

 

キャシー:エピソード5、今回エピソード4と5を一緒に収録したんだけど、どうでした?

 

まめた:そうだね……だいぶ収録に緊張しなくなってきて、最初の頃はほんとに部屋の片づけから始めて、すごいドキドキしてたんだけど、何か余裕を持って喋れるようになって。

 

キャシー:うん。あ、まだ部屋片づけてるの? はっはっは(笑)。

 

まめた:今日、掃除機かけたんだけど。

 

キャシー:はははは(笑)。

 

まめた:映らないんだけどね(笑)。

 

キャシー:映らない(笑)。

 

まめた:ははは(笑)。いろんな話ができて、いいよね。何かその……デミセクシャルの話もね。

 

キャシー:うん、そうだね。あと、なかなかこういう話を……ごめん、全然考えがまとまってない(笑)。

 

まめた:ははは(笑)。

 

キャシー:ははは(笑)。一応、このpodcastさ、LGBTの話プラス、すごい多様な話をしていくじゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:あと、他の問題がどう交差していくのかっていう話をするじゃない?

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:こういう話は、日本の今のLGBTのメディアとか講演会とかプライドとか、いろんなプラットホームでされてる?

 

まめた:どうでしょうね。「引きこもりとLGBT」みたいな話は、たまにそういうところで喋ったりとか、あと何があったかな。

 

キャシー:この前、記事で「年収100万円、52歳ゲイ」の記事があったよね。

 

まめた:あー、ありましたね。ああいう話はあって、今年、東大でLGBTと貧困の話をしたりとかして。結構……まあ、どこまで大きく広がってるかっていうのはあるけど、例えば薬物依存のLGBTの人の「オープン・スピーカーズ・ミーティング」っていう、自分の経験を話すイベントが年2回あったりだとか、すごい行くたびに力をもらうというか、胸を打たれるというか、ひしひし来るものがあるんだけど、そういうところに足を運んだりすると、いろいろ交差してる問題とかをすごく感じたりするよね。

 

キャシー:うん。ぜひ、このpodcastでも、どんどんそういうムーブメントとか取り組みとか紹介していきたいね。

 

まめた:うんうん、そうだね。

 

キャシー:というわけで、次回どんな話がしたいですか?

 

まめた:次回、何しよっかなあ。

 

キャシー:もうちょっとカジュアルなトピックとかも全然……人種差別との戦い方とか。

 

まめた:ははははは(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。すごいカジュアル(笑)。

 

まめた:すごいカジュアルだわぁ(笑)。ははははは(笑)。カジュアルじゃねーよ!

 

キャシー:ははははは(笑)。

 

まめた:あと何があるかなあ。

 

キャシー:今日の話で、まあ、結構これまでの話でアライの話をしてきたじゃない? ちょっと、アライのあり方とか。

 

まめた:そうだね。

 

キャシー:ちょっと話をしてみたい。

 

まめた:いいねー。

 

キャシー:うん。じゃあ、次回は、アライについて話しましょうか。

 

まめた:はい。ディープだ。

 

キャシー:ディープですか? ははは(笑)。カジュアルに話しましょう(笑)。でも、結構、反響とかで、「分かりやすい」っていう。

 

まめた:ね! 「癒されてる」とか。癒される話してるのかな。

 

キャシー:うん、あの、すごく難しい話をしてるので、できるだけ分かりやすく噛み砕いて話をしていこうっていうふうに思ってるんだけど、やっぱりなかなか、テーマがテーマだから、噛み砕けない部分とかもあったりして。でも、できるだけ頑張ります。

 

まめた:うんうん。

 

キャシー:明日は月曜日ですよね?

 

まめた:月曜日だよ。

 

キャシー:まめたさんって、フルタイムで仕事しながら、どうやってここまで活動できてるの?

 

まめた:秘密ですよ(笑)。

 

キャシー:秘密ですか(笑)。

 

まめた:土曜日に仕事で出勤しなきゃいけないので、明日はそれで代休ですね。

 

キャシー:あ、いや、別に休みの話じゃなくて。

 

まめた:休みの話じゃないの(笑)。

 

キャシー:ほんとに。

 

まめた:いや、無理です、無理(笑)。

 

キャシー:ははははは(笑)。

 

まめた:だから、通勤途中にコラム書いたりとかしてて。

 

キャシー:ほんとに!?

 

まめた:やばいでしょ?

 

キャシー:やばいね。

 

まめた:やばいでしょ。

 

キャシー:でも、通勤途中にメールを返してる。通勤途中、いつもメール書いてる。

 

まめた:iPhoneのおかげでね、どこでも仕事できちゃうんです。

 

キャシー:ほんとにね。昔が懐かしい。

 

まめた:ホント。恐ろしい。

 

キャシー:では!

 

まめた:はい。

 

キャシー:ゆっくり休んで、明日の講演頑張ってください。

 

まめた:はい、ありがとうございます。

 

キャシー:それでは、また来月、収録しましょう。

 

まめた:はい。またお会いしましょう。

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