先週末、モントリオールに行って来たわ!
もちろん、目的はモントリオール・プライド。今年、モントリオールが主催するプライドはカナダ・プライドというスペシャル・エディションで、例年より規模も大きくて大盛り上がりだろうと期待して、数ヶ月前からプライドに合わせて小旅行を企画していたのよ。
久しぶりに訪れたモントリオールのゲイヴィレッジであサント・カトリーヌ通りは相変わらず活気がすごい。このエリアは夏の間ずっと歩行者天国になっていて、自由気ままに歩き回ることができる。頭上に広がるのは無数のアナルビーズは虹色のグラデーションになっている。トロントの寂しいゲイヴィレッジに比べると本当に段違い。
規模こそトロントのに及ばないが、モントリオールのプライドはまったりしていて素敵な空気が流れている。広い公園で開催されるイベントがあるおかげで子供連れでも参加しやすく、芝生に座ってリラックスだってできる。チャーチストリートが人で占領されて歩けないほど混雑するトロントのプライドにはなかなかないクオリティである。
個人的に、夏の終わりに友達とゲイバーのパティオに座って、夜空の下でサングリアで乾杯できたのがこの旅のハイライトである。その後、朝までクラブで大はしゃぎ…と言いたいところだが、実は毎晩11時頃には宿泊先に戻って爆睡してたわ。20台前半の時の体力はないし、うるさい音楽で聴力を破壊しながら汗臭いスペースで踊るモチベーションはもうないのよ。放っておいてちょーだい。早起きしてマーケットでクロワッサン頬張りながらとコーヒー飲んでる方が楽しい年頃なの。
ちなみに、ツイッターで既にモントリオール・プライドの魅力は散々伝えたと思うので、この記事ではちょっと違う話をしたい。プライドパレードの様子が気になる方は、インスタグラムに山ほど写真があるので、気が済むまで漁ってちょーだい。
タイトルにもあるように、モントリオールのプライドで気になったのはやはり「人種」という視点である。今、トロントでは人種がLGBTコミュニティにとっての課題であるとまめたさんと一緒にやっているポッドキャスト『にじいろ交差点』でも話したが、モントリオールのプライドでもLGBTから人種というアイデンティティが欠けているようだ。
今年、モントリオール・プライドは人種問題に真剣に取り組みたいという意図で、有色人種LGBTのためのコミュニティ・ステージやイベントを初めて導入した。正直、トロントほどマルチカルチャーではないということを踏まえても、2017年まで有色人種向けのスペース作りをしてこなかったという事実に少しショックを受けた。現地のLGBTアクティビストの話を聞けば、マイノリティの中のマイノリティである有色人種のLGBTはモントリオールでの居場所作りに未だに苦戦しているとのことである。
しかし、有色人種のLGBTのために企画されたBBQイベントは、直前になってゲイマガジンにスペースを取られて、ユース向けのBBQイベントとの合同イベントに変更されてしまう。せっかくのセーフスペースが台無しだ。
さらに、有色人種のためのステージではイベントの最中に警察が現れて、マリファナを吸っていた黒人のユースを逮捕し、手錠をかけて力ずくで連行した。もうすぐ合法化される予定であるマリファナの使用を理由に逮捕されるのも不自然だし、他にマリファナを吸っている人たちが多くいる中でなぜ黒人のユースだけが逮捕されたのかも気になる。幸いなことに逮捕された黒人のユースは既に釈放されているが、この事件が有色人種のLGBTコミュニティに大きな衝撃を与えたのは言うまでもない。この件については、モントリオール在住のアクティビストであるKama La Mackerelさんのブログ(#英語よ)でもっと詳しく読める。
モントリオールのプライドパレードでは、追悼の気持ちを込めてモーメント・オブ・サイレンスが毎年行われる。ド派手で騒がしいパレードが参加者、観客共々静まっていく光景はとてもパワフルである。そんな今年のパレードでは、モーメント・オブ・サイレンスが始まった瞬間に遠くから叫び声が聞こえた。
「Black Lives Matter!(黒人の命は大事だ!)」
赤い煙が上がる方を見ると、Black Lives Matterのアクティビストたちが力強い声で抗議をしていた。2016年にトロント・プライドで起きたデモに比べれば遥かに短く簡略なものだったが、それでも彼らのメッセージは深く心に響いた。LGBTの権利が増えて、プライドがどんどんコマーシャライズされていく中で、取り残されていく人たちがいる。それを決して忘れてはいけない。誰かの人権を蔑ろにした人権活動は結局誰も守れないのだ。
あと、そういえばカナダのトルドー首相もモントリオールのプライドに参加してたわ。写真映りが抜群で、メディア受けが良くて、プライドパレードにいつも参加する彼の話はまた別の機会にするわ。そして、トルドー首相の横を歩くのはオープンリーゲイであるアイルランドバラッカー首相よ。あたし、アイルランドのファーストジェントルマンになれるかしら。