第2回 トロントのLGBTコミュニティってどうなの?(2017/8/13)
にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn)
まめた:「にじいろ交差点」が言えるんじゃない? 今日は。
キャシー:あー、言えるかもね。試してみる?
まめた:2回目にして。
キャシー:2回目にして。じゃあ、どう言う? 今回……あの、ちょっとタグラインを変えようと思うんだけど。
まめた:おー。
キャシー:「LGBTの多様性を語るpodcast」にしようと思って。
まめた:分かった。メモる。
キャシー:ははは(笑)。LGBTの多様性。
まめた:(メモする音)LGBTの多様性を語る……
キャシー:うん。podcast。でもそれで、ちゃんと、このpodcastの意味というか、コンセプトをキャプチャーできてる?
まめた:確かにね。「東京とトロント」って言いづらかったからね(笑)。
キャシー:うん、言いづらかったから、ちょっと変えようと思って。
まめた:分かった、オッケー。じゃあ、キャシーが「にじいろ」って言って、私が「交差点」?
キャシー:うん。で、そのあとに一緒に……
まめた:「LGBTの多様性を語るpodcast」
キャシー:うん。で、リズムを付けよう。
まめた:オッケー。
キャシー:リズムを付ければ、たぶん簡単にいけるから。「交差点」って言ったあとに、1、2で……2のところで一緒に。
まめた:1、2で入るんだね?
キャシー:1、2で入る。僕、リズムまったくできないから、どうだろう。やってみよう。
まめた:はい。
キャシー:じゃあ、いくよ?
まめた:オッケー!
キャシー:あ、そうだ、「せーの!」って言おう。1、2で。
まめた:うん。1、2で。
キャシー:はははは(笑)。
まめた:1、2で、せーの!
キャシー:うん。僕が「せーの!」って言うよ。
まめた:オッケー。
キャシー:にじいろ!
まめた:交差点!
キャシー:(少し無言に)……ちょっと待って、待って!(笑) ちょっと待って、まだね、起きたばっかだからちょっと……。
まめた:オッケー(笑)。
キャシー:うん、あの、頭が冴えてない。もう一回いこう。
まめた:オッケー。
キャシー:にじいろ!
まめた:交差点!
キャシー:1、2、せーの!
二人:LGBTの、多様性を……語る……
まめた:podcast
キャシー:……podcast……全然だめだね(苦笑)。
まめた:なかなか。2回目だからね。
キャシー:うん。じゃあ、あの、またあとでチャレンジしてみよう。
まめた:はい。
キャシー:これ、全然、あの、難しいね。
まめた:7回目ぐらいでできるんじゃない?
キャシー:うーん。っていうわけで、今回2回目なんですけど。
まめた:そう。
キャシー:1回目のpodcastどうでした?
まめた:結構、反響がすぐに来て、びっくりはしましたね。
キャシー:うん。結構、ポジティブな反応ばっかりで。
まめた:そう。
キャシー:個人的に、すごい、ネガティブな反応を期待していたので(笑)。
まめた:「キャシーさんが日本語ペラペラ」っていうコメントがありましたよね(笑)。
キャシー:はっはっは(笑)。あったね。
まめた:日本語でブログ書いてたやん! っていう。
キャシー:あと、マサキチトセさんからツイートがすぐに来て、podcastをロンチしたあとに。で、ブログの記事として「LGBTの発信者」みたいな感じで、僕とまめたさんがリストアップされていて、すごく嬉しかった。
まめた:そうですね。すごい早く記事になってくれて。で、一緒にYouTubeの、最近いろんな、YouTube中でもLGBTのことを発信する人たちが増えたってことで紹介してもらって、そのつながりで動画を見るチャンスがあったりして、楽しかったですね。
キャシー:あと、紹介されてる動画もすごい面白くて。すごい記事、早かったよね。話したあと、20分ぐらい、そんな感じで記事が出てきて、すごいびっくりした。
まめた:仕込んでたんじゃないかってぐらいの(笑)。
キャシー:あはははは(笑)。あと、podcastを始める前にちょっと気になったのが、やっぱり、オーディオなので全員が全員聴けるわけじゃないじゃないですか。
まめた:そうですね。
キャシー:それで、まめたさんの友達が文字起こしをしてくれて、すごい嬉しかったです。
まめた:神様が降りてきて。文字起こしの神様が。桜井さんっていう方が、今回、全部文字に起こしてくれて、それを送ってくれて、すごい助かりました。ありがとうございました。
キャシー:ほんとにすごい丁寧な文字起こしで、読んでいても結構面白い、二人のぎこちない感じがすごく文字に表れていて。
まめた:ははは(笑)。そうだよね。
キャシー:うん、いいと思う。
まめた:っていう感じで、今回も文字起こししたいと思うので、またよろしくお願いします。で、今回のテーマからいきたいんですが、えっと、前回の終わり辺りにちょっと話をしてた、キャシーが今トロントにいるってことで、トロントのLGBTコミュニティについて、いろいろお話を聞いていきたいというふうに思っています。
キャシー:はい。
まめた:っていうことで、今回の「にじいろ交差点」第2話ということで、よろしくお願いします。
キャシー:よろしくお願いします。
まめた:さっそくなんだけれども、キャシーがトロントに行ったのって、今からどれぐらい前なんですか?
キャシー:トロントに来たのがね、2008年の4月の終わりぐらいかな。というわけで、もうすぐ、来年の4月で10年になるね。
まめた:おー。行く前と行ったあとで何か変わったこととか、何かありますか? たくさんあると思うんだけど。
キャシー:うーん、たくさんあるね。行った前の自分をあんまり覚えていないっていうのもあるんだけど。ギャップっていうのが結構あって、日本にいた頃の海外のイメージがすごくキラキラしていて、トロントに到着してすぐに「あ、これ、ここに住みたくないな」って。
まめた:ははは(笑)。
キャシー:ははは(笑)。最初の2ヶ月ずっと思っていて。
まめた:なんかホームシックになったとか、そういうことではなくて?
キャシー:ホームシックでもあったし、横浜と東京と比べると何もなかった。
まめた:あー、そうなんですか? トロントっていうと、都会じゃないの?
キャシー:横浜と同じぐらいのスケールかな。
まめた:あー、そうなんだ。
キャシー:来たときはトロントのダウンタウンじゃなくて、結構郊外のほうに住んでたので。だから、トロントの魅力っていうものを、いまいち体験できなくて、最初の数ヶ月はホントに「いやー、ちょっと、うーん……」っていう感じで(笑)。4月に来て、6月がちょうどプライドだったんですよ、トロントの。その頃にやっとLGBTコミュニティと交流できるようになって、すごく印象が変わってきたっていうのを覚えていて。一番カルチャーショックだったのが、LGBTのユースの会議とかあるじゃないですか。そういうのに参加すると、ただで食事がもらえて、交通費も出るんですよ。
まめた:おー! それは日本では普通ちょっとないですよね。
キャシー:すごいよね。だって、日本のときは、レインボー・カレッジとか早稲田のGLOWとか、参加するたびにすごい出費だったんだよね。だから個人的に、セブンイレブンでアルバイトしてたんだけど。
まめた:そうなんだ。
キャシー:そうそう。で、いつも給料の半分ぐらいをLGBTの活動に持っていかれるから……
まめた:なるほど。
キャシー:すごい、きつかったんだけど。トロントだと貧乏な留学生だったから、そういう交通費とか食事とか助かった。
まめた:食事が付くって、すごいよね。
キャシー:そう、食事、ほんとにショックだった。
まめた:それは、NPOみたいなところが食事を出してくれるの?
キャシー:そうそうそうそう。基本的にこういうグループとかもNPOとかが主催していて、トロント市とかオンタリオ州とかからお金が出ていて。そういう意味で、すごい、支援されているプログラムが多かったんだよね。
まめた:今でも、私もユースの、若者のグループとかやってるけど、やっぱ交通費のためにアルバイトしちゃう子とか、いまだにたくさんいますもんね。切ないけどね。
キャシー:うーん。アルバイトできればいいんだけど、できない子とかいると、もう、それだけでカットされちゃうから。あと、その、2008年っていうのが結構面白い時期で、カナダの同性婚が認められたのが確か2005年だったのかな。オンタリオ州は2003年だったんだけど、カナダ全体は2005年。日本にいた頃は、ちょうどまだLGBTが全然浸透していなかった頃で、みんなですごい頑張って周りにLGBTのことを広めよう、伝えようっていうすごい情熱があったんだけど、トロントに来たときは、何かみんな冷めてるなっていうイメージがあって。「もう同性婚があるし、プライドももうお祭りみたいになったし、もうLGBTのムーブメントも終わったよね」みたいな感じの雰囲気があったのね、2008年は。
まめた:2008年の時点でそれっていうのがすごいですね。日本で2008年って言ったら、まだレインボー・カレッジが8時間ぐらいミーティングしてた……
キャシー:そうそう。
まめた:ハングリー精神って言うか、飢えてるみたいなね。
キャシー:そのギャップがすごかった。レインボー・カレッジでみんなで話し合った話と、トロントで参加したユースグループがみんなで話してた話が、全然内容が違っているみたいな。
まめた:へー。そのユースのグループっていうのは、どんな話をしたの?
キャシー:あー、何の話をしてたんだろう。何かホントに他愛もない話を。すごい、平和な若者が話すような話、恋愛とか食べ物とか。でも、個人的にそういう話、LGBTの仲間たちとそういう話をする機会があまりなかったから、それも新鮮で良かったんだけど。でも、個人的にはいつも「何かアクティビズムをやろうよ」とかってみんなに言うんだけど、「アクティビズムって何?」って、そんな流れ(笑)。
まめた:そっか、そっかー。トロントに行ったあとそういうことがあって、そのあといろんな活動をしていったと思うんだけど、具体的にはキャシーはどういう活動に関わっていったんですか?
キャシー:最初はHIVの予防啓発のボランティアとかをしていて、それがLGBTのコミュニティ内でもあったから、そういう感じでいろいろ活動してたんだけど、トロントって面白いところがあって、LGBTの中にポケットがいっぱいあるんですよね。
まめた:ポケット?
キャシー:例えば、アジア系のLGBTの団体があったり、黒人系のLGBTの団体があったり、そういう感じでみんな分かれていて。それがトロントのLGBTの歴史に繋がってるんだけど、そういう感じでポケットがいっぱいあって、僕はアジア系の団体とずっと活動してきていて。で、何をやったんだろう。いろんなワークショップをやったり、あと、プライドの最中にみんなでステージを一緒に、ステージのパフォーマンスとかをコーディネートしたり、自分も多少パフォーマンスしたんですけど、9年前ぐらいに。もう、ちょっと舞台には立てないかな。ははは(笑)。あと、何だろ、そんな感じの活動をしていて、それがひょんなことで仕事になって、今に至るみたいな感じですね。
まめた:やってて、「ここはトロントのいいところだな」みたいな、好きなところってどういうところがありますか?
キャシー:うーん、日本よりお金が出てるところかな(笑)。
まめた:そりゃそうだよね(笑)。
キャシー:ははは(笑)。やっぱり、お金は大事だなっていうのをホントに感じて、市とかから、政府からもお金が出ていて、プラス、コミュニティからも寄付がいっぱいもらえて、そういう感じでプログラムがコミュニティの中で成り立っているっていうのがすごく大事で、それがすごく、若者のカミングアウトだったり、コミュニティの居場所作りだったりとか、そういうのができて、しかも普通は来れないような人たちにも交通費とか食事とかで、バリアーを取り除けるっていうのが大きかった。っていうのは10年前の話なんだけど。
まめた:で、そのあとは?(笑)
キャシー:ははは(笑)。今のトロントは、お金がどんどん減ってきていて、やっぱりHIVに下りるお金がもう本当に減ってきていて、今トロントはLGBTのプログラムがちょっと減少中。
まめた:それは、感染の拡大のリスクとかが前より比べて今のほうが落ち着いたとか、そういうことなの?
キャシー:感染のリスクの話もあるんだけど、たぶん、どっちかって言うとHIVがどれほど深刻な病なのかっていう認識が変わってきたってところがあるのかな。だから、そこにお金を入れるより、他のところにお金を入れた方が良いんじゃないかっていう話が増えてきていて。例えばLGBTのホームレス問題とかも結構大きくて、やっとここ数年でLGBT専用のホームレスシェルターとかができて。違う問題が取り上げられるようになったんだけど、まあ、いろいろ、そこらへんは複雑だね。
まめた:何年前かな。3年ぐらい前にニューヨークに行ったことがあるんだけど、ニューヨークのLGBTセンターに行ったときは、結構アディクションの問題がすごく深刻で、最初はHIVのこととかにたくさん予算が付いたんだけど、そのあと薬物依存とかアルコール依存とか、そのへんのところで政府とか行政とかと一緒にやり始めたみたいなことを聞いたんだけど、やっぱりホームレスとか薬物依存とか、その話って、トロントでもされる機会が多いのかな?
キャシー:うん、そうだね。ホントにホームレスとかアディクションとかの問題がもっと中心になってきた感じかな。特に、ゲイ・コミュニティ内ではクリスタルメスっていうドラッグが……日本では何て言うんだろう、スピード? 覚醒剤かな。覚醒剤の使用がすごく深刻で、中毒性もすごいから、ほんとに「一回だけ」ってやって、中毒になってしまう人がいっぱいいて。
まめた:日本でもそういうのが話題として出てきてるけど、まだ全然お金が回ってこないよね。そこを何とかしたいよね。
キャシー:あー、そうなんだ? あと、さっきトロントのポケットの話をしたんだけど、今盛り上がってるのが、トロントのLGBTコミュニティ内でいかに人種を取り上げていくかっていうところで、さっきツイッターに来たコメントがあるので、ちょっと読み上げますね。コーディーさんからのコメントで、「キャシーさん、初めまして。まめたさん、元気ですか? 今回の放送も楽しみです。質問、トロントでオリエンタリズムを感じることがありますか? 特にゲイ・コミュニティ内で。私は英国のオリエンタリズムが強くて、結構億劫になることが多いです。他の白人ゲイの友達と比べて、圧倒的に年上、特に40代や50代から声を掛けられることが多いし、しかも、その内容もすごく一方的な性行為の押しつけだったり扱い方だったりすることが多いです。カナダ、トロントではどんな感じでしょうか?」という質問です。
まめた:おー。
キャシー:うーん、これもすごく感じていたことで。トロントって、多文化共生都市みたいなマーケティングがされていて。
まめた:そうイメージありますよね。トロントと言ったら、いろんな人がいて、みたいな。
キャシー:いろんな人がいて多文化なのは確かなんだけど、やっぱり、共生できているかできていないかっていうところは、すごく、いまだに現在進行形でいろいろ問題が起きているところがあって。やっぱり社会の基盤に人種差別とか植民地主義があるから、いろんな人を同じところに持って来ただけだと、共存、共生はできないと思うんだよね。だから、いかに人種間のダイナミックとか、人種間のギャップを埋めていかないと、積極的に埋めていかないと、どんどん問題が発生する。例えばゲイ・コミュニティだと、やっぱりアジア系と白人系コミュニティの関係がとても複雑で。ライスクイーンとか、ポテトクイーンとかって聞いたことある?
まめた:あれだよね、アジア人がすごい好きで、でも勝手な妄想とかファンタジーがあって、みんな受け身とか、従順とか、そういうやつだっけ?
キャシー:そうそうそう。そういうステレオタイプがあって、あと、ライスクイーンがアジア系が好きな白人のことを指す言葉で、ポテトクイーンが白人が好きなアジア系のことを指す言葉で。
まめた:あ、そうなんだ。対なのね。
キャシー:そうそうそう。で、スティッキーライスっていうのもあって、もち米なんだけど、スティッキーライスはアジア系でアジア系が好きな人を指す。そういう言葉があるっていうこと自体がコミュニティ内の関係性を表現していて。例えば一回パーティーとかに行ったときに、すごい年上、60代ぐらいの白人のおじさんと20代のアジア系のカップルに会って、話を聞いてると、白人のかたがアジア系の人を移民でスポンサーしたんだけど、アジア系の子が4、5年外出してないとかって話をしていて、友達を作ったり他のアジア系とか他のゲイ・コミュニティと関わっちゃダメって言われてる。
まめた:大丈夫なの? そういう関係なの?
キャシー:結婚してる恋人同士なんだけど。
まめた:閉じ込めちゃってる状態ってことだよね、心理的というか。
キャシー:うん。ちょっと、すごい束縛されている。その話を聞いて、ちょっと、うーん……あんまり人の恋愛だから何も言えなかったんだけど、それを聞いていて、すごくいろいろ感じていて。ただ単に他の人種が好きっていう以上に、まめたさんが言ったようなステレオタイプがあったりとか、偏見があったりとか、あと、恋愛の中にパワーがあったりとか、同じ年代、同じ容姿の人でも人種によって扱いが全く違っていたりとか。トロントでも、ほんとに、アジア系だとゲイ・クラブに入れなかったりとか、そういう話もあったみたい。今はもうないかもしれないけど、確か10年ぐらい前はあったみたいで。でもニューヨークとかはいまだにあるみたいよ。
まめた:うん、ニューヨークでその話を聞いた。で、何か、大っぴらに、例えば「アジア人だから」とかは言われないんだけど、ドレスコードが「もうちょっと、ちゃんとした服着て来ないとダメ」みたいなことで断られてるっていう話をしていて。でも、面白くて、そのあとに白人の人が同じ恰好をしてそのお店に行ったら入れたんだよね。それで「おかしいじゃないか」ってことで問題になって、結局そのお店は行政処分かな、行政から指導が入ったって話をアジア系の団体の人が喋ってましたね。
キャシー:そういう直接的な差別だったり、掲示板とかグラインダーとか、そういうアプリとか行くと、いまだにNo AsiansとかWhite Onlyとか、そういう感じのコメントをよく見たりする。でも、これもね、ここ10年、こういう話が盛り上がってるから、10年前に比べるとすごい減ったっていう話をよく聞く。だから、やっぱり人種っていう部分が、racializationっていうんだけど、トロントに来るまであんまりそこらへんを意識してなかった。LGBTコミュニティ内で人種っていう部分をほとんど意識せずにきたから、トロントのLGBT内で活動しながら人種っていう部分がいかに大事か、いかにLGBTの経験を形成してるかっていうのを痛感した。
まめた:なるほどね。日本にいると、そのへんってあんまり意識しないで、たぶん日本人だからだけど、済んじゃってるところはあるよね。
キャシー:だから、そこらへんの交差点、インターセクションも見ていくと面白いと思う。
まめた:これからのとか、今感じてるトロントの課題みたいなのって、どんなことがあるんですか?
キャシー:たぶんね、一番の課題は、今現在だと去年のプライド・パレード……あの、Black Lives Matterって知ってる?
まめた:黒人の運動のやつだよね? 黒人のって言うか……
キャシー:そうそうそうそう。黒人主体の運動で、警察、警官による暴力とか、殺害がきっかけで生まれた運動なんだけど、「黒人の命は大事だ」っていうメッセージを掲げていろんな活動をしてるんだけど、トロントにもBlack Lives Matterの支部があって、その人たちが去年のプライド・パレードの先頭を率いたのね。で、パレードの最中にその人たちがいきなり座り込んでパレードを止めたのね。
まめた:その人たちが止まっちゃった?
キャシー:そう。止まって座り込み抗議をして、トロントのプライド・パレードに警察がいっぱい来るのね。仕事で来るんじゃなくて、まあ仕事なんだけど、ブースを持ってきたり、あとプライドのマーチ、制服でマーチしたりするんだけど、ユニフォームで。それをするなっていう。それプラス、他のいろんな条件とかもあったんだけど、それを突き付けて、要求に従わないとパレードを動かさないみたいな、そんな状況になって、30分間プライドが止まったんだよね。
まめた:やりますね。やるなあ。
キャシー:やるよね、ホントに、うん。それが結果で、警察のブースと警察のフロートがなくなったんだけど。
まめた:それもすごい。
キャシー:それすごいよね、うん。それに、この事件のせいで今コミュニティ内がすごい割れていて、「プライドって、みんな受け入れるものじゃないの?」っていう人たちと、「プライドは弱者を守るためのものだ」っていう人たちが対立をしていて、いまだにすごい意見が割れていて、黒人のLGBTとしてプライドに参加する人たちの経験が、やっぱり理解されていないことを痛感した。やっぱり、あそこまでいっぱい警察がいるスペースに来て、黒人としてどう感じるのかっていうのを、自分もなんだけど、すごい学んだ気がする。
まめた:言ったら、黒人の人は日常的にすごい不当な……いきなり取り調べられたりとか、ひどい目に遭ったりってことを、警察からされているってことだよね。
キャシー:そうだね。すごい印象的だったのが、一回、住宅街とかを歩いていて、黒人の男の子二人が走ってたのね。普通に、鬼ごっこかなんかしていて。そしたら、近所のおばさんかお母さんか分からないけど、「走ったら警察に捕まるよ」みたいな話を、「だから走ったらダメだよ」っていうことを言っていて、それを聞いてすごいショックを受けたのね。その、男の子二人が鬼ごっこしてるっていう普通の光景が、そういうふうに捉えられてしまうっていう。
まめた:パレードって、この人たちが来ることで別の人たちの安全が守られないかもしれないとか、あと、よりラディカルな主張をしたい人っていうのが、パレード全体のお祝いの雰囲気とかと照らし合わせると浮いてたりとか、まあ浮いててもいいんだけれど、それをよく思わない人がいるっていうのは、何かこのトピックに限らず、ちょくちょく見ますよね。何か自分の中では、パレードっていうのはそういうものみたいに思ってて、みんなが集まって、だいたいいくつかそういう考えなきゃいけないことが突きつけられて、みんなで「あれはどうなんだろう」みたいな話をして毎年やってるっていうところが、まあ、それはそれで大事かなって思ったりしてるんだよね。
キャシー:まめたさん前回も言ってたけど、みんなで仲良くわいわいできるだけじゃなくて、納得いかなかったら、それを口に出せる環境が必要だよね、やっぱり。時には、例えば多様性とか、みんなを受け入れるために特定のグループを取り除く必要も出てくるかもしれない。そこらへんはすごく難しいところなんだけど。
まめた:あ、一つね、トロントのことで質問があって、素朴な質問なんだけど、トロントでトランスの人が服を買うときに、みんなどこで買ってるのかってことが気になって。っていうは、自分がニューヨークに行ったときに、メンズの服ってすごいサイズが大きくて、ただでさえアジア人で小さいのに、子供用の店に行かない限り、100%自分の服は見つからないなって思った経験があったのね。で、これが例えば日本だと、お店を探せば見つかったりするし。そういう意味で、こう、服を買ったりとか、パスしたりとか、トランスの人の経験っていうのは、そのへん、どうなのかなと思ったりしてる。
キャシー:どうなんだろうね。そこらへんは、あまり分からないんだけど、でも服のサイズっていうのは、トロントのサイズはすごい、XSからXXXLまである。あと、子供服を買う人が多い、大人でも。例えば、アバクロの、10年前すごい流行ったけど、子供服のお店があって、子供服だと税金も少ないのかな。消費税も少ない。
まめた:へえ。安心して買い物に行けそうな気がしました。ははは(笑)。
キャシー:そう、ゲイ友達でも結構、身長がすごく小柄な子とかもいっぱいいて、その人たちは子供服を買いに行ってるね。「安いし」とか言って、みんな。ファッションなんだけど、ここはトロントの良いところだと思うんだけど、すごく、みんなだらしない(笑)。東京って、ホントにちゃんと服を着ていないと疎外される感じがあったから。トロントは何を着てても大丈夫、みたいな。そんな雰囲気がある。結構パジャマで犬の散歩に行ったりする。
まめた:それはホッとするわ。服、ちゃんとしてなきゃいけないのが苦手だから。
キャシー:いまだに、自分の仕事でスーツを着て仕事に行ったことがない(笑)。っていうのも結構大きい。そこらへんは嬉しい。
まめた:あ、何か来ました、メッセージ、今。えっと、これは何て読むのかな。ナオミチさんからのメッセージで「第一回、とても面白かったです。カナダのセクシャリティと人種に関する話題、日本のLGBT運動とビジネスの関係、台湾のパレードの様子など、興味深く聴かせてもらいました。次回も楽しみにしています」ということで、ありがとうございました。結構こういう話を聞きたい人がいっぱいいて、ホッとしています。
キャシー:ありがとうございます。すごいびっくりしたのが、日本のpodcastランキングで36位を記録したんだよね。
まめた:びっくりしたわ。
キャシー:すごいびっくりした(笑)。かなりニッチなpodcastだと思ったんだけど。うちの母に言ったら、「10位に入ってから報告して」って言われて。
まめた:10位に入ったらびっくりしちゃうんじゃない?
キャシー:うん。すごい冷たい反応をもらった。はっはっはっは(笑)。10位に入れるかな。まあ、そんな感じなんですけど。次回は……今回は僕がいっぱい話したので、次回はもっと、まめたさんの話が聴きたいです。
まめた:はい。じゃあ、日本のLGBTコミュニティの最近の話とか、やってることの話とか、お話できればなと思うんだけど、何か他に聞きたいこととかあります?
キャシー:うん、いっぱいある。やっぱり、日本を長い間離れてるから、いつも日本のLGBTの変化とか気になる。あと、すごい些細な変化とかも気になる。例えば、みんな今クラブはどこに行ってるのかとか、二丁目の新しい美味しいカフェとか。
まめた:うん、知らない(笑)。
キャシー:そういう情報とかも聞きたい。
まめた:知らなかった。ははははは(笑)。
キャシー:知らない?
二人:はっはっは(笑)。
まめた:全然アップデートされてない(笑)。
キャシー:僕もね、トロントのゲイ・ヴィレッジに全然行ってないから、最近のことは全然分からない(笑)。
まめた:アーチが閉まるかも、ぐらいで記憶が止まってる。ははははは(笑)。
キャシー:ええっ!?
まめた:閉まるかもっていう話が。
キャシー:アーチが閉まっちゃうの?
まめた:たぶん4、5年ぐらい前にあったんじゃないかな。
キャシー:あー、ちょっとショック、それは。
まめた:二丁目……分かんないや。適当なこと言えないです。閉まってなかったらごめん。ははは(笑)。
キャシー:適当なこと言っちゃだめだよ。
まめた:はい。
キャシー:うん! それでは、次回にもっといっぱい話をしましょう。もし感想とか質問があれば、ホントにツイッターでもメールでも、何でもいいので送ってください。すごい、いつも読んでいて嬉しくなっています。あと、ネガティブなこととかもどんどん、クリティカルな話とかも全然……
まめた:そのほうが、やってて楽しいしね。
キャシー:最後に何か、今回の感想について。
まめた:今回ね、そうだなー、トロントの話をしたときに、お金の話が出たと思うんだけど、お金があることで普段届かない、日本とかではまだまだ届けられない人たちにアプローチすることできるっていうのは、そうだなって、そこは率直に羨ましいなって思いましたね。大変なこともいっぱいあると思うんだけど、そこはすごく羨ましいなって思ったのと、パレードを止める人たちと仲良くなりたいなと思いました。
キャシー:そうだね、仲良くなりたいね。今回、いまさらトロントの話をしてみて、すごく自分でも感じたことがいっぱいあって、ちょっと不思議な感じ、不思議な気持ちになった。そんな感じです。
まめた:じゃあ……
キャシー:それでは、次のエピソードで会いましょう。
まめた:またお会いしましょう。
Producer: キャシー (@torontogay69)
Co-host: 遠藤まめた (@mameta227)
Composer: hirontier/Hiroyuki Sugawara (@hirontier)