第1回 LGBTを多様性の視点から見るってどういうこと?(2017/7/31)
にじいろ交差点(iTunes / Google Play Music / libsyn)
キャシー:今日、その、初めてのエピソードじゃないですか。
まめた:そうですね。
キャシー:一応、あの、ちょっと恥ずかしいことをしようと思っていて。
まめた:おー。もうすでに恥ずかしいけど(笑)。
キャシー:ははは。すでに恥ずかしい?
まめた:すでに恥ずかしい。
二人:ははははは!
キャシー:このpodcastのタイトル、「にじいろ交差点」じゃないですか。これを二人で一緒に言おうと思って。
まめた:おー、いいですね。
キャシー:呼吸を合わせて。どうします?
まめた:どれぐらいの速さで言います?……にじいろ、こうさ……(ゆっくり言ってみる)
キャシー:それぐらいの速さで。ただ、僕が「にじいろ」って言って、まめたさんが「交差点」って言う。
まめた:あー、いいね。
キャシー:それでいいかな?
まめた:頑張ろう。
キャシー:で、そのあとに二人で一緒に「東京とトロントから届けるLGBT podcast」
まめた:オッケー!
キャシー:それでいきましょう。
まめた:東京とトロントから……届ける……
キャシー:滑舌、すごい大変ですね、これは。
まめた:メモるわ、メモるわ。
キャシー:ははは(笑)。「東京とトロントから届けるLGBT podcast」
まめた:二人で言うの?
キャシー:二人で言う、その長いとこ。
まめた:分かった分かった、大丈夫。
キャシー:じゃあ、行くよ? にじいろ!
まめた:交差点!
キャシー:東京とトロントから……
まめた:と、と、トロント……
キャシー:ははは(笑)。言えてないじゃん。
まめた:もう一回、もう一回!
キャシー:にじいろ!
まめた:交差点! 東京とトロントから……
キャシー:トロント……はは、全然合わない(笑)……今回は成功しなかったんですけど、次のエピソードで成功させましょう。
まめた:もう一回やったらできるんじゃ……
キャシー:もう一回やったらできる?
まめた:はい。
キャシー:じゃあ、もう一回、最後に。にじいろ!
まめた:交差点! 東京と
キャシー:トロントから届ける
二人:LGBT ポッ……(二人のスピードが合わず)
キャシー:はっはっはっは!(笑)
まめた:せーので、LGBT podcastだけ作って……
キャシー:うん、でもこれ、このまま載せようと思ってたんですよね。
まめた:オッケー。頑張りましょう。
キャシー:この、呼吸が合わない感じがいいかなと思って。
まめた:分かりました、はい。
キャシー:そんな感じのpodcastです。
まめた:はい。そうですね、しみじみと……
キャシー:しみじみと、はい。今回、初めてのエピソードなんですけど、二人ともpodcastの経験とか、ない。
まめた:ゼロですね。
キャシー:ゼロです。そう、素人が一緒に頑張って作るpodcastなので、よろしくお願いします。
まめた:よろしくお願いしまーす。
キャシー:というわけで、まず最初のエピソードなので、とりあえず自己紹介から始めようと思っていて。
まめた:そうですね。
キャシー:まめたさんから。
まめた:はい、私から。はじめまして。まめたと申します。えっと、東京でいま活動していて、活動を始めてからだいたい12年ぐらいになるんですが、トランスジェンダーの活動家ということで、やってます。主にやってるのは、LGBTの子どもや若者の支援に関することで、だいたい、いろんな学校とか教育現場に行って、LGBTのことをお話したりだとか、あとは月に一回、池袋で「にじーず」という、10代から23歳ぐらいまでのLGBTかもしれない人たちの居場所作りなんかをやってます。よろしくお願いします。
キャシー:よろしくお願いします。LGBTかもしれないって、どういうことですか?
まめた:えっと、10代ぐらいだと、自分がはっきりと、例えばゲイだとかバイセクシャルだとか決めなくても、自分がそうかもしれないなと思ったときにアクセスできるっていうところで、居場所作りができないかなというふうに思ってます。
キャシー:にじーずって、新しいんですか?
まめた:えっと、去年のちょうど8月から始めて、今年で……今月で1年目かな。
キャシー:1年目。おめでとうございます。
まめた:ありがとうございます。
キャシー:すごい、こんな活動があるなんて、素敵だな……と、一応、僕の自己紹介もしようと思うんですけど。ネット上では、キャシーという名前で通っています。一応、ブログで「トロントのハッテン車窓から」というところから始まって、もうブログを始めて10年以上……9年以上になるんですけど、ツイッターでも、いろいろいつも写真とかツイートとかを書いていて……うん、それぐらいですかね、ネット上では。でも、一応トロントでは前にLGBT支援の仕事をコミュニティ団体内でしていて、いまは大学教育機関でLGBT支援から、ダイバーシティ促進から、反差別教育まで、いろいろやっています。そんな感じです。
まめた:いつも楽しみに、ツイッターを勝手に見てます。
キャシー:ありがとうございます! (二人、笑う)ツイッターでは、オネエキャラで始めて、そのまま残ってるんですが、あんまり実生活でオネエキャラができないので、結構、ブログとかを読んでくれた方が実際に会って、「あ、オネエじゃないんですね」って、結構意外に思われるので、まあ、podcastでも、こんな感じで話していくと思います。
まめた:はい。いつも、ハッシュタグ「#英語よ」っていう、あれがいつもすごい羨ましいなって。
キャシー:(笑)なんで羨ましいんですか?
まめた:カッコいいな、って(二人、笑う)
キャシー:あー、あれは、日本語の記事とかをあんまり読んでなかったんで、結構英語の記事とかを読んだあとに「あ、これシェアしたい!」って思ったときに、翻訳するのめんどくさいなと思って。
まめた:なるほど。
キャシー:でも、あんまり英語の記事をバンと載せるのも失礼なので。読めないと悲しいと思うので、一応、忠告として「#英語よ」ってハッシュタグを。
まめた:たまにパクって、私もブログに「#英語よ」って書いてます。
キャシー:全然、あの、パクってください。
二人:ははは(笑)
キャシー:響きがかわいいですよね、「#英語よ」。で、まめたさんと僕が、podcastを始める経緯、というのを話したいんですけど。
まめた:そうですねー。
キャシー:はい。
まめた:ま、あのう、なんかいま日本で、LGBTに関する情報ってそこそこ出てるような気がするんだけど、あんまり、その、無料で、特に、深いところで話してるコンテンツって、あんまりそんなにないような気もするんですよね。
キャシー:うん、無料で、その、まあ、誰でもアクセスできるようなコンテンツになってない。
まめた:そうそうそう。で、しかも、日本のここ最近の動きを見ていると、結構、企業のダイバーシティみたいなところでLGBTについて語られることって増えてきたんだけれども、何て言うのかな、人権とか、いろいろ社会の基礎的なところで考えたときに、LGBTのことをもうちょっと、いろんな視点から見つめる必要があるんじゃないかなっていうふうに思ってですね。そういう意味で、トロントで活躍しているキャシーとコラボレーションでいろいろ語っていけたらいいな、っていうふうに思ってるんだよね。
キャシー:いいですね、語っていけたら。
まめた:うん、そうそう。
キャシー:まあ、podcastを、いろんな視点で、LGBTのアイデンティティーとか、LGBTというコンセプトを見ていこうという……もうちょっとあとで解説、説明しようと思うんですけど。このpodcast、まめたさんも、かなりいろんなフォローイングがツイッターから、今までの活動でいろんな人がまめたさんをすごい尊敬していると思うんですけど。
まめた:いやいや。
キャシー:あんまり、まめたさんとキャシーって、繋がってるっていう、そういうイメージはないと思うんですけど、実は繋がっていたっていう。ちょっと二人の歴史について話してみようかなと思っていて。
まめた:そう。今でもね、忘れられないんだけど、新宿の紀伊国屋書店の下にファーストキッチンがあったんですよ。今もあるのか分かんないんだけど。そこでキャシーとご飯を食べてて。そのあと二丁目の方向に歩いて行くんだけども、そこで、あのー、山の上で宇宙人が捕まえられてる写真って、有名なのあるじゃないか?
キャシー:えっ?
まめた:二人、背が高い人がいて、間に小っちゃい宇宙人が……
キャシー:あー、はいはいはいはい!
まめた:あれをやったんですよ。
キャシー:やったかもしれない。
二人:ははは(笑)
まめた:もう一人、背が高い人がいて。私、身長が157センチしかないんだけど、で、宇宙人役をやって、二丁目に連れて行かれたっていうことが、昔、思い出としてあります。
キャシー:あ、それ僕、全然覚えてなかったけど、今思い出した。そんなことやったね。
まめた:だいたい10年ぐらい前。
キャシー:10年前ですね。一応、僕がカミングアウトしたのが2007年の8月なので、ちょうど今年で、今月で10周年で。そのあたりに、レインボー・カレッジっていう、まめたさんが共同運営していたんですよね? していた団体に参加して。
まめた:学生だったから。二人とも学生だったんだよね?
キャシー:そう。
まめた:学生の、LGBTの学生生活を考えるサークルみたいなところで出会ったんだよね。
キャシー:そう。で、レインボー・カレッジは、かなり初めて行ったミーティングで、かなり不純な理由で参加したんですけど、カミングアウトしたばかりのゲイの男の子として出会いを求めて、のこのこついて行ったんですけど、友達に。レインボー・カレッジのミーティングに参加して、「あ、この人たち、プロだ」ってすごい思ったんですね。あのー、ほんとに、ミーティングをホワイトボードでMTGって略していて……
まめた:ははははは(笑)
キャシー:「すごいカッコいいな、この人たち」と思って。みんな、すごい慣れた様子でコミュニティをオーガナイジングしていて、それを見て、すごい感化されて。レインボー・カレッジで学んだことは……あのときはね、何を話してたんだろうね。
まめた:なんか、よく、ミーティングが長くって、1時ぐらいから始めて8時ぐらいまでずっとやってた記憶が。
キャシー:そう。ミーティングがいつもすごい長かった。
まめた:途中で2回ぐらい喧嘩するんですよね(笑)。
キャシー:そうそうそう。
まめた:ゲイのメンバーが考えてることと、トランスのメンバーが考えてることが全然違ってたりするんで。なんで、違うなあ、みたいな。
キャシー:ナイーブだった自分は、それを観察していた感じでした(笑)。
まめた:そうですね。何なんだろうなあ、って。
キャシー:でも、レインボー・カレッジで学んだことは、今でも自分がしている仕事で役に立っていて。すごい、自分の基礎を築いてくれた団体だったと思います。もう、レインボー・カレッジはないんですよね?
まめた:何か今、ないんですよね。残念だね。
キャシー:残念だね。
まめた:まあ、でも、学生サークルが今はたくさんあるんで、そういう似たような人たちがいっぱいいるのかなというふうに思ってますね。
キャシー:うん。
まめた:なんかね、1時から8時まで飽きずに喧嘩しながらミーティングしてるって、やっぱ、おかしいよね。ははは(笑)
キャシー:ちょっと、うん、おかしいよね。
まめた:ああいう場所が必要だよね。
キャシー:うん。今までこの10年、ずっと、いろんなコミュニティでいろんな活動をしてきたけど、あそこまで長いミーティングをする団体はレインボー・カレッジだけ。
まめた:しかも、8時に終わって、そこからご飯食べに行って、また長いんだわ(笑)。
キャシー:そうそうそうそう。でも、ああいう場所が必要だったよね、あのときは、たぶん。
まめた:そうなんだよねー。何か、意外とないよね。
キャシー:すごく……うん、すごい、いつもはレインボー・カレッジとかのミーティングは楽しみで、横浜から東京まで結構遠かったんですけど、その道のりがいつもすごい楽しみで、今でも覚えています。これが10年前だなんて、ちょっと……。
まめた:たしかに、そう思うとね、やばいね(笑)
キャシー:やばいね。
二人:(笑う)
キャシー:で、まあ、一応……
まめた:当時……
キャシー:うん?
まめた:当時、全然LGBTとか新聞にも載らなかったし、初めてNHKで「ハートをつなごう」かな、LGBT特集なんかをやって、その時にレインボー・カレッジが出たんですけど、やっぱ、スタジオの収録も6時間とか、とんでもない時間で。
キャシー:あ、そんなに長かったんだ?
まめた:そう。
キャシー:僕、ちょうどそのNHKで「ハートをつなごう」に出るかもしれないみたいな会議が、自分の最後の会議なのね。
まめた:あー、なるほど。
キャシー:だから、そのあとにトロントに留学して、インターネットで、その番組が放送されたっていうのを聞いて、「あ、すごい」っていう。
まめた:それが10年前だからね。
キャシー:すごいね。でも、そう考えると、かなり日本も、いろんな意味で変わった部分もあって、変わらない部分もあって。
まめた:そうですね。
キャシー:それも、このpodcastで話していこうと思います。
まめた:そうですね、はい。
キャシー:で、まあ、このpodcastのタイトルが「にじいろ交差点」なんですけど。
まめた:うんうん。
キャシー:その「にじいろ交差点」っていうタイトルが、LGBTを多様な視点から見ていこうっていう、このpodcastのテーマに沿っているんですよね。
まめた:うんうん、そうですね。「にじいろ」って、ジェンダーとかセクシャリティとか、性に関することだけじゃなくって、もっといろんな人の違いとか、例えば民族とか、カナダと日本とか、いろんな違いを、こう、見ていこうかなと思っているんですね。
キャシー:そうそうそう。あと、その、まあ、「交差点」っていう意味でも、まめたさんと僕で、違う国で同じような仕事をしてきた二人がどう交差するのかっていうのも、結構、個人的には楽しみで。
まめた:そうだね。
キャシー:うん。いろいろ聞きたいと思います。
まめた:はい。
キャシー:で、さっき、日本のLGBTにまつわるもの、部分が変わってきたっていう話をしたんですけど、どういう変化が起きたと思いますか?
まめた:そうですね、やっぱり、一番変わったのは、企業とメディア、この二つだと思うんですよ。で、企業は、雑誌の「週刊ダイヤモンド」とか、あのへんのビジネス雑誌が「LGBT市場」っていう特集を組んだのをきっかけに、いろんな企業が「LGBTのこともダイバーシティとしてやっていかなきゃ」というふうに変わった、これ一番大きいと思うんですけど。
キャシー:うん。
まめた:一方で、メディアとかも後押ししていく形で広まってきてはいるんですけど、でも一方で、政治が何が変わったかって言うと、特に新しい法律は国のほうではできてなかったりだとか、何かこう、ちょっと、その伸びている部分、経済とかメディアとかっていう伸びている部分と、そのまま変わってないかなっていう部分と、いろいろちぐはぐと言うか、そういう部分があると思ってるんですよね。
キャシー:うん。だって今、プライド・パレードとかも、すごいスポンサーがいるよね。
まめた:そうそうそうそう。もう、昔の10年前とはあまり企業ブースとかそんなに目立たなかったと思うんだけども、今はすごいいろんな企業がブースを出してて。でも、一方で、じゃあ本当にその会社の中で、例えばトランスジェンダーの社員のこととかをどこまで本気で考えてるのかなっていうと、ちょっとまだ見えないところもあって、それは課題なのかなと思ってるんです。
キャシー:10年前に、東京プライド・パレードを歩いたときに、企業ブースがたぶん2,3個だったんですよね。そのうち一つが、お茶屋さんだったんですけど、あんまり大きいスポンサーではなくて、かなり個人的なスポンサーだったんですけど。で、トロントに来て、トロントのプライド・パレードを歩いて、スポンサーの数がもう、すごい。
まめた:何人ぐらい、トロントのパレードって歩いてるんですか?
キャシー:えー、何人いるんだろ。一応、あの、4,5時間続くんですよ、パレードが。
まめた:ほぉー!
キャシー:その、2時か1時から始まって、結構、僕が前いたときは、うちの団体、結構先頭にいるんですよ。で、先頭を歩いて、パレードを終えて、僕、一回家に帰って寝るんですね。
まめた:はははは(笑)
キャシー:(笑)疲れるんで、パレードのあと。で、一回家に帰ってシャワー浴びて、ちょっと昼寝して、もう一回戻ってくるんですよ。で、まだパレード続いてるんですよ(笑)。
まめた:はははは(笑)。なげーよ。
キャシー:すごい長い。で、スポンサーの数もすごくて、でも、プロテストという感じではなくて、デモ行進という感じではなくて、もうほんとにお祭りっていうものになっていて。日本で歩いたパレードとは全然違っていて、すごく嬉しいっていう部分がある反面、これが最終地点、目的地になったら、どうなるんだろうっていう不安もあったりして。やっぱり、その、LGBTコミュニティが、その、すごくマーケットとして見られるというのが、その、うーん……っていうところがあるじゃないですか。
まめた:そのー、自分は台湾の、台北のプライド・パレードに行ったことがあるんだけれども、そのときは企業ブースって目立たなかったんですね。で、すごい、デモ自体も日本と違って両方の車線使えるんですね。で、歩いて行くと向こうからもパレードがやってくるみたいな、ちょっとよく分かんない。
キャシー:すごいな、それ。
まめた:しかも、作りもうまくって、歩いて行くと、例えば「199X年にこういう事件がありました」みたいなことを、横断幕の下を通って行くんですね。それによって、そのコミュニティがどういう歴史をたどって今まで来たのかということを歩きながら学ぶことができたりとか。一番面白かったのは、ナース服を着て拡声器を持ってる人がいたんですよ、横断幕のところに。それはゲイのパーティーがあったときに、HIVのテストを受けるように、勝手に強制的に行政の人が入ってきて、っていう事件があったらしいんですけど、そのときのことをその人がアピールしてるんだけど、服装とかもちょっと人目を引くって言うか、考えさせる仕組みになっていたりして。同じパレードって言っても、単にお祭りだけじゃなくて、みんなが考えたりとか、そういうちゃんと仕掛けがあって、いいなってことをすごく思ったんだよね。
キャシー:それ、すごい政治的だね。
まめた:そうそう。あと結構途中でも止めちゃって、スピーカーでスピーチしてるんですよ。同性結婚っていうか、同性同士で結婚できるっていうムーブメントが台湾では一生懸命やっていたんだけども、そこの団体の代表の人が途中で演説をしてたりだとか、すごい政治的で。それを普通に皆がエンジョイしてるっていう光景がすごい印象的だったんですね。
キャシー:ぜひ台湾のプライド、行ってみたい。
まめた:そう。良かった。車からドラァグクイーンの人がコンドームを投げまくってて、それを皆が拾うとかね。何か、東京のプライド・パレードでは見ないような光景がいっぱいありましたね。
キャシー:東京のプライド・パレードではコンドーム投げないんですか?
まめた:投げないですかね(笑)。
キャシー:投げない(笑)。
まめた:前に、あの、安倍昭恵さんがトラックの後ろに乗ってたときに、私、ドラァグクイーンが乗ってると思ったんですよ。「誰だろう、あのドラァグは?」と思ったら、安倍昭恵さんだった。
二人:はっはっは(笑)
まめた:ドラァグじゃなかった。
キャシー:あー、すごい(笑)。これ、載せていいんでしょうかっていう。
二人:はははは(笑)
まめた:誰だろうと思って(笑)。
キャシー:はっはっはっは(笑)。さっきのは、プライドの、企業のブースと、企業の広告塔になっていくっていう方向性と、プライドの政治的な意味合いのバランスがすごく難しい部分なんですけど。このpodcastの多様な視点から見ていくと、すごく、その、企業の広告塔になるイコール、お金持ちのLGBTにフォーカスがいくことが、すごい問題ですよね。
まめた:そうなんですよね。
キャシー:LGBTの中で、例えばトロントだと、LGBTの中に、例えば有色人種のLGBTとか、移民とか難民のLGBTとかがいて、必ずしも企業の広告塔がターゲットしてるマーケットではないLGBTがたくさんいるんですよ。
まめた:そうですよね。
キャシー:うん。だから、そういう意味でLGBTを狭い視野で見て、マーケットとして使われるというのが、すごい個人的に複雑で。トロントでも、その課題はものすごく多いんですけど。日本も、もうちょっとそこのバランスが取れたらいいなって思っていて。
まめた:そうなんですよね。日本に関していくと、やっぱり、地道な人権運動みたいなのが全然お金にならないし、例えば、その、自治体とか学校に対していろんな講演とかをしても、正直、食べていくのが、たぶんすごく大変だから、いま日本で活躍しているLGBTのNPOって、やっぱり企業向けの講演とかしないとやっていけない状況にあるわけですよ。でも、そうすると、企業向けってなってくると、よりラディカルな主張ってなかなかしづらくなってきて、一つの例は、例えばトランスジェンダーのトイレの問題とか、雇用の問題だと思うんだけれども、いわゆる多数派の人たちの価値観をちょっと変えたりとか、より、そういう物の見方を変えたりとかの主張っていうのは、実は企業への講演とか、そういうものをベースにしてるとなかなかできないっていう、それは構造的な問題だと思うんですよ。で、去年「work with Pride」っていうイベントがあって、そこで53社から、LGBTについて一生懸命取り組んでいる会社ってことで表彰されるんだけれども、一方で、地方に住んでいる人たちってどういう状況にいるかって言うと、そもそも、40代、50代のレズビアンの女性は、レズビアンであるっていうことだけじゃなくって、独身の女性であるっていうことでも、町ではすごい生きづらかったりとか。ジェンダーとか、地方とか、そういうものが絡んでいるっていう状況もあったりして。何かこう、いろいろまとめて、いろんな視点から語っていく必要があるのかなって、そういう時期なのかなって、いま思っているところですね。
キャシー:いま日本で、企業研修とかでLGBTについて扱うときって、どういう内容になるんですかね。
まめた:どうなんですかね。やったことないからわかんない(笑)。一生懸命、皆さんやっているとは思うんだけれども、まあ、でも、やっぱり構造的に限界があるかなっていうふうに思ってるんですよ。あのー、企業がやりやすい方法と、やりづらいとか、より、その、何て言うのかな、根本的に皆の考えを変えなくちゃいけない部分っていうのは、やっぱりちょっと、それぞれあると思うので。なかなか、トランスジェンダーの、トランスジェンダー女性の人が更衣室を使いたいって言ったときに、やっぱり当事者の基本的なところに立つってことではなくって、どうやって職場をうまく丸めるかとか、そういう視点でやっぱりやらざるを得ないところってあるのかな、っていうふうに思ってるんですよね。
キャシー:これ僕の経験なんですけど、前の仕事ではコミュニティの中から企業とか大学に出向いて、ワークショップとかトレーニングとか提供したんですよ。LGBTに関するトレーニングだったりとか、LGBTプラス人種差別とか、そういう感じでいろいろやってたんですけど、今の仕事だと、僕、組織に雇われて、組織内でこういう仕事をやるんですよ。で、初めて、雇われたあと初めてワークショップをする日になったときに、ステージに立ってマイクを握った瞬間に、何を言えばいいか分からなくなったんですね。
まめた;ほー。
キャシー:まず、どこまで相手の意見を変えるかっていうラインがすごく難しいところで、これを言ったら、うちの上司からあとで注意されたりするかもしれないとか。
まめた:うんうん。
キャシー:これを推し進めてしまうと、上のほうから文句が来るかもしれないとか、そういうことを考え始めて、言いたいことが言えなくなったんですね。例えば、だから、LGBTに関することは言えても、人種差別とか……
まめた:ありますよね。
キャシー:うん。例えば黒人に対する人種差別とか、すごい今トロントでヒートアップしてるトピックなんですけど、そこを持ち出すか持ち出さないかっていうところで、すごく困ったんですね。うん、だから、空気を読む教育者になっちゃった(笑)。
まめた:(笑)
キャシー:組織内にいるっていうことで、そういうことができなくなっちゃったので、企業向けに、こうした、お金をもらって、こうした仕事をするのは大変だなっていうのは感じますね。
まめた:そうですね。何て言うか、やっぱり、それぞれの立場でできることと苦手なことができてくると思うんだよね。なので、まあ、例えば自分が学校に行っても、そういう場面って必ずあって、学校の先生に対して、ここはこれ以上求めると心を閉ざされてしまうんじゃないかみたいな、空気を読むみたいな、そういうところってあったりとかして。
キャシー:じゃあ、まめたさんが例えばワークショップとかをトレーニングするときに、これだけは譲らないっていう部分はどこですか?
まめた:えー……難しい質問ですね。
キャシー:難しいですか?(笑)
まめた:あ、でも、えっと、一つこれ、必ず思っていることは、理解ってすごく曖昧な言葉だと思っているんですよ。「理解しました」とか「理解しましょう」とか、そうではなくって、ちゃんと行動まで起こしてこそ意味があるっていうふうに思ってるんで、学校の先生に対してとかも「聞いて勉強になりました」とか「理解が深まりました」っていうんじゃなくて、じゃあ、具体的に、「廊下や保健室とかに、こういうの、ポスターとか置いてくださいよ」とか、「こういう、学校の制服を着なきゃいけないっていうルールを見直してみましょう」とか、やっぱ、ちゃんと行動に移してもらうっていうところは、一つ譲れないかなっていうふうに思ってますね。
キャシー:あー、いいですね、それは。僕のは何だろう、一応その、このpodcastのテーマでもあるんですけど、多様性ってのはすごく大事だなと思っていて、例えば「LGBTのことについて話してください」と依頼されたときに、絶対にLGBT以外の部分も持っていくっていうのがすごく大事なところで、例えば……
まめた:いいですね。
キャシー:すごくいつも個人的に複雑な気分になる言葉があって、「トロントはゲイが一番住みやすい街」とか、そういうフレーズをたくさん聞くんですよ。でも、その文の中にある「ゲイ」って誰なのかっていうことを考え始めると、必ずしも、その文が正しいっていうわけではないんですよね。
まめた:うんうん。
キャシー:例えば、白人でカナダ生まれでゲイという人と比べて、移民で来て、有色人種で、アクセントがあって、ゲイっていう人たちと比べたら、その人たちの経験は全く違うと思うんですよね。
まめた:一口にゲイと言っても、全然違うってことですよね。
キャシー:そう。だから、トロントという街をどう経験するのか、その人のアイデンティティーとか、その人の複雑なアイデンティティーがどう絡み合っていくのかっていう部分が個人的にすごい大事で。だから、その、ワークショップとかトレーニングするときとかは絶対そういう部分を強調して、LGBTをLGBTとして考えるだけではなくて、他の部分も見ていこうっていうのは大事なテーマですね。
まめた:ほんと、そうですよね。大事だあ。
キャシー:大事ですね。
まめた:大事ですね。
キャシー:あの、こんな感じのpodcastなんですけど。
まめた:第1回ですよね。
キャシー:第1回、こんな感じですけど、どうですか?
まめた:そうですね。あのー、なんだろ、人権問題って、人権とか多様性の話って、皆共通してる部分が必ずあって、それは、その、LGBTのことだけじゃなくて、ジェンダーとか民族とか、いろんなところで、すごく同じような似てるようなトピックっていっぱいあって、何かそれがこう、結びついて皆で考えられるようになったらいいなっていうふうに、すごい思ってます。
キャシー:うーん。
まめた:だから、このラジオがすごい楽しみにしてます。
キャシー:ラジオって言わないでください。podcastです。
まめた:あ、podcastだ(笑)。
キャシー:ははは(笑)。トレンディーにいきましょう、トレンディーに(笑)。でも、ほんと、今まめたさんが言ったこと、すごい大事なところで、人権問題を考えるときに、誰かを忘れるともう成り立たないと思ってるんですよね、人権っていうのは。だから、LGBTだけを守ったところで、有色人種を守れなかったりとか、黒人の人を守れなかったりとか、あと、障害者を守れなかったりとか、そういう部分が残ってると、LGBT内でそうしたアイデンティティーを抱えている人たちを守れないっていうことになるので、だからほんとに、holisticって英語でよく使うんですけど、日本語だと、包括的?
まめた:まるごと? 包括的?
キャシー:まるごと? 全部まるごと一緒に問題解決みたいな。言うのは簡単ですけど、やるのは大変な部分ですよね。
まめた:やっぱ、こう、考え続けていくとか、あと、何だろう、レインボー・カレッジとかでもそうだったんだけど、皆が仲良くやっていける場所じゃなくって、何か、おかしいと思ったらちゃんと「おかしい」って言えて、それを聴いてくれる人もいて、「よく分かんねーよ」って言う人もいて、っていう空間をちゃんと作っていくことが大事かなって、すごい思ってるんですよね。
キャシー:そうですね。会話じゃなくて、対話をしていけるような場所ですね。うん。という感じなんですけど、次回予告にいきますか? それとも、もうちょっと話しますか?
まめた:次回予告してみる?
キャシー:次回予告、まったく、何もあの、考えてないんですけど。
まめた:あー、何がいいかな。
キャシー:次のトピック、何か話したいこととかありますか?
まめた:やっぱ、こう、何だろ、トロントの話が聴きたいですね。何か、あのー……
キャシー:トロントの話ですか? はい。
まめた:うん。自分は、何だろ、勝手に憧れがあって、トロントってのは、すごい日本よりも進んでるんじゃないかみたいな、憧れの部分と、とは言え、「いやいやいや!」みたいな、いろいろ課題があるんだろうなっていう部分と、両方あるだろうなって思うので、そのへんの話が聴きたいかな。
キャシー:ぜひ、トロントの話をしましょう、次回。あと、まめたさんのほうで他に話したい部分とかありますか?
まめた:他に話したい部分ね……あのー、そうだな、最近アメリカでトランプ大統領が、今度軍隊でトランスジェンダーの人を排斥するっていうようなニュースがあって、それに対して、例えばカナダってのは「いや、自分らはウェルカムなんだ」ってことをツイッターで首相が発信する場面もあったんですけど、実際にそのへんで、例えば、「ウェルカムだ」って人と、「いやいや、排斥したいんだ」って人たちの間っていうのは、どういう関係性なんだろうか。コミュニティの中で、どういうふうに意見が割れたりとかあるんだろうなっていうのは、関心がありますね。
キャシー:うん。あと、そのまあ、ツイッター上の発言と、実際のポリシーがどう繋がっていくのかっていうのもありますよね。
まめた:そうそうそう。それは気になるな。
キャシー:うん。個人的に、すごい、ポップカルチャーのほうになっちゃうんですけど、昨日ドラゴンクエストⅪをダウンロードしてプレイしてるんですけど、噂によると、ゲイのキャラクターが登場するらしいんですよ、ドラクエに。最近結構ゲイのキャラクターがたくさんメディアで登場するように、日本のメディアで登場するようになってきたじゃないですか。
まめた:ドラマとかね。
キャシー:ドラマとか。で、個人的に結構、メディアの中で、どう、こういうマイノリティーが表現されるのかっていうことにすごい興味があって。
まめた:うんうん。
キャシー:日本のクリエイターが、どう、こうしたコミュニティを見て、どんなキャラクターを創っていくのかっていう部分が、かなり興味深いです。
まめた:うんうん。
キャシー:というわけで、次回までにそのキャラクターを仲間にして、どんな人なのかを探ってみます(笑)。あと、あのー、このpodcastを聴いてる人たちからもいろいろ質問とか。
まめた:バッチ来い! みたいな。何でも。
二人:ははははは(笑)。
キャシー:何でも、全部答える。
まめた:答えられるのか?
キャシー:わけでもないんですけど、頑張って全部答えます。
まめた:はははは(笑)。答えるんだ?
キャシー:ははははは(笑)。まあ、あのー、あんまり失礼なとかは無視するかもしれないので、はい。
まめた:そうですね(笑)。
キャシー:リスペクトを持って質問してください(笑)。って感じです。
まめた:いやー、面白かった。
キャシー:面白かったですか?
まめた;うん。
キャシー:すごい、あの、ほんとにpodcast初めてなので、すごい緊張して。
まめた:部屋を片づけ始めたけど、映らない(笑)。
キャシー:はっはっは、映らない(笑)。
まめた:掃除機かけて。
キャシー:あと、あの、オープニングテーマなんですけど、僕の友達に頼んで作ってもらったんですよ。すごく素晴らしい曲ができたので、ぜひスガワラヒロユキくんのページをたぶんリンクに、リンクがどっかにあるので、探してみて、チェックアウトしてみてください。というわけで、この「にじいろ交差点 エピソード1」、これでお開きにしますか?
まめた:はい。
キャシー:まだ、ウイークリーか、マンスリーか、どれぐらいの頻度でやるか決めてないんですけど、まあ、決めましょう、それは。また今度で。
まめた:はい。
キャシー:それでは。
まめた:それでは。
キャシー:これ、ちょっと待って待って! これ、どう閉じるの? podcastって。
まめた:えー。それでは……何だろ。また来週?
キャシー:また来週って、決めてないからね。
まめた:「それでは、また今度」とかで、音楽が流れるのかな?
キャシー:うん。じゃあ、また今度。一緒に「また今度」って言ったあとにオープニングテーマを流しましょうか。ま、エンディングテーマになりますけど。では、せーの!
二人:また今度!……はははは(笑)。
キャシー:まあ、こんな感じです。こんな感じの二人です。ありがとうございました。
まめた:ありがとうございました。
Producer: キャシー (@torontogay69)
Co-host: 遠藤まめた (@mameta227)
Composer: hirontier/Hiroyuki Sugawara (@hirontier)