トロントのゲイタウンで声をかけられて

昔はほぼ毎日遊びに来ていたトロントのゲイタウン。

チャーチストリートとウェルズリーストリートの交差点付近に住んでたこともあったっけ。

それが今では、ヘアスタイリストのところに行く時以外は寄ることもなくなった。

自分も変わったし、この通りも変わってしまった。

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そんなゲイタウンに足を踏み入れると、昔の恋人とばったり会うような気分になる。

まだ好きだという気持ちは少し残ってるけど、もうそれは冷めていて燃え上がることはない。

別にそれが良いとか悪いとかじゃなくて、ただ距離が遠くなっただけだ。

今日もチャーチストリートを早足で歩いていたら、急に目の前のお兄さんに声をかけられたの。

「ねぇ、時間わかる?」

早足のまま彼に時間を教えて、そのままスタスタ歩くあたし。

横を見ると、同じお兄さんが同じくらいのペースで隣を歩いている。

「この辺りって、ゲイの人がいるんだよね?」

急にそんな話を振られて、戸惑うあたし。

「ゲイの人なら向こうの交差点にいっぱいいるよ。」

と、あまり答えになってない返事をして、歩くペースは落とさなかった。

いきなり知らない人からそんな質問をされたら、いくら社交的でも上手に返せない。

そして、そのお兄さんはまだ隣を同じスピードで歩いていた。

いい加減に不自然なので、立ち止まって聞いてみた。

「何か探してるなら、手伝うけど?」

話を聞けば、トロントに来たばかりでそのお兄さんは噂のゲイタウンに興味津々。

まだカミングアウトもしてないのか、ひどくシャイで言葉に困っていた。

とりあえず、すぐ近くにあったコミュニティセンターを紹介してあげて。

友達や一晩の相手と出会えそうな場所を一通り教えてあげた。

緊張していた彼の表情はだんだんほぐれて、優しそうな笑顔に変わった。

「ありがとう!」

そう言って、彼は嬉しそうにゲイタウンの中心部に向かって歩き出した。

可愛い顔したお兄さんだったので、お茶に誘っても良かったんだけど。

ヘアスタイリストとのアポイントメントに遅れてたのでそれは断念。

もう一回振り返って、歩き去るそのお兄さんの後ろ姿を見て。

まだこのゲイタウンを必要とする人はいっぱいいるってことを再確認した。

彼にとって、チャーチストリートが素敵な場所になるといいな。

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