先週の金曜日、数年話すことのなかった知り合いからメールが届いた。
彼云く、私たちの共通の友人が亡くなったらしいとのこと。
何かの間違いだろう。
きっとタチの悪い冗談に違いない。
そう願いつつ他の友達に電話して確かめると、どうやら冗談ではなかったようだ。
「亡くなったって、彼まだ23歳じゃないか」
「きっと自殺だと思う」
そんな会話の後、二人ともシーンとなった。
この友達とは、トロントに来てすぐに知り合った。
キャシーより若い彼は、留学生としてはあたしの先輩だった。
2008年や2009年あたりのアルバムには、あたしたちの写真がたくさんある。
しかし、少しずつ疎遠になり、最近では遊ぶこともなくなった。
それでも彼は常にあたしの仕事をサポートしてくれていて。
「キャシー、カミングアウトしたばかりのゲイの子と知り合ったから今度紹介するよ。いろいろ助けてあげて。」
そんな優しい人だった。
彼と最後に会ったのは昨年の夏だ。
ゲイタウンのスタバの前でばったりすれ違ったあたしたちは少し立ち話をした。
彼はとても疲れていて、目に力がなかったのを覚えている。
きっと仕事が忙しいんだろうと、あまり気には留めなかった。
「最近、彼凄く落ち込んでいるらしいよ。大丈夫かな。ちょっと心配してるんだけど。」
そんな言葉を他の友達の口から聞いても、あまり気には留めなかった。
彼なら大丈夫だろうと、勝手に思っていた。
何かしてあげようにも、あたしは彼の近くにいなかった。
たとえ側に居たとしても、何ができたんだろうか。
そのニュースを聞いた次の日、ハイパークにさくらを見に行った。
彼とも数回、この場所に来てさくらを見に来たことがあった。
いつもさくらの満開を逃してた私たちだったけど。
今回に限って、さくらは気持ちがいいくらい満開だった。
今日、彼のお葬式に参加してきた。
正直まるで実感がなくて、朝からテンションがおかしいことになっていた。
しかし、安らかに眠っている彼の姿を見て。
「ああ、もういないんだ。」
と、ゆっくり時間が湧いて来た。
横たわる彼の横で、生前の写真のスライドショーをふと見ると。
キャシーが彼にハグして、二人で変顔してる写真が映った。
思わず笑みがこぼれて、そのまま頭の中が真っ白になった。
メンタルヘルスはLGBTコミュニティの中では大きな問題である。
ゲイ男性がうつになる確率がストレート男性の3倍以上だという研究結果もある。
トランスコミュニティなんかは、それをも遥かに上回る。
トランスジェンダーのサポートグループを運営する友人の話では。
一時期オフィスに入る度に誰かが自殺したというニュースを聞かされたとか。
LGBTの市民権獲得とか、同性婚とか、そういうことばかりが脚光を浴びるけど。
コミュニティの中の人が健やかに暮らせる環境づくりも忘れちゃダメ。
今はそうしたサポートが本当に欠けていると思うのよ。
彼は友達もたくさんいて、キャリアも順調だった。
そんな彼の自殺に多くの友人が驚いた。
「彼の調子が少しおかしいと思ったときに、もう少し声をかけてあげられたらよかったのに、どうして何もしなかったんだろう。」
そんな風に後悔する人も多くいた。
風当たりの強い世の中で強がって生きるあたしたちだからこそ。
本当にお互いのために側に居て、支え合う必要があるのよ。
余裕があるなら話を聞いてあげたり、支えになってあげる。
苦しいのならゆっくり休んだり、助けを求めたりする。
こう言うのは簡単なのかもしれないけど。
ギリギリになるまで自分を追い詰めちゃダメよ。
とりあえず、今日は書くのをここまでにしよう。
これからプライドの季節に突入して行くけど、いろいろ考えることになりそうだわ。