カナダと違って、アメリカは保守的な州が多い。
カナダでは保守的とされるアルバータ州も、アメリカの南部に比べれば可愛いものよ。
そんな今日はアメリカのミズーリ州に住むゲイカップルに起きた出来事を紹介するわ。
この写真のカップルは、ロジャーとアレンという名前で。
彼らは5年前よりパートナー法で結ばれ、事実婚に近い間柄であった。
ただ、ミズーリ州では彼らの関係は法律で認知されてはいない。
そして、アレンは重度のうつを抱えていて、月2回電気ショック療法を受けながらロジャーとその娘、アマンダに介護をされていた。
ロジャーは介護だけではなく、医療方針など、様々な面でアレンと共に大事な決断をしていて、彼らは行きつけの病院からも良く知られたゲイカップルだ。
一方、アレンの家族はうつのことも、彼がゲイであることにも理解を示していない。
だから、アレンは血の繋がった家族とは距離を置いている。
しかし、今週になってアレンは彼のパートナーから引き離されることになる。
火曜日、ロジャーが仕事から戻るまでの間、アマンダはアレンを介護していて。
アマンダが用事を済ませて家に戻ると、家の前にアレンの家族と警察が待っていた。
アレンの病状を理由に、彼の家族と警察はロジャーから彼を引き離したいと主張し。
アレンを日頃から介護していたアマンダの言い分に彼らは耳を傾けることもなく。
彼が行きつけの病院ではなく、カンザス市にある病院に連れて行った。
もちろん、これを知ったロジャーは急いでアレンが入院した病院に駆けつける。
病院にはアレンの兄であるリーがいて、これからはロジャーではなく、彼がアレンの医療方針の決断をすると主張し。
「彼は私の夫だ。私が常に側にいたし、彼が必要なものもよく理解しているのは私だ。君は彼の側にほとんどいなかったじゃないか。さっさと帰ってくれ。」
とロジャーは言い返し、そのまま彼らは口論になったため。
その場にいたナースは警察を呼び、ロジャーを強制退去させようとした。
意識が朦朧としていたアレンも「ロジャーにいてほしい」と主張していたのに。
そのナースはロジャーとアレンの関係性を確認しようともしなかった。
警察が到着してもアレンの側を離れなかったロジャーは力づくに彼を引き離した。
それでも抵抗したロジャーに警察に手錠をかけられ、床に押し倒された。
この警察たちの暴力的な行為で、ロジャーはメガネと補聴器をなくし、流血までする始末。
ロジャーがゲイだと知っていた警察は彼をHIV陽性だと決めつけ。
手袋なしではロジャーに触ろうともしなかった。
そのまま逮捕されたロジャーは3時間牢屋で過ごし、$600の罰金を払うことになった。
追い打ちに、彼はアレンに会いに行くことまでも制限され。
木曜日になるまでアレンに会うこともできなかった。
このニュースを昨日読んで、かなり唖然としたキャシー。
今日さらに詳しい情報を知って、凄く憤りを感じている。
英語が読める方は、アマンダのインタビューを読んでみて。
かなり詳しいところまで語っているわ。
さらにムカつくことに、病院は責任を完全否定しているのよ。
この事件を聞いて、背筋が寒くなったのは家族や病院、警察の冷酷さのせいではない。
アレンとロジャーがここまで念入りに赤の他人ではなく、パートナーだと証明するように気を配っていたのに、それがいとも簡単に無視されたことだ。
たしかに、ミズーリ州では彼らは法律上パートナーではないが、ここまでしていれば男女のカップルは結婚してなくてもフツーは事実婚と認められているところだ。
結婚した夫婦と同じ権利はなくても、こうして病院を追い出されることはないはずよ。
「パートナー法があれば結婚はいらないよね。」
そんなことを思ってた時もあったけど、パートナー法ではこの社会のホモフォビアに立ち向かえないこともあるのよ。
本当は社会がもっと様々な形の生き方を認めてくれればそれが一番いいんだけど。
“家族”として認められるには、男女と同じ“結婚”をする必要がある。
老後、長年付き添ったパートナーがいた場合は特にこんなトラブルを防ぎたい。
先日見た『Cloudburst(邦題:夕立ちのみち)』という映画も。
30年連れ添ったレズビアンカップルが実の家族に引き離されたくないがために。
アメリカからカナダまで旅して、結婚式を挙げるという話だったのよね。
アメリカで国家レベルで同性婚が成立すれば、こうしたトラブルも減るのだろう。
言うだけならタダだから言うけど、こんな悲しい事件は金輪際起きてほしくないわ。