キャシーといえば、けっこう小さい頃からハイメンテナンスで。
キャンプしたり、バックパッカーになったりするのなんて別世界の話で。
旅行に行けば、たった数泊でも巨大なスーツケースが欠かせない。
だから、バックパック背負って、ホステルに泊まるとか。
そういうことができる人は本当に凄いと思っている。
あたしなら三ツ星ホテルで文句言ってるもの。
そんなあたしでも、カウチサーフィンには興味があったの。
ほら、旅行先で他人の家に宿泊させてもらうオンラインネットワークよ。
知らない人の家に泊まるのは少し怖いけど。
あたしの友達でもこれで泊まったりする人が多いし。
旅の最中にステキな出会いもありそうで、楽しそうだと思ったわけ。
あわよくば、旅先で恋に落ちて、ステキなセックスも楽しめるかも、なんてね。
そんなアホな妄想で鼻の下を伸ばしてたら、こんな友達がいたのよ。
「カウチサーフィン?よくセックスまでハッテンするよ。」
そう自信満々に言い切った彼は、経験豊富なカウチサーファー。
旅先でもよく他人の家に泊まるし、トロントでもよく旅行者を泊めている。
つまり、どっちもイケちゃうリバなカウチサーファーなわけ!
「僕、カウチサーフィンではゲイだって公開してるし、よくゲイの旅行者が訪ねて来るよ。気が合えば、セックス三昧さ。」
なんですって?
あたしはこんなに美味しいチャンスを逃してたわけ?
「それにノンケの人でも思わせぶりな人が多いんだ。朝立ちを思いっきり披露してくる人もいれば、フェラしてくれとか言われることもあるよ。」
もう聞けば聞くほど悔しさが募るわ。
彼の場合、家には小さいソファーしかないため。
いつも、クイーンサイズのベッドで旅行者と一緒に寝るそうよ。
これはもうセックスに持ち込むための策略じゃない?
「一応エアマットレスもあるんだけど、みんなベッドでいいって言うんだよね。」
悔しい。
悔し過ぎるわ。
そんな彼曰く、カウチサーフィンする人はオープンな人が多いらしく。
だから、ゲイじゃない人でも彼と同じベッドで寝るのを気にしない人が多いとか。
これでもし向こうもゲイで、お互いに惹かれ合った場合は。
「長旅疲れたでしょ?マッサージしてあげるよ。」
とかそんな流れになって、仕舞にはセックスをするんだそう。
こんな夢のような話を聞いて、すっかりノリノリになったあたし。
「あたしもカウチサーフィン始める!」
「家には小さいソファーしか置かないことにするわ!」
「キャシー、彼氏は?」
あ、ちくしょー。
すっかり忘れてた。
まったく、独身時代くらいもっと冒険するべきだったわね。
世界各地からトロントを訪れるイケメン旅行者とヤリたかったわ。
とは言っても、相変わらずハイメンテナンスなあたし。